狸穴ジャーナル別冊『音楽便利帳』

日本でプロ演奏家と呼べる人は?《 演奏家Navi》ープロ演奏家への道ー

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前書き(要約)プロ楽師とアマチュア音楽家の境界とは?

辞書では、いたってあいまいな区分だとされていますが...

「プロ」とは「その道(音楽)を生業(なりわい)とし生計を立てている人」だと小生は考えています。

つまりは「演奏家」 「音楽家・教師(教官))」に関わらず、生計に占める主たる収入が「音楽活動の報酬」として得られている一部の人たち?です。

もちろん、作曲家も含まれます。

プロローグ 日本では、収入の得かたで決まる

日本では、収入の得かたによって「事業主」「会社員」「自由業」に2分されてしまい言い換えれば「法人組織」に属していないと、「自由業」ということになってしまう。

これを「音楽家」に当てはめてみると、以下の様になる。

第1項 法人組織(課税対象・法人資格を持っている団体)の所属員

法人組織(課税対象となる組織)の所属員でそこから収入を得ている人達、例えばプロオーケストラの団員同じく合唱団員、そして学校法人の「教職員」等は「会社員」です。

第2項 自称・職業演奏家などの自営業も

「自称・作曲家」「自称・指揮者」「自称・ピアニスト」「自称・ヴァイオリニスト」など、

は税制上もさらには刑法上も「自営自由業」の人達であり、一般社会通念においても音楽家という「職業ジャンル」は認められていない。

しかしこの人達は「プロの音楽家」であることには間違いないありません。

つまり「その道で生計を立てている人達」です、但し失礼ですが警察沙汰が起こった場合は「自由業」でかたづけられてしまいます。

※昨今自称音楽家にとっては不名誉な幾つかの刑事事件も発生しているます。

第1節 日本国内でプロの楽士として身を立てたいなら

  1. ●溢れんばかりの才能と人一倍の努力家であること、つまり実力があること。
  2. ●日本の楽壇の重鎮か現役プロオーケストラ団員の弟子になる事。
  3. ●運良く、(オーケストラで)空きポストが見つかるように天に祈ること?

現在短大、大学、大学院併せて全国には音楽コースのある高等教育機関は41校(専門学校を含めるともっと多い)有るが、ご存じのように日本オーケストラ連盟の加盟団体は準会員を入れても36団体、毎年の自然減(退団による欠員)を考えても、プロオケの団員募集(オーディション)枠は100名前後あるかないか。

たとえその人が東京芸大卒であっても、よほどの「実力と縁故と運」が無いと、音学大学を出たからと言って必ず「プロ音楽家」に成るれるわけでは無いし、ましてや「プロ演奏家」など...、

生半可な覚悟では、プロ演奏家として国内で身を立てるのは非常に難しいと言えるでしょう。

公益社団法人「日本オーケストラ連盟」(AJSO)の存在

公式サイトはこちら。

は当初より「法人オーケストラの親睦団体」である。

すなわち

「権利団体」=「ユニオン;組合」でも無ければ、 「プロダクション;手配士?」でも「プロモーター;興行主・音楽事務所」でもない。

大事なのは「著作権協会」「日本音楽家ユニオン」のような「権利団体」では無いこと

しかし、加盟条件(審査)が厳しく、AJSOに加盟できれば、真のプロオーケストラと言う事に成り、団員もプロの演奏家と認められた事になる。

第2節 日本では「音楽教師」と「演奏家・楽士」は別もの?

演奏家

演奏家から見れば;「教師は、ミュージシャンのなり損ない、またはプロの末路」

教師

教師から見れば、:「奴らは芸人・河原乞食?」扱い。

という風にお互いにライバル関係に有り、それぞれに「業界」と「閥」をもってきた。

芸大と教育大学

例えば日本におけるプロ演奏家の「戒壇院」?は東京芸大であり...一方の旗頭は老舗公立教育大学である。

そしてお互いに、芸大・音大・短大・専門学校及び一部の教育大学のゼロ免課程(解説はこちら)でひとつのグループを作り、教育大学・教育学部で別のグループを作り、お互いに牽制し合い、お互いに縄張りがはっきりしている。

更に日本は師弟関係が強い!

