狸穴ジャーナル・別冊『音動楽人(みゅーたんと)』

連載《ブリジストン・アルベルトe 電動アシスト自転車長期レポート》 第4回

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第4回 行きはよいよい帰りは恐い?

自宅から直線距離にして約35㎞の地点にある水間観音まで往復約80㎞のサイクリングで「実用アシスト走行可能距離」を確認してみた。

往路は国道170号(通称大阪外環状線)旧道経由の40.3㎞(サイクルコンピューターで実測)、復路は府道30号経由の39㎞でのロングツーリング!

結果から先に言うと、帰着時でバッテリー残量15%(20%を切ると1%刻みに表示が変わる)なのでアシスト可能残量10%までは5%の余裕がありまだ数㎞は走行できた!

★第1節 走行距離79.25㎞ 実走行時間6時間31分!のサイクリング

往路詳細

実は、Googleマップでコースを事前に調査しておいた"つもり"だったが、約5㎞程見積もり間違いをしていた。(※1)

更に旧170号は意外と「起伏に富んでおり」自宅の標高25m~目的地標高72.9mの水間寺迄途中標高206.4mの天野峠を含めて8か所の峠道と小さなアップダウンが続く!

※往路は地図上の見張り台マークがpeak pointで 自転車マークがボトムを示す。帰路の浸水マークは低地部の標高

標高25.8mの起点玉手橋交番前から順に

連続登り坂 河内長野金毘羅宮付近標高107m(標高差81.2mの長い登り)

  • 下って標高95mの310号石川橋から国道170号バイパス天野山第1トンネル標高194.7m)迄の(標高差99.7m!)の登り坂、
  • 下って標高175mの金剛寺前から市境峠標高206.4m迄の(標高差31.4.m)の登り坂
  • 下って標高170.2mの集落入り口から標高174.8m迄の集落中央まで(標高差4.8m)の登り坂を経て下って標高109mの国華園本店前付近から福瀬町東交差点をを通って地蔵堂付近標高145.8m迄の(標高差36.8m)の登り坂
  • 下って標高110mの横山集落から槙尾」中学校南交差点標高126mを経ての登り坂大野町交差点付近標高133mの橋を経て大野町交差点近くの標高171.5mの峠まで(標高差61.5m)の途中3m程度の起伏のある登坂
  • 標高140.8mの百滝桜側の橋集落中央部の144mを経て124mの若樫不動尊前
  • 村はずれの127.4mを経て次の集落の入り口の橋標高111.5m迄下り標高137.6m のため池まで標高差26.1mを一気に駆け上がり、
  • 途中バイパスを通って奈良池前交差点で左折して標高116.5mの小川にかかった橋集落の境界120.3m,を経過
  • 牛滝川手前の93.6m迄下り地蔵堂近くの標高153m迄標高差59.4mを駆けあがり。
  • 岸和田市に入って河合集落標高102.4mまで下って、最後の峠124m迄標高差21.6mを登って
  • 後は長い(約2.2㎞)下り坂を下って目的地水間寺標高72.9mに到着。

これだけアップダウンがあるコースは関東丘陵地帯?でも少ないと思われる。

さすがにこれだけの起伏になるとバランスモードでも27.5㎞の地点でイエローゾーン(※2)の55%となり、「走破を断念しようか?」と思ったが、あと10㎞程度のつもりだったのでそのまま続行した、実際は目的地の水間寺までの往路の実走行距離は40.3kmで到着時点でバッテリー残量は45%まで低下していた!

参※1)Googleマップは、「平地換算」距離で表示されるので、起伏の多い山間部では「実距離より短く表示」される、峠道では6%ほど上増して計画を立てたほうが良い

参※2)「アシスト走行可能バッテリー残量は10%以」上なので片道利用容量は90%/2=45%つまり55%以下は「日帰りサイクリングイエローゾーン」という事になる。

できるだけ起伏の少ないコースで我慢を強いられた帰路

復路の標高72.9m水間観音から出発点の交番前標高25.5m間の起伏概要は

復路は距離的にもあまり変わらない「堺周りの比較的平坦なコース」で帰ることにした。

水間観音→上松交差点区間
  • 標高72.9mの水間観音から連続下り↓で区間最低地点標高44.4mの交差点で最初の右折。
  • 右折後標高57.6m迄↑登り、そこから区間最低地点41.9mまで下り↓さらに標高46m迄登↑地点で左折、
  • 左折後右折を経て間最低地点29.6m迄下り↓さらに標高36.3m迄登って左折して府道に
  • 集落内を抜けたのちに府道に出て土生交差点が標高24.5m、近道をもくろみつぎの区間最低地点標高24.3mの上松町交差点で右折して区間最高地点45.9mの山下町交差点迄の標高差22.2mを無駄に浪費!

