『旅するタヌキ』狸穴ジャーナル別冊

神戸地下鉄編  シリーズ「誰がために槌音は響く」2008

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※<本記事は04/20/2008に旧サイトで初稿公開したレビューのお引っ越し記事です>

第1章  神戸市の財政悪化は本当に天災のせい?

神戸市はかつて、超優良自治体であった。

ポートアイランド、六甲アイランドと埋め立て事業を次々と成功させ、"神戸株式会社"と呼ばれるほどの商売上手で全国の自治体から羨ましがられていた。

その、神戸市が、1995年(平成7年)1月の阪神淡路大震災を境目に赤字団体に転落、今では何時、夕張市の様な財政破綻、再建自治体に成ってもおかしくない状態に成ってしまった。

時期的に、震災復旧と重なったために、神戸市には責任はなく財政の緊迫化は"天災"のせいだとされているが、果たして本当にそうなのか?

この問題について筆者はズバリ、これは"人災"であると断言する。

自治体の規模にそぐわない、分不相応な"地下鉄事業計画"の推進こそが巨額の負債の真の原因であると考えている。

第3セクター神戸新交通(株)によるポートライナー、六甲ライナーの建設及びその運営は、埋め立て事業の目玉でもあり、必然性も、公益性も十分に認められる。

しかし、神戸市交通局直轄地下鉄事業への参入は、全く無謀きわまりないとしか言いようがない!

大阪市営地下鉄を取り上げた前シリーズでも述べたとおり、地下鉄建設はあらゆる鉄道建設のうちで最も建設コストがかさむ建設事業である。

国家プロジェクトである新幹線建設より更にコストがかさむ!

高度成長期まっただ中、1971年(昭和46年)大阪万博の翌年 西神線の起工式が行われ、赤字増産地下鉄の建設がはじまった。

この段階で、神戸市交通局は、重大な選択ミスを犯してしまった!標準軌(1435㎜)による路線建設を採択したのである。

第2章  思惑外れと想定外の大震災の発生?

この選択が何故失敗だったのかというと、路線図を見れば一目瞭然。

同時期に計画された北神急行電鉄(阪急ホールディングス)との相互乗り入れを念頭に置きながら建設したにもかかわらず標準軌に拘ったため、谷上駅で狭軌(1067㎜)の神戸電鉄と相互乗り入れが出来ず、"乗り換え"という不便を乗客に強いる結果となったことである。

但しこれには、第3セクターの神戸高速鉄道(1968年(昭和43年)開業)に神戸市が40%出資している事もあり、阪急電車と相互乗り入れし大阪(梅田)に直通運転する目論みが有ったようだ。

車両限界、建築限界共に阪急電車に準じているのはこのためと思われる。

しかし、1995年(平成7年)1月のに発生した阪神淡路大震災の復興事業費捻出で、神戸市の自転車操業的収支バランスが崩れ、開業以来約18年に渡る市営地下鉄事業の累積赤字が膨大に成っていることが足を引っ張り、一気に赤字自治体に転落してしまった!

震災の前年1994年(平成6年)4月には、不可解な路線である海岸線を着工してしまっていた。

この路線の不可解さは天下一品、大阪市の運営する今里筋線と並び称されるほど?

最初から、相互乗り入れを一切考慮しない、単独路線として計画されたこの路線は、地上を走り平面交差が多く朝夕のラッシュ時に交通停滞の原因とも成っている既存線(JR和田岬線)の代替線としての期待も持たれていた。

しかし現状はご存知の通り、この地区にある大手企業の工場への通勤輸送は今だJRが一手に引き受けている状況!

この路線は建設費を抑えるために、当時注目を浴びたリニアモーター方式、のmini車両がはしる地下鉄にしてしまった。

この為既存の鉄道とは相互乗り入れが出来ず、自力で延伸しない限りは利用者の増加は望めない状況となっている。

このまま利用者が伸び悩めば、将来"廃線"ということにもなりかねない路線である。

建設名目の、"兵庫区、長田区の地域振興"ノ為なら、着工の翌年の大震災を契機に、建設を中止・一時凍結し、計画全体を見直し、

JRと相互乗り入れが出来るように、狭軌(1067㎜)&1500v架空線電化による路線に計画変更し建設を行うべきではなかったろうか?

流行に流された見通しの甘い計画で海岸線の建設を続行した結果、地下鉄建設に対する巨額の投資が、震災復興以上に神戸市の財政を圧迫してしまったのでは無いだろうか?     -おしまい-

 

公開:2008年4月20日
更新:2018年4月 9日

投稿者:デジタヌ


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