連載《 YAMAHAサブウーファーNS-SW500長期使用レポート 》ー第2回ー
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第1節 JBL A520 とのクロスオーバー設定について
多くのサブウーファーで用いられている「底面開口部を含む側面ポート配置」は、指向角の法則(※1)と、聴感の錯覚:指向(思考?)特性を用いたいわばマジック!です。
つまり、限られた振動面積(直径)しか持たない振動板では、
「2m近い口径の巨大ウーファー」を作ったとしても、指向角は中心軸から90度=水平つまり球面波に近い音場となります!
(※但し最大音圧は中心軸上=真正面となり弦バスのような無指向性の球面波を出す点音源とは異なります!)
したがって、スピーカー本体前面とポート面の両面が90°ずれていても両方の音が聞こえることになります。
参※1)当サイト関連記事 『建築音響工学総覧 』第2巻 音響工学の基礎知識(音の反射と指向角 ) はこちら。
ご注意;※印は当サイト内の紹介記事リンクです。
但し、その他のリンクは当事者・関連団体の公式サイト若しくはWikipediaへリンクされています。
第0項 サブウーファーに多いポート背後(or底面)開口方式の訳とは...
※1、指向性については『第2章第1節指向性(指向角)』 をご覧ください。
但し、理論通りにならないのは、実際の振動板では「ピストン運動」とは別に「分割振動」と呼ばれる現象が発生して、局部的な振動が起こり、振動板の「実効的な径」が変化するので、実際の指向角は、必ずしも入力信号の周波数には依存しません!
第1目 中・高域が十分にカットできていない!NS500
NS-SW500 YAMAHA(ヤマハ) サブウーファー
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ここでもう一度NS-SW500ノ仕様を紹介しますと、
- ドライバ 25㎝コーンSP
- 再生周波数帯域 20~160Hz/(ピーク-10dB/ツマミMax 140Hz) となっていますが...。
サブウーファーにしては中・高域が伸びてシマッタ!NS-SW500。
AクラスでもBクラスでも、Cクラス?でもない「D級」増幅の高出力デジタルアンプで駆動しているはずなのに?
最柊増幅段の出口の「ハイパスフィルター」の特性がいまいち!のようで...
小生の聴覚テストでは、High Cut周波数ツマミを下限いっぱいの40Hzに設定しても、
40HZ以上の音はあまり急激にはカットされていない!ようです...
25cm 振動版の理論施行角は
音圧が"O"になる指向角は θo≒77°xλ/D であらわされますから。25㎝径の振動板では
1084Hz より高い音は正面から90°そっぽを向かせると、直接伝わって来なくなることになります!が壁面で反響するので...
さらに、中心軸上より-6dB(.1/2)小さくなる理論指向角は θー6dB≒55°xλ/D となり下記の表のようになります。
- ●100Hz:ピーク-10dB(1/3)波長λ≒3.486m ※中心軸からの理論指向角90°以上(ほぼ無指向性)
- ●160Hz:ピーク-20dB(1/10)波長λ≒2.179m ※中心軸からの理論指向角90°以上(ほぼ無指向性)
- ●1.8KHz:ピーク-30dB)(1/30)波長λ≒0.194m ※中心軸からの理論指向角32.7°(解放角度65.4°)
- ※Max 2.8KHz:ピーク-40dB(1/100)波長λ≒0.125m ※中心軸からの理論指向角27.5°(解放角度55°)
※いずれもSP正面中心軸上で!測定
※カッコ内は実数比
スピーカー正面の再生周波数は2.8kHz!程度まで確認できて!
2WAYSPシステムのツイーターとのクロスオーバー周波数近くまで"鳴る"ユニット!のようです?
逆説的には「メインスピーカー」のウーファー(&スコーカー)帯域まで音が出ている状態で、"逆相設定"にするとメインSPシステムの低・中音域の音をキャンセリング!してしまい、コンビを組む「メインSP」との"相性"の悪さ!(セッティングの難しさ)につながっているようです!
