狸穴ジャーナル・別冊『音動楽人(みゅーたんと)』

連載『ホームシアター構築講座』ー第2回ー

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★第2節 定在波対策と対策とは...

「壁面で閉ざされた有限の空間(室内)」では定在波は完全には駆逐できません!が...

第1項 壁で囲まれた「閉ざされた空間」では壁面の音圧は"0"

管楽器のように「両端が解放されたパイプ」では定在波(共振波)は両端で最大振幅となりますが、定在波が発生するような「閉ざされた空間」の壁面では「全周波数帯域で音圧"0"ミステリースポット」(※2)となります!(iPhoneのマイクなどを壁面に近づけていけば簡単に実験できます、また耳を直接壁面に近づけても確認できます)

参※2)当サイト関連記事 定在波で起こる音響障害『ミステリーゾーン』はこちら。

※クリックすると大きな図になります。

standing_wave.jpg

つまり対抗する両壁面"0クロス"する半波長が、その「部屋の定在波"基本"周波数」になるのです!

通常"人間の耳"頭側に配置されていて、外耳も両側に解放されています、

つまり"背面"より左右両側壁の反響の影響を受けやすくなっています。

定在波は"一定型"ではない!

但し、定在波は"一定型"では在りません!

上図は"ある瞬間"を想定しただけで、"一定型"では在りません!

厄介なのは...

厄介なのは、定在波の両端(壁面;ゼロクロス)以外では常に振幅が変動している!事です。

つまり、部屋中至る所で周波数特性が掻き乱されているのです。

部屋自体の音響特性なので、"ある切っ掛け"で生じると...

"壁面反射"している"周波数成分""減衰"して"自然消滅"するまで続きます!

なので、元となる燃料(音楽)を供給!し続けている限り、その部屋(リスニングルーム)から追い払う事が出来ない疫病神!なのです。

第2項 一般家庭の方形ルームで発生しやすい「釣鐘現象」

意外と多い事例として、SPシステムの発する音と、対抗する壁面からの反射音が打ち消しあう「釣鐘現象」による「逆相音キャンセリング効果があげられます!

第1目 逆相音キャンセリング効果"釣鐘現象! とは

よく知られている例としては「釣鐘の中」では音が消失する!釣鐘現象(※0)があげられます!

これは、釣鐘が「呼吸をするように」内壁面が最大振幅となる「同相の音波」が生じているためです。

釣鐘では次項に挙げた定在波とは異なり内壁面が腹になった半波長の音が基音になります。

※クリックすると大きな図になります。

echo_sound.jpg

これとよく似た現象で、方形の部屋の一辺に対抗面と完全並行するようにSPを設置すると、

前途した対抗壁面からの反射音は「逆相」の関係になって「お互いに打ち消し合ってしまいます。

つまりスピーカーと「完全並行した対抗壁面」の間にいると音がキャンセリングされるわけです。

なので、SP正面と並行する対抗壁面を結ぶエリアから離れると「思っていたより大音響!」が鳴っていることに気付かされることになるのです!

(コンサートホールの最後部、背後壁面を背にした「大向う席」に座った場合も同じです!)

なので、SPバッフル面を「壁面と完全並行」させてはいけません!

これについてはヤマハさんのサブウーファーのマニュアルにあるように、

「対抗する壁面を避けて側壁面に向けて45°そっぽを向かせて」設置

するのも"手"ではありますが...。

参※)YouTuberのスピーカー評価コンテンツを見ても、この点に触れて(気付いている)人は皆無で、「ほとんどのYouTuber」が間違ったセッティング法を自慢そうに"うそぶいて!いる"ようです。

参※0)当サイト関連記事 第3節『ミステリーピット』とよく似た現象『釣鐘現象』はこちら。

第2目 釣鐘現象を避ける方法は

次項に述べる定在波対策と基本的には同じですが...

耳は左右についている!

前途した様に人間の耳は頭の両側についています!

しかも上下左右に動かすことは出来ません!

なにお今更...と思われるかもしれませんが、

これが重要なポイント!です。

つまり、STEREO音場は立体音響では無い!のです。

(またその必要もありません!)

