タヌキがゆく(狸穴総合研究所)

現在SONY傘下の義兄弟!となった嘗ての米2大レコードレーベルとヨーロッパ系レーベルの音の違いとは?

日頃クラシック音楽愛好家が何気なく聞いている「CD・レコード」ですが...

電気吹き込みに代わったSPの時代から、LP盤、CD、ハイレゾオーディオの現在に至るまで各レーベルの伝統的「マスタリング(イコライジング)」メソッド?が用いれれているようです。

現在SONYグループで義兄弟の契りをかわしているかつてのライバル、米2大レコードレーベルRCAとCBS、ヨーロッパ系のグラモフォンにみる伝統的マスタリング(イコライゼーション)の違いとは?...

第1章 コンシュマー機器(再生機器)の変遷とドンシャリ・マスタリングの関係

1877年にトーマス・エジソン 「ヴァーティカル振幅(立て振幅)」溝記録方式ろう管録音機を発明して以来、長らく「ラッパ管(ホーン)」による機械振動の音響的増幅方式時代が続いて、超大型ホーンを備えた数々の「名機」も誕生しましたが...。

前途したように1925年の電気吹き込みの時代になっても、一般家庭では機械吹込み当時のまま、機械式の機械時計と同じ仕組みの「つるまきバネ」駆動の「蓄音機」が幅を利かせていました。

1929年に5曲真空管が登場して1935年にはメタルビーム管も登場して基本となる真空管技術が完成しましたが、戦前の日本はもとより、アメリカでさえ軍需用や商業用(電話用途)などが主流で、一般家庭では「鉱石ラジオ」が幅を利かせており「6球スーパーヘテロダイイン」真空管ラジオが普及しだしたのは戦後になってから!テレビ受像機でさえ1964年の登場以来1970年まで真空管式の時代でした。

話は横道にそれましたが、「真空管アンプ+スピーカー」によるレコード再生が一般化しだしたのは、LP盤や17cmシングル盤が登場した1947年以降という事になります。

LPレコード時代到来

戦前の1941年からCBS研究所で研究されていた33回転・30cm径のLPレコード製品化の開発・研究が戦後の1947年に成功して、1948年6月21日に米コロムビア社から発売されました。

1949年 RCAビクター ドーナツ版販売開始!

同時期にRCAビクター社でもSP盤と同じ収録時間を持つコンパクトな17cm径45回転のドーナツ盤(シングルEP盤)の開発・研究が行われていて1949年に製品化に成功して発売した。

1954年 RIAAイコライジングカーブが標準に...

ステレオLP製品化に先立ち1955年にはRCAがお金持ちの「電蓄ファン」に向けて2チャンネルステレオ・テープを発売してSTEREO再生時代幕開けに向けたプリキャンペーンを開始していました。

ステレオLPレコードの開発研究段階において、旧来からの「バーチカル(vertical)」V溝記録と、かつてブランズウィック社が開発した「ラテラル(lateral)」L溝記録方式、とを組み合わせたV/L方式や45・45ステレオ方式が考案されたわけですが、ラテラル振幅が加わったステレオLPレコードでは溝間隔が問題となり、かつより一層のハイファイ(treble高音域の強化)化を達成する意味でも、各社まちまちのイコライジングを規格化する必要が生じてきたわけです。

そこでステレオLP製品化の前段階として1954年 にRCAが提唱してRIAA(アメリカレコード協会)が賛同した1kHzをターンオーバー周波数としてBass・treble補償するRIAA規格イコライジング補償が標準・規格化されたましたが...。

1958年6月にRCAが45・45方式ステレオLPレコード発売開始して、同年7月には CBSが10月には英国EMIも45・45方式ステレオLPレコードを発売開始しました。

ステレオ時代に入って、各社のマスタリングの違いがより鮮明に

戦中・戦後のTAPE録音時代になってからも、アメリカでさえ一派庶民はハイファイとは無縁でした!

重くて取り扱いが面倒なSP盤を置き換えるのが目的で、LPと同時期に開発された45回転シングル盤「EP盤」の「目論見」は見事に的中して、「ポップスの世界」ではあっという間にSP盤を駆逐!して、若者たちはドライブインなどに置かれている「ジュークボックス」の虜になっていました。

第2章 LP盤用ドンシャリマスタリング(イコライジング)を暴く!

いろいろな思惑があって各社が独自のイコライジングを

LP盤初期から全盛期にかけては、各社いろいろな思惑があって、特に1961年以降のCBSでは「当時のステレオ電蓄」でもハイファイらしく「聴き栄え」するように「360sound」と称して「treble側を盛り」、逆に正しく当時は「無用の長物」で合った「50Hz以下の大振幅・長波長の重低音部分」をばっさりカット!して,100Hz近辺制を盛大に強調したマスタリングをした「プレス原盤(原盤マスターテープ)」をプレス工場(原盤カッティング&プレス)へ送っていたようです。

これは、後述する「音楽コンテンツの最大の受け皿」である若者たちをメインとする一般大衆層の再生環境を見据えた販売戦略も影響しています。

電蓄製造メーカーでもあったRCAはジュークボックスだけではなく「パーソナル需要」も狙い、「ハイファイ」路線を逆にLPを実用化した「CBS」はAMラジオ聴取を前提に、ハイファイとはかけ離れた「当時のAMラジオ」でも聴き栄えがするような「ラジオマスタリング」を行うようになったのでしょう?

実際に、AM受信器付きの管球式「ステレオ電蓄」でステレオ事始めを経験した小生は、当時の「CBS」のドンシャリマスタリングが、素晴らしい「ハイファイステレオ?」に聞こえました!。

'50~'70年代初めにかけて

エルビスやポールアンカ、ビートルズが一世を風靡した'50~'70年代初めにかけては、AMラジオ全盛期。

アメリカでも、ハイファイラジオ?が普及しだしたのはFM放送が一般化してから!

アメリカでは1937年にFM(周波数変調)放送の特許ホルダーのアームストロングが世界初のFM放送局W2XMNを開設したのが始まりといわれていますが...

全米各地に数百のFM局が開局したのは1961年に連邦通信委員会 (FCC) がFMステレオ技術を規格化してから。

しかも当時は「管球式カーラジオ全盛で」今のような「カーオーディオ」とはかけ離れた世界!

