連載『 SONY WH-1000XM4 ノイズキャンセリングヘッドフォン長期使用レポート』ー第6回ー
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デジタル技術で勝負するSONY とアナログ技術の延長線上で戦うBOSE のコンセプトの違いとは...
たとえて言うならば、
WH-1000XM4は「一糸まとわぬビーナス」の素肌美!
対してBOSE QUIETCOMFORT 35 は薄いベールをまとった「妖艶なサロメ!」
どちらに魅力を感じるかはあなた次第といったところでしょう!
更に言うなら、深い焦点深度の望遠レンズで離れた位置から撮影した
「細部までフォーカスされた高精細遠景写真」と、
広角レンズで、「適当な"ボケ"具合の背景の手前」に焦点を合わせた「人物を配置するポートレート写真」との違いとでも言いますか...
ご注意;※印は当サイト内の紹介記事リンクです。
但し、その他のリンクは当事者・関連団体の公式サイト若しくはWikipediaへリンクされています。
どちらも、「フィロソフィーを持った音造り」には違いありませんが...
小生はもちろんSONYの目指す一糸まとわぬビーナスの「生身の曲線美!」
これまで述べてきたたように、SONYは一貫した high fidelity(高忠実度)志向!でオーディオ製品の開発を続けてきたメーカーであり、一貫して製品のスペック・データを公表してきたメーカーです。
なので「一部のデータ変態マニア?」からは絶賛されたり、時によっては公表データを逆手に取り揶揄されたりもしています!
しかし、前々回に取り上げたように、
決して計測データ至上主義などではありません!
FFTアンプにしろ、世界初のD級増幅アンプにしろ、
"結果としての再生音"のソノリティークォリティーを導き出すための1手段であり、それが"低歪率"という計測結果に繋がったにすぎません!
全ての計測データは「濁りの無い澄み切った楽音」実現の為の道しるべ!にすぎないのです。
第2項 SONY WH-1000XM4はピアニッシモが美しい!
G・マーラー 交響曲第3番ニ短調 P・ブーレーズ指揮ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 アンネ・ゾフィー・フォン・オッター(Ms)
何といってもこの透明感と静寂感!
小生の愛聴盤の一つ P・ブーレーズ先生とV.P.O. のマーラー交響曲第3番ニ短調 第3楽章: Comodo. Scherzando. Ohne Hast(※10) が何と美しい事!
「濁りの無いクリアーな楽器(音)」が、「くっきりとした音像」でパースペクティブを伴った「明確な定位」で仮想音響空間に配置されて、まるで録音現場にいるような錯覚に!
それでいて録音現場ゾフィエンザールの響きもたっぷりと、しかも「ゼネラルパウゼの静寂感」も!
これぞ日本の美学に通じる「冷厳の美」の境地!といえるでしょう...
これは、あたりが静まり返った深夜に一人で"狸穴ホール"に閉じこもり、自慢のTEAC USD301+SONY MDRZ1000のコンビネーションで耳を凝らして聴きいる時と同じソノリティ!です。
それが通り抜け!マイカーで騒がしい真昼間の"狸穴工房"で安直に実現!するのです。
参※10)当サイト関連記事 《オーディオ・マニア的CDナビ》G・マーラー交響曲全集 はこちら。
第3項 西洋と日本の美学・居住空間の違いも...
住宅事情の違いによるオーディオに対する開発コンセプトの違いが明確に表れているのではないでしょうか?
最近の、集合住宅(マンション・コンドミニアム)にお住まいの方ならご理解いただけるでしょうが、
♥ホテルでもない限り洋風マンションは、味気の無い壁紙で表装された石膏ボードか、壁紙とウレタン系断熱材で"内断熱"したコンクリート壁で囲まれた、フローリングの洋間(リビングルーム)がメインの構成となっています。
畳敷きの和室擬きの部屋でも、壁、天井は同様です。
つまり、床に毛足の長い絨毯を敷き詰めたとしても...かなり初期反響(※21)の強い設えになっていて、「定在波と残凶!」に満ちた空間、つまり「混とんとした音響空間!」になっています。
なので、彼ら西欧人には「虫の音」を聞き分けたり、楽しんだりする能力が備わっていません!
