判り難い 国産『 地ビール 』の種(酒)類について《 甘辛 ビール 放談 》
「クラフトビール」とはビールの酒分け(酒類)のことでは無く、「手作りのビール」という意味、つまり「地ビール」と同じ意味です。やれクラフトだ、やれドラフトだ、やれラガーだ、やれエールだ、やれヴァツェンだ......といわれても一体全体何のことやら?。
デジタヌがわかりやすく?解説。
ビールにまつわる難解な用語解説
やれクラフトだ、やれドラフトだ、やれラガーだ、やれエールだ、やれヴァツェンだ......といわれても一体全体何のことやら?
「ドラフトビール」とは
野球ビール?ではなく「生ビール」のことです。
「ラガービール」とは
ラグビー選手ビール?ではなく、「下面発酵ビール」のことです。
「エールビール」とは
声援するビール?ではなく、「上面発酵ビール」のことです。
そして「クラフトビール」とは
「手作りのビール」という意味、つまり「地ビール」と同じ意味です。
国内各地の地ビール醸造業者は2つの系統に
日本各地の地ビール醸造業者(ブリュワリー)は大きく分けて2つのグループに別れます
「ドイツ系ラガービール」のブリュワリー
ドイツから醸造設備を輸入しドイツ人の「ブリューマイスター」(※2)を招聘、ないしは醸造技術者をドイツに派遣し醸造学を学ばせ、醸造管理の難しい「低温長時間下面発酵」のラガー(ピルスナータイプ)の醸造を行っている、ある程度の生産規模を持つ醸造会社。
「北米系エール・ビター」醸造のマイクロブリュワリー
マイクロブリュワリーの盛んな北米から、機材を輸入し北米流「エール・ビター」を少量醸造している、いわゆる「マイクロブリュワリー」(※1)。
全くのど素人がビール造りを始めるのに適しているのが「エールビター」であり「マイクロブリュワリー」です。
エールビターは常温上面発酵なので、ラガービールに比べて醸造学に関する高度で専門的な知識もさほど必要なく、簡単な講習会(機器の取り扱い手順等)を受講すれば、「標準レシピ」である程度の「味わい」をもったエールビターが醸造できます。
ビールの発酵方による酒分け
その1 「常温上面発酵」のエールビール
「常温上面発酵」のビールの総称を「エール・ビター(Bitter)」といいます。
種類製造免許規定(※1)年間最低数量60Kリットルギリギリのいわゆるマイクロブルワリーで主流の地ビールです。
出芽酵母を用い、常温で短い時間で発酵を行う醸造方法で、盛んに炭酸ガスを出すために酵母が浮かび上がり上面で層を作るために上面発酵と呼ばれています。
ビールの先祖
ラガービールが普及するまでは、ビールといえばこのタイプのエール・ビターのことでした。
リンゴ、パイナップル、バナナ、いわゆる果実に似た香り(エステル臭)と「フルーティー」な味わいを特徴とするビールです。
典型的なエールは、ラガーよりも甘味があり、コクがあります。
(カナダ・アメリカ等北米大陸で修行?ないしは北米から設備を購入した)北米系の日本各地のマイクロブリュワリーでは、次の様な酒分けが主流です。
1-1 アメリカンエールの一般的な酒分け(分類)
「ペールエール」 (Pale ale)
淡い色の「大麦麦芽」(※2)を使用して醸造するビール。
イギリスのパブなどで供されている『 Bitter』がこれです。
アルコール度数は 3から 4% 以上です。
「インディア・ペールエール」 (IPA)
大英帝国時代にイギリスからアジアの植民地に運ぶ輸出?するため、腐敗を防ぐ為にホップを強めて濃い比重で醸造された「苦みのキツイビール」です。
「アンバーエール」
北米で用いられている「やや濃いスタイル」を示す酒分けです。
「レッド・エール」
レッド・エールは赤みのある色をしたエール。
一般的には低アルコール(一般に4%くらい)です。
日本に多いアメリカ流のものはアイルランド、ベルギーのものに比べてレッド・エールの中では苦味が強いビターです。
「ブラウン・エール」
ブラウン・エールは色の濃い「大麦麦芽」を使用しています。
ホップが軽く、かなり口当たりのよい風味であり、ナッツの様な風味がするビターです。
1980年代前半に北米の地ビールで、このスタイルが人気と成りました。
日本ではゴールデンエールと称しているマイクロブリュワリーもあります。
「ダーク・エール」
濃く焙煎した大麦麦芽を使用して醸造したビターです。
色は茶色から黒まで幅広く、アルコール度数の強いものは「スタウト」として知られています。
「ギネス」のような甘くないアイリッシュスタウトが有名です。
1-2「常温上面発酵」のジャーマン・エールの酒分け
ジャーマンエールは、比較的低温で発酵する傾向があり、麦汁生成過程の違いで「イギリスのエールよりコク」があります。
「ヴァイス・ビア&ヴァイツェン・ビア」(Weisbier&Weizenbier)
ヴァイス (Weiss=白い)呼び名の通り、白ビールのことです。
