狸穴ジャーナル・別冊『音動楽人(みゅーたんと)』

《オーディオ的コンテンツNavi》ハーリ・ヤーノシュとハンガリー出身の7人のマエストロ

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ご存じ? ハンガリーの作曲家コダーイ・ゾルターンの名作!

ポピュラー性では彼の代表作といってもよい作品でしょう。

本来はオペラ作品ですが、一般的には歌劇から抜粋した「管弦楽組曲版」がよく演奏されています。

ゲオルク・ショルティ盤

ハーリ・ヤーノシュ/ハンガリー名曲集
シカゴ交響楽団 1994年DECCA新譜

2020年現在のベストワンは「なんといってもハンガリー出身のゲオルク・ショルティ(1912年10月21日 生まれ1997年9月5日没)の残した音源でしょう。

演奏録音共に文句のつけようがない名盤です!

後述のヤーノシュ・フェレンチクに指揮法を伝授されてトスカニーニの目(耳?)に留まり引き上げられた、20世紀を代表する大指揮者の一人です。

ドイツの大指揮者「振ると面食らう?」や「ストコフスキー」のように、ある種「音楽の流れ」を重んじて細かい指示は出さずに、時には「大胆な加筆?」を加えてまで、「音楽を演出する」19世紀的ビルトーゾ風の指揮者ではなく、トスカニーニの後継者?としてスコア(記譜)に忠実で「楽曲そのものの魅力」を引き出す「20世紀型の演奏法の達人」として世界中で人気のあった指揮者でもあります。

オーディオ的には翌年の1995年DECCA新譜のシャルル・デュトワ モントリオール交響楽団と並んで、優秀な録音で全くユーザー側での補正が必要ない素晴らしいハイファイ録音です。

デジタヌの愛聴盤 Istvan Kertesz(イシュトヴァン・ケルテス)盤

コダーイ:「ハーリ・ヤーノシュ」組曲、〈孔雀〉の主題による変奏曲 、他 演奏ロンドン交響楽団 1964年DECCA新譜

じつわデジタヌの一押しは同じDACCA1964年新譜 のIstvan Kertesz版です。

ショルティより17歳年下の1929年8月28日にブダペスト生まれた彼は1973年4月16日に 演奏旅行先のイスラエルで不慮の事故で若くして亡くなりました。

彼の演奏する、個性的で「土俗的な表現」の東欧の作曲家の作品については賛否両論があり、1968年にロンドン交響楽団の音楽監督を解任!されたのも、イギリスの聴衆に彼のボヘミア音楽が嫌われて定演が不入り!だったためといわれています。

しかし、東欧の作曲家以外の、モーツアルト、やベートーヴェンではいたって「記譜に忠実」な格調高い演奏をする人であったことは「彼の残したディスコグラフィー」を聞いてみれば理解できるはずです。

同郷の先輩ショルティーが、1897年6月7日生まれの大先輩 George Szell(1970年7月30日没)同様に、譜面(表記)に忠実な解釈をする「20世紀型」のトスカニーニ型指揮者であったのに対して、「譜面の裏に隠された作曲家の思い」を音にすることでは「抜きんでた才能」を持っていた人で、「たった4年で」解任されたロンドン交響楽団でも「楽員からは絶大な信頼を得ていた!」と伝えられています!

正に、コダーイの作品にはうってつけの指揮者だったのではないでしょうか。

楽譜に示されたアーチキュレーション(強弱、タイ・スラー等)からは逸脱しない範囲内で「個性的で土俗的ともいえる民族性に満ちたフレージング(歌いまわし)」ができる人で、日本人である小生の「演歌心に共鳴」して「彼のハーリヤーノシュ」を聞いていると「コダーイ」が音楽で表現したかったであろう民族性がおぼろげながらに理解(共感)できたような気持になれます。

但し、録音年代が古いので、さすがのDECCAでも「当時の電蓄用マスタリング」を施しており50Hz以下の重低音は、6dB/octぐらいのイコライジングで控えめに刻まれています。

そこで収録時に「録音エンジニアがモニタリングして」マスターテープに記録されたであろう「音源のソノリティー」を再現するには「グラフィックイコライザ」でBass 25Hz(32Hz)帯を+6dB上げてやると隠されていた重低音がよみがえります!(※★)

参※★)当サイト関連記事 ユーザー「リマスタリング?(聴取補正)」のすすめ はこちら。

ベストセラー ジョージセル盤 

クリーブランド管弦楽団、

カップリング ヤナーチェク:シンフォニエッタ、プロコフィエフ:キージェ中尉、(完全生産限定盤) 限定版

1963年 CBS新譜

1897年6月7日生まれGeorge Szell(1970年7月30日没)はケルテスの31歳年上の大先輩で20世紀を代表する指揮者として、クリーブランドの富裕層(パトロン)から絶大な信頼を得ていた人です。

未だにコダーイのハーリ・ヤーノシュといえば決定盤として「ベストセラー」を続けている名盤です。

小生も「オリジナルのLP盤」を大事に秘蔵している名盤中の名盤!

但し当時の「CBS360sound」路線の洗礼?を受けて、「電蓄用マスタリング」となっているのは残念なところですが、「レニー」や「オーマンディ」ほどの「ドンシャリ」ではなくこの盤の場合は...