第2目 JBL A520とのコンビネーションでは
小生のメインスピーカーは13cmメインユニットを使用したJBL A520なので...
NS-SW500ではカットオフ周波数を上げると、
「前面スピーカー」が重低音再生に占める割合が多くなり、
A520のように意外と低域(逆相)が伸びているSPシステムと組み合わせると、
「位相合わせが面倒!」になります。
ヤマハ推奨設置法では問題が...
NS-SW500自体の(ドライバユニットと共鳴ポートの)スムーズなつながり?のために、
ヤマハご推奨の「リスナー」から25cmSPユニットと「レゾネーターポート」が聞こえる(見えるように)45°設置を試しましたが...
ヤマハのマニュアル通りに設置しても、
推奨値カットオフ70Hz以上で使用すると100Hzぐらいで「谷間」(音痩せ!)が現れてしまいます!
※以下Test position 1 ・2は カットオフ70Hzから120Hzの間で数ポジション試しましたが、音痩せの傾向は変わりませんでした!
A520の仕様と公称周波数特性
- ♥ツイーター 20mm径ドーム型 -6dB有効指向角 ≒48度(両振りで92°/20Kz)
- ♥ミッドレンジ(スコーカー&ウーファー) 125mm コーン型 -6dB有効指向角 ≒38度(両振りで76°/4Kz)
- ●クロスオーバー周波数未公開につき不明、但し公称周波数特性 80~20KHz(peek-6dB)
A520は
ポート開口部正面での実測で50Hz程度から-16dBほどの低域再生能力があり、
公称t値(80Hz/-10dB)よりも低域はよく伸びています。
但しスピーカーの裏側の音なので逆相!(※公称値はスピーカー正面の音圧を測定するため。)
第1項 Test position 1 レゾナンスポート上面!設置
天井に向けても「音のつながり」面では良好な重低音が得られましたが...、(但し事項に示す下面開口設置にくらべると...)
また、「狸穴ホール?」(※7)の天井は軽量発泡コンクリートパネル並みに高強度で、上部開口設置も可能ですが一般家庭ではこのセッティングは不可能でしょう?
★※注意 あくまでも自己(事故!)責任で...
取説の注意書には、「スピーカーは倒したりして水平ポジションでは使用しないでください、必ず垂直で使用してください!」
とあるようにすぐには影響は出ない?でしょうが「長年使用」して「ボイスコイルのダンパー」が老化!すると、フィードバックコイルの為に「通常より重い!」駆動部分を支えきれなくなり「中立位置(0入力point)がずれる!」恐れがあります!
あくまでも自己責任でお願いします!
スピーカーベースは do It your self ...
台板は450mm□の18mm厚の米松の集成材(ランバコア)を利用して、
約150mmΦの穴は段付きに加工して、
防護ネットを落とし込んで、淵はシリコンシーリング材でしっかりシーリングしました。
参※4)当サイト関連記事 SONY MDR-Z1000 その3 リスニング編はこちら。
※5、かつて、宝物にしていた?アルティックのアクティブスピーカー(のセンターバスユニット)の、開口部からネズミが侵入してSPが食いちぎられた苦い経験から...)
スピーカーの高さ設定に関して
基本スピーカーの肝となる「中音域」を受け持つフルレンジスピーカー(またはスコーカー)を「着座位置で耳の高さに」セットして、主に16kHz以上の高音域を受け持つツイーターと「指向性がない」サブウーファーは適当な高さでも構いません!
NS-SW500はポート(この部分から30HZ前後の重低音が放出されている)部分(側面)が下方に向くように台板(18tX450□の米松集材)に150Φぐらいの開口部を開けて台として使用して、100□(2/1)の合成材に、蝶番で固定すれば「ポート」の角度が調整できるサブウーファー台が完成します、寸法を決めてスケッチを用意すればホームセンターで(有料)加工してくれます。
あとは、メインスピーカーの真ん中に設置して、試聴を繰り返しながら上反角度と前後位置を決めればよいでしょう。
第1目 Test position 1 バスレフスピーカー連携(逆相)ポジション1
バッフル面を15°程度前傾させて、SP前面からの直接音がメインになるようにセッティング。
第2目 Test position 2 バスレフスピーカー連携(逆相) ポジション2
前面スピーカーが30°程度の倒立に近い状態まで傾けて使用!