アメリカでカーオーディオらしきものが登場したのが1963年登場の4トラックモノラルカートリッジテープが始まりで、8トラックステレオテープ(カラオケ初期の例のやつ!)はだいぶ先のこと。

しかも当時の流行歌(ポップス)のコンテンツ?聴取の主流は、やっと普及しだしたトランジスタラジオか、乾電池で動くポータブルレコードプレーヤーぐらい。

ウオークマンや「巨大ラジカセ」はもっともっと後の話、いずれにしろ一般大衆はハイファイとは無縁の世界でした!

※当時の日本ではFM実験放送が1957年12月24日から東京で実験放送を開始して、1963年12月16日になって実用化試験局となったNHK東京でFMステレオ実験放送が始まったばかりで、大阪を含む全国規模で本放送を開始したのは、1969年3月になってからの事!

つまり1970年の大阪万博前後の日本では「ハイファイオーディオ」を聞いている人などほんの一握り!で一般大衆は「ハイファイ」とは程遠い時代でした。

アナログLP盤再生最大の課題は「ハウリング対策」のための重低音カット!

アナログLP盤再生における最大の問題は「ハウリング対策のための重低音カット」マスタリングといえます。

アナログLP盤でも可聴帯域ぎりぎりの20数Hzの溝は刻めますが、再生となると別問題で!

100Hz以下の重低音域では、放送局の調整室のように「完全にスピーカーのある試聴室」と防音・防振処理で遮断でもしない限りは、一般家庭ではプレーヤー自体がブルブルと震えだして「ハウリング」を起こしてしまいます!

そこで「弱奏(pp)」などの一部の例外を除き「全奏での強奏」部分では「100Hz」以下は「潔くカット!」するのがLP盤マスタリングのセオリーの一つでした。

レコード盤製造上の問題と樹脂の弾性係数による高域特性の問題

前途したように、レコード盤は通常、ラッカーマスター盤にメッキしてマザー盤(凹)盤を作成して、さらに離型剤を塗布したマザー盤に再メッキしてメッキ層をはがしてプレスマスター(凸)盤を作りスタンパーで樹脂を挟んで溝を刻みます。

つまり"転写"を繰り返すこの工程で「小さな振幅」の微細な高域信号は丸められて?弱くなります!

更に一般用の「ピックアップカートリッジ」の高域特性の悪さ?を見込んで、カッティングマシン用のプリントマスターはRIAA特性以上に「さばを読んだ?高域盛り」マスタリングを行うわけです。

このLP盤製造用の「高域盛りマスタリング」が「やけに100Hz近辺が盛り上がった「ボンボン・モヤモヤ」Bassと「キンキラキン」の「Treble」で、LP盤ハイレゾ音源化支持者たちが勘違いしてしまう「疑似ハイレゾ音?」となってしまっているのでしょう?

LP盤全盛当時のオーディオ評論家・レコード評論家たちも「知ってか知らず」か? 

「ドンシャリ・マスタリング」に関しての記述は一切見当たらずに「もやもやした歯切れの悪い低音...」とか「金属的な響きの高域...」とか「抽象的な言い回し」に終始していたようです。

唯一「トランジェントが良い」音という言い回しで「原音(マイク収録の元信号)」の忠実度を表現していたようです。

トランジェント

AVの世界では「過渡応答」とされる。「トランジェントが良い」とは、元の信号に余計な成分が付かず、なまったりもせず、瞬間的な信号の変化にもすばやく追従できるという意味だ。<AV機器関連用語辞典 より引用>

「モヤモヤ」して歯切れの悪い、迫力のない低音!は「100Hz」ピーキングと...

モヤモヤした歯切れの悪い低音(低弦)の最大の原因は「100Hz」ピーキングにあります!

一見(一聴)ふっくらした低音域も、150Hz付近から「100Hz」にかけて「大盛!」イコライジングすると歯切れの悪い、締まりのない「ブヨブヨ」した低音域になってしまいます!

50Hz以下の重低音域カットが迫力不足の原因

しかも前途したLP盤(再生)対策で50Hz以下の重低音を6dB/oct程度でカット!してしまうと「弦バス」はもちろん「銅鑼(ドラ)」「バスドラム」「ティンパニー」などの鳴り物が、まったく腰抜けのお間抜けな迫力のない再生音」となってしまいます!

キンキラ、シャリ・シャリ音の原因は4kHzピーキング!

高音域のうち4kHz帯は「煌びやかさ・華やかさ」を強調するには都合の良い帯域で、またこの帯域は「可聴帯域(20~20kHz)」内でも比較的聴覚が鋭いところで、「見せかける」にはちょうど良い音域となります。

そこでこのあたりを強調して「ハイファイ録音に見せかける」わけです。

但し、逆に言うと「テープヒス&ホワイト・ノイズ」などの「シャー」ノイズ(デバイスノイズ)も一番感じやすくなる帯域なので、やけに「シャー」ノイズが気になる場合は「4kHz」を中心に-2dBほど下げてやると非常に聞きやすい音になります!

マイク設定による差

距離感(音色)の違い、オンマイク設定と、オフマイク設定

距離感とは音の拡散減衰・に由来するマイクの周波数特性の変化で、音源(楽器)に近い距離(オンマイク設定)では重低音域をとらえることができ、距離が離れる(オフマイク設定)では低域がおとなしい各楽器固有の倍音列の「音色」が強調された音になります。

オンマイク設定

距離感とは音の拡散減衰・に由来する周波数特性の変化で、音源(楽器)に近い距離では、可聴帯域(20~20kHz)全域に渡りクリアーな響きが得やすくなりますが(※23)、反面あまりオンマイクにするとブレッシング(息継ぎ)や「衣類のこすれる音?」?などの楽音以外の雑音?も拾いやすくなります。

参※23-1)当サイト関連記事 ギタリストは知っている「重低音」の重要性!オンマイク録音の秘訣 はこちら。.

