狸穴ジャーナル・別冊『音動楽人(みゅーたんと)』

連載『 ハイレゾオーディオ High resolution とは...』ー最終回ー

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★結節 ユーザー「リマスタリング?(聴取補正)」のすすめ

というわけでクラシック音源の世界でも

比較的素直な高域特性を持つRCA録音、一般受けを狙ったドンシャリ型の典型CBS録音の傾向は続き。

1979年 5月以来デジタル録音がメインになり、さらに2004年以降は同じSONYグループとなった旧RCA、旧CBSでも未だにこの傾向は健在?です。

第1項 一般受けを狙ったドンシャリ型の典型CBS録音をピュアオーディオで聞くには

「音楽編集ソフト」や「グラフィックイコライザー」(※3)をお持ちのピュアオーディオマニアの方には以下の設定を推奨するわけです。(ハイレゾヘッドフォンまたは サブウーファー助っ人?スピーカー再生時)

まあ、アマチュア・ミュージシャンが使用する「PCの音楽編集ソフト」(※4)でも使用しない限りは「一般のクラシック音楽ファン」が使用している最近のAVアンプ(※5)では手を出せない領域?かもしれませんが...。

第1目 イコライジングの必要性の根拠

前途したようにキンキラキンサウンド?ブヨブヨスカスカバスという風な「感覚」だけではなく、以下の理論に基づいた「周波数分析」に基づいて補正値を決定しています。

Treble調整について(4kHzピーキングの暴き?方)

アナログ録音の宿命テープヒスノイズは半導体「デバイスノイズ」同様に「全体域にわたって」ほぼ均一な(音圧縦軸・周波数横軸として)の右肩上がり「ホワイトノイズ」です。

1966年から各レーベルで米国ドルビー研究所が開発したドルビーAタイプノイズ・リダクション(NR)・システムが相次いで導入されて、「クラシック音楽」録音現場で採用されるようになり、このテープヒスノイズが大幅に改善されました。

特に高域の「ヒスノイズ(シャーノイズ)」に対する軽減効果は簡略化した「家庭用のB-Type」でさえ歴然とした効果(-10dB以上)が得られているように絶大な効果を発揮しました!

つまり1966年以降の"音源"を用いた再発CD盤では、S\Nについては「デジタル録音」とあまり変わらない(気にならない)レベルまで達したわけです。

つまりFFTなどで周波数分析した場合に(全休符などの)楽曲中の無音状態の箇所で「途中で盛り上がった周波数」の箇所は明らかに人為的に後から「盛った(マスタリング)」した箇所とわかるわけです!

スペクトルアナライザーやFFTソフトで周波数分布を解析すると

「1966年以降の録音」なのに「ヒスノイズ」が気になるCD盤は「はほぼ確実に「4KHz」ピーキング処理がなされたイコライジング処理をして「LP盤用製造用にマスタリング」したプリントマスターで「CD制作」をしたと推察してよいでしょう。

つまり「4kHz」を中心に-2dBほど↓してやると本来の録音現場で採取した「音源の音色」(※22)が再現できることになります!

参※22 あくまでも「マイクロフォン(∔ラインアンプ)」、ミキシングコンソール(アンプ)を通してミキサー(録音エンジニア)が聞いたであろう(距離感のある)音で、生の楽器の音とは異なります!

Bass調整について

重低音域(50Hz以下)と100Hzピーキングを見破る方法は...

「即波帯の定理」にもとづく推論が一つ、つまり各楽器音の即波帯(倍音列)は、基音(中心音)を中心に「山形」に広がっており、例えば「大太鼓」の音を「100Hz」が主になるようにマイク設定したとしても150Hz成分なのその上側の側波帯だけが記録されて、50Hz、25Hzの重低音域の側波帯が観測できないのは明らかに不自然な周波数分布で人為的に加工された証拠となります!

そこで周波数成分が急激に変化する絶壁部分?をスペアナやFFTで特定すれば、そこがピーキングと急激な低域フィルタリングを行ったターンオフ周波数と推定できる訳です。

更にフィルターは「時定数」で規定された時間の遅れを伴いますので(後述JVC(旧日本ビクター)SEAシステム参照)、現バスや、方形波に近いブロードバンド(広帯域)の鳴り物(銅鑼・太鼓)などの低音楽器の歯切れが悪い場合は、大概は100Hzでピーキングをして、「波形がゆがんでいて!アタック(音の立ち上がり)がぼやけている」とにらんで間違いありません!

