旅するタヌキ

Hakuju Hall《ホール 音響 ナビ》 プレミアムホールの草分け

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電位治療器などを手掛ける白寿生科学研究所本社ビルの7階にあり、ビル最上層の7から9階を使ったホール。

音響面から眺めた Hakuju Hallのデザイン

コンサートホールとして「どこに座っても、全てプレミアム音響」のプレミアムホールを目指して作られた最初のホール。

さらに世界初のリクライニングシートが採用されているホールとしても話題を攫った。

このホールの成功に刺激されて、その後続々と、同種の「プレミアムホール」が日本各地に誕生しだした。

デザインについての詳述

公式施設ガイドはこちら)

全体として、アバンギャルドなデザインで、ロマネスク調の「伝統的シューボックスホールに反撥したデザイン」である。

しかしホールデザインのセオリー(※1)は守っており壁面(ホール本体壁)は全体としてスラント(内傾)させてあり、ホール本体天井も山形で、側壁のグルーブ、天井反響板開口部共々定在波(※2)対策も勿論抜かりは無い。

ほとんど傾斜のない緩やかなフロアーの床全面に「桜材を使用し」壁面は横方向に鎧張り(下見板張り)風にアンギュレーションを付けたアクリルエマルジョン塗装のプラスターボードを用いた反響板で表装され、しかもこのベルト状の表装間にホール前後方向にウェーブしたグルーブ(溝)を設け1部は空調ガラリにも利用している。

又3階吹き抜け相当の高い天井に開口部を照明器具に利用した、凝ったデザインの大型セグメント木質天井反響板を吊している。

シューボックスホール特有の間口奥行き天井高さに起因する、55Hz(波長約6.2m)の低域と27Hz(波長約12.6m)の重低音に励振される「重低音域」の定在波は深さの異なったグルーブ材が張られた壁面反響板をスラントさせ、天井反響板とホール本体天井面からおこる反射波の干渉を用い「ブーミーな音響」の原因となる低域定在波を徹底的に押さえ込んでいる。

総評

お見事!

丁寧なディテールデザインにより、「醜い吸音壁」の使用は最小限にとどめている。

弦楽器を連想させる複雑な曲線の天井反響板の開口エッジ部や、ウエーブしたランダムサイズの鎧張り壁面反響板等の効果で心地良い「残響」も持ち合わせている。

しかし何故か最前列A列からE列までの五列が千鳥配列になっていない?のは残念ではある。

アバンギャルドな作品が悪影響を生む懸念も?

このホールの成功が、今後同様の「プレミアムホール」デザインに悪影響を与えねば良いが...。

はっきり言って、同ホールのデザイン路線は「デザイナー」「クライアント(施主)」共に、

「音響的センスとデザイナーに対する理解と信頼」

を持ち合わせていないと簡単に実現できない手法ではある。

この様なアバンギャルドな美術作品に通ずる造形センス(音響設計)は、

デザイナー(設計者)の才能にかかわる部分が大きく、今後「アバンギャルドなデザイン」に憧れたセンスの無い「凡人」が音響工学を無視した「極端なデザイン」のホールを設計しない事を祈る次第である。

デザインセンスの有無はデザイナー本人が...

デザインセンスの有無はデザイナー本人が一番痛感しているはずなので、凡庸を自覚しているデザイナーは「クライアント」の煽てに乗って、「異様で醜悪なホール」をデザインし無いようにくれぐれも自粛していただきたい。

ホール音響評価点:得点96点/100点満点中
§1 定在波対策評価;得点50点/配点50点
  • ※各フロアーの配置・形状、壁面形状、をオーディエンス周辺壁面(概ね人の背の高さ:約1.8mの範囲内)の設えで評価する。
  • ホール床面積(or総客席数)の1/3以上に及ぶ範囲が「完全平行な垂直平面壁」で挟まれているときは 基礎点25点に減ずる。
  • ※但し、壁間距離が20m以上あり定在波周波数が可聴帯域外(20Hz以下)の場合は基礎点50点にすえおく。
  • ※また扇形段床などの座席アレンジで、実被害を回避し、被害席が生じていない場合も基礎点50点にすえおく。
  • 基礎点に障害エリア客席数比率を乗じて算出する
§2 残響その1 「初期反射」軽減対策評価;得点25点/配点25点
  • 木質パネル等の素材基礎点25点から硬質壁材基礎点12点の間5段階で素材基礎点を与える。
  • 障害箇所1点/1箇所で基礎素材点から減じて基礎点とする。
  • 基礎点に障害エリア客席数比率を乗じて算出する
§3 「音響障害と客席配置」に対する配慮評価;得点14点/配点20点
  • ※壁際通路&大向こう通路の有無、天井高さ&バルコニー・テラス部の軒先高さ、平土間部分の見通し(眺望)不良、それぞれ-1点/1箇所で配点から減じて基礎点とする。
  • ※基礎点に障害エリア客席数比率を乗じて算出する
§4 残響その2「後期残響」への配慮評価得点5点/配点上限5
  • ※壁面形状、音響拡散体(相当要素)、テラス軒先形状、天井構成、その他の要素で評価。
  • ※上限5点の範囲内で上記1点/1アイテムで加算評価。

