狸穴ジャーナル・別冊『旅するタヌキ』

《バンク伝説》Google earth で覗いてみた フォード の高速周回路

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前書き(要約) 世界で初めて量産に成功して自動車を大衆のものとしたフォードのproving ground

商品開発にマーケティングリサーチの手法を取り入れて、大衆を味方につけてきたフォードですが、エドセルの失敗で、順列組み合わせのマーケティング一辺倒から「夢を与える車」つくりに舵を切り「F1」エンジンの供給や、直列4気筒過給機付きのエンジン+FRの葉巻インディカーの世界を、のV8+ミドシップレイアウトの今の形にして一時期を築いたのもFord、GT40でコンストラクター図チャンピオンシップを獲得してハイテクV12を℣8でやっつけたのもFord、そして当時コベントリークライマックスやフェラーリなどの多気筒ハイテクエンジンが覇権を競っていたFIの世界に量産エンジン(ブロック)ベースのV8エンジンで那久路込みをかけ頂上に上り詰めて3リッターF!の時代を通じてチャンピオンであり続けたのもFord、創始者ヘンリーフォードのハングリー精神、チャレンジ精神、そして大衆車路線は脈々と受け継がれてきて、ダウンサイジングのいまになっても、アメリカンテイストに満ちた"アメ車"を市場に出し続けているわけです。

Ford車の数々の名車を陰で支え続けてきたのがFordのproving groundsです。

Chrysler(FCA US LLC)のproving ground の目次

※ご注意、この施設は非公開施設です!、社外の一般人は特別イベントが開催される時以外は見学できません!

※以下用語については 当サイトシリーズ記事プルービンググラウンドについての走路用語と解説 を参照ください。

第1節 アメリカ本国にある Fordのproving ground

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ここで取り上げた以外にもにも現在はSmithers Scientific Servicesの所有となった飛行場のような三角形のCold Climate Test Facility と、現在はクライスラーの施設となった湿潤地環境試験用の直線走路がある小規模なFlorida Evaluation Center (Naples, Florida)も所有していました。

第1項 Michigan Proving Ground (MPG) - Romeo, Michigan

74240 Fisher Rd, Bruce Township, MI 48065 アメリカ合衆国

現在アメリカフォードの開発拠点となっているミシガン州ロミオのフォードミシガン試験場(MPG)は、 3,880エーカー(15.7km²)の広大な敷地に設けられており、走路の延長は合計100マイル(160 km)以上あります。

主要施設:高速トラック、耐久性/特殊表面道路、勾配、EMC施設、ロードシミュレータ、耐火施設、車両ダイナミクスエリア
目的:車とトラックの耐久性、パフォーマンステストなどが行われています。

北部Fisher Lake エリア

高速周回路はバンク部には最外周のガードトラック以外に3車線の走路が設けられ、さらに再内周にはほぼフラットなトラックと更にガードトラックがあり合計車線なっています。最外周の走路でもバンク角はさほど大きくありませんが完全なオーバルで、コーナーのR半径が約0.45マイル(約720m)もあるので設計最高速度は時速150マイル240km/h程度だと思われます。

インフィールドには、巨大なフリーグランドやロータリーで結節されたワインディングロードも設備されています。

南部Hidden Lakeエリア

未舗装のダートのクローズドコースがあり、冬季の積雪路試験などが行われているようです。

また中央部のエリアには北部エリア同様のろーたりーで結節されたワインディング舗走路があり、一般国道を模したテストが行われているようです。この2車線の走路は北部エリアFisher Lakeエリアを取り巻くサービス路にもなっていて、長時間にわたる連続走行テストが実施されているようです。

また南西角の丘陵部分にはダートオーバルと、ダートコースがありダートのタイムアタックなども行われています。

自動車技術者協会(SAE)フォーミュラカーコンペティション(FSAE)などのイベントも開催されているようです。これは世界中の大学のチームが参加し、デザインとパフォーマンスの両方を含むコンペティション(コンテスト)となっています。

第2項 Dearborn Development Center (formerly Dearborn Proving Ground (DPG)) 

20050 Oakwood, Dearborn, MI 48124 アメリカ合衆国

Fordの本拠地 デトロイトのディアボーンの開発センターに付属するProving Groundです。フォード空港(1924年11月→1947:10月21日)として利用されていた敷地の大部分を利用して1938年に滑走路の外側にテストトラックを併設して、1947年の空港閉鎖以来はそのままProving Groundとして使用されていましたが、2005年に大改修が行われ最新のProving Ground に生まれ変わりました。

周回路

周回路の外側には2車線のサービス走路が別にあり、ほとんどバンク角の無いハート形の周回路が設けられ、インフィールドに、両端にバンクのついた減速路を持つヘアピンカーブで結ばれたこのProving Groundで最長の直線路があります。

直線路の南側には、巨大なマルチグランドがあり、スキッドパッドや各種舗装面の試験に用いられています。

面白いのは、この巨大なフィールドの東端には2車線のバンクがあることです!