若手プレーヤの登竜門であるはずの「音楽コンクール」が、「お弟子さんのデビュー舞台」となり、それなりに「楽壇で顔の利く師匠?」の弟子にならないと入賞できなかったりする。

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また、いくら実力のある師匠でも日本の楽壇から離れて海外で活躍していた演奏家の弟子になっては、プロ演奏家への道はあきらめざるを得ない。

つまりは音大・芸大路線に乗らないと、教育学部へ進んだ音楽家では「教師」にはなれても「演奏家」への道は閉ざされてしまっているわけである。

音楽教師への道をたどると

教育大学系へ進み音楽教師の道をたどった人達は、理解ある学校に配属でもされない限りは後進の育成にも当たれず、何とかジュニアオーケストラを組織化できたとしても、そこを巣立った連中が「芸大・音大」の道を選ぶと卒業後、古巣に戻ってきて後進の育成に助力...とは行かなくなってしまっている。

つまり楽壇とは違う道を歩んだ指導者の下に帰ってあげたくても、プロ演奏家の道を選んだからには、それはできなくなってしまうわけである。

師匠を選び間違うと

更には楽壇から遊離した指導者の下ではたとえ本人の努力で「音大・芸大→プロ」の道に乗ったとしても、実力は有ってもなかなか定職(プロオケ団員)には恵まれず、エキストラ、スタジオミュージシャン等のパートタイマー(自営業)で終わってしまう人も多い。

教師の成れの果て...補助金目当ての利権屋

一方指導者も「若き音楽家の卵の育成を目指し、ジュニアオーケストラを主催」したものの、年を追うごとに崇高な理念を忘れ?ただの補助金目当ての利権屋に成り果ててしまっている人もいるようだ。

またかつての「ユースオーケストラ」が、団体維持(補助金確保)のため、ただの「シニア(ロートル)アマオケ」に成り果ててしまっている団体も見受けられる。

教授・教官就任は現役引退宣言?

更に晴れ舞台から身を引き、一度教師に成ると「現役を退いた」と見なされ、「演奏家としての現役復帰(業界復帰)」は難しいようである。

第3節 近年の日本の演奏水準

日本の管楽器奏者

かつては日本のトップオケといえども、「(演奏ミスを)何時やるか、何時やるか...」と管楽器奏者にハラハラ・ドキドキさせられた物であるが、昨今は「ミスがどうのこうの」と言うよりは「微妙なニュアンスを何処まで出してくれるのか?」の域に迄達して来ている。

特に金管楽器奏者の演奏技術の進歩には目を見張らされる物が有り、

マラーラーの第三交響曲のあのポストホルンのソロなど、指揮者さえ泣かせてしまう名演も聞くことができるようになった。

一方弦楽器の衰退ブリは...

かつての弦楽器王国であった頃の栄光は何処えやら...。

最近のアンサンブルの世界をみわたしても、岩元真理弦楽4重奏団や東京クァルテットに続く団体がなかなか表れてこない、状況は皆さんご承知の通り。

鈴木音楽教室(公益社団法人才能教育研究会公式HPはこちら)が一世を風靡していた頃は世界に冠たる弦楽器奏者の量産・輸出国で会ったはずなのに、...。

楽壇の有り方にも影響されたと思う

つまりヤマハがYAMAHA音楽教室と言う仕組みで,音大卒業生を吸い上げ、YAMAHAや民放放送局絡みのジュニアオーケストラやそこから巣立った若き演奏家が上部組織のユースオーケストラで経験を積み、プロの演奏家になると言う構図が各地で芽生えはじめている。

エピローグ 日本では実力があっても、世にでられず埋もれてしまう人も多い

かれこれ25年前になるが、小生が所属していたアマオケで「メサイア」を演目に取り上げたことがあった、メサイアと言えばトランペットのソロが有名であるが、当然(当時の)アマチュアでは手に負えず、指揮者が関係する某音学大学の学生にエキストラをお願いした事があった。

彼の演奏は、今から数年前に聞いた海外のオーケストラのソリストの演奏が聞くに堪えなかった代物であったこと等を考え合わせると、当時の日本のトランペット奏者の演奏水準を遥かに超えた世界的レベルであった様に思う、しかし......その後、彼の名を今に至るまで日本の音楽業界では耳にしたことがない。

実力(自身)があるなら海外を目指せ?

縄張り争いに嫌気がさし海外に飛勇していった演奏家も多い。

但し海外で名声を勝ち得ても、帰国後(引退後)必ず高等教育機関の教師・指導者の道が開かれているとは限らない。

帰国しても日本で音楽大学、教育大学を出ていないと、それらからのお呼びがかからない場合もある。

私塾(音楽教室)を開いても有能な弟子が集まるとは限らず、又集まったとしても、日本の楽壇から離れていたのでは、弟子をコンクールなどの表舞台で上位入賞させられるはずもなく、更には生計を立てるには海外で製作したコンテンツ(CD等)の印税収入のためにもプロモーションとしてのコンサート活動を続けざるを得ず、現役を引退することも出来ない状態になる場合もある。

先のことを憂いても仕方ない

結論から言うと「先のことなどどうでもよいから、どうしても音楽で身を立てたい」なら、語学を身につけ海外に飛勇しなさい!となる訳である。

いくら実力があっても、日本では前途の条件が揃っていなければなかなか「一流のアーティスト(演奏家)」として認めてもらうのは難しい!

楽壇にコネクションが無い人は海外に出て「実力でのし上がる」以外に道は無いのである。

公開:2017年8月30日
更新:2022年9月29日

投稿者:デジタヌ


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