参※23-2) 一般的なマイクロフォンの特性測定法であるカプラ校正法 では距離による減衰は無視?されているので、無響室測定のように「音源からXm」離れた位置というような規定はありませんが...。

わかりやすい例では「密閉型ヘッドフォン」の特性がこのカプラ(音響結合器)で測定されているので、試しに机の上に置いた場合は「音量が小さくなる」以上に「低域」が消えてしまい「甲高い音」になるのが実感できるはずです!

さらに「耳殻(集音パラボラ部分?)」に乗せるタイプの「簡易密閉」タイプのヘッドフォンでは、「耳をすっぽり覆う」モニターヘッドフォンと比べ、公称特性より重低音域が不足して聞こえるのはこのためです。

試しに「両手で抑えて」密閉度をより高めてやると「アーラ不思議!重低音が!」となるわけで、こちらが「メーカー公称値どおりの音」という事になります!、つまり下手な簡易密閉タイプよりも"しっかり耳穴に突っ込む"耳栓タイプの「インナー型のイヤホン」のほうが重低音はしっかり聞こえます!

参23-3 当サイト関連記事 耳栓はやはり耳に突っ込まないと? はこちら。

オフマイク設定

距離が離れるとBass(低域)は急激に拡散減衰し、Treble(高域)が強調された「甲高い」響きになり、しかも周辺の「環境ノイズ(エコー感のある騒音)」も拾いやすくなります。

それで「アメリカ系やDECCA」などでは「衝立(遮音パーティション)」を立てまくり、が聞き取れるほどの「オンマイク」設定のマルチマイクで各楽器の音をシャープに捕捉して、ミキシングコンソールで「ミキシング」して、4~16Chにミックスダウンしてマルチチャネル(トラック)録音をするわけです。

マルチマイク設定

前途の通り「各パート(楽器)」のセパレーション(分離度・明瞭性)は高まりますが、あまりオンマイクだと「過大(音響)入力」となり音が割れてしまう!ので、オフマイク設定の「一点吊りのメインステレオマイク」との併用(ミキシング)という事になります。

という事は「前途したように」曲の途中で音色(距離感)が変化してしまう難点があり、それを目立たなく「ソロ楽器」を際立たせるのが「ミキサー(録音エンジニア)」の腕前(フェーダーさばき)となります。

オフマイク・One Point Stereo収録

戦前・戦中・戦後に渡りベルリンフィルが録音セッションに用いた「イエスキリスト教会」での録音はこの方式が主でした。

騒音の聞こえない環境の良いこの教会は「ナチスドイツ」がラジオ放送収録のために作った「自然で適度な残響(※24)」を備えた非常に素晴らしい響きを持つ「録音スタジオ」でモノーラル録音に最適な各楽器の「明瞭度」と「響き」を備えていてもちろんステレオ時代になってもその特性をいかんなく発揮してエコルームによる後付け「人口エコー」や「極端なイコライジング」などのマスタリングがほとんど必要のない「ナチュラル」な音場感(広がり)を持つ名録音が数多く生まれています!

更に、1980年代までの自由ベルリン放送、南西北ドイツ放送、BBC、ORTF(フランス国営放送)、ORF(オーストリア放送協会)などのヨーロッパ系の放送局はこの方式でライブ録音(放送)を行っていました。

嘗てのNHK-FM海外の音楽(現ベストオブクラシック)で流れていたヨーロッパ各国の音楽祭での名演の数々はいずれもこの方式で収録されたものです。

但し前途したように、楽音以外の「場内騒音・外来騒音」に左右される欠点もあります。

参※24)当サイト関連記事 「エコー」と「後期残響」は別物はこちら。

LP盤時代のメジャーレーベルのマスタリング(イコライジング)傾向

アナログ盤全盛時代のメジャーレーベルのマスタリング(イコライジング)傾向をまとめますと...

米国系

後述するようにヨーロッパ戦線終了後にドイツからテープレコーダーの技術が持ち帰られて 1944年にアンペックス(Ampex)社が設立されてアセテートテープを用いたテープレコーダーの改良と・実用化のための開発研究が始まりました。

同時期に米国CBS研究所で戦時中から「プラスティック素材」を用いたLP盤の実用化開発研究も始まており、終戦後の1948年3月1日に  米CBSでLP盤が発売開始されました。

この時にドイツから持ち帰った「テープレコーダー」が役立ったと考えられます。

このいきさつからもわかる通り、CBSレーベルではステレオ初期の1950年代は「ハイファイ指向」で、当時の市販ピックアップカートリッジでは再生困難な50Hz以下の重低音域は、LP盤製造時にカット(マスタリング)されるものの、Treble域では「盛り」を行わない「RIAA]曲線遵守でLP盤マスタリングを行っていました。

当初はごく一部の富裕層の「おもちゃ」だったステレオ再生装置向けの需要だけではコマーシャリズムに乗れないので、1961年以降 「360°SOUND」と称して安価な「ステレオ電蓄」やラジオ放送でも「聴き栄え」のするドンシャリ型マスタリングに転向して大衆化を図りだしました。

若者はロックンロールに酔いしれ、アダルト世代はスタンダードを聞いていた時代

当時稼ぎ頭のロックンロール歌手を多く抱えていてエレキサウンドが中心で「比較的素直なtreble(高域)特性」をしていたステレオ開発元のRCAでさえ「ビートを利かすために?低域は「100Hzピーキング」を行い...。

ベニー・グッドマン。デューク・エリントン、フランク・シナトラなどのスタンダードプレーヤーに始まって、ハービー・ハンコック、ウィントン・マルサリスなどのジャズプレーヤー、パーシー・フェイス、アンディ・ウィリアムズなどのムード歌謡?、ボブ・ディラン、サイモン&ガーファンクルなどのフォーク、ブラッド・スウェット&ティアーズ、シカゴ、ジャニス・ジョプリン、サンタナなどのR&Bグループなど「ハイファイ指向」のアーティストが多かった「CBS」が100Hzの低音だけではなく「高域までテンコ盛り」の徹底したドンシャリマスタリング!

まあ、当時の時代背景では仕方なかったのかも...。

※参 以下()内は後述する狸穴音響研究所の調査結果に基づいた再生側基準(最低)補正値で、後述する録音年代(録音機材)、リリース時期によってはかなり違いがあり、代表的名盤については別項に詳述してあります。

RCA盤

100Hz+2dB程度の小盛り?50Hz以下-6dB/octでカット!