ハートの右上

インフィールド北東部の一角は広大な波状路がとなっていて、世界中の舗装路が完備されています。

ハートの左

ハートの西部分上部は十分なエスケープゾーンを持つ2車線幅のワインディングになっておりムスタングなどのスポーツ車両の怪異初試験に利用されているようです。

第3項 arizona proving ground  

20715 W Happy Valley Rd, Wittmann, AZ 85361 アメリカ合衆国

開所 1985年

敷地(6.06km²)

※Google earth Mode(航空写真モード)で閲覧するとコースの全容を確認することができます。

有名なフェニックス市の郊外にあり、使われなくなった飛行場のすぐ隣にあります。

お決まりの全周2マイル(約3.2㎞)の高速周回路と2マイルの直線路 プライベートサーキットも備えていますが、...名前だけでもともと開所当時はVolvoの施設で、2009年の夏にford arizona proving groundに改名されましたが現在もVolvoの施設となっています。

第4項 Automatic Transmission New Product Center 

35500 Plymouth Rd, Livonia, MI 48150 アメリカ合衆国

オートマティックトランスミッション専門工場に付属したProving Groundでバンクを持つ3車線の本格的なオーバルトラックです。

半径約300フィート(約91m)直線部0.3マイル(約480m)全長1.5㎞程度のショートトラックですが、前途したようにかなりのバンクがついているので、時速100マイル(160㎞/h)程度までの走行試験が可能なようです。

第2節 USA以外の北米・南米にあるPG

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第1項 Cuautitlan Proving Ground - Ford of Mexico - Cuautitlan, Mexico

Autopista Querétaro - México Km 36.5, Lomas del Salitre, 54730 Cuautitlán Izcalli, Méx., メキシコ

フォードメキシコ工場に完成車試験用のかわいい Proving Groundが設備されています。

両端がバンクのついたスプーンコーナーになっていて、中央部に逆アールの高速コーナーがある真ん中がくびれた"ひょうたん型"の高速?周回路で、メキシコでノックダウン生産されているフィエスタのような体臭車両の抜き打ち検査?に用いられているようです。

第2項 Ford Motor Company Brasil - Campo de Provas De Tatui 

Rodovia Prefeito Antônio R. Schincariol (SP 127), s/nº, Km 124,5 Pederneiras, SP, 18276-860 ブラジル

フォードヨーロッパで開発された小型車をノックダウン製造している工場ですが、さすがセナの生まれ故郷!高速周回路を従えた?立派なプライベートサーキットを南端に配置しています!

インフィールドに組み立て工場と立派ンサーキットを備えた高速周回路?はどう見てもプライベートサーキットの付けたし?で、サーキットと共用している中速コーナーにはバンクはなく!残る3つのコーナーに申し訳程度のバンクを備えた競馬場スタイル(変形インディスタイル)?の四辺形をしています。

向上の西側にはブラジルが誇る高速自動車道SP-127が走っており、フォード専用とも考えられるランプウェイも2か所に設けられていますが、ほとんど通行車両は見当たらず?貧困層が多い実情を物語っています。

というわけで、国土のほとんどがAmazonのジャングルに覆われて、まだまだダートが幅を利かせている同国のハイウェイ?事情を物語るように、広大な敷地内には、ブラジル特有の赤土のダートコースが幅を利かせています。

また大きな屈曲路を主体とした砂利道のコースもあり、同国の道路事情を反映したProving Groundとなっているようです。

第3節 アメリカ大陸以外の海外にあるPG

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第1項 Dunton Technical Centre (DTC)

Dunton Ford Link, Basildon SS15 6GB イギリス

英国フォードにに付属した施設で、開発試験というよりは、量産車の抜き取り試験対応といった色彩の濃いProving Groundです。

イギリスなのに右側通行の往復走路を持つ直線路の両端にはバンクのついたΩコーナーが設けられていますが、高速周回路といったものではなく、最高時速100マイル(160㎞/h)程度の大衆車のラインオフ試験用途言ったところでしょう。

コースは工場を挟んで南北に分かれており、南側はSpecial Surfaces Track すなわち、ベルジャンロード(石畳)や波状路などの特殊走行路となっています。

第2項 Lommel Proving Grounds (LPG) 

Oude Diestersebaan 135, 3920 Lommel, ベルギー

開所1960年

ヨーロッパフォードの開発拠点、ベルギーにあるLommel Proving Grounds (LPG) は、ベルギーの穀倉地帯の796エーカー(3.22km²)という広大な敷地に、走路延長49.7マイル(80.0 km)の走路が敷き詰められています。

ス隊施設とし、横風施設などが設けられています。

半径約400m直線部約300m一周約4.5㎞の高速周回路は、2車線で最上段にガードトラック、さいないしゅにもサービストラックを兼ねた平坦なガードトラックがあり、設計速度180㎞/hの建設当時としてはごくふつーの高速周回路になっています。

インフィールドには2車線幅のセーフティーゾーンの完備したレーシングトラックと、西端が巨大なスキッドパッドになっている直線路、一般道路を模した変形周回路が設けられています。

またオーバルトラックの外側にはSpecial Surfaces Trackを持った長い直線路やダート周回路が設けられて、最外周にサービスロードを兼ねた2車線の周回路がめぐらされています。

東の外辺に沿って、両端に転回路を持った長ーい直線路が2組設置されています。

第3項 Lara/You Yangs Proving Ground  

760 Sandy Creek Rd, Little River VIC 3211 オーストラリア

※Google earth Mode(航空写真モード)で閲覧するとコースの全容を確認することができます。

敷地面積 930ヘクタール(2,300エーカー)

総延長80 km(50マイル)という化け物 のようなProving Groundsで世界屈指の規模を持つとてつもなく駄々広い施設です!

