音動楽人(みゅーたんと)

"復活?"した"巨人"!と...《Clasicical MusicコンテンツNavi》温故知新シリーズ  B・ワルターの名盤

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最近、デジタルリマスターによる1950~70年代のサナログ名録音が復刻されていますが、

ステレオ初期のこの当時の「アメリカンレーベル」には本当に凄い記録音源が数多く残されているようで、復刻版が出るたびに驚かされることばかりです!

B・ワルターのマーラー作品集

※以下コメント欄の各項目については《オーディオ・マニア的クラシックコンテンツ・ナビ》その1 デジタヌ流着眼(聴)点とは.. をご覧ください。

マーラー:交響曲第1番「巨人」・第2番「復活」・第9番・大地の歌(完全生産限定盤)(SACD HYBRID) 限定版

マーラー交響曲 交響曲第1番変ニ長調 "巨人"

ブルーノ・ワルター指揮 コロンビア交響楽団

マーラー交響曲 交響曲第2番ハ短調 "復活"

ブルーノ・ワルター指揮 ニューヨークフィルハーモニック管弦楽団、SONY CLASSICALベル)2019年10月再発

どちらも2010年にデジタルリマスター版として海外ではURANIA レーベル(※1)のHistorical Classics シリーズRestored Editionの URN 22420として 発売され、日本ではオリジナル音源の版権を持つCBSSONYの「SONY CLASSICALレーベル」から再発売された盤の限定増刷版です。

参※1)クラシック通販サイトのレーベル案内はこちら

さすがこの時期のアメリカは国力が違う!

いずれもステレオ最初期の録音ですが、マルチマイク、マルチトラックアナログテープレコーダーでよくもこれだけのHifai録音ができたものだと感心させられます。

いくらアメリカとは言え、1956年にCBSがステレオ録音を開始した頃ではノイズリダクションシステムはおろか高保磁力のハイバイアス用のハイファイテープなどまだない時代。

日本ではスプライシングテープで切り貼り編集してパッチだらけの使い古し放送用テープを何度も「使いまわして」再利用していた時代に(ために貴重な記録音源が残されていないことも多い!)、1インチ幅のテープを76cm/sec!(※2)のハイスピードで贅沢に使い3トラック?マルチチャネル記録してS/Nと周波数帯域を稼ぐ物量作戦でこれだけの記録音源を残すとは...。

参※2)その後'70年代になって市販されだしたオープンリール・ミュージックコンテンツが1/2インチ幅4トラックステレオで19cm/secなので4倍速X4倍幅X4倍トラック幅!。カセットステレオテープに至っては1/4インチ(6.3mm)幅の往復4トラック4.75cm/secなので比較すると8倍幅X8倍速X8倍トラック幅!

という怪物ぶり!、デジタル録音以前のアナログ録音最盛期には、2インチ(50、8㎜)幅16トラック!76cm/secなどという放送用VTR並みのお化けマシン(アンペックス)までありました。

デジタヌのコンテンツ一刀両断コーナー

その後の"復活録音"ブーム?に多大な影響を与えたB・ワルターの"復活"

一連の作品のうち一番最初の録音がこれです。

1957年2月に第4楽章と第5楽章の録音が行われ、翌年の2月に残りの1・2・3楽章の録音がCBSのスタジオで行われました。

nterestingness grade of the audio
  • dynamic range(ダイナミックレンジ):(ディジタルリマスタリングされたとは言え)当節の最新デジタル録音なみに50dB以上のダイナミックレンジがある!

  • S/N:S/Nについてはノイズリダクションが開発される前なので...。

    Peek-50dBのppp部分ではかなり(-6dB程度)のヒスノイズが聞こえる。

    但しこれは「ヘッドフォン聴取」のでの話で、スピーカー(以下SP)を通じて空気中を伝搬させると「環境ノイズ」以下なので気にかからなくなる!