※、但しステレオ最初期の極端な"on Mic"設定の録音では逆に「20Hz」程度の重低音成分も衆力されていて、25(30)Hz程度を+6dB程度持ち上げてやれば、「オリジナル音源の音」は再現できる!

(25Hz+6dB↑、50Hz±0dB、100hz-2dB↓)

CBS盤

それにしてもステレオ盤最初期の、「ブルーノワルター」の一連の録音が当時の英DECCAを凌ぐ高い録音技術レべルで収録されていたことを考えると1961年 以降の 「360°SOUND」マスタリングはオーディオマニアにとっては「惜しい!」の一言!

(25Hz+6dB↑、50Hz±0dB、100hz-2dB↓ Treble域 1.6kHz-2dB/oct↓)

ヨーロッパ系

ヨーロッパでは、当時のグラモフォンやDECCAはRCA寄りのRIAAイコライジング遵守派の「比較的素直な高域周波数特性で」、

後にポリグラムとしてグラモフォンと統合された(電蓄も作っていた総合電機メーカーが母体だった)フィリップスは電蓄サウンド?のCBS「360sound」風にドンシャリ型?

更に現ワーナーグループとなったEMIも、LPステレオ時代の録音では100Hzダウン、50Hz±0、25Hzアップの重低音補償は必要で、さらにアンドレクリュイタンス作品のように初期のステレオ録音では4kHzあたりも-2dB補償が必要です。(初期のEMI録音のS/Nの悪さは、高域強調にあった?)

Philips盤

CBS盤と同じようなマスタリング

(25Hz+6dB↑、50Hz±0dB、100hz-2dB↓ Treble域 4kHz-2dB/oct↓)

Deutsche Grammophon 盤

全般に、一点吊りのステレオマイク主体の収録なので一番素直で極端な補償はいらない。

※但し、全般にオフマイクなので「一部の例外を除き」50Hz以下(特に25Hz以下)の重低音は初めから記録されていない!ので25Hz周辺をアップしても「重低音」の「影も形」も現れない場合が多い!

英DECCA盤

さすが「元祖ハイファイ録音」を標榜するにふさわしく!基本DG盤同様に「ユーザー補正」は必要なし!

※、但し50Hz以下の重低音域については、LP盤マスタリングでは25Hz/6dB/oct程度でカットされており、録音によっては25Hz +6dB↑で、マスターの重低音が復活するようになる場合もある。

G・ショルティーの一連の録音はユーザー補正必要無し、取り扱い要注意!

更に、1980年 代以降の「デジタル録音」そして1983年CD発売時代以降に「CDマスタリング」されたものは、重低音がたっぷり入っており、逆にスピーカーを壊す恐れもあるので余計な「イコライジング」は避ける必要がある。

EMI盤

(25Hz+6dB↑、50Hz±0dB、100hz-2dB↓ Treble域 4kHz-2dBt↓)

この傾向はデジタルコンテンツ全盛の現在も

1980年代にCDが登場して、音楽コンテンツはデジタルコンテンツの時代となり、カセットウォークマン→ポータブルCD→MD→ipodと進化するにつれ「イヤホン・ヘッドフォン」もドンドン高性能になり、

21世紀になってからは「WEB」音楽配信をiphoneなどの「スマホとBuruTouthヘッドフォン」で聴取するのが主流となって、どんどんハイファイ化して、一部のメディアは「ハイレゾ(※2)」に進化して気軽に「ハイファイオーディオ」が楽しめる時代になっても、...。

音楽コンテンツ制作各社は従来通り伝統的ステレオ電蓄用の「マスタリング」を堅持?...。

参※2)当サイト関連記事 ハイレゾオーディオはWEB配信音楽コンテンツに席巻された!レコード業界の生き残りをかけた敗者復活戦?はこちら。

第3章 ユーザー「リマスタリング?(聴取補正)」のすすめ

というわけでクラシック音源の世界でも

比較的素直な高域特性を持つRCA録音、一般受けを狙ったドンシャリ型の典型CBS録音の傾向は続き。

1979年 5月以来デジタル録音がメインになり、さらに2004年以降は同じSONYグループとなった旧RCA、旧CBSでも未だにこの傾向は健在?です。

一般受けを狙ったドンシャリ型の典型CBS録音をピュアオーディオで聞くには

「音楽編集ソフト」や「グラフィックイコライザー」(※3)をお持ちのピュアオーディオマニアの方には以下の設定を推奨するわけです。(ハイレゾヘッドフォンまたは サブウーファー助っ人?スピーカー再生時)

まあ、アマチュア・ミュージシャンが使用する「PCの音楽編集ソフト」(※4)でも使用しない限りは「一般のクラシック音楽ファン」が使用している最近のAVアンプ(※5)では手を出せない領域?かもしれませんが...。

イコライジングの必要性の根拠

前途したようにキンキラキンサウンド?ブヨブヨスカスカバスという風な「感覚」だけではなく、以下の理論に基づいた「周波数分析」に基づいて補正値を決定しています。

Treble調整について(4kHzピーキングの暴き?方)

アナログ録音の宿命テープヒスノイズは半導体「デバイスノイズ」同様に「全体域にわたって」ほぼ均一な(音圧縦軸・周波数横軸として)の右肩上がり「ホワイトノイズ」です。

1966年から各レーベルで米国ドルビー研究所が開発したドルビーAタイプノイズ・リダクション(NR)・システムが相次いで導入されて、「クラシック音楽」録音現場で採用されるようになり、このテープヒスノイズが大幅に改善されました。

特に高域の「ヒスノイズ(シャーノイズ)」に対する軽減効果は簡略化した「家庭用のB-Type」でさえ歴然とした効果(-10dB以上)が得られているように絶大な効果を発揮しました!

つまり1966年以降の"音源"を用いた再発CD盤では、S\Nについては「デジタル録音」とあまり変わらない(気にならない)レベルまで達したわけです。

つまりFFTなどで周波数分析した場合に(全休符などの)楽曲中の無音状態の箇所で「途中で盛り上がった周波数」の箇所は明らかに人為的に後から「盛った(マスタリング)」した箇所とわかるわけです!

