みやまコンセール 霧島国際音楽ホール /霧島市内《ホール音響Navi》
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鹿児島県民の宝、東洋の宝石、東洋の奇跡とまで賞賛されている霧島国際音楽ホール「メインホール」。
施設管理者はシューボックス型と称しているが、実際はアリーナ形式の変形8角形ドームホールである。
単純な8角形を横方向にひしゃげたようなホール平面デザインが奇跡を呼んだのかも?
狸穴総研音響研究工房厳選・「後世に伝えたい真の銘ホール」
みやまコンセールのあらまし
国際音響学会で「奇跡のホール」と称賛された音響を誇る霧島国際音楽祭のために建設されたホール。
同じコンセプトで作られた、小ホール(リハーサルルーム?)、野外劇場を従える音楽センターの中にある。
みやまコンセールのロケーション
Official Website https://miyama-conseru.or.jp/
ところ 鹿児島県霧島市牧園町高千穂。
旧大隅国・贈於郡の東襲山村エリアに当たる。
霧島連山西側の麓・霧島温泉郷(台地)を挟んだ西側の斜面にある。
辺りは霧島高原国民休暇村に指定されており、霧島自然ふれあいセンターなどの施設がある。
みやまコンセールへのアクセス
最寄りの駅:ありません!公共交通機関はバスのみ
鹿児島空港から(路線バス)・・・約25分
鹿児島交通:霧島いわさきホテル行き乗車
(柳平バス停で下車後、みやまコンセールまで徒歩約10分)
霧島市国分から(路線バス)・・・霧島神宮経由約50分、日当山経由約60分
(霧島神宮経由)鹿児島交通:霧島いわさきホテル行き乗車
(丸尾バス停で下車後、みやまコンセールまでタクシーで約5分)
(妙見・日当山経由)鹿児島交通:霧島いわさきホテル行き乗車
(柳平バス停で下車、みやまコンセールまで徒歩約10分)鹿児島・姶良・加治木方面からは、鹿児島空港又は霧島市国分で乗り換える必要があります。
臨時バス(みやま特急"チェロまろ号")のご案内
みやまコンセール自主事業開催日には、鹿児島市内(鹿児島中央駅・天文館・下伊敷)発着の臨時バスが運行されます。
(予約があった場合のみ、鹿児島空港・国際線前も経由します。)
予約制ですので、開催日の2日前までに下記の「みやま特急"チェロまろ号"のお申込みフォーム」からご予約いただくか、鹿児島交通(平日:TEL 099-258-0668、土・日・祝・公演当日:TEL 099-223-0338)へ直接お申し込みください。<公式ガイドより引用>
マイカー利用の場合
無料駐車場収容台数約500台が準備されているので、マイカー利用も可能。
- 九州自動車道・溝部鹿児島空港IC.から国道223号経由約30分/20.2㎞
- 九州自動車道・粟野IC.から県道55号経由約30分/20.5㎞
みやまコンセールの施設データ
- 所属施設/所有者 霧島国際音楽ホール。/公益財団法人鹿児島県文化振興財団。
- 指定管理者/運営団体 公益財団法人鹿児島県文化振興財団。/公益財団法人鹿児島県文化振興財団。
- 開館 1994年(平成4年)7月22日
- 設計 槇文彦(音響設計 安藤四一)
付属施設・その他
- 付属施設 リハーサル室x、練習室x8、展示室、ハーサル室(収容人数40人)練習室 8部屋音場シミュレーション室
- 全施設利用(利用料金等)案内
建築音響学から眺めた"みやまコンセール主ホール"
※ご注意;以下※印は当サイト内の関連記事リンクです。
但し、その他のリンクは施設運営者・関連団体の公式サイト若しくはWikipediaへリンクされています。
2スロープ2フロアー・アリーナ型式オープンステージコンサートホール
施設管理者はシューボックス型と称しているが、実際はアリーナ形式の変形8角形ドームホールである。
単純な8角形を横方向にひしゃげたようなホール平面デザインを特徴とする。
最前列から5列目までが平土間で6列目7列目が扇形段床で、通路を挟んで後半部分に緩やかな傾斜のセンター通路を持つハノ字段スロープを持つメインフロアーと、両翼から前方に伸びたサイドテラス席を持つ比較的急峻な2階バルコニー席からなる、変形ドームホールである。
木質の内装
天井以外の全ての壁面に木材使用。
1階フロアー周辺の高床式「テラス席」
高床式テラスとし階下への影響を無くしている。
舟形天井
舟形と称する天井は、ホール舞台上から緩やかに立ち上がり、ホール後半部分でもっとも天井高さを稼げるようにしたデザインの一体型プラスターボード製(※1)の反響板。
2010年完成の石橋メモリアルホール(※紹介記事はこちら)で用いられた様な手法(もちろんこちらが元祖!)