このテンコ盛り部分を元に戻してやればアタックがはっきりした「歯切れのよい低音」になります。

WEB音楽配信の時代になる以前の20世紀1990年代の「アナログレコード」併売期には前途したように、「ハウリング対策」として当時の一般人では聞くことのできない無用の長物?だった50Hz以下の重低音はマスタリング段階でフィルタリングされて、(0~20kHz帯域の)CDですら聞こえないような微小レベルでしか記録されていませんでした!

その反面「CDラジカセ」や「ミニコンポ」「MDウォークマン+耳掛けイヤホン」で聴き栄えのするように「100Hz」テンコ盛りが常用されていました。

以下はアナログLP全盛当時のプリメインアンプ中級機 TRIO(現Kenwood)の KA-4000 の例

ka4000tooncont.JPG

ka4000.JPG

ここでもわかるように、さらにローフィルターなどというとんでもない!フィルターもあり、100Hz付近をー2dB落として、80Hz以下はあっさり?切り捨てる「LPレコード用フィルター」まで備わっていました!

逆に言うと、どうもしっくりこない「デジタル録音初期・LPレコード末期?」のころの過渡期のピアノ録音などにはこの傾向が強いので、「LPマスタリング」を見越して100Hz付近を-2dB、50Hz以下は逆に+6dBぐらい上げてやり、1kHzを中心に Trebleコントロールで-2dBぐらいに設定すると、かなりオリジナル音源(マスターテープ)に近い音となり(※21)、ド派手な「ディキシーアップライトピアノ」風の音が「フルコンサートピアノ」のどっしりとした重厚感あるサウンドに代わります。


当時RCAとライバルだったCBS「360Sound」レーベルのクラシックコンテンツやPhilipsの「CD復刻版?」も21世紀の「ハイレゾ対応ヘッドフォン」で聞けるレベルまでおとなしく?なります。(※22)

参※21)当サイト関連記事 ピアノ曲コンテンツ再生のポイントは「LP盤では不可能」な高音量・重低音再生にある!はこちら。

参※22)当サイト関連記事 嘗てのLP盤ドンシャリ・マスタリング・マスターテープCD化の問題 はこちら。

第2項 グラフィックイコライザーを用いたBass(低域)「360sound」聴取標準調整

  • 100Hzを-2㏈に↓。
  • 50Hzは±0dBのまま。
  • 25Hzは↑ 1979年以降のデジタル録音では+2dB、それ以前は状況(※41)に応じて+4~+6dBアップ

参※41)もともと50Hz以下がカットされて全く入っていないコンテンツも多数あり、その場合は事故防止におために±0で、当サイト関連記事 お気楽クラシック CDナビコーナーでは 狸穴総研推奨設定を記載しています。

第1目 グラフィックイコライザーを用いたCBSコンテンツのTreble(高域)補正

  • 1.6K,2.5K,4K,6.3K,10K,20KHz をアナログ・テープレコーダー録音、デジタル録音の年代区別なく↓-2㏈ダウン!
  • 一般のピュアオーディオアンプ(※6)のトーン(Bass・Treble)コントロールではTrebleを-2dBにダウン。

ディキシーランドジャズ風のアップライトピアノが「フル・コンサートグランド」の音に...。

参※3)ちなみに小生が使用しているグラフィックイコライザSANSUI SE-88-は 25・50・100・150・250・400・630・1K,1.6K,2.5K,4K,6.3K,10K,20KHzの14の中心周波数ごとに±10dBの範囲で左右別々に正確に?イコライジングできます。

第2目 Windows 10付属の音声編集アプリ?「Windows Media Player」でも同じことができます!

