連載『 ハイレゾオーディオ High resolution とは...』ー第7回ー
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前書き LPレコード " ハイレゾ 説"は"都市伝説"にすぎない!
「アナログLPレコードにはたくさんの情報が入っていて、自宅でハイレゾデジタル化したほうが素晴らしい音が聞ける???...」
というのも"真っ赤なウソ"とまでは言いませんが「都市伝説」の一つぐらいに考えておいたほうがよいでしょう!
フルディジタル・プロセスで制作された国内制作アナログLP盤?とUSBアウト付きのチープな「オモチャLPレコードプレーヤー」の組み合わせではノイズ・歪の発生源が増やしているだけです!
WEB配信コンテンツを iPhon + Bluetoothヘッドフォン で聞いたほうが"よほどまともな音"が聞けます!
第1項 疑似アナログLP?の問題...
デジタル嫌いアナログメディア懐古趣味・信奉論者の貴方に問題提起...
別項でも詳述しましたがデジタル嫌いの方は、「デジタイズの際に捨てられるデータ」に起因する「量子化歪み」と「幽霊音」に代表される「ディザノイズ」が「耳につく」ようで...
今のLP盤復活人気はiPhone+WEB配信に対抗して、レコード制作・オーディオ機器メーカー連合が業界に関係の深い一部ジャーナリストやミュージシャンを巻き込んで「生き残りをかけたプロパガンダ・一大キャンペーン」にすぎないでしょう?!
LPレコードに代表されるアナログオーディオの世界は、「クオリティー=お金」の世界です。
CDやネット配信に代表される「ディジタルオーディオコンテンツ」のように比較的「リーズナブル」に高音質=忠実再生 ができる代物ではありません!
金に糸目をつけなければ、ある程度のクオリティーは得られるかもしれませんが...、数万円の範疇では「LP」に刻まれた情報をすべて「音」として取り出すことは不可能!でしょう!
Iphon+BluetoothヘッドフォンでWEB配信のストリーミングコンテンツを楽しむほうがずっとお手軽に良い結果(※1)が得られます!
参※1)当サイト関連記事 《オーディオ・マニア的クラシックコンテンツ・ナビ》その1 デジタヌ流着眼(聴)点とは...はこちら。
ナンセンスの極み玩具LPプレーヤーについて
最たるものは数万円のUSBインターフェース付きの「オモチャLPプレーヤー?」
この手の「オモチャLPプレーヤー」を使って「高音質?を標榜」する最新の「企画もの重量級LP」を「デジタイズ」して「高圧縮のMP3音源として」「iPhone」に取り込んで、そこから「Bluetooth」接続の「チープなヘッドフォン」を"トランスデューサー"として音声変換して聴取して一体全体どこが「アナログ」なの???
第2項 今や原音収録は全てデジタルの時代!
日本国内の録音スタジオは
東京の各所にある録音スタジオはすでに全部デジタル化されていて、アナログTAPE RECODERはBuck Up予備機としてすら存在しません!
つまりいろいろな問題(※2)を抱えているにはせよ、今や収録は全てデジタル記録の時代。
維持管理が大変なので嘗てのアンペックスやスチューダー、3Mなどの2インチマルチトラックレコーダーはすべて姿を消しているし、第一Tape そのものが製造されていなくて入手できません!
さらにアナログレコーディングに必需品のアナログミキシングコンソールや後述するドルビーAタイプに代表される"NR(ノイズリダクション)ユニット"も国内ではメジャーレーベルスタジオ以外では見かけなくなりました。
但し、国内メジャーレコード会社では総合S/Nが96dB(実質Dレンジ50dB)しかない昔の機材(※1)に収めるために、Dレンジ圧縮に使われたドルビーAタイプNRユニットは"音源"Tape再生用として大事に維持管理されています)
どうしてもアーティストがアナログ録音に拘るとすれば「渡米」してメジャースタジヲを使うしか手はないでしょう!
参)dB(デシベルとは)比率を表す"表記"で20xlog(実数比)で表される数値で、20㏈で10倍、40㏈で100倍!と大きな倍率を(対数目盛で)圧縮して表すことができて便利です。
更に、人間の「音圧」感知は「リニアスケール」ではなく「対数スケール」になっているので音圧(音量)測定などによく用いられる表記です。(つまり実際には100dB=100,000倍の音でも100倍程度にしか感じない!)
