狸穴ジャーナル別冊『音動楽人(みゅーたんと)』

お手軽 リスニングルーム 改装法 6~10畳間編《 ホームシアター構築Navi》第4回 "音響改悪調度詐欺!"に引っ掛らないために

,

前書き(要約) 悪質な「まがい物"音響改悪グッズ"」等の"詐欺まがい商法"に引っ掛からないために...

本編は リスニングルーム設計の落とし穴!...方形ルームで起こる釣鐘現象と定在波とは? の続編として、実際のホームシアター・リスニングルーム改装法を 提案したコラムです。

最近、オーディオマニアをターゲットに「音響改善グッズ」と称していい加減な「まがい物調度」が氾濫していますが、何れも「プラシーボ効果」ぐらいしか期待できない"甚だ怪しげな商品!ば"かりです。

永年アマチュア楽師、音響工学専門家として活動した経験をもとに、リスニングルームの勘所(広さと定在波問題)の関係を判りやすく紐解いて、合わせて音響理論と長年の試行錯誤実験に基づいて、考案した音響パネル(公開技術)とリスニングルーム改修法も掲載しています。

お手軽 リスニングルーム 改装法 6~10畳間編《 ホームシアター構築Navi》第4回  の目次

プロローグ 宝の持ち腐れになっているオーディオシステムを 

※ここをクリックするとこのページの"目次 Topに戻れます!

今も昔も、オーディオメーカーはアンプ、スピーカーシステムに代表されるコンポーネント機器類を消費者に売らんがために、"無駄な開発?"を続けけているようですが...

第1項 リスニングルームに関する"オーディオ評論家?と一般人"の勘違い『都市伝説』とは...

小生の若かりし頃には、オーディオ環境には『日本間はデッド過ぎる!』という"間違った"思想"が喧伝されていて、小生も暖炉のあるような石造りの宮殿建築?に憧れたものでした。

しかしこれは"大間違い"であると後年きずかされたわけです。

実は「日本間こそが最高のオーディオルーム」といえるでしょう!

「壁面・天井・床」からの反射の影響を受けない部屋が理想!

素晴らしいリスニング環境とは「壁面・天井・床」などの反射の影響を受けない環境です。

極論では前途した「プライベート野音」になるわけですが、

実際には、いくらお金があっても、飛行機が上空を飛んでいないような環境を見つけて野音を構築するのは、そこに至る時間・交通手段、ササラには対候性を考えれば実際はむなしい幻想といえるでしょう!

第1節 やはり"空気再生"のあの臨場感が...

※ここをクリックするとこのページの"目次 Topに戻れます!

しかし、「パースペクティブ」な、自然な奥行き感や、音像を、スケール感、「腹にしみわたる重低音」等を"体感"したい場合は、空気再生!しかない訳です!

そこで、とりあえずご自宅のリスニングルームの音響特性(初期反響・定在波)を改善して、"空気再生"でもある程度満足いける再生音が聞ければ...

というのが今回の企画です。

第1項 オーディオ評論家が捏造した洋間崇拝都市伝説!

嘗てオーディオブームが到来した高度成長期の1970年代、オーディオ評論家?なる人たちが、

『"和室はデッド"過ぎて西欧渡来のハイファイ再生には向かない...』

と言う都市伝説を広めてしまいましたが...

第1目 リスニングルームは♥デッドな音響でなければならない!

スピーカーから再生される「収録音源」には録音エンジニア&ミキシングエンジニアがデザイン(設計)した楽器配置に基ずいた「音響空間」に沿うように、各楽器が適度な距離感で収録されていて、それに必要な「心地よいホール残響(※20)」もすでに収録されています!

つまり、それ以上の"付加音"はトランジェント(忠実度)を損なうだけで何の意味もありません!

遮音性が気にならない郊外の一軒家(環境条件))なら和室が最高!

つまり騒音問題(遮音性)が気にならない環境条件下であれば、音響インピーダンス(※21)の小さい「木と紙」で出来た天井の高い「日本家屋」、例えば伝統的芝居小屋(※22)あたりが♥最も優れた「リスニング環境」が整った建築物といえるでしょう!

本改装を施しても、ご自慢のスピーカーシステムが「高級ヘッドフォン」同様のソノリティーで聞こえてない場合は、評判の高いスピーカーシステムに更新する以外は無いでしょうが!...

折角大枚ハタイて手に入れた、憧れのモニタースピーカーから出てきた音が、がっかりさせられるのは、スピーカーの問題ではなくリスニングルームの問題が大きい」といえるでしょう!