ポートが正面から見える程度まで」寝かせているので、
多少100Hzの谷間がやや深くなり50Hz程度で重低音が盛り上がった音になり、ショパンのバラードなどには最適?
あの「ガツン」とくる左手の音が腸(はらわた)に響く感じにはなりましたが...
★第2項 共鳴ポート底面設置法!
第1目 一般的な他社製のバスレフ方式サブウーファーでは
100Hz以下では波長が 音速348.6m/sec ÷ 100Hz≒3.5m なので、30cm径のスピーカーを用いたとしても波長に比べて十分に小さく、「点音源」同様に無指向性に近く、ポート開口部とSPユニットが90度そっぽを向いていても全く問題は生じない訳です!
以上の理由でポート開口部を底面(床面側)また背後に設置して360度拡散される音を利用する方式が多く採用されているわけです。
NS-SW500でも倒せばこの手法は可能なので、まずはパイプラックで宙に浮かせて?予備実験を行い、試行錯誤の結果それなりの有効性も認められたので本格的に底面開口部付きの"WSP(スピーカー用傾斜角可変設置)ベース?"を製作して実証試験???を行いました。
簡単なのは前途同様に可変角ベースを作り、側方に傾斜させて、共鳴ポートが天井を向くようにすればよい(Test position 3)わけです。
※、以下はすべてA520の低域特性(※3)の良さを利用してHigh Cut 周波数ツマミは最低の値の40Hzにして、Volume は5のポジションで使用しています。
参※2)当サイト関連記事 指向性(指向角)と音の広がりはこちら。
★第2目 レゾナンスポート下面配置テスト
上のように約30度上反させて設置すると...
A520のバッフル面とSW500のSPとレゾネーターポートを同一面上に並べることが可能!となります。
「重低音の transient(応答性)がよくなり、歯切れのよい重低音となります!
結果は狙い通り、愛用のSONY MDR1000Z ヘッドフォン(※4)並みに「地を這う重低音!」がクリアーに聞こえるようになり大変満足しています!
また、ポート前部にあるメタルネットは(ネズミ、蜘蛛、ゴキブリ...などの)小動物侵入対策ネット(※5)としてオプション?で調達した「SUS製の調理用洗い篭!」です。
第3項 試行錯誤の果てのたどり着いた共鳴ポート前面設置!
そこで、前途した「NS-SW500」の中域特性を「無効化!」するために、
NS-SW500のSPユニットを90°側方に向けて、なるべく「A520」の中高域に影響が出ないように、「ポートスラント」設置を試してみました!
前途のとおりNS-SW500の25cmSPユニットは、
理論値では1,084.5Hz以上の音は、指向特性を持つようになり、リスニングポジション正面からは直接音が♥聞こえなくなります。(但し壁面反響音は生じる)
一方(スピーカー正面のー6dB落ちで)852Hz以下ぐらいから聞こえ出し、850Hz以下の音はほぼ球面波に近くなるので、
90度そっぽを向いていても100Hz以下を担当するサブウーファーとしては全く問題がない
わけです!
NS-SW500は共鳴ポートが味噌
NS-SW500は「ヘルムホルツレゾネーター(ポート)」で重低音域の音圧を稼ぐ方式なので、CutOff周波数を、最低値40HZに設定すると、25cmSPユニットからの直接重低音成分はほとんどなく!
正面を向いてなくても全く問題ないどころか、90°位相のずれたサブウーファーノイズ(中音域)を聞かなくて済む!のです。
公開:2018年12月22日
更新:2024年3月12日
投稿者:デジタヌ
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