後述する騒音測定の場合では「健常者」の最低感知できる音圧(音量)の平均値を"0dB"としてそこからの倍率(+表記)で表されていますが、オーディオ機器ではPeek値からの-dB表記となるのが一般的です。
参※1) 量子化bit数と総合S/N比、ダイナミックレンジの関係。
- 16bit:32,768step≒90㏈(実ダイナミックレンジ10bit;約54dB)
但し、後述する「量子化ノイズ」はこれとは異なりますので総合的なS/N比はこの値とは異なります。
つまりWikipediaの解説にもあるように、16bit量子化(32,768step:90 dB)のCDでは量子化ノイズはS/N比で96 dB ある訳ですが「ダイナミックレンジが96dBあるわけではありません!」
実際にはA/D変換では、DCレベルをデジタル変換するので、AC波形の振幅範囲としては、1bit差し引いた値(※21)となり16bitでは15bit:16,384step≒84㏈という事になりさらに楽音の最低分解能6bit;32stepのうち片側5bit;16stepを差し引いた10bit;512step≒54㏈が有効ダイナミックレンジという事になります。
それにしても、44dB程度しかなかったアナログ録音当時のダイナミックレンジからは飛躍的に向上したわけです!
参※21)一般サイトのA/D変換の仕組みについての解説はこちら。
参※11)2進数の換算サイトはこちら。
第2目 編集もデジタルマスタリングが主流に
マルチマイクマルチトラックの"デジタル音源"から2CH・STEREOへのトラックダウン・ミキシングを主とする"いわゆる「マスタリング」"もいろいろ問題を(※0)を抱えていても、今やノンリニアのデジタル編集が定着していて、アナログミキシングコンソールを備えたミキシングスタジヲは国内にはなくなっている状況です。
つまり現在国内で制作されているAnalog LP盤はフルデジタルプロセスで制作されていて、カッティングマシーンへの送り出しに用いられるマスタートランスポート(媒体)も「デジタルトランスポート(CDR)」で制作されてプレス工場に送られていて(※21)、後述する分類で言うと「フルデジタルプロセスで制作されたアナログLP?」という事になります。
参※21)国内製作盤ではプレス工場の設備の(カッティングマシンがアナログマシンにしか対応していない)都合で、マスタリングの段階済みの32bitデータをD/A変換して2トラックアナログレコーダーに収録しなおしてプレス工場に送られているようですがつまりDDAプロセスですが...輸入盤ではプレス工場の設備も対応していてCDRもしくはWEB経由でデジタル転送!されています。
第3目 原盤(ラッカーマスター)制作&LPプレス段階での問題
さらにはLPプレス工場で使用されるカッティングマシーンについているカッターヘッドのノイマンSX68の維持管理やドライブ用の「300W」管球式Amp」の維持管理も大変でまともにSX68登場当時の「1960年代の性能」が維持されているかどうかは?...
2020年現状の国内製作アナログLPでは「ノイズ・歪」の発生プロセスが増えてノイズが増加するだけ!
つまり現状では国内製作アナログLPは原音採取から一般音楽愛好家が聴取するまでに「ノイズ・歪」発生デバイス(プロセス)が増えているだけ!
参※3)海外(ヨーロッパ)では、一部の「お金持ちハイエンドオーディオマニア」のために原音採取(録音)時点から、CD制作班とは別建ての「アナログ」収録特別部隊が録音機材(Tapeデッキ&ノイズリダクションユニット)を用いてアナログ録音を行い、「アナログ原音」はアナログ機材のあるミキシング・スタジオでミックスダウン・マスタリングを行い、2CH・STEREOアナログマスターTapeとして「プレス工場」にアナログ持ち込みして「入口から出口」までフルアナログプロセス!で制作した「プレミアム盤」が少ロット生産されているそうです。(なんとまあ...贅沢な!)