参※20)当サイト関連記事 「エコー」と「後期残響」は別物はこちら。

参※21)当サイト関連記事 音響インピーダンスと音圧反射率はこちら。

参※22)当サイト関連記事 伝統的芝居小屋こそ地方で役立つ "真の多目的ホール" では? 《芝居小屋2017》はこちら。

第2項 お部屋の改装無くしては

オーディオ機器に数百万円、数千万円のお金をはたこうが、設置しているお部屋が陳腐?では...

関西の某有名お笑いタレントさんが、長年の夢がかない、新築したお宅のリスニングルームで「ハイエンドオーディオ機器」をそろえて鳴らしてみたところ、ひどい音響でがっかりしたお話は有名な逸話!です。

床、壁、天井で閉鎖された有限空間では、初期反射とそれによって引き起こされる"定在波"を克服しないと、理想的な"再生音"は得られない典型でしょう!

数千万円出そうと、システムが大きくなるだけで、「お部屋に見合った」システムでないとその能力は発揮できません!

メガ・システムを"理想状態で鳴らす"には、山奥に全く反響音の心配の無い「自前の野音」でも建設する以外は手は無いでしょう!(※23)

参※23-1)当サイト内関連記事 理想のオーディトリアム空間と『 匠の技 』 はこちら。

参※23-2)当サイト内関連記事 本気があるお金持ちに"本気でご提案! はこちら。

第2節 具体的改装solutionとは

※ここをクリックするとこのページの"目次 Topに戻れます!

過大な初期反響の低減(※81)と定在波抑制※82)を改善すれば、

現在お部屋の問題で能力の1/100?すら発揮できていないご自慢のオーディオシステムを、最大限に生かす環境造りが目指せます。

参※81)当サイト関連記事 過大な初期反響の緩和・回避策はこちら。

参※82当サイト関連記事 定在波はこちら。

第1項 改装の"味噌"

部屋中の、初期反響を低減する!することが最重要です。

並行面を無くして、定在波(の発生を抑止する!

使用機材(調度)

  • 障子、襖、屏風などの和装表具 
  • オープン書棚の活用
  • 公開技術 音響ボード

配置は参考図をご覧いただくとして、スピーカー背後壁面に襖or屏風を。

リスニングポイント背後壁、及天井には「反響板」。

両側壁は、和紙を用いた障子・襖を配置して、和室ふうに仕立て直すことです。

床面には毛足の長い絨毯を敷き詰めることをお勧めします。

第2項 明確なコンセプトで集中改装

以下のコンセプトに沿っての改修法を提案したコラムです

1)一般家屋での音響改善!

マンション・一戸建ての一般家庭の"洋間"を対象とする。

2)音響改善に絞る!

防音は対策は別建てとして、一般的な民家・集合住宅における音響改善を目的とする。

3)良質のブックシェルフスピーカー+サブウーファー

システムを前提とする。

4)改装コンセプト

  • ●スピーカーシステムの能力(性能)を最大限に引き出す!
  • ●レコーディングエンジニアが意図した音像・音場の再現を目指す。
  • ●ヘッドホン聴取と大差ない余分な付加物の無い"トランジェント"の良い高高忠実度再生を狙う。
  • 構造物事態を変更するような大掛かりな改築ではなく、室内調度の追加で最良の環境構築を目指す。

第3項 壁面、天井の改装について

sound_board_setting01.jpg

第1目 各壁面の改修(調度)

リスニングポイント正面のスピーカー背後の壁の音響条件とは

回り込んだ音を、出来るだけ反射させない「音響インピーダンス」の小さい、素材が要求されます。

"コンサートホールとリスニングルームとの違いはここにあります!

最も優れている身近な壁在は「紙様!」(※31)つまりは襖、屏風です!実用的には、日本古来の表具、屏風・襖を背にするのがお手軽改装になるでしょう。

参※31)当サイト関連記事 天井や壁面は木材等の軟質・軽量素材で、内壁面に硬質重量材は禁物!はこちら。

側壁面は

出来れば、壁面を全面オープン書棚に改装して、サイズの違った書籍(文庫本・百科事典などなど)をびっしり"はめ込む"事ですが...

中々難しいので、厚手の耐火カーテン使用が簡単でしょう。

リスニングポイント背後壁は

反後壁も同様に音響インピーダンスの小さい音圧反射率の小さい壁材を「大胆にスラント」させて、スピーカーやスピーカー背後壁面との完全並行を解消して、定在波の発生を抑制することが重要となります!