丁寧な設えの最新流行の内装
定在波特にメインフロアー周辺壁面は立て桟を用いたグルービング材(※2)をのこぎり状にアンギュレーションを付けて表装し、念入りに内傾スラント処理までしてある!
剥き出しの照明ブリッジ、むき出しのサイド照明コラム等を用いた流行のデザイン。
想定される定在波と定在波障害回避策評価について
間口方向定在波
1Fメインフロア完全平行部分
- メインフロアーA・C扉間約20m;約17.4Hz/1λ、約26.1Hz/1.5λ、
- ※「壁面間隔20m超のセオリー」適用で1波長定在波を可聴帯域(20~20KHz)外にチューニング。
- メインフロアーB・D扉間約12.4m;約28.2Hz/1λ、約42.3Hz/1.5λ、56.3Hz/2λ
- ※両側壁際通路配置で定在波「節部」を回避。
2Fバルコニー・テラス部最大幅
- バルコニー中央部約27m;平行部分無し!
- ※両側壁のスラント設置で高次定在波抑止。
- ※両側壁のアンギュレーション処理で高次定在波抑制。
- ※両側壁際通路配置で定在波「節部」を回避。
- ※扇形段床配列座席で定在波層を回避。
最大奥行き方向
1F(ステージホリゾント反響板→1F大向こう壁面)
- 最大奥行き約31m;約11.2Hz/1λ、
- ※「壁面間隔20m超のセオリー」適用で1波長定在波を可聴帯域(20~20KHz)外にチューニング。
- ※高次定在波はスラント設置ステージ反響板のアンギュレーションと、大向こう背後壁面処理(スラント設置縦格子)で抑制。
2F(コーラス席背後壁→2階大向こう壁面)
- 最大奥行き約37.6m;約9.3Hz/1λ、
- ※「壁面間隔20m超のセオリー」適用で1波長定在波を可聴帯域(20~20KHz)外にチューニング。
- ※高次定在波はスラント設置コーラス席背後壁面のアンギュレーションと、大向こう背後壁面処理(波状・アンギュレーション・)で抑制。
ステージ床面&・平土間床→天井最高部高さ方向
- 客席平土間部約17m;
- ステージ部約16.1m;
- ※高次定在波はスラント設置天井のアンギュレーションで抑制
赤字は可聴音域内重低音。
イヤーお見事!周到な定在波障害対策
唯一、メインフロアー中央通路の両側A&C扉がプレーンな垂直部分で有る以外は平面的にも、立体的(断面形状)共に完全平行部分は無いに等しい!周到な定在波障害対策(※3)
但しこの部位も「壁面間隔20m超のセオリー」(※4)適用で1波長の定在波を可聴帯域外の低周波振動にチューニングしている。
残念なのは、メインフロアー最後列がBーD扉に嵌れている事但し後半スロープは中央部分が通路の3本通路なのでこの部分での被害は両翼2か所の定在波の腹;サプライズポイント(※5)の2席だけで被害は軽微。
ということで基礎点は50点据え置き、定在波音響障害エリアは-1、障害席は2席と査定した。
総評
多少デザインチームの"驕り"があったようで、「お客様は神様」を忘れ、「ミューズの神は上空にいらっしゃる」と勘違い?したようである。
メインフロアー8番から19番の1列から7列は千鳥配列座席にすべきであった。
さらに各フロアーの大向うは通路にすべきであった。特にメインフロアー最後部3列は天井(上層部軒下)が迫っており問題がのこる。
ホール音響評価点:得点90点/100点満点中
※770席のコンサートホールとしての評価。
※評価ポイント詳細は「"ホール音響ナビ"に用いた用いた評価法とは」をご参照ください。
§1 定在波対策評価;得点48点/配点50点
- ※各フロアーの配置・形状、壁面形状、をオーディエンス周辺壁面(概ね人の背の高さ:約1.8mの範囲内)の設えで評価する。
