狸穴ジャーナル・別冊『音動楽人(みゅーたんと)』

連載《ブリジストン・アルベルトe 電動アシスト自転車長期レポート》ー 最終回ー

,

最終回 ECT for electric assist bicycle

次世代 TOYOTA 方式 ECT 付き 電動アシスト自転車 なら、新感覚の踏み心地が実現できる!

現状、本稿で取り上げている"ハブ内蔵モーター"による「車輪直接駆動方式」や一般的な「クランクペダル駆動方式」による電動アシスト自転車が普及していますが。

事電力回生では旧SANYOが開発したハブ内蔵モーターによる前輪アシスト方式eneloop方式しか見当たりませんが...

エネルギー回生は21世紀のトレンドでもあり、今後電動アシストサイクルでも色んな方式が検討されるようになるでしょう!

そんな中で、有望なシステムとして、TOYOTAが基本特許・周辺特許を押さえているECT方式が考えられます!

※本稿は、実用新案に絡むものですが、前途のようにTOYOTAさんの基本特許・周辺特許を使用した応用であり、本項で"公知の事実"となりますので第3者による新たな特許・実用新案は申請できません。

自転車用 内装多段変速機 とは

現在、simanoによって11速までの内装変速機(プラネタリギヤ多段変速機)が製品化されています。

これは、複数組のプラネタリギアの組み合わせを変速スリーブで選択する、複雑で精密な機構となっており、SIMANOのフラッグシップ的変速機で技術力の証として「採算度外視」で少量生産されているようです。(2020年現在受注生産品のようです?)

11速変速機は GUTS-CYCLE さんの参考価格です。

※ご注意

マイサイクルに実装するには、スポーク、シフター、電動変速システム Di2(11速専用)、変速ワイヤー、専用変速グリップ、などの装着部品が必要になってきます、更にリヤホイール組み立て・調整(芯出し、振れ調整等)には専用治具と"高い技術力"が必要となり個人では手に負えません!

行きつけのサイクルショップでパーツ手配や組み立て調整を依頼することになりますが...

前前々回で記述しましたように、マイチャリへの最終組み込みは自転車屋さんでは(販売店契約違反&違法行為となるために)行ってくれません!Do it Myselfという事になります。

自動車用"減速機"と自転車用"増速機"の違い

一般的な自動車用ATに用いられているプラネタリギヤーは減速機!として用いられており、自転車用では増速機!として用いられているために、入力と出力の関係が逆になっています。

また自動車用では、各プラネタリギヤのセットのケースとアウターギヤーを選択クラッチで固定して変速を行いサンギアと同軸のプラネタリキャリアー軸が出力軸となりますが、自転車では逆にサンギヤシャフトを固定してアウターギヤ側をハブにロックしてハブ本体を回転させています。

自動車用自動"減速機"の場合

更に自動車用ではサンギヤ・入力軸として、最後部のプラネタリギヤ(キャリー)を出力軸としています、さらにそれぞれのプラネタリギヤーセットのアウターギヤーにあるクラッチシステムで、ケースとアウターギヤーはロックされるようになっています。

自動車用ATに用いられるメリットの一つとして、入出力軸が同一中心線上にあり、マニュアルトランスミッションのように「カウンターシャフト」を必要としないために、高さが必要ない点があげられます、反面多段変速機にするには複数のプラネタリギアセットが必要となり全長が長くなる点があげられます。

自転車用内装多段"増速機!"の場合

この点は自転車用内装変速機も同様で、変速機を持たないママチャリのホイールハブに比べて、外装変速機のギヤを含むトータル幅と同じくらいに幅広くなります。

また自転車用ではハブそのものをケースとして利用いるために、サンギア(メインシャフト)側が固定軸となっています。

世界初公開! 電動アシスト自転車用ECT半自動変速機!

世界初公開 次世代型変速機ECT(電子制御無段変速機)のコンセプトデザインとは...

プリウスなどのトヨタ製ハイブリッドカーで採用されているシステムでトヨタが基本特許および周辺特許を押さえています!