スピーカー背後同様に襖・屏風でも構わないのですが、強度的な問題があり、重低音定在波に耐える必要上、別項に記した音響パネル(※31)を考案しました!

図のように配置すれば、リスニングポイント(耳孔)付近の定在波はほぼ完全に防げます!(但し絨毯を敷き詰める条件で、フローリング、ビニタイル張りでは効果は損なわれます!)

参※31)当サイト関連記事 《 Do It Your self... 》マイホーム用『音響改善反響パネル』はこちら

ラウドネス等価と35cm幅の背面サブ反響板の効果について

sound_board_setting02.jpg

人間の聴覚はラウドネス等価といって、音声帯域(※41)の中心点1kHz の音に一番感応するようになっています、更に我慢の限界である100㏈でも重低音は-30㏈(約1/30)も小さく感じてしまいます、更に聞き取り最小レベルの0dBでは実にー80dB(10万分の1!)迄感度が落ちてしまいます!

そこで、この1Khz以上の音波の反射を抑制して、スピーカーからの音波との干渉を緩和すれば、釣鐘現象効果(※42)を緩和出来てアンプのボリュームを上げなくてもリスニングポイントでの「音量・明瞭度」共に確保できるわけです!

※参41)音声周波数帯域とも言われ楽器や肉声の基音となる300~3400Hzの低・中音域を指します。ちなみに電波法のAM放送の公称伝送帯域は100 Hz~7,500 Hzです(実際には50Hz程度から12kHz程度は伝送できています。)関連記事「音の良いフルレンジスピーカー列伝」はこちら。

参※42)当サイト関連記事 『ミステリースポット』とよく似た現象『釣鐘現象』はこちら。

1)空気中を伝わる音波は/2波長以上の幅を持つ"反射面"ではほぼ100%はぼ完全に反射できます!

音声周波数帯では、石膏ボードなどで区切られた「軽量鉄骨」の集合住宅でも、「お隣の会話」が遮音されているのは、このためです。

しかし重低音(低周波振動)が遮断できないのは、振幅が大きすぎて壁面、床面、天井が共振を起こして、壁の向こう側迄伝わってしまうからです!

この特性を利用して、図に示したように、ベニヤ板で裏打ちしただけの35㎝幅の発泡スチロールの薄板でも1kHz以上の音波なら簡単に散乱反射させることが可能です!

音速がの音速348.6m(20℃1013mb)として

波長λ=音速/周波数 なので 1kHzでは約0.348m 実際には1/2λからも全反射するので500Hz以上の音声帯域の音はこの反響板で全て思いの方向?に反射させることができます。

但し指向角θ0(ゼロ輻射角)≒70°Xλ/D(反射板幅)なので1khzの指向角は法線の両側70度。

500Hzでは 90度以上つまり球面波に近い状況となるわけですが、その分散乱による減衰と、表装(和紙+発泡スチロール)の音圧反射率が小さいので、「垂直の打ち放し壁」に比べて桁違いに反射音圧は小さくなります。

更に1.8m 幅(パネル2枚並列)の本体音響パネルがスラント設置されているので、

1/2波長が1.8mに当たる約96.8Hz以上の音は背後パネルの傾斜角に応じて反射されるために、

6畳の壁面間1.5間(2.7m)で生ずる基本定在波約130Hz、と1.5波長定在波194Hz、2波長定在波258Hz等の高次定在波(※43)も抑制できます!

参※43)当サイト関連記事 定在波は倍音列でも生じているはこちら。

ベランダ側のガラス戸は

短辺(2.7m)側壁は、ベランダの場合は、カーテンを分厚い耐火防音カーテンに変更して、

廊下ドア側壁面は

入り口(廊下側)の壁面は「和紙張りの障子」を建具屋さんに特注して「短辺いっぱいいっぱいに」設置すればよいでしょう。

できれば「入口ドア」も撤去できれば、さらに音響(音質)改善につながります。

第2目 戸建ての持ち家で、お金に余裕があれば...

戸建ての持ち家で、お金があれば壁面を撤去して、1/2(25X50㎜角材)で格子壁に設え直し部屋内面を障子にすれば申し分ありません!

これで、壁面距離が"見かけ上"廊下幅だけ増えたこととなり、

6帖部屋だと、半間廊下分の90cmが増えて3.6mが4.5mとなり、

基本定在波の周波数を3≒107Hz→77.5Hzに下げることが出来て、サブウーファーとのつながりが良くなります!