- ※スラント設置されていない「垂直平行側壁部分」と「平土間部分」の処理において、
「音響障害回避策」が3つ以上講じられていない場合は基礎点を配点50点満点x0.5=25点満点に減じます。
§2 残響その1 「初期反射」軽減対策評価;得点22点/配点25点
- ※木質パネル等の素材基礎点25点から硬質壁材基礎点13点の間6段階で素材基礎点を与える。
- ※障害箇所1点/1箇所で基礎素材点から減じて基礎点とする。
- ※基礎点に障害エリア客席数比率を乗じて算出する
§3 「音響障害と客席配置」に対する配慮評価;得点15点/配点20点
- ※壁際通路&大向こう通路の有無、天井高さ&バルコニー・テラス部の軒先高さ、平土間部分の見通し(眺望)不良、それぞれ-1点/1箇所で配点から減じて基礎点とする。
- ※基礎点に障害エリア客席数比率を乗じて算出する
§4 残響その2「後期残響」への配慮評価;得点5点/配点上限5点
- ※壁面形状、音響拡散体(相当要素)、テラス軒先形状、天井構成、その他の要素で評価。
- ※上限5点の範囲内で上記1点/1アイテムで加算評価。
算出に用いた値;
定在波評価
※音響障害席数は1波長の基本定在波に基づき定在波の「節」「腹」に当たる重大音響障害席数を評価対象としてカウントする。
基礎点B1=基礎点50点ー障害発生エリア数1=49点
定在波「節」部席;0?席
定在波「腹」部席;2?席
定在波障害実被害席総計;2?席
初期反射対策評価
※障害発生エリア壁面材質が木質のアンギュレーションパネルなので素材基礎点25点とした。
基礎点B2=素材基礎点25点ー障害発生エリア数1=24点
初期反射障害1 壁面障害席 ;6席/2階C6列5・6・7番&20・21・22番席
初期反射障害2 天井高さ不足(2.5m以下)席;30席/1階21・22列全席
重複カウント ;ー0席
音響障害席総計;36席
客席配置評価
基礎点B3=基礎点20点ー障害発生エリア数3=17点
眺望不良席数;48席/1階平土間中央部座席2~5列8番~19番
音響不良席その1 定在波障害顕著席 ;2?席
音響不良席その2 初期反射障害1壁面障害席 ;6席
音響不良席その3 初期反射障害2 天井高さ不足(2.5m以下)席;30席
重複カウント ;ー0席
音響障害席総計;84席
算定式
評価点V=基礎点X(総席数ー障害座席数)/総席数
メインホールの施設データ
ホール様式
- 『ワインヤードタイプ』音楽専用ホール。
- 最大間口約27m(E-G扉部)x最大奥行き約37.5m(2階コーラステラス→2カイバル湖コニー背後壁)最後部高さ約17m
客席
- 2フロアー 収容人員 770席、、1・2階テラス席(桟敷席)、親子室、
舞台設備
- オープンステージ
その他の設備
- 控室x4、アーティストラウンジ。
みやまコンセール主ホールがお得意のジャンル
オーケストラコンサート以外にもJポップ関係のコンサートや、往年のアイドル・エンタテイナーのワンマンショウ、ジャズコンサート、伝統芸能等ジャンルに拘らない幅広い演目でこのエリアの多くの人達に受けいれられている。
霧島国際音楽祭(※ガイド記事はこちら)のメインホールと成っている。
みやまコンセールの公演チケット情報
その他の付属施設
小ホール
こちらも天井の高い「音響に配慮した」平土間イベントスペース。
座席のレイアウトは自由です。お客様の好みに応じた会場作りができます。<公式ガイドより引用>
小ホールの施設データ
- ホール様式 平土間・音楽専用ホール。
- 客席 1フロア 定員 200名、196㎡(14m×12m)(約118畳)
- 舞台設備 オープンステージ形式
- その他の設備
小ホールのお得意のジャンル