しかし、前途した録音機材・LPプレス工場設備の維持管理の問題でLP全盛期の音質に迫れているかは?...。
第5目 最終的には「オモチャLPレコードプレーヤー」の問題
まとめますと、
1、プロ用ハイビット・ハイレゾ(24ビット、32bit )録音機材で100dB以上のダイナミックレンジを持つオーケストラの生サウンドを24bit;8,388,608step≒138dB(実ダイナミックレンジ18bit;約102dB)で収録
2、デジタルマスタリング(マルチトラックから2Chステレオへのトラックダウンミキシングと16bitへのデータ圧縮)
3、デジタルマスターをD/A変換してアナログマスターテープを製作。
4、アナログ盤をプレス。
5.おもちゃプレーヤーのチープカートリッジをトランスヂューサーとしてLPグルーブをトラッキングしてアナログ再生。
6、おもちゃプレーヤー付属のチャッチくてジッターだらけの「デジタイザー」によるUSBデジタル転送、
7、MP3「ロスだらけ圧縮」によるiPhone保存。
8、問題だらけの「Bluetooth」転送。
9、チープな(DAC使用)「Bluetooth」ヘッドフォンをトランスデューサーとして使用して聴取
となるわけで「3~6」はCDなどのデジタルコンテンツでは通過しない余分なプロセスで特に「3・4・5・6」は決定的に音質悪化!につながっています。
結果として、iPhon で同じ内容のWEB配信コンテンツを直接聞いたほうが「よほど真ともな音」という事になります!
第2項 「フルディジタルプロセスLP制作?」の問題点
32bitで記録されたデジタル録音マスターを、32bitディジタルコンソールで2CHにトラックダウンミキシング、編集、イコライジング、プリエンファシス(ダイナミックレンジ圧縮)などの32bitディジタル「ノンリニア編集」を行い16ビットにデジタル・ダウンスケーリングD/D変換して(CDRなどのメディアで)16bitCDプリントマスターを制作するわけですが、この時ついでに?マスタリングされる「アナログLP用プリントマスター」の問題点の一に「 ドンシャリマスタリング?」があります。
第1目 マスタリングスタジオでは
1954年 RIAAイコライジングカーブが標準に...
実は、、SP時代から「電気吹き込み」が始まって以来、楽音をそのまま録音すると「振幅が大きくなりすぎて」隣のグルーブと干渉!したり、それを避けるために溝の間隔を広げると結果として周回数?が足りなくなって録音時間が短くなったり、あまりにも大きな振幅になりすぎて、「針飛び」するなどの問題が生じて、各社思い思いに!
- 振幅を抑えるために(250Hz付近~1KHzをターンオフ周波数tpして)-6DdB/oct (※22)でBassを圧縮
- 同じく2~5kHzをターンオフ周波数として+6DdB/oct で高域(treble)強調補償
する「イコライジング」(周波数補償増幅)を用いて、(溝間隔の縮小による)録音時間の長時間化とハイファイ(treble領域の拡大)化を図っていたわけですが...、
1954年 以降はRCAが提唱してRIAA(アメリカレコード協会)が賛同して1kHzをターンオーバー周波数としてBass・treble補償するRIAA規格イコライジング補償が標準・規格化されたはずですが...。
各社、いろいろな思惑があって、特にCBSなどは、「treble側を盛り」、逆に正しく「無用の長物」である「50Hz以下の大振幅・長波長の重低音部分」をばっさりカット!して,100Hz近辺を盛って!「当時の電蓄」でもハイファイらしく「聴き栄え」するように「原盤(プリントマスターテープ)をマスタリング」してプレス工場(原盤カッティング&プレス)へ送っていたようです。
ヨーロッパでも、当時のEMI、DECCAはRCA寄りのRIAAイコライジング遵守派の「比較的素直な周波数特性で」、後に、ポリグラムとしてグラモフォンと統合されたフィリップスは、電蓄も作っていた、電機メーカーが母体だったので、電蓄サウンド?のCBS「360sound」風にドンシャリ型?