1組のプラネタリギヤと2個のモーター(ダイナモ)とコントロールユニットで構成されているシンプルな機構です。

電動アシスト自転車用ECTのコンセプトデザイン

bicycle_ect_assy1.jpg

bicycle_ect_assy2.jpg

動作説明

電動アシスト自転車に応用する場合は、ワンウェイクラッチ機構はクランク軸側(車体側)に設置してプラネタリギヤー(プラネタリキャリー)とモーターユニットはクランク軸(ペダル)とは離れた並行3軸配置とします。

3軸配置とする理由は、単なる減(憎)速機と違い、自転車のペダルクランク軸は両側に取り出されているために、3重シャフトなどの厄介な機構が必要なためです。

アウターギア(リングギア)を入力、サンギアを出力軸とします。

プラネタリギアをロックした場合最大のギア比が得られるからです。

但し両者の関係はプラネタリギア(アイドラー)を介して逆回転しているので、クランク軸とアウターリングギアの間にアイドラーを兼ねた駆動モーター(ダイナモ)のピニオンギアを挟み出力プーリ軸(サンギアー)をクランクとが同方向に回転するようにします。

※自動車の場合はサンギヤ→プラネタリーの組み合わせをバックギアとして利用しています

アウターギヤーに接続したモーター・ダイナモを常時回転させて駆動(モーター)と回生発電(ダイナモ)に用います。

一方、ワンウェイクラッチ機構はクランク軸側に設けているので、ペダルを踏むと駆動力はペダルギヤ→アイドラーギヤ(駆動モーター)→アウターギア→プラネタリギア→サンギア(後輪駆動プーリー)の順に伝わり後輪を駆動出来ます。

プラネタリキャリー外周に設けたギヤーとウォームギヤーで垂直に接続した変速用モーターをギヤ比に応じて回転させます。

アシスト失効時には、サンギヤーはウォームギヤー駆動なので、固定されて、サンギヤーとアウターギヤーのギア比でサンギアーが回転しますので、ペダルの駆動力は問題なく後輪に伝わります!

アイデアスケッチについて

  • ※図は書き直すのが面倒なので前後逆になっています!

    つまりモータユニット&駆動プーリーはクランク軸より前方に配置します。

    さらにリアサス&アッパーアームの取り付けホールを、スウィングピポットに、図中前方になっているスウィングピポットはリアサス&アパーアームピポットに変更します。
    これによって、今までの伝送アシスト自転車の欠点の一つ、ロングホイールべースが解消できて、駆動側プーリーの小径化が達成できます。

  • ※あくまでもアイデアスケッチ(概念図)なので、モータークーリングの問題(変圧器オイルを用いた油冷)、ギヤーBOXの潤滑の問題(油浸)、ワイヤーハーネスの取り回しなどのアッセンブルは図中省略してあります。

変速の概念

  • ●例えば現状の3速変速機の2nd減速比を中心(5速)として減速(逆転側)に4速、増速(正転側)に3速設ければ8速変速機となり、坂道での細かな対応が可能となります。
  • ●常に5速発進として、8速までの6、7速の設定回転数までは、連続的に変化させるタウンモード(無段階増速)、スポーツモード(ステップ増速)で増速カーブを制御すれば、異次元の無段階変速が実現します!
    例えば下り坂で、8速に設定して空踏みを防ぐにはスポーツモードを、街中で「楽に増速するときはにはタウンモード」てな具合です。
  • ●減速ギヤー1~4速はモーター回転数をステップ状に制御して、坂道での"空走のない"レスポンスの良いnomal 変速が可能となります。

実現すれば多くのメリットが...

  • ●(8段以上の)内装多段変速機に比べて機構がシンプル
  • ●基本のギア比以外にプラネタリキャリーを正回転(増速))逆回転(減速)させることで無段階に変速できます!
  • ●プラネタリキャリーの回転数制御だけで変速ステップ段が設定できます。
  • ●クランク軸、変速機、モーターを一体ケースでユニット化すれば、汎用性を持たせることができます。
  • ●現状の変速機に付き物の「変速時の空走」がない常時駆動力が得られます。
  • ●電動アシスト自転車の主流クランク軸駆動型なので、前後輪のバネ下重量の軽減につながり、26(24インチ)インチの前輪サスペンションフォークが流用可能となります!
  • ●同じくセンターモーターなので、後輪のスイングアーム化も可能となります!
  • ●クランク側にフリーホイール機構があり、モーターは常時回転しているので、発電回生が可能!となります!
  • ●現用の内装変速機のノウハウが利用できます。
  • ●輸出用の400w出力大型モーターを(出力制限で)使用できますので、部品の共通化が図れます。
  • ●ステーター側のコイルは樹脂モールディングで、ローター側のマグネットもAlダイキャストに固定して変圧器Oilの油浸冷却とします。これによって発熱によるモーター出力低下が防げます!

