狸穴ジャーナル・別冊『音動楽人(みゅーたんと)』

連載『 SONY WH-1000XM4 ノイズキャンセリングヘッドフォン長期使用レポート』ー最終回ー

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第7節 デジタルラウドネス・可変低域補償技術の開発を!

Planning Drafts of Licence free Products information

ハイレゾ・再生のための必需品"「キャンセリングヘッドフォン」に関する可変低域補償技術(progressive bass boost compensation technology)の開発conceptについてまとめてみましたので公開します。

第0項 ハイレゾオーディオの最大の魅力は"超ワイドダイナミックレンジ"!

32bit量子化ハイレゾオーディオの最大の魅力は、無圧縮による150㏈(実数比31,623,000倍もの"超ワイドダイナミックレンジ"ですが、

一般人が(一般家庭で)享受する現実的な手段は、"ヘッドフォン"再生しか無い!でしょう...

オーディオ・コラムニストとして...

今後・オーディオ機器メーカー各社が積極的な「テクノロジー(アルゴリズム)開発・商品開発」へ向かう事を期待する次第です。

第1項 可変低域補償技術(progressive bass boost compensation)の必要性

ハイレゾ再生にこそ「progressive bass boost compensation technology(可変低域補償技術)」の開発が必要なのではないでしょうか

第1目 限界騒音レベルの問題

(※詳しくは 第5回 環境騒音問題と環境騒音測定 をご参照ください。)

聴覚機能に異常をきたす(耳元での)限界騒音レベル・許容最大音圧音量)は 100㏈(電車の通る時のガード下)とされていますが...

一般的には煩くて我慢のできないレベルの下限値が80dB(地下鉄の車内)とされています。

オーケストラ演奏のフォツテッシモでは、我慢のできる限界を軽くオーバーして実に120dB(プロペラ機のエンジン近く)になる場合もあり、

逆にピアニッシモでは20㏈(非常に小さく聞こえるレベル:囁き声)程度まで音圧(音量)が下がります。

★第2項 人の聴覚ラウドネス特性の問題

第1目 環境ノイズに環境ノイズに対するS/N比改善だけでは...

環境ノイズに対するS/N比だけを改善しても、聴覚の「ラウドネス特性」で、

小さい音圧(音量)では重低音が感知できない部分もあり、

オーディオ機器メーカーでもこのことはわかっている!はずなので、

逆ラウドネス補償回路で、音声帯域(※11)外の部分はある音圧(音量)をもとに適度に補償しているわけです。

(SONY WH-1000XM4の"耳個人差補償"と称しているのはこのAI学習の為!?)

これがWH-1000XM4で22Hz以下の低周波振動(重低音)領域で過大入力による振動板の過大振幅によるフラッター(バサバサ音)が発生する理由にもなっているのですが...

参※11)音声周波数帯域とも言われ楽器や肉声の基音となる300~3400Hzの低・中音域を指します。ちなみに電波法のAM放送の公称伝送帯域は100 Hz~7,500 Hzです(実際にはオーバー変調(違法変調!?)で50Hz程度→12kHz程度を送信しています。)関連記事「音の良いフルレンジスピーカー列伝」はこちら。

第2目 高域ラウドネス特性を利用してノイズリダクションも

※画像をクリックすると拡大できます。

laudness_curve.jpg

Lindosland - http://en.wikipedia.org/wiki/Image: Lindos1.svg より引用

ラウドネス曲線をご覧いただければお分かりのように、

意外と高音域の聴覚は落ちないので...

逆にテープヒスノイズなどのホワイトノイズ系を削減するためにこの部分をいじる「ノイズリダクション」が考案されたわけですが...

第2項 20Hz近傍の重低音域では

前途したように人が許容できる大音響100㏈音圧の時でも重低音域の20Hz近傍では、

最も敏感な1kHzに比べて聴覚がー30㏈(実倍率 1/30)になり

ピアニッシモに相当する最小可聴域では実にー60dB(1/1000!)まで鈍くなってしまいます!

第1目 芯(ソノリティー)のあるピアニッシモ再生には重低音域が必要!

楽器のソノリティーを保ったまま「芯のあるピアニッシモの楽音」を聴取するには、「低域再現性」が不可欠(※42)となります。

再生系は...