算出に用いた値;

※関連記事 「ホール音響評価法についての提案」はこちら

定在波評価

※定在波障害実被害席が皆無なので基礎点50点とした。

基礎点B1=基礎点50点ー障害発生エリア数0=50点

定在波「節」部席;0席

定在波「腹」部席;0席

定在波障害実被害席総計;0席

初期反射対策評価

※障害発生エリア壁面材質がアンギュレーションのある木質プレートなので素材基礎点25点とした。

基礎点B2=素材基礎点25点ー障害発生エリア数0=25点

初期反射障害1 壁面障害席 ;0席

初期反射障害2 天井高さ不足(3m以下)席;0席

重複カウント ;ー0席

音響障害席総計;0席

客席配置評価

基礎点B3=基礎点20点ー障害発生エリア数1=19点

眺望不良席数;72席/B~E列全席72席

音響不良席その1 定在波障害顕著席 ;0席

音響不良席その2 初期反射障害1壁面障害席 ;0席

音響不良席その3 初期反射障害2 天井高さ不足(3m以下)席;0席

重複カウント ;ー0席

音響障害席総計;0席

算定式 

評価点V=基礎点X(総席数ー障害座席数)/総席数

Hakuju Hallのあらまし

Official Website https://www.hakujuhall.jp/index.php

Hakuju Hallのロケーション

所在地  東京都渋谷区富ヶ谷1-37-5 白寿ビル7階

小田急代々木八幡、東京メトロ代々木公園駅から歩いてすぐの、5差路交差点の近く井の頭通りに面したいちにある。

首都高「中央環状線」と代々木公園に挟まれた一帯で、代々木八幡駅から渋谷に繋がる、商用ビルゾーンの脇に位置する。

トリップアドバイザーの周辺口コミガイドはこちら。

Hakuju Hallへのアクセス

千代田線代々木公園駅徒歩5分
小田急線代々木八幡駅徒歩5分

Hakuju Hallが得意のジャンル

年間を通じ数多くのクラシックコンサートが開催されている。

リクライニングシートを使用してクラシックの演奏を聴きながらリラックスする「スーパー・リクライニング・コンサート」や、荘村清志・福田進一をプロデューサーに迎えて年1回行われるクラシックギターの祭典「Hakuju ギター・フェスタ」などの自主公演も行っている。

ソリストのリサイタル、アンサンブルの演奏会等、小編成の室内楽コンサートが数多く行われている。

Hakuju Hallの公演チケット情報

チケットぴあ該当ページへのリンクはこちら。

※ご注意;以下※印は当サイト内の関連記事リンクです。
但し、その他のリンクは施設運営者・関連団体の公式サイト若しくはWikipediaへリンクされています。

詳細データ

  1. 所属施設/所有者 白寿生科学研究所本社ビル/株式会社白寿生科学研究所
  2. 指定管理者/運営団体 株式会社白寿生科学研究所
  3. 開館    2003年10月4日
  4. ホール様式 平土間・『シューボックスタイプ』音楽専用ホール。間口:11m、奥行:18m、天井高:8.3m(平均)
  5. 客席(客席図はこちら 1フロアー、300席、162席/全席リクライニングシート時 (車いすスペース2台分含む)
  6. 舞台設備  オープンステージ形式間口:11m、奥行:6m、舞台面高:0.6m 
  7. その他の設備 
  8. 付属施設  楽屋x、 ホワイエ、、エントランスロビー、スカイテラス他。
  9. 施設利用(利用料金等)案内 詳しくはこちら。
  10.  
  11. 音響設計 日高孝之/竹中工務店
  12. ゼネコン 竹中工務店 
  13. 内装(音響マジック) 施工実施設計 多田壮文/竹中工務店
  • フロアー配置図・フロアマップはこちら

施設利用料金

Hakuju Hallこれまでの歩み

1925年(株)白寿生化学研究所創業。

2003年本社ビル建設時に開館。

※参照覧

※1、関連舞台解説記事「芸術ホール設計のセオリーとは?」はこちら

※2-1、定在波の悪影響に関する一般人向けnatuch音響さんの解説記事はこちら

※2-2、定在波に関するWikipediaの(技術者向け)解説はこちら。

※ 関連記事『ホールに潜む ミステリー ゾーン (スポット)とは?』はこちら。

 

公開:2017年12月16日
更新:2019年4月17日

投稿者:デジタヌ

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