上下方向の方向感は希薄!

視覚障害をお持ちの方が実生活でお困りになる点もこの点です。

試しにアイマスクをした状態で、本棚に隠れた貴方のスマホを探してみてください...見つけるのに相当苦労するはずです。

つまり、上下方向の方向感は、首を上下に振らない限りは希薄!なのです。

第2目 セオリーその1 スピーカーは軽く上反させて設置する!

大抵のSPユニットは垂直状態で振動板がバランスするようにデザイン(設計)されています!

なので水平配置のようにあまり極端に振動板を傾斜させると、中立状態が維持できなくなり"ダンパー"や"エッジ"に負担がかかり、経年変化の影響も受けやすくなります。

しかし15度程度なら傾けても、あまり負荷もかかりません。

※クリックすると大きくなります

sound_board_setting01.jpg

リンオーディオの超高級スピーカーシステムバッフル面が傾いているわけは...

高級スピーカーシステムで有名なリンオーディオのプレミアムスピーカーシステムが「ピラミッド型」のエンクロージャーを採用して「バッフル面が」上反しているのはこのためです!

但し、2way,3way,4way...などのマルチスピーカーシステム、特に超高級巨大SPシステでは、各ユニット間の"位相差"も問題!となってきます!

一般的な10帖程度のご家庭のリビング(リスニングルーム)では、SPからやっと2m程度の聴取位置では

シングルコーンのフルレンジSPシステムのほうが使いやすい(いい音が聞ける)のはこのためです。(※3)

参※3)当サイト関連記事 故長岡鉄男氏の目指したサウンドとは?はこちら

1ポイントアドバイス 

小生は音楽を聴くときはたとえライブコンサートであっても「目を瞑って」聞くことに熱中します!但し美人のソリストの時は別ですが!(*⌒ー⌒*)

つまりこうすれば天井桟敷?でも何でも関係ないわけで、音楽に浸れるわけです!

だからスピーカーを低い位置に上反接して、耳の位置と音軸が合ってさえいれば差し支えないのです!

★第3項 躯体的対策法

※クリックすると拡大できます。

sound_board_setting02.jpg

小生の場合は「リスニングポイント」の背後壁面に左右90Cmつまり180Cm幅の2枚折れの「衝立」を壁に立てかけて「リスニングポイント」での「定在波」の発生を緩和しています!(※41)

小生は、前途したように和風の1間四方(1.8m□)の衝立を壁に立てかけ(というより15°程寝かせて)下図のような発泡スチロール+段ボール!裏打ちの補助反響板を試作して使用しています!

参※41)当サイト関連記事  第2節 壁面のアンギュレーションで初期反響を緩和す手法

その2 釣鐘現象対策

※クリックすると拡大できます。

echo_sound.jpg

釣鐘現象とは、壁面を背にして(生楽器、スピーカーなどの)音源と向かい合うと、音源からの音波と背後壁からの反響音が干渉して打ち消し合い音圧(音量)が変化してしまう現象です。詳しくは当サイト関連記事 『第2節 定在波音響障害とよく似た釣鐘現象 をご覧ください。

前途した手法で、背後壁面に音響ボード(衝立)をスラント設置してモディファイして、スピーカーを図のように耳の高さより下げて、軽く上反させると、背後壁からの反響音は緩和されて、リスニングポイントでの音圧(音量)低下がかなり改善されて(約4dB)最弱音が聞き取りやすくなり、その分ボリュームを絞れるので結果として近所迷惑なオーディオ騒音公害!を緩和(建屋外壁側近でMaxフォルティッシモ時に86dB!が約82dB に約36%の大幅減)することが可能になりました!

(それでも大きいですが)近くの中小企業団地に出稼ぎ!に来ている、辺り構わず大声で闊歩する迷惑中華留学生?の話し声騒音よりは小さな値です!(※42)

参※42)当サイト関連記事 環境騒音問題と環境騒音測定 はこちら。


 

公開:2014年11月14日
更新:2024年3月 6日

投稿者:デジタヌ


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