  • clarity(明瞭度):極端なオンマイクのマルチチャネル・マルチトラック録音のおかげで「各楽器」のセパレーション「分解能」(※1)は抜群!但し多少の不自然さは否めない。
  • heavy bass sound( 重低音):

    オルガンのペダル音など、25Hz近辺の重低音(オルガン、バスドラ)もかなりのレベルでバッチリ!記録。

    ※但し後述するように、「当時のステレオ電蓄」向けの100Hz付近テンコ盛り!のマスタリング(イコライジング)なので、現在の「ハイレゾ環境」で聴取するにはユーザー側での"低域補正"が必要(※1)

    最終楽章のクライマックス部分など最新のデジタル録音に迫る凄さ!

    但し、可聴帯域ぎりぎりの20Hz当たりはかなり急激に落ち込んでいるようで「ドラ」の音は今一!

    25Hzの重低音がガンガン入っている!
  • saturation 音割れ度:シンバルなどの、鳴り物もかなりのオンマイク収録なので!fffではサチる!

    但し、バスドラ、オルガンは大迫力!

    これも前途の通り、パーカッションのfffでサチリ気味しかしメゾフォルテ以下の部分では良好。

    トライアングルも綺麗に捕えられている。

    意外や、アルトソロがオンマイク過ぎて割れ気味?: 

参※1)といっても各トラック間のセパレーション(クロストーク比)は45dB/30~20KHz程度(アナログテープレコーダー当時の標準)

参※2)当サイト関連記事 第3章 ユーザー「リマスタリング?(聴取補正)」のすすめ はこちら。

musicality
  • Individuality(個性度合い):マーラーの直弟子だけあり癖のない「スコア通りの」模範的な演奏で聞きやすい。G・ショルティと並んで違和感が少ない聞きやすい解釈!でバーンスタインとは好対照!(レニーも嫌いではありませんが、かなり強い癖、独特のバーンスタイン節が随所に!...)
  • Dependence(繰り返し愛聴度:依存ド愛?)SP再生では近所迷惑ぎりぎり手前のffff(スコアに実際に書いてある)で何度でも繰り返し聞いてみたくなる!
  • ※小生は特に割と静かな?第3楽章の「メランコリック」な「トランペットソリ(重奏)」の部分が好きで、抒情たっぷりな19世紀的な「歌いまわし」の中毒で、やはりこの部分は「ワルター盤」に限る!

その後に登場した同じCBSの「バーンスタイン/ニュージョークフィル盤(1963年録音)」や「ショルティ/ロンドン交響楽団盤(1966年録音)」やに大きなインスパイアを与えたと思われる名録音です。

この当時の日本では録音スタジオでさえモノーラル(1/2インチテープ使用の38cm/sec)の時代であり、当時の歴然とした国力の差を改めて見せつけられた思いです!

ステレオ初期のこの時代の日本ではやっとモノラルLPが普及しだしたころで、「レコード評論家」でさえ長年電気吹き込みSP盤の「音の団子」に慣らされていて、ステレオ録音に慣れていなくて、「演奏は素晴らしいが...弦が薄い...」どうのこうの.等とハイファイステレオを経験していないが故の見当はずれの評論を多く見かけたように記憶しています。

1ポイントマイクによるモノラル録音が主流だったころに慣れ親しんだ長老たちにとっては、マルチマイク・マルチチャネル・マルチトラック録音の「超ハイファイLP」には度肝を抜かれて腰を抜かし?「全く違って聞こえた」のでしょう!

※最も当時のレコード評論家の"自前"のステレオ電蓄では、このチャネルセパレーションは「猫に小判」状態で、LP盤にするために大胆に!低域をカットされたマスタリングではいくら陳腐な装置といえども「迫力不足」は否めなかったことでしょう!

さらに当時の日本はまだまだ"貧乏"で、LP2枚組に無理やり「1番・巨人」とカップリングするくらいならまだしも確か「1枚」に無理やり詰め込んだ」ような超時間盤?なんてものもでていたような記憶もありCDはおろか「SX68」カッティングヘッドすら登場していなかったこの時代では、正しい評価ができなかった!のでしょう。

さらに60年代後半にバーンスタインの全集版が出たころ、CBSソニーとして日本コロンビアから離れれたことで、このアルバムの存在は一部の「熱狂的なワルター贔屓衆」以外からはあまり顧みられなくなったようです...。

ショルティ盤がオーディオフェアの花形になり...

