狸穴ジャーナル・別冊『音動楽人(みゅーたんと)』

連載『ホームシアター構築講座』ー第3回ー

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第3節 ハイレゾ時代のリスニングルーム設計の勘所

第0項 プライベートライブハウスを目指すには...

第0目 オーディオマニアの夢は...

最高のリスニング環境(AVルーム)で、プライベートライブハウス、プライベートコンサートホールを構築して、自慢のSPシステムで"思う存分"空気再生!?"を楽しむことです!が...

プロ建築家は音響専門家では無い!

依頼なさるプロ建築家は音響専門家ではありません!

永年アマチュア楽師、音響工学専門家として活動した経験をもとに、

音響設計の勘所(広さと反響対策・防音)の関係を判りやすく紐解いてみました。

第1目 お金に糸目をつけない最良の手段とは

理想のリスニング環境とは

一番良い解決法は、床以外は周囲の壁面を天井を無くし"野音"(※00)状態に!して、SPの空気再生を楽しむ事でしょう!

人里離れた別荘地で...

出来れば人里離れた林の中にある"別荘地"の一角を整地して、

12畳(6坪)程度の"ウッドデッキ"だけを作り、ふかふかの絨毯敷きにして

その端に自慢のSPシステムを設置して、天井は設置せずに"野音のような"テント屋根"の下で、大音量130dB程度の大音量で鳴らすのが理想的でしょう。

但し、スズメバチ!などの被害にあわないように、テント屋根から蚊帳(防虫ネット)を垂らす必要はあるでしょうが!?...

参※01)当サイト内関連記事 《 野音 音響ナビ 》首都圏 の 野外ステージ はこちら。

chapter1 ハイレゾが現実の物?になった今こそ...

ハイレゾ機器の最大の魅力は周波数特性ではなく!その「広大なダイナミックレンジ」にあることは別項で詳述した通りですが...(※10)

そのダイナミックレンジは一般的な24bit量子化コンテンツででも、18bitが利用可能で実に

約102dB(実倍率約13万倍!)にも達してしまいます!

つまり、最小レベルとffffの最大レベルでは131,072倍もレベル差があるわけです。

このダイナミックレンジを空気再生で聴くには、最大音量が120dBをオーバーてしまい、とても、閑静な住宅地での"空気再生"が不可能となっていしまいます!

参※10)最近は24dBハイレゾコンテンツが市中に出回り、ほぼ録音スタジヲと同程度のダイナミックレンジがお手軽に、楽しめるようになりました。

当サイト内関連記事 ハイレゾの最大の美点は"無圧縮による広大なダイナミックレンジ! はこちら。

第2目 但し出回っている Contents の大半は...

但し出回っているデジタル媒体(CD)の大半が、2000年以前に収録された初期のデジタル音源や、

もっと以前のアナログ録音コンテンツが殆どなので、16bitのCDと大差ないダイナミックレンジ約54dB(実数比300倍)程度ですが、最新のフルディジタルプロセスの録音では、リミッターを最小限にして、ピアニッシモ;peak level ー102dBに設定した「抜けの良い」大音量のコンテンツも登場しだしています。

更に、圧縮技術の進化で、amazon music などのWeb 配信コンテンツで気軽に楽しめるようになりました!

第3目 一般家庭では空気再生は不可能!

但し、前途した騒音問題で、空気再生は街中の一般家庭では不可能!となています。

なので小生はもっぱら、SONY WH-1000XM4 ノイズキャンセリグヘッドフォン(※11)を利用しているわけです!

参※11)当サイト内関連記事 SONY vs BOSE 好みで別れる?コンセプトの違い!《 SONY WH-1000XM4 ノイズキャンセリグヘッドフォン 購入レポート》 はこちら。

★chapter1 お金に糸目をつけないセレブな音響マニアの方にご注意!

オーディオ専門誌に掲載されている取材写真を見るたびに...

オーディオ専門誌に掲載されている「リスニングルーム拝見記事」で20畳以上のご立派なリスニングルームのある「お屋敷」(や高級オーディオ専門店)が良く取り上げられますが...

「殆どすべて」といっていいくらい「定在波」対策と「スピーカー対抗壁面反射対策」がなされていないようです!(※11)

更に、ライブ配信な等も行い、飯を食っている筈?の「俄かオーディア評論youtuber」等は、論外の状態です!