  • 25Hz(32Hz)を+6dBして
  • お約束の4kHzを-2dB

すれば現在のハイレゾ対応システムでも「不自然さ」を感じなくなります!

ユージン・オーマンディ盤

コダーイ:「ハーリ・ヤーノシュ」、プロコフィエフ:「キージェ中尉」【Blu-spec CD】 限定版
フィラデルフィア管弦楽団 

1975年10月RCA録音 

Eugene Ormandy( 1899年11月18日生まれ 1985年3月12日没)もジョージセルと同年代のハンガリー出身の音楽家でヴァイオリニストとしてデビューして、アメリカに渡ってから「トスカニーニ」に認められて、トスカニーニやセルと同様に「20世紀型」の譜記に忠実な解釈で「ホームグランド」のフィラデルフィア管弦楽団の「パトロン層(富裕層)」から絶大な信頼を勝ち得た指揮者です。

1975年の録音なのでアナログ録音末期、LP盤全盛期に当たりDolbyNRのおかげで「S/N」は確保されていますが「LP盤マスタリング」となっていて「CBS360sound」のような「Treble盛り」はありませんがBass は100Hzピーキング&重低音カットがされています。

  • 25Hz(32Hz)+6dB
  • 100Hz-2dB

のハイレゾ対応補正は必要です。

アメリカという国は正しくUnited States多様性の国であり、特にクラシック音楽の支持者である「高学歴の知識層・富裕層」はあらゆる年代・あらゆる国(共産圏旧ソ連のショスタコービッチや敵対国であったナチスドイツまで)の音楽を受け入れる「懐の深さ?」があり、逆に言うと偏った解釈をしない「譜記に忠実」な指揮者を好むようです。

また、反面一般大衆は「あくの強い?」19世的なストコフスキーや元祖"ヤンキー"マエストロとなったバーンスタインを熱狂的に支持する国でもあります。

フェレンツ・フリッチャイ盤

1914年8月9日生まれ(1963年2月20日,没) 。

この人もハンガリー ブダペスト出身の指揮者で、若くして白血病で亡くなっています。

ステレオ最初期のアナログ録音で、当時はグラモフォンレーベルではなく「ヘリオドールレーベル(DGの廉価盤)」で発売されていたようです。

ヘリオドールレーベルとはいえ、さすがはグラモフォンしっかりした録音で各楽器(パート)の明瞭性もよく、それでいてアメリカ系のような「音場に不自然さ」を一切感じさせない素晴らしい録音です。

但し録音年代を反映して以下の補正が必要となります。

  • Bass 25Hz+6db、150Hz(125Hz)-2dB
  • treble 4kHz -2dB

全体にOff Mic 設定が主体で要所要所の各楽器のSolo部分ではOn Mic設定の補助マイクでミキシング補助する「定番手法」で収録委されています。

ドルビーAタイプノイズ・リダクション(NR)・システム(1966年 登場)もなく 当時の定番録音機4トラックの「Studer J37」を用いただけにしては「比較的S/Nも良好」で「サチュレーション(飽和)感」もなく優れた録音といえるでしょう。

ヤーノシュ・フェレンチク盤

ブダペスト・フィルハーモニー管弦楽団  Hungaroton

1907年1月18日生まれのハンガリー出身 (1984年6月12日没)の指揮者でハンガリー国立歌劇場音楽監督時代に(アシスタント指揮者ピアニストとして働いていた)5歳年下の後輩ゲオルク・ショルティに指揮法を伝授した人でもあります。

録音年代が不明なのではっきりとは言えませんが、DolbyNRを併用した「Studer A80」によるアナログ録音最後期の録音だと思われます。

Hungaroton独特のエコーバンバンの録音ですが、各パートの明瞭度は良く「フレッチャイ盤」のようなTreble補正は必要ありませんが...

Bassは、当時の共産圏の「オーディオ事情」を反映して重低音を大幅にレベルダウンしてあります。

  • 25Hz +6dB
  • 50Hz -2dB

で大太鼓が素直な響きになります。

イヴァン・フィッシャー盤

Children's Choir Magificat, Budapest & Children's Choir Miraculum, Kecskemet & ブダペスト祝祭管弦楽団 1999年1月PHILIPS新譜

Iván Fischer,(1951年1月20日生まれ )は、ブダペスト生まれのハンガリーの指揮者で、デジタヌと生まれ月まで同い年に当たります。

音楽監督を務める手兵ブダペスト祝祭管弦楽団を率いた録音がこれで、ジャケットのお顔も相当若いので間違いなしに当時録音された音源でしょう。

1971年にグラモフォン・フィリップス連合の「ポリグラム」が誕生して、1979年 11月 にポリグラムがデジタル録音を開始していますから、デジタル録音であることは間違いなさそうですが...この録音もフェレンチク盤同様に「LPマスタリング」の洗礼を受けているようで重低音の記録レベルがかなり低いレベルになっています。

但し「CD」開発のライセンスホルダーでもある旧PHILIPSレーベルが出しただけあって「低い音量レベルですが50Hz以下の重低音も含まれています」という事で...

Bassを、25Hz +6dB にすると迫力のある「大太鼓」が再現できます!


 

公開:2020年3月10日
更新:2022年9月30日

投稿者:デジタヌ


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