連載『ホームシアター構築講座』ー第11回ー
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第1節 グラフィックイコライザーとは
一般的なピュア・オーディオアンプと言われる範疇の製品では、RIAAイコライザ補償曲線上乗せ過補償?を見越して、ターンオフ周波数1kHzの前後で、Bass、treble調整ができるように、トーン(Bass、treble)コントロール回路が備わっています。
以下はアナログLP全盛当時のプリメインアンプ中級機 TRIO(現Kenwood)の KA-4000 の例
日本最古?の一般オーディオマニア用グラフィックイコライザ JVC(旧日本ビクター)SEAシステム
トーンコントロールを更に進化させたのがグラフィックイコライザで主に録音現場のマスタリングスタジヲで使用されている可変型イコライザーです。
PDFファイルはこちら。jcc_seasys.pdf
長岡鉄男先生のレビュー記事などの評判で当時一世を風靡した!普及価格帯の王者JA-S5 では、LPレコード制作現場を知り抜いている「オーディオメーカー」らしく、上記のPDFの説明にもあるように、
- 250Hzピーキングマスタリングを補償
- カットされた「重低音」を蘇生させるための40Hz補償
- キンキラキンのピアノ音補償のための5KHz補償
などに使用できるとしたSEAコントロール(グラフィックコントローラー)を備えていて自社のJVC(RCAレーベル))も含む「LP盤マスタリング」を補償できるようになっていました!
更に、当時のLP盤では避けて通れない「波状曲がり・反り」による「20Hz」以下の可聴帯域外のフラッター成分を回避するためにロールオフ周波数18Hz(-20dB/oct)の本格的サブソニック・フィルターも装備していましたが...
但し、当時レコード業界の一員であったJVCでは、業界内で行われていた「LPマスタリング」について"暴露(内部告発)?"などできるわけもなく、「リスニングルームでのトータルな「(定在波などの影響による)周波数特性の改善効果」を強調していましたが...
実際には次項で述べるように「安定していない定在波!の影響」はグラフィックイコライザーで補償(compensation)出来るものではなくて、アナログレコード文化の衰退とともに「各社間のイコライゼーションの違い」を補償する必要もなくなり、市場から消えていきました。
小生も、山水 SE-SE88(生産終了品)(※11) を所有していますが、嘗てのアナログ時代の記録音源の補償と、視角モニター、トーンコントロールに使用しているだけで、「リスニングルームの音響改善」目的では使用していません(役には立ちません)。
参※11)当サイト関連記事 SUPER-X PRO CX2310 V2 を用いたマルチアンプ構築方はこちら。
★第2項 "グラフィックイコライザー"では定在波障害!は補償(compensation)出来ない
一般家庭でみられるリスニング環境は"リビングルーム・書斎・応接室?"等の方形ルームが主体ですが...
方形ルームで生じる定在波の悪影響
前回述べた、リスニングルームの落とし穴「釣鐘現象」と共に「方形リスニングルーム」で生じる「定在波」の悪影響(※31)があげられます!
別項で詳述した通り、方形ルームはBad modification(改悪)!を行う「Amplitude modulator (振幅変調装置)」といってもよく。
部屋中全体、あらゆる場所で周波数特性が乱れています!
さらに、このモジュレーターの特性は周期的に時々刻々と部屋中を駆け巡る(変化する)ために、発生を許すと電気的には対処できません!
※クリックすると拡大できます。
参※31)当サイト関連記事 定在波で起こる音響障害『ミステリーゾーン』とははこちら。
改築・改修以外に根本解決は出来ない
根本的には部屋の改築(リニューアル)しかありません!
そこで、最も手っ取り早いのがお部屋の影響を受けない「ヘッドフォン聴取」(※32)となるわけです!
参※32)当サイト関連記事 一般家庭では ヘッドフォン再生が現実的!はこちら。
公開:2014年11月14日
更新:2024年3月 5日
投稿者:デジタヌ
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