スペクトルアナライザーやFFTソフトで周波数分布を解析すると

「1966年以降の録音」なのに「ヒスノイズ」が気になるCD盤は「はほぼ確実に「4KHz」ピーキング処理がなされたイコライジング処理をして「LP盤用製造用にマスタリング」したプリントマスターで「CD制作」をしたと推察してよいでしょう。

つまり「4kHz」を中心に-2dBほど↓してやると本来の録音現場で採取した「音源の音色」(※22)が再現できることになります!

参※22 あくまでも「マイクロフォン(∔ラインアンプ)」、ミキシングコンソール(アンプ)を通してミキサー(録音エンジニア)が聞いたであろう(距離感のある)音で、生の楽器の音とは異なります!

Bass調整について

同じく重低音域(50Hz以下)と100Hzピーキングを見破る方法は、

「即波帯の定理」にもとづく推論が一つ、つまり各楽器音の即波帯(倍音列)は、基音(中心音)を中心に「山形」に広がっており、例えば「大太鼓」の音を「100Hz」が主になるようにマイク設定したとしても150Hz成分なのその上側の側波帯だけが記録されて、50Hz、25Hzの重低音域の側波帯が観測できないのは明らかに不自然な周波数分布で人為的に加工された証拠となります!

そこで周波数成分が急激に変化する絶壁部分?をスペアナやFFTで特定すれば、そこがピーキングと急激な低域フィルタリングを行ったターンオフ周波数と推定できる訳です。

更にフィルターは「時定数」で規定された時間の遅れを伴いますので(後述JVC(旧日本ビクター)SEAシステム参照)、現バスや、方形波に近いブロードバンド(広帯域)の鳴り物(銅鑼・太鼓)などの低音楽器の歯切れが悪い場合は、大概は100Hzでピーキングをして、「波形がゆがんでいて!アタック(音の立ち上がり)がぼやけている」とにらんで間違いありません!

このテンコ盛り部分を元に戻してやればアタックがはっきりした「歯切れのよい低音」になります。

WEB音楽配信の時代になる以前の20世紀1990年代の「アナログレコード」併売期には前途したように、「ハウリング対策」として当時の一般人では聞くことのできない無用の長物?だった50Hz以下の重低音はマスタリング段階でフィルタリングされて、(0~20kHz帯域の)CDですら聞こえないような微小レベルでしか記録されていませんでした!

その反面「CDラジカセ」や「ミニコンポ」「MDウォークマン+耳掛けイヤホン」で聴き栄えのするように「100Hz」テンコ盛りが常用されていました。

グラフィックイコライザーを用いたBass(低域)「360sound」聴取標準調整
  • 100Hzを-2㏈に↓。
  • 50Hzは±0dBのまま。
  • 25Hzは↑ 1979年以降のデジタル録音では+2dB、それ以前は状況(※41)に応じて+4~+6dBアップ

参※41)もともと50Hz以下がカットされて全く入っていないコンテンツも多数あり、その場合は事故防止におために±0で、当サイト関連記事 お気楽クラシック CDナビコーナーでは 狸穴総研推奨設定を記載しています。

グラフィックイコライザーを用いたCBSコンテンツのTreble(高域)補正
  • 1.6K,2.5K,4K,6.3K,10K,20KHz をアナログ・テープレコーダー録音、デジタル録音の年代区別なく↓-2㏈ダウン!
  • 一般のピュアオーディオアンプ(※6)のトーン(Bass・Treble)コントロールではTrebleを-2dBにダウン。

ディキシーランドジャズ風のアップライトピアノが「フル・コンサートグランド」の音に...。

参※3)ちなみに小生が使用しているグラフィックイコライザSANSUI SE-88-は 25・50・100・150・250・400・630・1K,1.6K,2.5K,4K,6.3K,10K,20KHzの14の中心周波数ごとに±10dBの範囲で左右別々に正確に?イコライジングできます。

Windows 10付属の音声編集アプリ?「Windows Media Player」でも同じことができます!

「Windows Media Player」が登場当初、一般家庭のPCでは処理能力が追い付かずに動作が重くて?嫌われてその後、標準(推奨おまけ)アプリがWEB配信にも対応したAV系の「 Media Player」と、music系の「Grove」に分かれて現在も使っている人は少なくなりましたが...、

「Windows Media Player」は一応Windowsのパッケージの中には入っており、CDのリッピングなどには便利なアプリとして使用している人も多いようです。

このアプリの「拡張機能」(右クリック)の中の 「グラフィック イコライザー」でも同様のイコライジングができます。

こちらは帯域10分割で、左右連動 となっています中心周波数は

31,62,125,,250,500,1K,2K,4K,8K,16KHzとちょうど「オクターブ(整数倍)の関係」で調整できるようになっています。

但し調整範囲は(フェーダーにマウスポインターを合わすとポップアップ表示でdB数値が表示されますが)ほぼ目検討で正確に合わせるのは難しいですが、一般の外部(プリ・メイン)アンプのBass-Treble Control のように連動して滑らかに合わせることもできます!

勿論、中心周波数の前後オクターブの範囲だけをピンポイントで変化させることもできます。

古い時代のハイファイ?録音では、当時の家庭用LPステレオ電蓄?の特性に合わせたマスタリングが行われていて「100Hz前後の誇張&30Hz付近の重低音カット」と高音域(Treble)が誇張されたイコライジングが多いようですので、「Windows Media Player」のピンポイント補正は有効に働きます!

参※4)「PCの音楽編集ソフト」の例

WavePad FFT周波数解析ソフト (無償)のダウンロードページはこちら。

いろんなことができますが、長年事務畑で過ごされた「退役組のご年配の方?」には難しいかも...。

参※5)AVアンプの場合は ロールオフ周波数(屈曲点)が、メーカー、機種ごとに異なりますので、取扱説明書を参照してください。

参※6)一般的なピュア・オーディオアンプと言われる範疇の製品では、RIAAイコライザ補償曲線上乗せ過補償?を見越して、ターンオフ周波数1kHzの前後で、Bass、treble調整ができるように、トーン(Bass、treble)コントロール回路が備わっています。

以下はアナログLP全盛当時のプリメインアンプ中級機 TRIO(現Kenwood)の KA-4000 の例

ka4000tooncont.JPG

ka4000.JPG

ここでもわかるように、さらにローフィルターなどというとんでもない!フィルターもあり、100Hz付近をー2dB落として、80Hz以下はあっさり?切り捨てる「LPレコード用フィルター」まで備わっていました!