前途したショルティ盤が英DECCAの巧みな音作りで登場したことにより、DEMO効果満点のショルティ盤は毎度オーディオフェアーや新製品発表会では欠かせないDEMOコンテンツの定番となり、下限40Hzの当時の売れ筋コンポスピーカの性能とも相まって、復活といえば「ショルティ盤」という時代が長く続きました!

ワルター盤はある意味先進的・実験的・野心的なレコーディング「当時のLP」の性能をはるかに超えていたがために正当な評価が得られなかった名盤の一つではないでしょうか!

(stereo最初期の)このころのCBSはCBS研究所で、戦時中からハイファイLP盤開発の研究開発を行っていただけあり、素直なマスタリングでしたが...

その後1961年から 安価な「ステレオ電蓄」でも「聴き栄え」のするドンシャリ型マスタリングの「360SOUND」で大衆化r路線に転じました!

S/Nは致し方ないとして...

ノイズリダクションが開発される前のフツー?のテープレコーダーによる録音なので当時の技術ではS/Nはいかんともしがたいようですが、マルチマイク・マルチトラック録音のおかげで各楽器のセパレーション(明徴度)は抜群!

弦楽5部はもちろん各管楽器パート、そしてパーカッションに至るまでマルチマイクセッティングしているようで(しかもかなりのOn Micで)、

「えーこんな音が入ってたんだ」と思わずスコアを眺めなおすことも...。

但し、当時のマイクと伝送・ブースト用のマイクアンプではダイナミックレンジ(許容音圧)に限度があり、ffffの部分では飽和しているようで見事に音割れしている部分も多く見受(聴感)けられるます。

しかし「重低音」の補足に関しては専用の記録トラックにより「最新のデジタル録音」並みに25Hz前後のオルガンペダル音も「おるガンガン」記録されており、もうアッパレ!というほか言葉が見つからない!

当然「LP」で発売された当時は「重低音は見事にカット」されていたはず(※3)。

半世紀の年月を経て、デジタルリマスターCD盤になって初めて日の目を見た「重低音」ではないでしょうか!

参※3)当サイト関連記事 アナログディスクLP懐古趣味・信奉論者に一言...アナログ録音、LPレコードの問題点とは はこちら。

"巨匠"が残した"巨人"

この曲と「大地の歌」は191年に続けてレコーディングされました。

つまり復活とは異なり「360sound」の洗礼を受けています?

つまり当時のレコード評論家がこぞって批判した見当はずれの批判「コロンビア交響楽団の弦の薄さ」は、ほぼ間違いなしに「360sound」マスタリングによるものと思われます!

nterestingness grade of the audio
  • dynamic range(ダイナミックレンジ):前途した 復活ほどはないが45dB以上はキープ

  • S/N:-45dB時でー10dB程度だが「復活ほど」大編成ではないのでffでレベル(Dレンジ )に余裕があり相対的に5dB程度"底上げ"(高レベル)で録音されていて、ヘッドフォンでも復活ほどにはあまり気にならない!

clarity(明瞭度):復活同様に極端なオンマイクのマルチチャネル・マルチトラック録音のおかげで「各楽器」のセパレーション「分解能」は抜群!但し多少の不自然さは否めない。当時のステレオカートリッジのチャネルセパレーション(※3)の悪さを見越した「音場デザイン(「360sound)」が極端で、弦楽器は左右に、現バスと木管楽器を中央部に集める音場。

  • heavy bass sound( 重低音):

    25Hz近辺の重低音(バスドラ、鳴り物)も控えめなレベルだが記録されている。

    但し、復活とは異なり30Hz以下はかなり急激に落ち込んでいるようで「大太鼓」の音は今一!

  • saturation 音割れ度:復活に比べれば、意外とffが少ない曲なのでシンバルなどの、鳴り物も綺麗に取れている。

参※3)今となってはお笑い種のLP盤のセパレーション!