参※21)当サイト関連記事 『建築音響工学総覧 』第2巻 音響工学の基礎知識(音の反射と指向角 )はこちら。
第1目 静寂感と冷厳の響きを大切にする日本人は...
デッドな日本家屋をベースにしたSONYでは、初期反射や定在波に頼らないというよりは、無響室に近いデッドな和風環境で「リスニングポイントの音響空間」デザインにフォーカスして、第3回で取り上げたような「トランジェントの良いクリアーなソノリティー」を訴求してきたのではないでしょうか?
環境さえ整っていれば...
環境さえ整っていれば...(※22)紙と、木でできた日本家屋が最も素晴らしい"オーディオルーム"となります!(※23)
「静寂と音色の妙味」を楽しめる日本人、にとっては日本家屋が最も優れた音響空間となります。
具体的には、天井張りも無い!藁葺(茅葺)屋根むき出しの、障子と襖で囲まれた"板の間"(居間)に"畳だけを敷き詰めた"居室が、無響室に近い"最高のオーディオルーム"(流行り言葉で言えば"空気再生"空間)となります。
つまりオーディオ機器の「究極の実力」を試すには、余計な音響付加物は邪魔者なのです!
それに近いの環境を提供してくれるのが"SONY WH-1000XM4 "と言うことになります!
なので、音楽家、特に指揮者を目指す人には「スコアに記された全ての音」を実感(聴感)出来る、"SONY WH-1000XM4 "は、
「ハーモニーと響き(過ぎ)」は別物であり、更に「絶対音感(平均率)と和声音階(旋法)」を体現(学ぶ)するうえでも貴重なツールとなるでしょう。
参※22)人里離れた山間にある"古民家"の居間が実は理想的で...
参※23)当サイト関連記事 リスニングルーム 設計の落とし穴!...方形ルームで起こる釣鐘現象とは?はこちら。
第2目 嘗て駅のプラットフォームでよく見かけたBOSE101
現在では駅構内でもめったに見かけることが無くなった101や他のSPシステムのように、うまく壁面反響(と定在波)を利用して、結果論としてリスニングポジションでラウドネス特性を補償した周波数特性の「心地よい響き」が得られるような(システム単体での)周波数特性無視?の無指向性に近い広指向角のSPシステムを開発して市販してきたのでしょう!
しかし繊細な日本人には、身の丈以上!(にも聞こえる)もある、琴、琵琶、尺八、横笛では...
何故H.V.カラヤンが目を瞑って、指揮台に立っていたのか...
最近頭部で起こる左右音源の「クロストーク、遅延」現象をシュミレートした、ナチュラル音質?の超高級ヘッドフォンが話題を呼んでいますが、何かコンセプトが間違っているように......
(※絶賛している?提灯持ちのオーディオコラムニストは"音痴"なのでしょう!)
"SONY WH-1000XM4 "Youtuberの1ポイント録音物を聴いていると、「辺りを振り返ったりするぐらい"臨場感"漂シーン」に出くわしてハッとさせられることが何度もあります!
つまり"頭部内音像(イメージ)"と"疑似サラウンド技術"は関連性が無い!と言い切れるでしょう。
"視力障碍者"のかたの協力で、音楽鑑賞には某N音響設計(※24)が嘯くような、"視角補正"等必要ない!事が証明される日が来るでしょう!
(それにしても、1970年代以降のカラヤンのサーカス小屋!での録音は、何処(DG、DECCA、地元放送協会)が手掛けても、お話にはなりませんが...
そういう意味では、H.V.カラヤンは「全ての楽音を聞き分けられる優れた聴覚」を持ち合わせた稀に見る(聴く?)人物だったのでしょう?
参※24)当サイト内関連記事 "公共放送NHK"で放映されたN田音響設計のプロモーションビデオ『最高の音響を求めて』を見て... はこちら。
公開:2020年12月 2日
更新:2024年3月 9日
投稿者:デジタヌ
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