逆に言うと、どうもしっくりこない「デジタル録音初期・LPレコード末期?」のころの過渡期のピアノ録音などにはこの傾向が強いので、「LPマスタリング」を見越して100Hz付近を-2dB、50Hz以下は逆に+6dBぐらい上げてやり、1kHzを中心に Trebleコントロールで-2dBぐらいに設定すると、かなりオリジナル音源(マスターテープ)に近い音となり(※21)、ド派手な「ディキシーアップライトピアノ」風の音が「フルコンサートピアノ」のどっしりとした重厚感あるサウンドに代わります。


当時RCAとライバルだったCBS「360Sound」レーベルのクラシックコンテンツやPhilipsの「CD復刻版?」も21世紀の「ハイレゾ対応ヘッドフォン」で聞けるレベルまでおとなしく?なります。(※22)

参※21)当サイト関連記事 ピアノ曲コンテンツ再生のポイントは「LP盤では不可能」な高音量・重低音再生にある!はこちら。

参※22)当サイト関連記事 嘗てのLP盤ドンシャリ・マスタリング・マスターテープCD化の問題 はこちら。

日本最古?の一般オーディオマニア用グラフィックイコライザ JVC(旧日本ビクター)SEAシステム

当時から儲かる?ハイエンドオーディオ製品開発にはあまり力点を置かずに、普及価格帯で「超ハイファイスピーカー」開発に挑みマニア垂涎のARスピーカーに迫る性能を出した"不朽の名作"「SX-3」(※24)など、オーディオファン全般のレベル底上げ!を目指していた「専門メーカー」の意気込みが伝わってくるシステムといえるでしょう!

jvc_seasys.jpg

PDFファイルはこちら。jcc_seasys.pdf

長岡鉄男先生のレビュー記事などの評判で当時一世を風靡した!普及価格帯の王者JA-S5 では、LPレコード制作現場を知り抜いている「オーディオメーカー」らしく、上記のPDFの説明にもあるように、

  • 250Hzピーキングマスタリングを補償
  • カットされた「重低音」を蘇生させるための40Hz補償
  • キンキラキンのピアノ音補償のための5KHz補償

などに使用できるSEAコントロール(グラフィックコントローラー)を備えて自社のJVC(RCAレーベル))も含む「LP盤マスタリング」を補償できるようになっていました!

更に、当時のLP盤では避けて通れない「波状曲がり・反り」による「20Hz」以下の可聴帯域外のフラッター成分を回避するためにロールオフ周波数18Hz(-20dB/oct)の本格的サブソニック・フィルターも装備していました。

jvcsubsonicfilter.jpg

但し、当時レコード業界の一員であったJVCでは、業界内で行われていた「LPマスタリング」について"暴露(内部告発)?"などできるわけもなく...。

「リスニングルームでのトータルな「(定在波などの影響による)周波数特性の改善効果」しか強調出来ずに、一般人の理解は得られないまま忘れ去られてしまいました!

日本のピュアオーディオファン育ててくれたのはかつてのJVC(日本ビクター)では...

'60~'80年代のハイファイオーディオ黎明期に、日本のオーディオファンを育ててくれたのは、SONYやTechnicsでもなければ、Pioneer、TORIO,LUXMANでもないJVC日本ヴィクターだったように思います!

奇抜なアイデアで「データ一一点張り」のSONYやハイエンドオーディオの世界を切り開いたTechnics、一般層に「高級ステレオ電蓄?」を普及させたPioneerやTORIO、ごく一部の熱狂的なファン層を獲得した,LUXMANなどとは異なり、あまり特徴が無いように見られてきましたが、

画期的な無指向性スピーカーGB-1等の尖った製品だけではなくて、前途したように「オーディオファン」の底辺掘り起しのために、普及価格帯で海外製ハイエンド・オーディオに迫るスピーカーや、スタジオモニターとしてプロにも愛用された「低価格ヘッドフォン」、出血価格の「プリメインアンプ」、優れた音楽コンテンツ(LPレコード)などで、本格的「ハイファイ・オーディオ」を一般人でも気軽に楽しめる身近な存在にしてくれたのはJVC=日本ヴィクターだったように思います。

参※24)外部サイトの記事はこちら。 35Hz~20kHz/-10db と当時の25cm2Way スピーカーの中では「海外製」に迫る「ハイファイぶりでした」

第4章 録音機材の進化から眺めたハイファイ録音の進化

1887年にトーマス・エジソンが「ヴァーティカル振幅(立て振幅)」溝記録方式ろう管録音機を発明して、1887年にエミール・ベルリナーにより78r.p.m.の円盤状のSP盤が商品化されて、レコード盤の歴史が始まりました。

1925年電気録音とともにイコライジングの歴史が始まる

1925年になってそれまでワックス盤に「大型集音ホーン」で集めた音を直接刻む「ラッパ吹込み」からマイクロフォンで拾った?音を(電気信号)アンプで増幅してカッターヘッドで刻む「電気吹き込み」がアメリカで実用化されその後世界に広まりました。

この頃に、ウェスタン・エレクトリック(Western Electric)社製の単純なシステムとブランズウィック社製のlight-ray方式(※1)を用いたシステムで電気録音が始まったわけですが...。

可搬システムとして手軽?なウェスタン・エレクトリック方式の電気吹き込み「ロウ盤録音機」が主流となったわけです。

しかし、ブランズウィック社が開発した「ラテラル」レコード盤記録方式そのものはその後の45・45方式LPステレオ開発時に生かされました。

参※1)光学記録*いわゆるトーキー映画に用いられた光学サウンドトラックと同じ記録方式で録音セッションの容易化や放送録音に対応できる長時間記録を可能にして、さらに「ラッパ吹込み」で用いられていた「音量:振幅」に対応させた溝を盤面に対して「垂直方向に刻む」グルーブから、盤面に対して水平方向に刻むラテラル方式盤面カッティングを用いて78回転盤(SP盤)の音質を格段に向上(ハイ・ファイ化)させましたが...、