  • 当時の代表的放送用MCカートリッジ DENON DL-103で 25㏈/1KHz程度。
  • 1980年代を代表するフラッグシップシェアーV15 でも同じ。
  • 当時の先鋭機種オーディオテクニカ AT23で30dB/1KHz
  • FR-5E 30dB/1KHz、25dB/10KHz
  • Victor 4MD-!Xがディスクリート4cHレコード"CD-4"再生用として周波数特性10~60KHz!30dB/1KHz、20dB/30KHz!の物理特性を誇っていましたが...

現行の普及品「おもちゃLPレコードプレーヤーの定番」オーディオテクニカ AT-VM95で 22dB(1kHz)程度、つまりアナログディスク再生では左右のステレオ信号が-20㏈程度(つまりそれぞれ1/10ずつ)混じっているわけ!

musicality
  • Individuality(個性度合い):マーラーの直弟子だけあり癖のない「スコア通りの」模範的な演奏で聞きやすい。
  • Dependence(繰り返し愛聴度:依存ド愛?)前途したようにpp部分がピーク-45㏈程度なのでスピーカー再生でもそんなに大音量にはならないので何度も繰り返し聞いてみたくなる!

さらに、全収録曲について言えることですが、バーンスタインのように「独特な"歌いまわし"」がなく「ショルティー」のように譜面に忠実な現代的解釈でありながら、「プレーヤーの自発性を重んじる」というか「非常に色っぽい」フレージングとアーティキュレーション(強弱・アクセント)で、マーラーの楽曲の持つ官能的な一面を「節度を持って表現」した素晴らしい名演ばかりです。

19世紀の巨匠時代の生き残りであったワルターが「トスカニーニ」ほどではないにしろ「譜面に忠実な解釈」を心がけていて、20世紀を代表する一人の「バーンスタイン」が"感性重視の巨匠的演奏スタイル"なのも面白いし、また当時の聴衆から熱狂的な支持を得ていたというのも、21世紀の現代から考えれば面白い史実ではあるでしょう。

狸穴音響研究所の「ユーザー・リマスター」の勧めコーナー

1961年以降の「360sound」とはことなり、まだまだコマーシャリズムには毒されていなくてTrebleは比較的素直なイコライジングですが、いかんせん当時のピックアップカートリッジでは再生困難な「100Hz」以下は大胆にカットされています、但しオリジナルの「音源テープ」にはしっかりと記録されていたようで、デジタルマッピング盤(CD)では記録レベルは低いですが重低音も入っています。

(※以下いずれもリマスターCD盤について)

`57~ `58年録音の交響曲2番復活については 

  • Bass補正 25Hz±0dB、50Hz±0dB、100Hz-6dB!↓、150Hz±0dB
  • Treble補正 必要なし(※但しヒスノイズが気になる場合は4Khz-2dB↓)
参考までに1963年に録音されたおなじCBSのバーンスタイン盤交響曲2番復活では...
  • Bass補正 25Hz±6dB↑、50Hz+2dB、100Hz-4dB!↓、150Hz-2dB
  • Treble補正 +4Khz-2dB↓は必須に。

経った数年の間い録音機(アンペックス)がさらなる進化を遂げたようで、デジタルリマスター盤という条件を差っ引いてもノイズリダクションが無い時代にBass 89dB、treble 100dB近くのS/Nを確保しているのは驚異的!としか言えない録音ですが...、この「360sound」ドンシャリマスタリングだけは...。

`61年録音の交響曲1番 巨人 (大地の歌&交響曲第9番)については

  • Bass補正 25Hz±6dB↑、50Hz±0dB、100Hz-6dB!↓、150Hz±0dB
  • Treble補正 4Khz-2dB↓(※但しヒスノイズが気になる場合のみ)

※イコライジング方法については当サイト関連記事 ユーザー「リマスタリング?(聴取補正)」のすすめ をご覧ください。

ところでSonyさん「いったい何をリマスタリング」したの?


 

公開:2020年2月 8日
更新:2020年3月 9日

投稿者:デジタヌ

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