再生系(振動板:スピーカー)は電気的・物理的(音響的)にフラットな周波数特性を持っているだけでは、ピアニッシモの楽音は聞き取れなくなる!です。

LP時代のRIAAカーブ...

嘗てのLPレコード時代には「高域に比べて低域の感度が鈍い」ラウドネス特性の為に、

大音量で奏される楽音をSP盤時代のようにそのままレコードのグルーブに記録すると

隣の溝と"干渉"してしまうので、1KHz以下を圧縮するRIAAカーブを用いて溝同士が干渉しないようにしていたのです!

参※42)当サイト関連記事 ギタリストは知っている「重低音」の重要性!はこちら。

第3目 開発意欲を無くした"アナログ神"信奉者たち...

最近デジタル技術から取り残されたアナログ信奉者の一部の"音痴"なオーディオ技術者と自称ジャーナリスト"?達がラウドネス補償否定論(不要論)を展開していますが...

全く人間の聴覚(脳科学)を理解できない"無知音痴な人たち"だといえる!のではないでしょうか?

つまりは、懐古趣味に洗脳されて、技術的課題にチャレンジする開発意欲を無くした"無能な開発者(メーカー)"の言い訳!だといえます。

第3項 「progressive bass boost compensation technology」とは...

今後「真のハイレゾ」の世界を実現するには、

入力に応じて可変する「progressive bass boost compensation technology」(可変低域補償)のアルゴリズム(計算手法)の開発が必要になってくるでしょう!

もっとも聴感感度が良い音声帯域(※11)の中心周波数の1khzが80db(1万倍)変化する間に、重低音域は1KHzに対して+70㏈(約3000倍)~+30㏈(約30倍)の間でプログレッシブに低域補償を行うのが理想的となるわけです!

現状、SONY さんのWH-1000XM4(※21)などのデジタルノイズキャンセリングヘッドフォンは「DSEE Extremeテクノロジー」と称しデジタル信号て(PWM変調)を行ったうえで、

内蔵 AI チップで逆相信号を生成してデジタルミキシングして「デジタル増幅」したうえで、「デジタル振動板」を駆動しているようですが...

更に個人設定と称して「 bass boost compensation 」も行っているようです!

そこでこの部分を更に一歩踏み込んで、「DSEE Extreme テクノロジ」の技術を発展させて、

入力レベルに応じて低域を「細かく補償(増幅)」するテクノロジーが必要とされているのです!

参※21)当サイト関連記事 SONY WH-1000XM4 《 ノイズキャンセリグ・ヘッドフォン購入長期レポート》はこちら。

結語 「progressive bass boost compensation technology」を実現するには

具体的には、

ハード「高耐入力振動板」とソフト「アルゴリズム」の開発が必要となってきます。

Sonyさんの製品例でも小生の愛機 MDR-Z1000が 最大瞬間入力4,000mWで

出力音圧レベル 108dB/mW を実現しているわけで...

第1目 大耐入力・大振幅振動板ユニットの開発

最新型の現在マニア垂涎のMDR-Z1Rでは耐入力2,500mW(IEC)を実現していますが...

出力音圧レベルが 100dB/mW なので、

耳元で重低音域130㏈を実現させようとすると1000mW0+30db(約30倍)=30000mW=30W!のお化け耐入力!が必要となってしまうわけで...

まあ100㏈/1khzに対して130dB/20hzは必要ないでしょうが、

いずれにせよ現況より以上の連続耐入力が必要!となるのです!

振動板もMDR-Z1R で採用された高剛性のチタン振動板をさらに改良して、

大入力でも焼損しないボイスコイル」と大振幅に耐える「エッジ」の開発も必要となるでしょう!

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第2目 DSEE Extreme デバイスの 制御アルゴリズム開発がキー

さらに前途したように、DSEE Extreme デバイスの「progressive bass boost compensation」アルゴリズム(計算手法)を確立させる必要があります!

駆動アンプは...

駆動アンプについては、ユニットと最適マッチングさせれば、

現状の「D級(PWS)アンプ」が効率もよく、高域までトランジェント(忠実度)の良いドライブが可能となるので、「オペアンプ駆動DSP部分のソフト開発が最大の課題!となるでしょう。


 

公開:2020年12月 2日
更新:2024年3月 9日

投稿者:デジタヌ


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