府道30号 上松交差点→取石6丁目南交差点区間

府道30号迄戻り標高24.3mの上松町交差点から堺に向けて再出発(この区間の最高地点24.3m最低地点11.2m標高差13.1m

  • 途中下松駅東出口信号あたりで標高18.0m
  • 小松里信号 区間最高標高24.3m 
  • 西大路町信号付近 標高17.3m 
  • スギ薬局前のバス停付近が標高19.3m
  • 小田公園入り口付近標高17.5m
  • 和泉市役所前が標高20.9m
  • 和泉保健所前 標高18.6m
  • 和泉中学校信号付近 標高19.1m
  • ローソン和泉王子町店付近で 区間最低標高11.2m
  • 大阪和泉泉南線交差点付近で 標高15.8m 
  • 貝吹山古墳前 で標高14.5m
  • その後高度を上げて 標高16.3mの 取石6丁目南交差点へ
府道38号 泉大津美原線区間

(この区間の最高地点51.6m最低地点16.3m標高差35.3m

  • 取石6丁目南交差点 区間最低標高16.3m
  • クボタ建機付近 標高38.1m
  • 和田川僑で 標高19.4m
  • 今池側  区間最高標高51.6m
  • 南海高野線の陸橋(歩道僑)は手押しで通過
  • 美原ロータリー 標高39m
府道31号 美原ロータリー→出発点区間

(この区間の最高地点46.6m最低地点20m標高差26.6m

  • 美原ロータリー 標高39m
  • 「東除川」を超える橋で標高31.9m
  • 野中寺の手前 区間最高標高48.8m
  • 応神天皇陵付近 区間最低標高20m
  • 名阪国道高架橋付近 標高25.2m
  • 藤井寺市民病院前付近 20.6m
  • 交番前標高25.8mに無事到着。

帰路の最高地点標高51.6m最低地点標高11.2m標高差40.4m、実走行距離39㎞、バッテリー消費30%で走行できた!但し一部バランスモードも併用したがエコモード(アシスト比1:1)主体での走行距離。

全行程では

前輪アシストモーター駆動・電力回生システムは丘陵部の多い関東平野?や埼玉県の山間部では効果が期待できるか...?

朝10:30に出発して帰着が19.35分、(走行時間は6時間31分)走行距離79.25㎞ 最高地点標高206.4m最低地点標高11.2m標高差195.2m

徒歩の約3倍の平均時速12.2㎞!は予定通りのエコ走行!。

但し、登りでも最高速度を抑えるのにかなり苦労したのと、帰路の一般道は、往路に比べて起伏は少ないが、信号が多く「go stop」の繰り返しで、かなりエネルギー効率が悪かったように思われる。(※1)

79.25㎞をバッテリー消費85%でアシスト走行できたという事は0.94㎞/%という事になり、起伏の多い関東平野?でも、この程度の実用燃費?は出ると思われる。

参※1)結果的には、適度の信号待ちは「モーター(マグネット)」の過熱防止に効果があって、信号の少ない郊外の一般道より「アシスト力低下現象」は出にくかった?

この辺の事情は 丘陵地帯での実用試験編は 第6回で詳述

誤り訂正と追加情報

前回、電力回生は平地で10㎞以上24㎞/h以下の惰力走行時と坂道のみと記したが、これは誤りで「後輪ブレーキ使用時は停止寸前まで発電ブレーキが利く」が正しいので訂正とお詫びをいたします。

更に、10㎞/h以上24㎞/h以下の速度では傾斜があると「上り下りにかかわらず」回生(発電)ブレーキが作動します。

したがって「自転車操業?」をやめると"上り坂"!でも「ブレーキがかかり」10㎞/h以下に減速してしまいます。

★第2節 理想的な街乗りサイクルを考える

関東丘陵地帯?ではやはり8段変速のほうが向くかも?