主にセミナー、講演会、市民団体の集会、お稽古事の発表会などに用いられており、ソリストのリサイタル、アンサンブルの演奏会等、なども行われている。
リハーサル室
71.3㎡(10m×8m)(約43畳)定員 40名のリハーサル室を有する。
野外音楽堂
間口20m 奥行15.5m 高さ9.2m(天蓋付き)のステージを持つ積] 約4,000平方メートルの半円形ベンチ席(約4000名収容)スタンドを持つ野外ステージを持つ、「霧島国際音楽祭」の「若きアーティスト達」の野外コンサートが開かれる。(控え室2室付き)
野外音楽堂
- ホール様式 扇形野外音楽堂
- 客席 1スロープフロアー 収容人員 約4,000名、
- 舞台設備 間口20m 奥行15.5m 高さ9.2m 反響版、天蓋(セルター)付き
- その他の設備 、控室x2、
デジタヌの独り言
一見独創的なデザインのように見えるが実は、しっかりと「ツボ」を抑えた、セオリー(※1)に従った堅実な設計のホール。
変形8角形を基本としながらもステージとの対向面と成る最後部の壁面とその左右の壁面のコーナーを面取りし実質10角形に近い形状とし、徹底的に「対向面封じ込め戦術」を取り、しかもドーム型天井構造を基本としながらも、ホール後半に頂点をずらした天井はその後に続く、ホール設計に多大な影響を及ぼしたと言える傑作。
球形ドームの欠点「パラボラ効果」を美味く抑えながら、強度と両立させた見事な発想とデザイン。
対向面を極力無くしたホールデザインは、定在波などの共鳴現象が無く、可聴域(20~20KHz)全域に渡りピーキーな色づけのないトランジェントに優れた音響は「適度な残響を伴った」音響特性で、ピアノですらスタカート、テヌート、スラーはもとより、スラースタカート、なども弾き分けられ、奏者のアーティスティックな技量が試されるホールでもある。
この手のドームホールでは国内最高の音響特性を誇る。
熟達のアーティストにとっては「違いの判る"ご機嫌なホール"」である。
さすが「隼人」は豪快で、質実剛健、中身で勝負と言ったところか。
と言う事で文句無しに狸穴総研音響研究工房「厳選・真の銘ホール50選」に選定させていただく。
更なる今後の改修に期待!
前途したB・Dとびら外側・もしくは内側にずらしハノ字面に改修し定在波を駆逐するか、最後列14席は撤去しスタッキングチェアーを用いた補助席とすべきである。
更に、平土間部分被り付き最前列1列と3列から1席ずつ撤去し、千鳥配列座席とすべきでもある。
これらたった16席を欲張ったがゆえに「プレミアムホール」になり損ねたといえるだろう。
無いものねだり
スタインウェイ・D274、YAMAHA CFⅢ-S、カワイ EX、等のフルコンサートやレッスン用?のセミコン&アップライトピアノを多数そろえられているが、せっかくこれだけ素晴らしい「違いの判る」ホールなのだから「ベーゼンドルファー・フルコンサート」も、数千万円もする高額楽器なので緊縮予算で購入は難しいでしょうが、「5年リース」なら何とかなるのでは?
参照欄
※1、アクリルエマルションペイント仕上げのプラスターボードについての建材メーカーの解説記事はこちら。
※2、手法1 1/4波長程度の「グルービング(溝)加工」をほどこした壁面用パネル の効果 はこちら。
※3 第3章 ホールデザインの基本"定在波の根絶・阻止・駆逐" 法
※4、関連記事 副則1 「壁面間隔20m超」のセオリーはこちら。
※5、第2章第2節『ミステリーゾーン』で起きる現象はこちら。
公開:2017年10月 3日
更新:2022年9月30日
投稿者:デジタヌ
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