狸穴ジャーナル・別冊『音動楽人(みゅーたんと)』

知られざるチャイコフスキーのバレエ音楽?《クラシックコンテンツNavi 》ピアノ3重協奏曲?第2番とピアノ付き協奏交響曲?第3番

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初めて聞いたような気のしない「どこかで聞いたような?」耳になじみやすい?聞きやすい曲ではあるが...、

要は「とりとめのない曲」で「難しい割には没個性?!」な曲なので「あまり演奏される機会がない」のかもしれない。

この2曲は同時期の「3大バレエ曲」(※1)に非常に酷似しており「バレエ曲」として発表していたら大成功していたかもしれない?

参※1) 交響曲第3番 ニ長調『ポーランド』(1875年出版)白鳥の湖(1876年出版)、『眠れる森の美女』(1889年出版)バ『くるみ割り人形』(1892年出版)、

第2協奏曲(1879-1880年)

第1楽章

ある意味地味でオーソドックスな構成で、

ウィーンの古典派からロマン派の様式で、メロディアスではあるが、展開で聞かせるベートーヴェン的な楽曲。

という事で小生はPf;ヴィクトリア・ボストニコワ、ゲンナジー・ロジェストヴェンスキー指揮、ウィーン交響楽団が好きです。

第2楽章

ベートーヴェンの3重協奏曲(1805年出版)やブラームスの2重協奏曲(1887年作曲)を思い出させる?バイオリンソロとチェロソロが大活躍する楽章。

多分ブラームスがこの楽章を聞いてインスパイアされたのではなかろうか?

特にこの楽章は部分的には「白鳥の湖」を思い起こさせたり?してチャイコフスキーの「千路乱れる葛藤」のようなものを感じさせる?

ブラームス:ヴァイオリン協奏曲、二重協奏曲 CD
Vn、ムター(アンネ=ゾフィー)、Vcアントニオ・メネセス、H.V.カラヤン、B.P.O.

第3楽章

何か吹っ切れたようにチャイコフスキー的ではあるがどことなく「サンサーンス」の第3番(1868年出版)の第3楽章を連想させる?

パリかどこかでチャイコフスキーが聞いた可能性はある?

逆に「サンサーンス」の第5番Op103「エジプト風」(1884年出版)の第3楽章はよく似ている!

これはサンサーンスがチャイコフスキーの第2協奏曲をどこかで聞いたのかもしれない?

Pf:パスカル・ロジェ、シャルル・デュトワ指揮、ロンドン交響楽団、ロイヤルフィルハーモニア管弦楽団。

第3協奏曲(1890ー1893年)

もともとは第5交響曲(1888年出版)出版の後交響曲第6番 ロ短調『悲愴』(1893年出版)までの間に「マンフレッド交響曲」のような標題交響曲として完成させたかったようで時期的には、『くるみ割り人形』作曲時期と重なっている。

交響曲としてみた場合は、チャイコフスキー自らも「無意味な和音と、何も表現しないリズムのまとまり」として認めているように、散文的な「そのまま(標題音楽に近い)バレエ音楽」まさにチャイコフスキーの本領発揮といったところ。

交響曲としては未完のままに終わっているが...その後、ピアニストのルイ・ディエメと信仰を温め、ピアノ協奏曲に改作する気になったらしい。

実際には 交響曲第6番(1893年出版)の創作で中断して交響曲第6番完成後に再び着手して書き上げたらしい。

但し、完成された作品ではないらしい?

チャイコフスキーの元生徒で友人のピアニストのセルゲイ・タネーエフに助言を求めたが、

この作品が完全に書き終わったものと判定できないという、...チャイコフスキーは出版のために...ユルゲンソン社に送らなかった。たとえ委任出版をしたタネーエフには十分に完成しているように見えたとしても、チャイコフスキーがもっと長く生きたとしてこの曲をどのように変更あるいは推敲したかについては手がかりが全くない...。<Wikipediaより引用>

ピアノ付きバレエ音楽?

ピアノ付きバレエ音楽(標題音楽)の元祖?

もしかしてこの曲がストラヴィンスキーの名曲「ペトルーシュカ」(1911年出版)のヒントになったのでは?

前途の事情を承知いたうえで、聞いてみると...。

主客転倒?ではないか...と思わせる箇所が随所に現れてくる。

オーケストラ伴奏つきピアノ曲?ではなく「協奏曲」なのだから、まあいいか...。

でも、普通協奏曲で、「オケがメインでピアノがわき役」というのはあまり聞いたことがない!

ペトルーシュカでも「やはり」ピアノが...そういう意味では革新的!

ピアノ2重奏バージョンが先に出版されたらしいから、特に第3楽章など、そっくり「あべこべ」に入れ替えたほうが「ピアノ協奏曲」らしくなるのでは...、と思わせたりしてしまう。

確かにチャイコフスキーが「バレエ音楽」風に念入りにオーケストレーションした?凝った楽章なので、どうしても「未練」があったのではないか?

ラフマニノフのように「ブン、チャッチャ...」「ワ~」風に単純な伴奏でも、得意のメロディー「主題」ラインを、もう少し「ピアノスティック」にかき混ぜたら?面白い作品になったかもしれない。

というわけで、日本国内で公開演奏されることはなく?CDでも海外輸入盤ではチャイコの「1・2・3番」全集(complete collection)盤が発売されているが...、日本国内で発売される場合は2番を「ラフマニノフ」に置き換えて、3番はカット!した編集アルバム(compilation)盤がほとんど!

第1楽章

ピアノのカデンツァ(即興)部分を除けばもちろん初期の交響曲(第3番ポーランドあたり)に通ずるところもある。

第2楽章

パドドゥー風?

この曲でもチェロ・ソロが大活躍!

第3楽章

全体は変奏曲風だが全体に即興曲風で他のチャイコフスキー作品のようにメロディアスではない。

ディスコグラフィー

チャイコフスキーのピアノコンチェルト2・3番は現在日本国内で発売されているCDが少ないので、

チャイコフスキー:ピアノ協奏曲第2&3番、ペーテル・ヤブロンスキー & フィルハーモニア管弦楽団 & シャルル・デュトワ  が代表的なものになるでしょう。

もちろん音質は当狸穴総研・音響研究所・オーディオ研究室のお墨付き?で「英DECCA」が保証! 


 

公開:2020年2月 6日
更新:2024年3月12日

投稿者:デジタヌ


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