今回は、神奈川県、東京都武蔵野・三多摩エリア、埼玉県西部山間部を想定して日帰りサイクリングを行ってみたが、大阪平野、富山平野などの平野では「駅までの通勤通学」に最適な5段変速機も「1、2、3速のギア比が広く「帯に短し襷に長し」状態?

やはり丘陵地帯では「よりクロスレシオの8段変速機」が適当かもしれないと実感した次第。

電動シフターが必要な11段変速機は、コスパが悪いとしても、通常のグリップ変速に対応した8段変速機ならば大してコストアップにならない!(※3)。

普段使いの「通勤・通学・お買い物」を考えた場合、特にお買い物用途では積載量が大きく変化するので、より細かく勾配に見合った「踏み込み力とペダル回転数」のバランスを考慮する必要があり、"丘陵地帯"で"坂道の多い"関東丘陵地帯!では5段変速機では「中途半端感」は否めない!

参※3)当サイト関連記事 電動アシスト自転車《購入・使用レポート2020 》ブリジストン・ アルベルトe その3 はこちら。

シティサイクルにこそほしい前後サスペンション!

帰路39kmの走行で「お尻に豆」ができてしまった!

こんな経験は初めて!「スーパーコンフォート」サドルでこんな調子だから、カッコつけて「ロードバイク」用のスリムなサドルを装着していたら...。

つまり、以前ロングツーリングをしていたころは、「前後サス」付きのクロスバイクに乗っていたので「多少の段差」はサスペンションが吸収してくれてなんともなかった訳!

車道より「1段高い」プラットホーム状歩道が主流となっている現状対応のため

前世紀から唱えられていることだが、日本では車道側に設けられた「自転車専用レーン」は東京の極一部でしか実現されてなく、ほとんどが歩道上に設けられた「自転車走行可」の車・歩共用歩道!

これが街中での「自転車による対人事故」の原因の一つにもなっている!

更に悪いことに、車道よりも一段高い「プラットホーム状」の歩道が主流となっている!

最近は歩道と車道の段差がない道路が普及してきてはいるが...(事実小生が通勤していた府道は2000年に入ってから改修工事がなされて、このタイプになった。)

日帰り80㎞サイクリングを体験してみての結論は、

「日本の道路環境ではサスペンションは必須では?」という事。

帰り道のほとんどの区間で「幹線道路」を利用したので、車道と歩道との縁石のわずかな凹凸(約15mm)の連続がかなり堪えた!

★第3節 ブリジストンならではのプレステージ・シティーサイクルを...

ブリジストンのデザイナー(設計屋)さんは、生産技術には長けていても、もしかすると自らは自転車通勤しないで「マイカー」通勤している自転車があまり好きではない人たちなのかもしれない?

自転車愛好家なら、「街乗り自転車」の必須機能がわかるはずなのに...。

街乗り必須項目

  • アルベルト(カーボンベルト)
  • 内装8段変速機
  • 前輪ハブインナーモーターアシスト駆動
  • 電力回生システム
  • 前輪サスペンションフォーク
  • ★後輪サスペンション
  • ★前後ディスクブレーキ
  • 点灯虫(てんとうむし)強力LEDライト
  • 両立スタンド(センター)
  • スーパーコンフォートサドル
  • ロングレッドXTタイヤ
  • 泥除け
  • 「フロントバスケット」
前後ディスクブレーキの必要性について

現在後輪は(冷却)フィン付きの内部拡張がたの「ローラーブレーキ」つまりドラムブレーキが採用されているが、初回にレポートしたような(標高差約255m)全長約5.4kmにも及ぶような長い下り坂では、後輪ブレーキが過熱する懸念がある!また雨天時にはどうしても前後共に効きが甘くなる!

なので前後ともにディスクブレーキを採用したほうがより安全!