小麦麦芽を大麦麦芽に加えて使用し、上面発酵で醸造されるビールでバイエルンの人々に親しまれています。
醸造場所と製法の細かな違により様々な名前が付けられています。
※ヴァイスは原料麦芽の小麦/大麦比率の小麦50%以下でドイツのバイエルン州でのみ使われる酒分けです。
※ヴァイツェンは原料麦芽の小麦/大麦比率の小麦50%以上でドイツ全土での呼び名です。
「ドゥンケルヴァイス&ドゥンケルヴァイツェン(Dunkles Weisbier & Dunkles Weizen))
「Dunkles(濃い)」デュンケルビールは濁った無濾過のビールです。
バイエルン地方においてもう1つの典型的なビールである後述するヘレスよりも甘さのあるビールです。
デュンケルビールを黒ビールと間違って説明しているサイトが数多くありますが、あくまでも濃色の濁ったビールをこう呼びます。
「ヘーフェ・ヴァイツェン」(Hefeweizen)
「Hefe」は酵母。
ヘーフェ・ヴァイツェンは「小麦ビール」で上面発酵ですが、「ヴァイスタイプ」とは異なる風味を持ち、果物のエステル風味が特徴です。
無濾過のビールのため容器に沈殿物が残っています。
「アルトケルシュ、ヴァイス」 (Weiss=白い)
小麦を原料とする(バイエルン洲)ミュンヘン近辺の白っぽいビール。
ホップの苦味が少ないことが特徴です。
ヘーフェ・ヴァイス(Hefeweizen)
無濾過の酵母(Hefe)を含んだ小麦の半濁色の白ビール。
ビールが濾過されていないため容器に沈殿物が残っています。
「クリスタルヴァイス」(Kristallweisbier)
クリスタルヴァイツェン(Kristallweizen)とも呼びます。
ヘーフェヴァイツェンを濾過して酵母を除いた小麦ビール。
濾過処理によりビールに濁りを加える小麦タンパク質も除去され、見た目は透明(クリスタル)です。
ベルギー白ビール(biere blanche)
ヴィットは大麦の麦芽と麦芽化していない小麦で造られる上面発酵のエールで、ベルギーで醸造されています。
その2)ラガー(低温長時間下面発酵のビール)
チェコが起源とされる下面発酵で醸造されるビールのスタイルの総称です。
低温(10℃以下)で長時間発酵を行います。
日本でのビールの分類では「貯蔵工程で熟成させたビール」のことで「ビールの表示に関する公正競争規約・第4条」によって定義されています。
一般に切れのよい苦みとなめらかでマイルドな味わいを持ちます。
ハッキリい言って、メジャーラベルはラガービール「ピルスナータイプ」しかつくっておらず「ラベル(銘柄)」間でハッキリと判るような味覚の大きな差は無いのは事実でしょう。
現在国内各地で醸造され、一般に入手可能な地ビールは、以下の様なタイプです。
「ピルスナー」(ウルケル)(Pilsner Urquell)タイプ
チェコのピルゼン地方が発祥とされています。
大麦を原料とする黄金色の地ビールがこれ属します。
ホップの苦味が特長です。
私達が普段口にしている日本のメジャービールはこのタイプの「ラガービール」です。
「メルツェン」(Marzen)
赤みがかった琥珀色のビール。
「ヘレス」 Hellbier(Helles Bier)
ヘレスは「淡色(Hell )」のビールです。
その3)醸造方(ラガー、エール)によらない酒分け
ボック(Bock)スタイルのビール
南ドイツバイエルン地方のローカルビールで下面発酵、上面発酵のような醸造方とは違った酒分けのビールです。
「ボック」(Bock)
濃褐色で特に濃い色のビールです。
「ドッペルボック」(Doppelbock)
濃い小麦のビール。
アルコール度の高い(7%-12%)ボックビール。
高アルコールで麦芽の甘味が強いのが特徴です。
ギネスの様に焙煎している麦を使用した黒ビールです。
ヴァイツェンボック(Weizenbock)
小麦(Weizen)を主原料に用いた無濾過ビールでメルツェンビール(3月に醸造される季節限定)のビールです。
酵母を含むため、濁っています。
果物の様な香り(エステル臭)があるフルーティーなビールです。
参考1)ドイツのビール法(ビール純粋令)
ドイツ国内でビールを醸造する場合にはbeerと表示できるアルコール飲料は原材料の規制で水・麦芽(※3)・ホップのみで福原料(※4)は一切使用しない飲料物と規定されています(但し輸入ビールは適用外)
※1)(日本の酒税法の種類製造免許では年間製造最低数量60Kリットル
※2)醸造責任者、日本酒における総杜氏のような存在。
※3)麦、特に大麦の種子を発芽させたものを麦芽と呼びます
※4)トウモロコシ、米、ジャガイモなどの、デンプン類や其の他の原料。
公開:2017年8月24日
更新:2019年9月30日
投稿者:デジタヌ
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