『旅するタヌキ』狸穴ジャーナル別冊

天理市民会館《 ホール 音響 ナビ 》やまのべホール

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天理教の門前町・天理市にあるレガシー・ホール。

1970年代の老兵だが、近年の見事な改修で見事「最前線」に復帰して奈良県1の音響を誇るホールによみがえった!さすが賢者の町「天理市」である。

「流行に振り回されずに基本デザインのしっかりした施設を改修して末永く使う」全国の再就職ばかり考えている痴呆都市?の役人に見習わせたい文化行政である!

天理市民会館のあらまし


ホール、会議室などを備えた複合文化施設。

天理市民会館のロケーション

ところ  〒632-0016 奈良県天理市川原城町739番地

JR・近鉄天理駅から 徒歩約10分/550mのところにあり、JR桜井線の東側にあるが線路からは天理教の施設と市道で隔てられており、すぐ南側には旧山野辺街道(旧名阪国道25号)が通っているが、間に医療センターを挟んでおり、周辺は天理教の施設と住宅街に囲まれた静かな環境にある。

天理市民会館の施設データ

Official Website http://www.city.tenri.nara.jp/kakuka/kurasibunkabu/shiminkaikan/1395038412382.html

建築音響工学から眺めた『ホール』

(公式施設ガイドはこちら。

※以下、畳表示は中京間(0.5坪)サイズ表示です。

1スロープ1フロアーのプロセニアム形式多目的ホール

最前列から2列だけが平土間座席部分で、3列目からハノ字段床のスロープが続く天井の高い変型6角形のホール。

壁面

等辺6角形を幅方向に圧縮したような平面形状をしており、対抗する壁面は3方向6面はプレーンなプラスターボード製(※1)の一体成型反響板だが僅かに外反スラントさせてあり、平行はしていない!

中層部のレリーフ

何れも近年の改修で新たに、中層部に浮き彫りされた、音響拡散体(※2)が、更に中央扉上空に剥き出しの照明コラムが配置された。

大向う背後壁面

大向は細かいピッチの縦桟で表装された、音響ネット+遮音(吸音)構造の垂直設置になっている。

大向こう部も含めて客席周辺壁際は全て通路になっており、壁面からの初期反響軽減策がとられている。

大向上部はホール内ではなくホワイエに突出した「映写・音響・照明調整室」になっており、前面は下層部と同様の設えになっている。

最上層部壁面

後半両側の最上層部壁面には木質の音響拡散体がランダムに配置されている。

天井

天井は中央部が凸型に大きくラウンドし、更に前後方向には波状をしたプラスターボード製の大型一体成型品に換装されている。

ステージ回り

プロセニアム

側壁と一体化したプラスターボードで表層されたサイドプロセニアムに改修されている。

どうも当初はトラディッショナルな脇花道が常設されていた部分を撤去改修し、新たに客席を増やしたようで、最前列A列は可動席になっておりB列直前まで「仮設エプロンステージ」が組めるようになっているようである。

ステージ反響板

改修時に、サイド反響板天板は前後2分割のアンギュレーションの付いた木質パネルに、ホリゾント反響板は屏風風に横方向にアンギュレーションのある木質反響板が新調されている。

定在波評価について

ほゞ等辺6角形なので6面(前半側壁と後半側壁、大向こう壁面とステージホリゾント反響板の)全ての面は平面図形的には全て平行しているが、全て「20m超の壁面間隔」(※3)で前途した通り、左右の壁面は其々外反スラント設置されており外反スラント壁のお陰で高次定在波は阻止(※4)されており。しかも、スロープのおかげで、対抗する後方スロープ壁際と前方スロープサイドのサイドプロセニアム部分は高度差があり、壁面通路配置も幸いし「全席定在波層は躱して」おり鉄壁の具えとなっている!

大向で心配されるホール前後軸定在波は

前後軸(約27.9m)についても「20m超の壁面間隔」で、定在波周波数を可聴帯域外の低周波振動に追いやり、高次定在波もステージ反響板のアンギュレーションと大向こうの壁面処理で阻止している。(※客席はほぼ全席スロープ席なので大向席以外は定在波(※5)の心配は無い!)

ホール上下軸方向定在波は

ほぼ全席がスロープ(段床)席であり、被り付き部分2列についても、プロセニアム上部前縁に設けられた大型のコーナー反響板で、平行はキャンセルされ、定在波に付け入るスキを与えていない!お見事。

という訳で50点満点!

総評

イヤー素晴らしい!、基本デザインにゆとりを持たせた、天井の高い1フロアーホールなるが故の快挙であろう。

今後ともに末永く使い続けて頂きたい!