従来のSPと振動記録方式が90°異なるので専用ピックアップアップカートリッジを使用した「電蓄」でしか再生できなくて、おまけに専用電蓄では旧来からの「ラッパ吹込み」SPの再生ができない!などの「互換性」と「映画用」の光学(高額?)フィルムを使用するために、録音現場ですぐに「プレイバック」再生出来ないなどの問題で、普及しなくてレコード制作事業から撤退してしまいました。

この時に「イコライジング」記録・再生方式も実用化されました

SP時代に「電気吹き込み」が始まって以来、楽音をそのまま録音すると。「振幅が大きくなりすぎて」SP盤の厚みでは賄いきれず、それを避けるために小さなレベルで記録すると、一般的に普及していたバネ巻き駆動の機械式「ラッパ蓄音機」では再生が困難になったりするので、大きな振幅のBass(低音域)を小さくして、小音量(ピアニッシモ)の時に聞こえずらくなる「treble(高音域)」を強調してレコード盤に記録する「イコライジング」が用いられるようになったわけですが...。

  • 振幅を抑えるために(250Hz付近~1KHzをターンオフ周波数として)-6dB/oct (※22)でBassを圧縮
  • 同じく2~5kHzをターンオフ周波数として+6DdB/oct で高域(treble)強調補償

という風に各社思い思いの?「イコライジング」(周波数補償増幅)カーブを用いて補償量(増減量)を設定していました。

参※22) 6dB/octとはオクターブ(倍列周波数)当たり6dB(+は実数比2倍、-は実数比で1/2)増減するという事です。つまりターンオフ周波数1kHzでは500Hzで1/2の音量に、250Hzでは1/4に125Hzでは1/8にという風に、半分づつになっていき、31.25Hzでは1/32の振幅まで圧縮されているわけですが、ドンシャリマスタリングでは50Hz以下がさらに急激に(-12dB?/oct)程度カットされていて、さらに20Hz以下はサブソニックフィルタで-20dB(実数比1/10)?/oct程度までカットされていますから、同じコンテンツでも「CD」などに比べて全くと言ってよいほどに重低音が含まれていない迫力に乏しい「しょぼい音」にマスタリングされているのが常でした。

テープレコーダーの登場

1898年 ピアノ線を用いた磁気録音式ワイヤーレコーダー「テレグラフォン(Telegraphon)」誕生とともに始まった磁気記録は、ドイツで研究開発が進み1928年にはテープレコーダーの原型が誕生して1935年に「マグネトフォン(Magnetophon)」としてAEGから市販されるまでになりましたが、まだまだ音源録音に使用できるような代物ではありませんでした!

1939年~1941年にかけて独の化学メーカーBASF社がテープ材質の改良を行い、1938年ごろほぼ同時期に日本、ドイツ、アメリカで交流バイアス方式が開発されて以後実用に耐える長時間高音質録音が可能となり、ナチスドイツのプロパガン放送のツールとして実用化されることとなりました「振ると面食らう?」とベルリンフィルの貴重な音源がたくさん残っているのはこのおかげです。

今から見れば当時のテープレコーダーはお粗末な代物ですが、ワックス原盤直接カッティング方式に比べて、録音時間・音質(周波数帯域)ともに飛躍的向上を果たしました!

戦後アメリカで実用化した「ステレオ録音再生」もこの頃試験されていたそうです。

ヨーロッパ戦線終了とともにアメリカに持ち帰られる

ヨーロッパ戦線終了後この技術(テープレコーダー)がアメリカ軍に接収されて、アメリカに持ち去られて1944年のアンペックス社の誕生などにつながりました。

第2次大戦終戦後荒廃したドイツのBASF社に代わって「3M」社が磁気テープの改良・開発を続行して1949年 頃から米国製の業務用テープレコーダーが米国はもとよりヨーロッパのメジャーレーベルでも相次いで使用されるようになりました。

1949年 - 米RCA初の1/4インチ幅磁気テープ用の自社製オーディオ・テープ・レコーダー(RT-1?)を開発、製造。

1951年 スイスStuder(民生用Revoxブランド)社が業務用の「Studer A27」が発売開始されて、瞬く間に世界のレコード会社や、放送局の録音スタジヲに普及しました。

ステレオ録音の時代へ

1953年10月6日 - RCA 2チャンネルステレオ実証録音を行う。

ステレオ初期の「オリジナルマスターテープ」には重低音もたっぷり

ステレオ初期の録音では、当時のマイクロフォンの低感度?を補うために「極端なオンマイク収録」を行っていたようで、マスタリング前の「オリジナルマスターテープ」には重低音もたっぷり含まれていたようです。

この頃の1956年から1960年代初頭のステレオ初期の録音盤の「デジタルリマスター」盤の中には素晴らしいものも!数多くあります。(※41)(但し、"箸にも棒にも掛からない"ような粗悪リマスター!盤もあるのでご用心を...)

参※41) 録音当時66dB程度のS/Nしかなかった音源が、近年のデジタル技術(コンピューター)の進歩でTreble域では-100dB、Bassでも-80dB程度まで、楽音を損なわづにノイズ消去!できる様になりました!

つまり、アナログテープレコーダーで記録された記録音源も、デジタル記録音源並みに「Low noise化」が図れるようになったわけです!

※ハイビットA/D変換を行い、ノイズ相当のビット部分のデータを削除して、データ補完アルゴリズム(計算手法=ソフトウェア)で楽音再現修復するのが一般的な「デジタルマッピングリマスタリング」になります。

録音時の最大レベル+3VUが一般的な775mvでS/N;peak -70dBであった場合

32bitでデータマッピング(A/D変換)を行い当時のアナログテープ音源が(ヒステリシスカーブの非直線部分も含めて)総合S/N70dBであった場合は。

32bit量子化ではAC波形の片側31bitで31bit:1,073,741,824stepとなり0.7nV/stepとなるわけで、ノイズレベルが-70dBですから出力にして約0.237mV≒35step つまり 7bit以内に収まっているわけです。

そこで32bitのデータの内25ibitから21bitまでの8bit分70stepのデータを「マスキング」して残ったデータをもとに演算で波形を補完してやると、ノイズ部分が消えて楽音が残るわけです!