「Windows Media Player」が登場当初、一般家庭のPCでは処理能力が追い付かずに動作が重くて?嫌われてその後、標準(推奨おまけ)アプリがWEB配信にも対応したAV系の「 Media Player」と、music系の「Grove」に分かれて現在も使っている人は少なくなりましたが...、

「Windows Media Player」は一応Windowsのパッケージの中に入っており、CDのリッピングなどには便利なアプリとして使用している人も多いようです。

このアプリの「拡張機能」(右クリック)の中の 「グラフィック イコライザー」でも同様のイコライジングができます。

こちらは帯域10分割で、左右連動 となっています中心周波数は

31,62,125,,250,500,1K,2K,4K,8K,16KHzとちょうど「オクターブ(整数倍)の関係」で調整できるようになっています。

但し調整範囲は(フェーダーにマウスポインターを合わすとポップアップ表示でdB数値が表示されますが)ほぼ目検討で正確に合わせるのは難しいですが、一般の外部(プリ・メイン)アンプのBass-Treble Control のように連動して滑らかに合わせることもできます!

勿論、中心周波数の前後オクターブの範囲だけをピンポイントで変化させることもできます。

古い時代のハイファイ?録音では、当時の家庭用LPステレオ電蓄?の特性に合わせたマスタリングが行われていて「100Hz前後の誇張&30Hz付近の重低音カット」と高音域(Treble)が誇張されたイコライジングが多いようですので、「Windows Media Player」のピンポイント補正は有効に働きます!

参※4)「PCの音楽編集ソフト」の例

WavePad FFT周波数解析ソフト (無償)のダウンロードページはこちら。

いろんなことができますが、長年事務畑で過ごされた「退役組のご年配の方?」には難しいかも...。2.5KHz

参※5)AVアンプの場合は ロールオフ周波数(屈曲点)が、メーカー、機種ごとに異なりますので、取扱説明書を参照してください。

参※6)一般的なピュア・オーディオアンプと言われる範疇の製品では、RIAAイコライザ補償曲線上乗せ過補償?を見越して、ターンオフ周波数1kHzの前後で、Bass、treble調整ができるように、トーン(Bass、treble)コントロール回路が備わっています。

第3目 SONYの bluetooth ノイズキャンセルヘッドフォンを使用する場合は...

DSEE Extreme 処理は全て headphone 本体のプロセッサで行っています!
sスマホ・パソコンで使用する場合は
  • ●配信元←(キャリア通信/LDAC)→ストランスポート(※02)←(bluetooth/LDAC)→headphone

なので、専用アプリは headphone 本体設定用のツールです!

つまり、トランスポートではDSEE Extreme (波形シェープ)処理は行っていません!

つまり処理ステージ(ハード)が違うのでトランスポート側のアプリで、

bluetooth送信の music content をあらかじめ加工!(イコライジング)しておいても問題はありません!

音楽愛好家には bluetooth transporter 側での事前イコライジングを...

なので MP3音源(又はウィンドウメディア)等のメディアプレーヤを使用する場合は、

メディアプレーヤー側でユーザーマスタリング?(イコライジング)することをお勧めします。

第4目 音楽・ストリーミング再生(配信)では...

近年、MPUの進歩で著しく進歩した"スマホ"の音楽・ストリーミング再生(配信)ですが...

Amazon Music ならば...

Amazon Music では、専用ブラウザ(アプリ)に 60Hz 230Hz 910Hz 4KHz 14KHz の5ポイントを2dB step で±12dB (実数比±4倍)の可変設定を行える、イコライザ機能を備えています。

なので、ドンシャリマスタリングを回避するために、14KHz を -2dB 設定することをお勧めすします、これでオペラ等の長時間聴取でも苦痛は生じません!

SONY のDSEE Extreme (波形シェープ) On にはHDPへのデータ転送が必要!

S/N向上のためにDSEE Extreme(波形シェーピング)には、ヘッドフォン本体への、データ(指示)転送が必要です!お忘れなく。

スマホ側のヘッドフォンアイコンで転送アプリを開いて、アプリに従って転送してください!

1分程度で転送できます。

ウィンドウズメディアプレーヤー、Amazon Music 以外の音楽配信専用アプリ(ブラウザ)では...

SONYが LDAC Federation を結成して、iphon 陣営の Flac に対抗しているわけですが...

SONY で、無償配布しているBluetooth 接続のノイズキャンセルヘッドフォンの専用アプリ

のなかにイコライザ・ソフト(グラフィックコントローラー)が添付されています。

中心ポイントは、400Hz 1KHz 2.5KHz 6.3KHz 16KHz の5点と少ないですが... 