現在、国内法規でアシストは0~20km/hの範囲内で「入力:駆動力=1:2」と定められているために、アシストモーター定格出力はMAX250W(1/3馬力)となっていますが、少し大きめ400W定格出力のモーターを250W以内で使用して、余裕を持たせれば、繰り返し述べている「モーター発熱」による出力低下は防げるでしょう!

(※YAMAHAはこの手を使っている様子?)

またモーターをアシストモーターと変速モーターに分ければ変速専用は100w程度の小型モーターで十分なので、現状の250Wクラスのアシストモーターでもさほど過熱することはない可能性もあります。

アシスト制御関係は「現状のクランク・トルクセンサー」が一部改造ただけでほとんどそのまま流用出来て、減速機モーターの電力を差し引いた電力でアシストすれば問題ないはずです。

技術的課題

  • アッセンブリーを小型化するには相当の開発(詰め)が必要。
  • プラモデル感覚での汎用モーターの組み合わせでは小型化は無理なのでモーター供給メーカーと共同で開発する必要があります。

YAMAHAが一番乗りかも?

前途したように、TOYOTAが基本特許を押さえているますが、YAMAHAとは昔から懇意にしている関係でもあり、「OEM」かコラボ商品として「プリウス」ブランドで発売できれば可能性は高まります!

また、TOYOTAに特許使用料を支払う形で、Panasonicが交流モーターとリチウムイオン電池、および制御器を、SHIMANOが小型プラネタリギヤーユニット製造を受け持てば、YAMAHA以外の中小メーカーでも使用可能となり世界中に広まるでしょう。

(※TOYOTAが広く特許を押さえているので、SHIMANOなどの自転車部品メーカー、Panasonicなどのモーターメーカー単独では製品化はできません!)

さらに、TOYOTA、YAMAHA連合も自社で独自に小型モーターや、独自ギヤーの開発製造をするには(コスト的に)ハードルが高すぎます、そこで、YAMAHAがまとめ役(仲介役)になってそれぞれの得意分野で世界的な技術力を持つ、SHIMANO、Panasonic、YAMAHAが企業連合(技術提携)を組んでTOYOTAからのライセンスにより共同開発するのが最も早道ではないかと思われます。

20万円以内なら買い!

20万円以内で商品化できれば、現状のアシスト自転車市場でかなりの販売数が期待できるはずです。

原チャリと違って、原付免許不要(これは若い世代の免許離れの傾向にも一致する)は大きなメリットになります。

強化型ブレーキ(油圧ディスクブレーキ)、前後サスペンション(モーター変速機をユニット化できれば"ソリッドカーボン駆動"でも後輪スイングアーム化が可能!さらにショックに弱いリチウムイオン電池には振動対策としても必要!)を装備したハイエンドクラスでも25万円以内で商品化できれば、原チャリからかなり乗り移ってくれると思われます。(ヘルメット着用、歩道通行禁止、一方通行などの規制がない!)

24インチのママチャリサイズもありか?...

クランク軸、ホイールベース、サドル位置の関係から、モーター・ECTアッセンブリーユニットの小型化には限度も考えられるので、26・27インチタイヤサイズに拘らずに、24インチ+前後サスのほうが街乗りでは実用的で快適なような気もします。

輸出及び国内デリバリーについて

国内外のサイクルメーカーへのユニット販売はSHIMANOさんの販売ネットを使って、YAMAHAさんの完成車については、一部を「プリウス」ブランドでOEM生産してTOYOTAさんの販売ネットでも販売できるようにすればTOYOTAさんのPRにもなるでしょう!

(特許技術使用料)ロイヤリティーについては、モーター&制御器(&バッテリー)を担当するPanasonicさん、変速機を担当するSHIMANOさん、パテントホルダーのTOYOTAさん3者で話し合う必要はあるでしょうが...

尚、中国については早急にSHIMANOさんがまとめ役(代表)になって、"電動アシスト自転車用ECT"として広範囲のパテントを押さえておく必要があるでしょう!


 

公開:2020年7月 6日
更新:2024年3月12日

投稿者:デジタヌ


連載《ブリジストン・アルベルトe 電動アシスト自転車長期レポート》ー 第8回 TOP


 



▲アシスト自転車長期レポートへ戻る

 

ページ先頭に戻る