更に、ベランダ側の音響カーテンと、縦格子+障子の効果で定在波も緩和できます!(※41)

百万円前後はかかるでしょが、高級スピーカーに投資しても部屋の音響が現状のままでは...

第3目 天井にも反響板を設置する

図のように天井にも反響板を設置することが肝要です。

つまりリスニングポイントの天井と床が完全並行していたのでは定在波が生じてしまいます!

通常の民家(マンション)では、垂直方向の基本定在波に相当する半波長が天井高さが2.7m→3m程度なので、

波長5.4mつまり100Hz前後の重低音以上の周波数成分を持つ定在波が生じてしまいます!

又反射は半波長以上の対辺を持つ、プレーンな平板から生じますから。

6畳程度のリスニングルームでは、天井全体をスラントさせないと、っ効果的に対処できませんが...

実際には1/20波長の対辺を持つ平板からも反射しだしますので、図のように巾1.8m以上であれば、効果は期待できます!

つまり、定尺合板2枚分の1.8m x1.8mの音響パネルを頭部上空に設置すればよいわけです。

sound_board_setting01.jpg

第4項 一番の要点はスピーカーはスラントさせる事

大事なポイントは、スピーカーをスラントさせることです!

人間の耳は頭部の左右についていて、左右方向の"定位"には敏感ですが、上下方向の定位はあまり得意ではありません!(目を瞑ってカゴメカゴメ遊びをすれば実感出来ます!)

つまり、図のように設置しても真正面で聞くのと同じことです!

効果は歴然としていて、今までよりもより小さな音圧(ボリューム位置)で、"同じ迫力"が得られます。

なので、一部の超高級スピーカーは前面をスラントさせているわけです!

参※41)当サイト関連記事 会館建屋外郭をサウンドロックとする手法はこち

ら。

狸穴総研 音響研究室 出路多留狸

エピローグ 現実的には超高級ヘッドホンが...

※ここをクリックするとこのページの"目次 Topに戻れます!

数十万円もする超高級ヘッドフォンがそこそこ市場をで受けている理由の一つがここにあります!

オーディオ道を追及して、「記録音源の真の姿」を再現しようとするとヘッドフォン再生しか「路はなくなる」わけです!

現在マニア垂涎のMDR-Z1R
[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

ソニー SONY ヘッドホン MDR-Z1R [φ3.5mm ミニプラグ /ハイレゾ対応][MDRZ1R]
価格:206800円(税込、送料別) (2020/12/11時点)

楽天ビック(ビックカメラ×楽天) で入手できます。

但し現状では、「専用ドライブアンプ」が発売されていないので...

ゼンハイザー同様に「ペアを組む相手のアンプに左右される」ところもあり、高級ヘッドフォンなら、スタックスのヘッドフォンがベストセレクトかもしれませんが?...

現実的には、「プラシーボ効果?」以外はWH-1000XM4(※01)と大差ないでしょうし...

更に、百万円近く投資してお部屋の中に一人用の「防音BOX」でも設置しない限りは

静寂感となると「ノイズキャンセリングヘッドフォン」にはかなわないでしょう!

参※01)当サイト関連記事 SONY WH-1000XM4 《 ノイズキャンセリグ・ヘッドフォン購入長期レポート》はこちら。

[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

STAX スタックス ヘッドホン SR-007A [ハイレゾ対応][SR007A]
価格:188362円(税込、送料無料) (2020/3/8時点)

※スタックスヘッドフォンは、コンデンサー型なので30vバイアス電源が備わった専用の駆動アンプが必要です!

[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

STAX スタックス ヘッドホンアンプ SRM-006tS[SRM006TS]
価格:91971円(税込、送料無料) (2020/3/8時点)

楽天ビック(ビックカメラ×楽天) でお取り寄せできます。

[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

年代【ポイント10倍!】ゼンハイザー HD-800S オープン型ヘッドフォン
価格:220000円(税込、送料別) (2020/3/8時点)

ヤマダ電機 楽天市場店 なら安心して正規品が購入できます!

※ここをクリックすると綜合目次 Topに戻れます!


 

公開:2020年12月 6日
更新:2022年9月28日

投稿者:デジタヌ


Youtubeスピーカーテスト用コンテンツの問題点 周波数特性 と" 低域ノイズ "《 ハイレゾ再生Navi》第5回 TOPマイホーム(洋室)用お手軽" 反響改善・音響パネル "製作法《 ハイレゾリスニング Navi》


 



▲ホーム音響研究室へ戻る

 

ページ先頭に戻る