SONY らしい拘り?で、1dB step で±10dB (実数比±3倍)の可変範囲があります。

但し、別個の処理(サブルーチン)なので、同時使用では処理が重くなります!

DSEE Extreme Off!設定で...

DSEE Extreme(波形シェープ)の恩恵は受けられませんが! 

DSEE Extreme Off!設定で、イコライザ・ソフトをONにして、16KHzをー2dBに設定します。

SN改善効果は有りませんが、ドンシャリ・マスタリング(※09)をキャンセル出来て、ボーカルのサ行や、弦楽器の音色が自然な音色元の音色になります。

参※09)第16回 LP盤用ドンシャリマスタリング(イコライジング)を暴く! はこちら。

第3項 日本最古?の一般オーディオマニア用グラフィックイコライザ JVC(旧日本ビクター)SEAシステム

当時から儲かる?ハイエンドオーディオ製品開発にはあまり力点を置かずに、普及価格帯で「超ハイファイスピーカー」開発に挑みマニア垂涎のARスピーカーに迫る性能を出した"不朽の名作"「SX-3」(※24)など、オーディオファン全般のレベル底上げ!を目指していた「専門メーカー」の意気込みが伝わってくるシステムといえるでしょう!

jvc_seasys.jpg

PDFファイルはこちら。jcc_seasys.pdf

長岡鉄男先生のレビュー記事な結成してどの評判で当時一世を風靡した!普及価格帯の王者JA-S5 では、LPレコード制作現場を知り抜いている「オーディオメーカー」らしく、上記のPDFの説明にもあるように、

  • 250Hzピーキングマスタリングを補償
  • カットされた「重低音」を蘇生させるための40Hz補償
  • キンキラキンのピアノ音補償のための5KHz補償

などに使用できるSEAコントロール(グラフィックコントローラー)を備えて自社のJVC(RCAレーベル))も含む「LP盤マスタリング」を補償できるようになっていました!

更に、当時のLP盤では避けて通れない「波状曲がり・反り」による「20Hz」以下の可聴帯域外のフラッター成分を回避するためにロールオフ周波数18Hz(-20dB/oct)の本格的サブソニック・フィルターも装備していました。

jvcsubsonicfilter.jpg

但し、当時レコード業界の一員であったJVCでは、業界内で行われていた「LPマスタリング」について"暴露(内部告発)?"などできるわけもなく...。

「リスニングルームでのトータルな「(定在波などの影響による)周波数特性の改善効果」しか強調出来ずに、一般人の理解は得られないまま忘れ去られてしまいました!

第1目 日本のピュアオーディオファン育ててくれたのはかつてのJVC(日本ビクター)では...

'60~'80年代のハイファイオーディオ黎明期に、日本のオーディオファンを育ててくれたのは、SONYやTechnicsでもなければ、Pioneer、TORIO,LUXMANでもないJVC日本ヴィクターだったように思います!

奇抜なアイデアで「データ一一点張り」のSONYやハイエンドオーディオの世界を切り開いたTechnics、一般層に「高級ステレオ電蓄?」を普及させたPioneerやTORIO、ごく一部の熱狂的なファン層を獲得した,LUXMANなどとは異なり、あまり特徴が無いように見られてきましたが、

画期的な無指向性スピーカーGB-1等の尖った製品だけではなくて、前途したように「オーディオファン」の底辺掘り起しのために、普及価格帯で海外製ハイエンド・オーディオに迫るスピーカーや、スタジオモニターとしてプロにも愛用された「低価格ヘッドフォン」、出血価格の「プリメインアンプ」、優れた音楽コンテンツ(LPレコード)などで、本格的「ハイファイ・オーディオ」を一般人でも気軽に楽しめる身近な存在にしてくれたのはJVC=日本ヴィクターだったように思います。

参※24)外部サイトの記事はこちら。 35Hz~20kHz/-10db と当時の25cm2Way スピーカーの中では「海外製」に迫る「ハイファイぶりでした」


 

公開:2020年2月 9日
更新:2024年3月 8日

投稿者:デジタヌ


連載『 ハイレゾオーディオ High resolution とは...』ー第17回ーTOPギタリストは知っている「重低音」の重要性!...オン・マイクの効果とは?《ハイレゾオーディオNavi》


 



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