ある程度のp(小音量)まではこの方法で楽音を損なわずに波形が再現できます!

※波形は単純なサイン波ではなく、大きな振幅の低周波を倍音成分で変調したような細かなリンキング(高周波成分)を含んだ波形になっているので、一定レベル以上の部分では波形補完が可能となります。

更にマスキング効果で、大振幅時には小さなノイズが目立たなくなるので、ノイズ除去は基準レベル-18dB以上では必要なくなります。

マスキング効果を利用したデータ圧縮法でデータを圧縮しているのがおなじみの「MP3」圧縮や「MD」圧縮なので、その逆の理屈に当たります。

つまり、一部データが欠けていても、聴感上はあまり気にならない訳です。(というより気づかない)

ノイズ・リダクション(NR)・システムの登場

1966年 米国ドルビー研究所が開発したドルビーAタイプノイズ・リダクション(NR)・システムを英DECCAが採用。

それまで70dB程度だったS/Nが10dB以上改善されて80dB以上になり、アナログテープレコーダーの宿命「ヒズノイズ」が気にならない程度まで改善されました。

デジタル録音機の実用化

量子化bit数と総合S/N比、ダイナミックレンジの関係

  • 3bit;8step≒18㏈
  • 5bit;16step≒24㏈
  • 6bit;32step≒30㏈
  • 7bit;64step≒36㏈
  • 8bit;128step≒42㏈;
  • 9bit;256step≒48㏈
  • 10bit;512step≒54㏈
  • 11bit;1024step≒60㏈
  • 12bit:2048step≒66㏈
  • 13bit:4096step≒72㏈
  • 14bit:8,192step≒78㏈
  • 15bit:16,384step≒84㏈
  • 16bit:32,768step≒90㏈
  • 18bit:131,072step≒102㏈、
  • 19bit:262,144step≒108㏈
  • 20bit;524,288step≒114㏈
  • 21bit;1,048,576step≒120㏈
  • 23bit:4,194,304step≒132㏈
  • 24bit;8,388,608step≒138dB
  • 28bit:134,217,728step≒162㏈
  • 29bit;268,435,456step≒168dB
  • 31bit:1,073,741,824step≒180㏈
  • 32bit;2,147,483,648step≒186dB

但し、別項の「量子化ノイズ」(※20)はこれとは異なりますので総合的なS/N比はこの値とは異なります。

つまりWikipediaの解説にもあるように、16bit量子化(32,768step:90 dB)のCDでは量子化ノイズはS/N比で96 dB ある訳ですが「ダイナミックレンジが96dBあるわけではありません!」

実際にはA/D変換では、DCレベルをデジタル変換するので、AC波形の振幅範囲としては、1bit差し引いた値(※21)となり16bitでは15bit:16,384step≒84㏈という事になりさらに楽音の最低分解能6bit;32stepのうち片側5bit;16stepを差し引いた10bit;512step≒54㏈が有効ダイナミックレンジという事になります。

NHK放送技術研究所世界初のPCMデジタル録音機の試作機開発に成功!

1969年 NHK放送技術研究所がトランスポートに放送用VTRを用いた世界初のPCMデジタル録音機(サンプリング周波数47.25kHz、量子化ビット13bit)の試作機開発に成功しました。

1972年 当時の日本コロンビアがPCM方式自社製デジタル録音機第1号機 開発、本格的なPCM録音によるレコード製作を開始しました。

1979年 1月1日、英DECCAが前年自社開発したデジタル録音機を用いて、ボスコフスキー指揮ウィーン・フィルによる「ニューイヤー・コンサート」をデジタル録音、英DECCA初のデジタル録音レコード発売。

同年4月 米サウンド・ストリーム社製デジタル録音機を採用してRCAもデジタル録音開始。

同年7月2・3日 - EMI 自社のアビー・ロードの第1スタジオにて、デジタル録音開始。

同年11月 ポリグラム(グラモフォン・フィリップス連合)初のデジタル録音を行う。

とこの年から「デジタル録音維新」が始まりました

参※20)当サイト関連記事 音声出力に現れるノイズ(擬音:幽霊音?)についてはこちら。

参※21)一般サイトのA/D変換の仕組みについての解説はこちら。

参※11)2進数の換算サイトはこちら。

デジタルコンテンツの隆盛

1986年、販売枚数ベースでCDがLPを追い抜く。

1990年代前半にかけて、LPは国内では生産されなくなって行きましたが、ヨーロッパなどではまだまだ主流で日本国内でも輸入盤などは手に入っていました。

この頃がLP盤製造用の「プリントマスター」から「CD用制作プリントマスター」にマスタリング「イコライジング」が変化しだした過渡期となっています。

但し、英DECCA盤の例(※3)でもわかるように、「共通プリントマスター」の時代で、ヨーロッパが主流の「クラシック盤」はまだまだLP盤製造を睨んだマスタリングが主流で、「後述するドンシャリ」がたでLP盤特有の「ハウリング」対策として「50Hz」以下は急激にカットする「盆スカ低音」のマスタリングが続いていました。

21世紀のデジタル音楽コンテンツWEB配信主流の時代到来とともに「長年のLP盤製造」の呪縛から解放されて、重低音を遠慮なく?詰め込み、極端なTreble域大盛!?マスタリング(イコライジング)が成を潜めだしました?(但し。アナログLP盤製造用のプリントマスターは相変わらず...)

参※3)流通の主流がアナログLP盤からCDに移り、さらに21世紀に入って2001年10月23日にiPod が華々しく登場して、類似の半導体miniプレーヤーが市場に出回るようになりこの頃のCD新譜リリースから「重低音」切り捨てマスタリングは影を潜め?「重低音聴取」が可能となりました!

付録 クラシックメジャーレーベルの変遷

classicsrabel.gif

 classicslabels.pdf

 

公開:2020年2月26日
更新:2020年3月22日

投稿者:デジタヌ

ハイレゾオーディオはWEB配信音楽コンテンツに席巻された!レコード業界の生き残りをかけた敗者復活戦?TOPギタリストは知っている「重低音」の重要性!...オン・マイクの効果とは?


 

 



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