事実近くのアバロン空港は楽に収まり、セントローレンスニュータウンもすっぽり収まりそうな規模です!

北エリア高速周回路?

一周4.8㎞の周回路?はアメリカン独特のカントが小さいバンクレスの高速道路仕様?で取り立てて言うところはありませんが...

インフィールドには、変形オーバル周回路と、両端にヘアピン?というか和ハサミのような形状をした転回部を持った直線路。

そしてダートのスキッドパッド。

東側のアウトサイドにはSpecial Surfaces Trackと南端に大きなー曲線部を持った長い直線部とが3本。

そしてダート周回路。

更に東西にSpecial Surfaces Trackを備えた直線路。

南エリア

管理棟を挟んで南エリアには、東海岸の一般道を再現した舗装された変形周回路、

その東側には、中部乾燥地帯を模した「ダートと舗装路のコンビネーション周回路」

そして西側には、同じく乾燥地帯のダートコースとオーストラリアの道路事情に即したコース構成のProving Groundsとなっています。

後書き Ford が辿った Winding Road とは... 

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嘗てのBIG 3の一角 Fordは、3社の中では、比較的早い時期からサイズダウンした凝縮路線?をとり、

海外進出した進出先でももノックダウン生産方式をとらずにその国ににあった独自車両の開発を生産拠点で行い、フィエスタなどの傑作車両を開発して、小型車両のノウハウを着実に蓄積して、アメリカ本国でも、それまで大雑把で、細部の作りこみに無頓着でサイズだけを競っていた、フルサイズカーに代わり、入念なつくり込みのミドルサイズカーつくりに進路変更して、部品メーカーにも働きかけてメインエンジンを「燃費の良い」中型排気量の「V6」エンジンに置き換えるなどのダウンサイジング(※1)がうまくいき、かつてのマッスルカームスタングのダウンサイジング復刻版を成功させるなど、時流に乗り遅れない巧みな戦略で、アメリカンの純潔を守り通してきました。

吸収合併を繰り返しながら大躍進を果たしたGMとは異なり、大衆(ユーザー)を味方につけて自助努力で着実に大きくなったメーカーといえるでしょう。

アメリカ初の量産小型大衆車?として1971年から1980年まで販売されていた「ピント」(Wikipedia該当項目 はこちら。)は米国初の2,000ドル以下の低価格でもあり低所得者層からは人気を博していきましたがジャーナリストから散々にたたかれていました。

また重大な設計ミスが発覚して火災事故が多発して、欧州フォードの開発した「フィエスタ」の登場と共に消滅しました!

確かにマーキュリーのプラットフォームをぶった切って短くして当時はやっていたハッチバックスタイルのショートサイズカーとしたのは大胆で燃料タンクの位置に問題があり危険でもありましたが、

ジャーナリストに叩かれたのは、危険である前に、最小の1.6L直4エンジンですら大型車のままの巨大なエアクリーナー、キャブレター、今や死後となってしまったディストリビューターなどの電装品もすべて超巨大で「ちっとも小型化されていない」エンジン回りが一つ上げられますが、致し方のない時代でした。

当時のアメリカでは部品調達にしてもミドルサイズ以上の大排気量のアメリカンに適した環境で、欧州の部品メーカーボッシュ・ルーカスなども上陸しておらず、ましてやTOYOTA,NISSANもノックダウン生産していない時代、デンソーなどの日本の部品メーカーも進出していなかった時代です。

また都市部はともかく広大なアメリカ大陸に散在する「街のガレージ」にはメインとなる大排気量エンジン向けの「補修パーツ」は準備できても、まだまだ大都市部以外では需要のなかった「チープな小排気量」エンジン向けの補修パーツを準備できる状況ではありませんでした!

小生の知っている話としては、1975年当時勤めていた会社の先輩が、元ディーラーに勤めていた「ガソリンエンジン」一級整備士資格を持っていた元メカニックで「本気話!」として...、当時のアメ車は「国産車と違って大雑把で」何かエンジンから異音がしてもあまり神経質に分解しまくるより、「大ハンマー」を一発くらわせば!たいていの故障は治ってしまう!というような整備士入らずのメンテナンスフリー?の代物だったそうです。

 

公開:2020年7月20日
更新:2022年9月10日

投稿者:デジタヌ


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