参※11)当サイト内関連記事 お手軽 リスニングルーム 改装法 6~10畳間編《 最高の ソノリティー を求めて》第4回 はこちら。

第2項 高名な建築家でも音響工学には疎い!先生方がほとんど

高名な建築家!に設計依頼しても、「音響の基礎知識がない人」がほとんどでその場凌ぎの「防音対策」(砂壁や防音壁、防音パネル処理、床フロート)はデザイン(設計)できても肝心の「定在波対策」については知識のある方はほとんどいない!といっても過言ではないでしょう。(音響設計を標榜している事務所でもかなりいい加減です!)

壁面に作り付けの「頑強なサイドボード」や、暖炉などの突起物程度では並行面対策(定在波対策)にはなりません!(※12)

参※12)当サイト内関連記事 "定在波音響障害"を緩和する手法 はこちら。

第1目 本格的?リスニングルームのサイズが問題が!...

せっかく、

1set 1000万円以上のスピーカーを購入してもでたらめ音響の部屋!」に設置してがっかりされている「セレブ」な音響マニアの方も多くいらっしゃる様ですが....

セレブなお金持ちの方なら、敷地を気にせず対抗壁面を並行させないフロア形状や、

壁面をスラント設置(外反or内傾して「分厚い音響カーテンで壁面を覆えばこの「壁面反射による問題」は小さくできます!

1000万円以上投じて「プライベートホール」を増・改築すれば、

1set「100万円」以下の一般スピーカー?でもそこそこの音響を備えたリスニング環境が構築できます!が...

前途したご近所様への騒音公害対策には...

★chapter2 音響設計に精通した建築士、建築事務所へ

20畳(10坪)以上の本格的?リスニングルームを計画するなら、

豊富な実績(経験)のある「信頼できる音響設計事務所」にお願いするのが良いのですが...

実際には、音響工学の講座を設けている大学は少ない!ので...

第1目 有効スペースを削ってでも...

新たに20畳以上(5.46mX6.37m10.坪)のリスニングルームを計画されるのであれば、できるだけ完全並行壁面が無い「いびつな形状のリスニングルーム」デザインをお勧めします。

このサイズの長方形の部屋になると、63.8Hz/5.46m、54.8Hz/6.37m などの壁面間隔に応じた「厄介な重低音定在波」が発生して、後述する3X6尺の合板を壁面に並べて立てかけた程度の簡易的な対策ではもはや対処できなくなります!

第2目 よくできた音楽練習室のように

つまり対抗する壁面どおしを「15度」以上外傾させてスラント設置するか、フロア形状を「音楽練習室のように変形」させて「対抗する完全並行対抗面をキャンセルさせないと「定在波」に襲われることになります!

(例えばよくできた音楽練習室のような、※以下は約31畳(15.73坪)のサンポート高松の第2練習室の例平面図はこちら。)

更に天井も「100Hz」以下の「重低音定在波」を避けるために最後部は3.6m以下として、100Hz以上の定在波に対処するために「一面の幅が1.8m幅以上の重量級天井を30度以上の傾斜面で構成したアンギュレーション(屈曲)を持つ天井」にするか、ログハウス風の2階吹き抜けの山形天井、にして上下(Z軸)定在波を抑止する必要があります。

セオリーその2 スピーカー対抗壁面に並行にならないように傾斜させて、表装は軽くて柔らかい素材で!

更に言えばリスニングポジションの背後壁、つまりSP対抗面には分厚い音響カーテンと、厚さ100㎜程度の発泡スチロール+発砲コンクリート or 石膏ボードの複合壁面として反射音圧そのものを小さくするように工夫するべきです!

別項に詳述したように、空気に近い「密度」の境界面では反射は小さくなります、防火音響カーテン→発泡スチロール(※21)→石膏ボード→建屋本壁 という事にすると壁面からの反響は大幅に削減でき、さらに防音効果も高まります。

参※21)発泡スチロールは難燃性であり、内装材として使っても建築基準法上問題はありません!

スピーカーの(上反り)スラント設置が有効!

得意に図に示したようなスピーカーの(上反り)スラント設置は絶大な効果があり有効です!

なので、超高級スピーカーでは最初から(上反り)スラント前面バッフルを採用しているのです!

結果的には別荘が賢い選択!

まあハイエンドオーディオを楽しめるセレブなマニアの方なら最初に申し上げたように「人里離れた山中」に全開できる雨戸を長辺側に持つ山小屋風の木造(ログハウス)でも建てて、聴取するときには雨戸を全開にして解放したベランダ側を背にした野音並みの"解放空間"で高級スピーカーを聴取したほうが賢明でしょう...但しスズメバチにはご用心を!?


 

公開:2014年11月14日
更新:2024年3月 6日

投稿者:デジタヌ


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