参※22) 6dB/octとはオクターブ(倍列周波数)当たり6dB(+は実数比2倍、-は実数比で1/2)増減するという事です。つまりターンオフ周波数1kHzでは500Hzで1/2の音量に、250Hzでは1/4に125Hzでは1/8にという風に、半分づつになっていき、31.25Hzでは1/32の振幅まで圧縮されているわけですが、ドンシャリマスタリングでは50Hz以下がさらに急激に(-12dB?/oct)程度カットされていて、さらに、20Hz以下はサブソニックフィルタで-20dB(実数比1/10)?/oct程度までカットされていますから、同じコンテンツでも「CD」などに比べて全くと言ってよいほどに重低音が含まれていない迫力に乏しい「ショボい音」にマスタリングされています。
しかも「やけに100hz近辺が盛り上がった「ボンボン言う」Bassと「キンキラキン」の「Treble」で、後述するように「ハイレゾ音」と勘違いしてしまうのでしょう?
参※)当サイト関連記事 現在SONYグループの一員となった嘗ての米2大レコードレーベルの音の違いとは?はこちら。
というわけでLP盤当時のピュアオーディオアンプでは
当時のピュアオーディオアンプでは、これを見越して「RIAA規格」の上乗せ補償?を逆補正!するために、RIAA曲線のターンオーバー点1kHz近辺にロールオフ周波数を設定したBass Treble(トーン)コントロールを装備した製品が多く見られました。
第2目 初期のステレオカセットデッキでFMエアチェック程度では...
当時から7寸径オープンリールの4トラ.19cm/sec ステレオテープデッキを所有しているような一部の「オーディオマニア」の間では当然「LP盤マスタリング」の問題は知っていたはずですが?
事実小生もその事実(LPマスタリング)は知らずに、「これらの機能」を駆使する以前に知人に「転売」してしまいました!(残念...)
当時テープデッキといえば当時のベストセラー"カセットデッキ"SONYのTC-2130しか持ってなく、当然ヘッドフォンにも興味はなく「重低音の重要性」には気づいていなかった時期でした。
もっとじっくりと取説を読んで「深読み」すれば...とも思いますが。
現在のLPマスタリングでも
現在新譜として発売されている「フルディジタルプロセス」のアナログLP盤?制作に使用される「LP制作専用プリントマスター」音源は、前途した以外にも、レコード盤の「製造上の問題」および「再生環境」を考慮した「LP制作専用マスタリング音源」となっていますが、このアナログ盤用マスタリングが曲者!で...
- 「50Hz以下の重低音カット!100Hz付近大盛?のドン・スカ低域音。
- 1kHz以上のtreble上乗せピーキング処理。
いわゆる「ドンシャリ」傾向の強いマスタリングがされています!
これはかつて、(後述する)一部のオーディオマニアを除いては、`50年代後半から90年代中頃までのLP、EPシングル最盛期であった頃の一般人のレコード盤再生環境が、ステレオ電蓄ラジオ、ラジカセ、ミニコンポ、と変遷はあったものの劣悪?で、100Hz以下の低音域は再生不可能!、10kHz以上の高音域もかなり怪しいという事で、見栄え(聴き栄え)する必要から、「RIAA」(※5)補償カーブ順守はそっちのけのマスタリングになったようで...、
現状でも、この状況はあまり変化してなくて前途した「オモチャLPプレーヤー」などではハイファイ再生には無理がある!ので?レコード盤最盛期当時そのままの「伝統的マスタリング」が行われているようです。
更に当時アナログテープで運ばれたLP原盤は「32bitハイレゾ音源デジタル・データ!」としてプレス工場に届けられている!ようです。
これでアナログLPの良さ?が発揮できるとは思いにくいのですが...。
第3目 CD・LPプレス?工場では
CDは
CDはCDプリント工場に16bitCDRのプリントマスター形態で送られてそこからCDプリント原盤を制作して→CD(16bitクローン)制作となるわけですが。
LPプレス工場には
LP制作専用プリントマスターとしてマスタリングされた32bitハイレゾ音源(SSD)をDACでアナログ変換して「300W」の管球式駆動アンプ→SX-68カッティングヘッドとなるわけです!?
これで一体どこがアナログLPといえるのでしょうか?
第4目 現状の日本国内制作では
実際には、現状国内にある一般の「レンタル録音スタジオ」の機材は古くて、
最新の高品位フルディジタルコンテンツいわゆる「ハイレゾ音源制作は行えない」のが日本国内の現状です!
公開:2020年2月 9日
更新:2024年3月 4日
投稿者:デジタヌ
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