後輪ディスクについては、内装8段ギヤーはすでに「ローラーブレーキ・ディスクブレーキ」両方式対応可となっているので後はフレーム(リサスイングアーム)側だけの問題。

クランクユニット一体型のスイングアームが必要

後輪サスペンションに対応するアルミタフフレームを開発すれば、前輪フォーク周りは「リアルストリーム」のものを(上部の鞍を)一部改造するだけで使用できる...というより新たに開発したフロントフォークを「クロスファイア」に流用すればコストダウンになるし?クロスファイヤーの前輪フォークの強度アップにもつながる。

尚、後輪周りはフレームともども、新たに開発する必要があるだろう!

カーボンソリッドベルト用にクランクユニット一体型のスイングアームの開発が必要となってくる。

但しこれも過去において、アンダーフレーム中央で折れ曲がる「後輪サス」が実用化されていた。(アイデア倒れであまり売れなかったので生産中止になった?)

この時の発想を拡張して、後輪スイングアームのピボットはクランク最低地上高程度まで下げて、ピボット周りの(ねじれ)強度を上げて、クランクシャフトはダンパーピボット側に変更すれば、シャシー全体のねじれ強度と「カーボンソリッド」ベルトが共存できるはず?

バッテリーの搭載位置変更などについて

バッテリーは競合メーカーのように逆転発想で、センターポストのフロント側に装着すれば問題なし!

プレステージモデルとして20万円の大代を超えても便利なものは売れる!

他社の例から見ても、これだけの装備で20万円の大代を超えても、「後から改造」するよりは十二分にメリットはあるので「現状のアルベルトe」程度の需要(生産量)は確保できると確信している。

以下の比較のように、中小のビルダーを除いて大手メーカーでは、現在この手の「高級街乗りサイクル」はラインアップされていない。

製品規格としては「ねらい目」ではないだろうか!

ブリジストンの現行ラインアップでは

前輪のみだが「サスペンション」付きの電動アシストサイクルとして「リアルストリーム」という車種があるが...。

この自転車は「チェーン駆動」「後輪アシスト」というどこにでもある?仕様で「カーボンコグドベルト駆動」 と 「前輪駆動(による電力回生)」という他社にないブリジストンの2大セールスポイントが生かされていない!」

競合大手メーカーが発売している同種の「スポーツ車?」の中では20万円をきるお買い得価格となっているが「ブリジストンならではの特徴」が一つもない!

つまり、「見掛け倒しのお買い得車?」になり果ててしまっている!

[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

電動自転車 リアルストリーム ブリヂストン 26インチ 2020 rs6c48
価格:159500円(税込、送料別) (2020/4/25時点)

自転車プローウォカティオ での参考価格。

これは汎用(量産)車種から「電動アシスト車を派生させる」というブリジストン流の「プロダクト企画」のためだと思われる。

楽天ビック(ビックカメラ×楽天) さんでの参考価格

確かに、前途した「内装8段」ギヤー、は実現されているし、オプションでフロントキャリヤ、フロントバスケット、泥除けセットが用意されていて、「通勤・通学」用のシティーサイクルとしても最低限機能する仕様になってはいるが...。

ワイドスーパーバッテリーライト、ソーラーテイルなどの灯火器のオプションが無い!さらに街乗り必須の「オートロック両立L型(パワー)スタンド」もない。

はっきり言って「帯に短し襷に長し」

前輪サス付きの他社製電動アシスト自転車の例

Panasonicサイクルでは

ジテンシャデポ での参考価格。

ちなみに、現在この手のバイクでは国内最高価格¥600,000-の受注生産品XMーD2は、前後サスは装備しているが肝心の「駆動アシスト」が後輪駆動で、買い物かごや泥除け、センタースタンド等の街乗り必須項目が無い!ので街乗りには使えない!が...。

ブリジストンサイクルの商品企画と違って自転車への愛情「夢・ロマン」みたいなものを感じる!

MarutomiAuto さんの参考価格。

いずれも通常型のクランク連結のチェーン起動後輪アシストタイプ!

前輪アシストタイプは老舗の大手では「丸石サイクル」も製造しているが、「制御機構」を簡素化して「回生機構」は装備されていないし、サスも無いので「安い」以外は取柄が見当たらない!


 

公開:2020年4月17日
更新:2024年3月12日

投稿者:デジタヌ


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