狸穴ジャーナル別冊『音楽便利帳』

入念な作り込みが生む、むらのない音色と優れた音程 《 購入レポート 》Cello&Cooトランペットその3

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音程は"入念な作り込みが幸いして"YAMAHA製高級スチューデントモデル(2枚取りベル)並みにフォーカスしやすい、アンサンブルで問題になることは無いだろう。

さらに、このクラス(価格帯ということではなく)になると、Jマイケルで気になった、ピストンポジションの違いによる"トーンのむら"※は全くといって良いほど無い。

※普及品の場合、開放管と各ピストンをおさえた場合(スライド経由時)で、同じ吹き方でも"音色"を保てない楽器も少なくない。
特に"全押し"の場合は差が出やすく要注意である。

本機のベルはレッドブラスだが、実際のところ材質がイエローか、ゴールドか、レッドブラスかでさほど違いは出ない、マウスピースのカップ容量とスロート径の違いの方が音色に大きく影響する

トランペットの"作り"に限れば、むしろ表面仕上げの方が影響大で、金属素地の"仕上げ無し"か、"クリアラッカー仕上げ"か、"銀メッキ処理"かで"響きかた"に違いがあらわれ安い、順に、マウスピースの"カップ容量"と"スロート内径"の音色に及ぼす悪影響を受けづらくなる。(一般的には、浅かったり、スロート内径が細いカップは"痩せていて下卑た音"になりやすい。)
"銀メッキ仕上げ"にすると"キンキン"、"ベーベー"の下卑た響きが和らぐ。

本機は銀メッキ仕上げなので、マウスピースに対する許容度も大きい。

さらにフォルテッシモでも音が割れにくくダイナミックレンジも大きい。

予てから小生は"音程"と"音色"は切り離して考えることができない密接な関係にあると考えている。

事実、普及品はエレメンタリレベルの奏者でも"芯の音が出せる様になれば"平均率"にフォーカスしやすいが、プレステージモデルではさらに"ソノリティー"を保った上でアンサンブルに必要な"広い音程範囲"に対応できる"フレキシビリティー"を持ち合わせていないと良い楽器とは呼ばれない。

為に、初心者がいきなりプレステージモデルを与えられても"音程がとりにくい楽器"という印象を持つ場合もあり得ると考えている。

これは、あまたの"中国産安物?"に多い"ピッチすら合わせられないような粗悪品"とは別の次元での話しであるから誤解しないで欲しいが!

もちろん本機は、Cello&Coo工房の"親方"曰くところの"安物?(ハイコストパフォマンスな普及品)ではあるが、限りなく高級品に近い入念な作りをしているので、初心者や初級者レベルの奏者はもとより、"音楽表現"に没頭したいような"プロ奏者"の要求にも十分にこたえられる"仕上がり"を持っていると感じた。

★解説 スチューデントモデル(普及品)とプレステージモデル(高級品)の具体的な作りはどこが違うのか?

1枚取りベルのリーズナブルなプレステージモデル? ジュピターTR-1000シリーズで仕様を見てみると。

構造的に大きく違うのはベルの作り方、高級品は1枚取りベルだが普及品は2枚取りベルが普通。
ピストン材質に関しては、最近は2枚取りベルの普及品でもモネルメタルが当たり前になってきた。
さらに、カタログ上のスペック(材質や数値)に表れない大きな違いは、"ラッパ管全体の仕上がり精度"すなわち"滑らかさ("広がり方"→軸断面のエクスポーネンシャルカーブの正確さと横断面の"真円度"と"局部的に発生する不連続な部分(凹凸)の程度)が違う。

本機を優しく"撫でて"やれば気がつくと思うのだが、この点に関しては、本機"Tp-1c"はコストに見合って、多少"滑らかさ"に欠ける部分も見受けられる。

公開:2011年3月29日
更新:2018年10月17日

投稿者:狸穴猫


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