ということで狸穴総研・音響工学研究所・建築音響工学研究室・調査班が選ぶ厳選『後世に伝えたい・真の銘ホール』に選ばせていただく。

ホール音響評価点:得点91点/100点満点中

※781席(車椅子スペースX4台含む)のコンサートホールとしての評価。

※評価ポイント詳細は「"ホール音響ナビ"に用いた用いた評価法とは」をご参照ください。

§1 定在波対策評価;得点50点/配点50点
  • ※各フロアーの配置・形状、壁面形状、をオーディエンス周辺壁面(概ね人の背の高さ:約1.8mの範囲内)の設えで評価する。
  • スラント設置されていない「垂直平行側壁部分」と「平土間部分」の処理において、
    「音響障害回避策」が3つ以上講じられていない場合は基礎点を配点50点満点x0.5=25点満点に減じます。
§2 残響その1 「初期反射」軽減対策評価;得点20点/配点25点
  • 客席周辺の側壁低層部(フロア面+1.8m以下)の表層に応じて基礎点を減じる。
  • 硬質側壁部などの低得点表装の箇所が認められれば、その部分の表装ランクを全体に当てはめる。
  • 木質パネル等の素材基礎点25点から硬質壁材基礎点13点の間6段階で素材基礎点を与える。
  • 障害箇所1点/1箇所で基礎素材点から減じて基礎点とする。
  • 基礎点に障害エリア客席数比率を乗じて算出する
§3 「音響障害と客席配置」に対する配慮評価;得点18点/配点20点
  • ※壁際通路&大向こう通路の有無、天井高さ&バルコニー・テラス部の軒先高さ、平土間部分の見通し(眺望)不良、それぞれ-1点/1箇所で配点から減じて基礎点とする。
  • ※基礎点に障害エリア客席数比率を乗じて算出する
§4 残響その2「後期残響」への配慮評価得点3点/配点上限5
  • ※壁面形状、音響拡散体(相当要素)、テラス軒先形状、天井構成、その他の要素で評価。
  • ※上限5点の範囲内で上記1点/1アイテムで加算評価。

算出に用いた値;

定在波評価

※音響障害席数は1波長の基本定在波に基づき定在波の「節」「腹」に当たる重大音響障害席数を評価対象としてカウントする。

基礎点B1=基礎点50点ー障害発生エリア数0=50点

定在波「節」部席;0席

定在波「腹」部席;0席

定在波障害実被害席総計;0席

初期反射対策評価

※側壁壁面材質がプラスターボードの上反設置なので素材基礎点20点とした。

基礎点B2=素材基礎点20点ー障害発生エリア数0=20点

初期反射障害1 壁面障害席 ;0席

初期反射障害2 天井高さ不足(2.5m以下)席;0席

音響障害席総計;0席

客席配置評価

基礎点B3=基礎点20点ー障害発生エリア数1=19点

眺望不良席数;8席/平土間中央部座席2列16番~23番

音響不良席その1 定在波障害顕著席 ;0席

音響不良席その2 初期反射障害1壁面障害席 ;0席

音響不良席その3 初期反射障害2 天井高さ不足(2.5m以下)席;0席

重複席(多重音響障害席);ー0席

音響障害席総計;8席

算定式 

評価点V=基礎点X(総席数ー障害座席数)/総席数

大ホールの施設データ

※以下、畳表示は中京間(0.5坪)サイズ表示です。

ホール様式

『変型6角形』プロセニアム型式多目的ホール。

客席仕様

1スロープ1フロアー 最大幅約27.6mx最大奥行約27.9m、、
収容人員781席、(車椅子用スペースX4台分、含む、)、Pタイル張り、

※多目的室は、特別室、親子室、同時通訳ブース、サブ調整室として利用可

舞台設備

※以下、畳数は全て中京間(1/2坪)サイズ表示です。

プロセニアム形式(常設脇花道付き)
  • プロセニアムアーチ:間口約18m、高さ約7m、奥行き約9m、ステージ高さ;FL+約100cm、
各種・図面・備品リスト&料金表

ホール付属専用施設
  • 楽屋(洋室)X2室 化粧室、、シャワー室(男女各々x1室),保健室

やまのべホールがお得意のジャンル

主にセミナー、講演会、市民団体の集会、お稽古事の発表会などに用いられ、ソリストのリサイタル、アンサンブルの演奏会、小編成の室内楽コンサートなども行われ、ミュージカル、Jポップ関係のコンサートや、落語・演芸寄席、トークショー、などジャンルに拘らないバラエティーに富んだイベントが行われている。

またプロ演奏団体、以外にも数多くのアマチュア団体も利用している。

デジタヌの豆知識

やまのべホールへのアクセス
もよりの駅

JR・近鉄天理駅 徒歩約10分/550m

マイカー利用の場合

関係者以外・部外者の駐車はお断りしています!公共交通機関をご利用ください!

やまのべホールがある奈良県天理市とは

主教法人天理教の本部がある市として全国的に有名。

1954年(昭和29年)4月1日 - 山辺郡丹波市町・朝和村・福住村・二階堂村・添上郡櫟本町・磯城郡柳本町が合併して奈良県下で4番目の市として天理市が発足した。

天理教の本部があり全国的に名が知れていたので、天理市となった!

推計人口、65,495人/2019年6月1日現在

天理駅ー奈良駅 14分/210円 JR 9.6㎞

天理駅ー京都ー品川 3時間31分/14660円/近鉄・新幹線

参照欄

※1、アクリルエマルションペイント仕上げのプラスターボードについての建材メーカーの解説記事はこちら

※2、音響拡散体については「第2章第1節 音響拡散処理と音響拡散体となる要素」をご参照ください。

※3、関連記事 副則1 「壁面間隔20m超のセオリー」はこちら

※4 第3章 ホールデザインの基本"定在波の根絶・阻止・駆逐" 法

※5、定在波に関する解説記事 『定在波』とはこちら

 

公開:2019年7月12日
更新:2020年11月16日

投稿者:デジタヌ


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