タヌキがゆく

百貨店はもはや斜陽産業である! 甘辛時事放談2006「デパートの今を考える」

<本レヴュー記事は03/3/2006旧サイトに初稿公開した記事のお引っ越し記事です>

第1章 百貨店はもはや斜陽産業である!

先日在阪某有名百貨店が売り場面積日本一の百貨店を建設すると発表した。

いくら巨大な"泥船"を作っても泥船は泥船、ノアの箱船にはならない!

かつて、デパートは店名自体がブランドであり、デパートの包装紙、買い物袋はステータスであった。

戦後の高度成長期において、"偽物"や"まがい物"や"コピー商品"が溢れ、安かろう悪かろうの商品がはんらんしていた時代、老舗百貨店は"安心・信頼"のよりどころであった。

メーカー、問屋にとっても一流の"老舗百貨店"に採用されるということは、一流品の証にもなった。

庶民は普段の買い物は近くの町の"どこそこ銀座"で済ませても、ここ一番は大都会の一流百貨店で安心のできる品物を手に入れた。 時は流れ、ブランドステータスはメーカーに移ったヴィトンはヴィトン、SONYはどこで買ってもソニー、サントリーはどこで買ってもサントリーの時代が来た。

唯一恭しい包装紙が威力を発揮するのは、中元・歳暮の贈答品だけ?となった。

そして、モータリゼーションの到来と定着。

休日におめかしして、家族連れで電車に乗ってデパートに出かけるのが庶民のレジャーの中心の時代は終わった。

郊外に無料の広大な駐車場を完備したショッピングモールが次々に誕生した今、わざわざ電車にのってデパートに出かけることなどしない。

例え駐車場があったとしても、お買い物のためだけにわざわざ混んだ市街地を抜けてデパートに行く必要性も必然性も偶然性?すらもないわけである。

郊外型のモールに行けば、映画館はあるし広大なフードコーナーやレストラン街もブティックもある、大型家電量販店やトイザラスおまけに庶民の味方スーパーもある。

まさしくインタラクティブなのである。

百貨店の存在はヤオハンの倒産と共に終焉をむかえていたのである。

デパート商売の旨みは"所場料商売"。

店名のブランドと外商のかかえる優良顧客を盾に法外な?出店料を巻き上げる。

しかも委託商売だから買い取りではない、不良在庫に悩まされる必要もない。

顧客側からみたメリットば"安心感"の一言に尽きる。

かつてはデパートが太鼓判を押した優良商品?を安心して手にいれることができたからだ。

これは闇市上がりの個人店舗が多かったその昔には確かに意味があったように思う。

しかしアパレル・家電・家庭用品・酒類・に至るまでしっかりした企業のブランドイメージが定着し、しかも量販店が小売り業の主流の今、はたして?......。

年寄りは変化を好まない、イヤ受け入れづらくなる。

子どもの頃や、青春の思い出に浸り過去の栄光をもう一度....と思い続ける。

しかし現実は冷酷無情である、もう二度とデパート黄金時代はよみがえらないであろう!

そこで旧態依然の経営陣にひと言。

企業として生き残りたいのなら、"時代に逆らわず、業態にこだわらず、都市型大規模ショッピングモールとして生き残りの道をはかれ!

" 百貨店はブランド貸し商売から、完全にスペース貸しに、ビジネスモデルを転換する時期にきていると思うのだが。

阪神電鉄と難波で相互乗り入れを果たし、西は姫路城、北は、京都、南は鳥羽・賢島、東は名古屋城と関西の観光スポットを網羅できる一大ネットワークが完成しようとしている今、関空、神戸空港、からのアクセスもよいU.S.J.周辺こそ、"銭"をつぎ込む場所ではないか?

出店流通業者にとっても、納品・搬入、が厄介な都市型デパートは徐々に敬遠されてきている。

例えばIONグループのように、食料品に至るまで、郊外の巨大な流通拠点でほぼ24時間大型車による搬入OKな所が流通コストが下がって業者から歓迎されている。

百貨店のように都心部の各店に各納入業者が、個別に納品・配達する時代でも環境でもなくなってきている。 .

そこでこれからのデパートの生き残り策を考えてみた。

デパートの安心感を生かすには?

まずは定番の食料品

不二屋の事件で明らかになったように、食品関係は有名ブランドでも、結構 脆弱な企業体質のメーカーが多い。

だからデパ地下の安心感は格別なのだ。

そして高級宝飾品

これまた仲間内で現物は融通しても現金は絶対貸さない様な業界。 相当の目利きでない限り本当の価値はわかりにくい。

つまり紛い物を掴まされる危険性がたかい。

そこでデパートの出番となる!

同じく美術工芸品、

これまた相場があってないようなものばかり。

高級オーダーメード紳士服

これは町中からテーラーが消えて行き一般人が入手できるチャンスが減っている。

高級輸入品、

並行輸入やWEB通販で一般人でも比較的簡単に手に入れやすくなった高級輸入品だが、できれば高級輸入文具、輸入家具、家電品、...これらは確かな"お店'で買いたい。

だからデパートの登場となる。

逆に、出所のはっきりしない紛い物の"宝庫?"中国から、デパートの"品質保証室"が"厳選"し太鼓判を押した商品を輸入販売するなどいかが。

"安くてもデパートで買えば安心"の、あのデパート神話の回復に努める。

いずれにしろこれからのデパートは

従来のショーケース・スペース貸しの売り場は大幅に縮小し、一部を高級ブティック等誘致などテナント化するなどしてプレミアムアウトレット化を計ると同時に、残りの部分も部屋貸しのショッピングモール化をはかり、トイザザラスや大型家電量販店等へのテナント誘致も進め、残りはスパ、エステティックサロン、スポーツジム、カイロプラクティク、映画館、等などへの部屋貸しやテナント化で複合化を測るべきである。

これからのデパートは一般消費者に朝から晩まで一日中楽しめるようなインタラクティブなスペースを提供する」都市型モールにビジネスモデルを転換し生き残りをはかるべきだと思うのだが。

第2章 デパート商法の実態

松坂屋、と大丸の経営統合が発表された。 デパート業界日本一の経営規模になると言う。

規模を生かし、仕入れ等の強化を図り業績の拡大を狙うと言う。 念願の首都圏進出も考えているという。

チョット待て,それって違うのじゃない?

デパート商法の実態から考えてそれは無理でしょう!

デパートのビジネスモデルは基本的に"陳列棚貸し"商売でメーカー・問屋から高い出店料を取って坪単位でフロアーを貸し、売り上げの上前を"ピンハネ"する商売のはず。

一般人には信じ難い事かもしれないが、デパートの売り場に立っている店員の殆どは社員ではない!

業界用語で"マネキン"と呼ばれる"派遣店員"達。

売り場に立っている正社員と言えば、売り場主任・係長・課長、等の管理職とレジ係、それにエレベーターガールぐらい。

デパート商法の旨みはずばり"仕入れをしない"ことにある!

どういう事?って、それは"委託品販売"だから売れ残った物は納入業者に"引き取らす"だからデパートには仕入れなどない!

じゃあデパートお得意の"何々バーゲン"や恒例の"期末在庫一掃セール"ってあれは?

そうバーゲンは、デパートの"企画イベント"の一つにすぎず、殆どがデパートのプロデュースでバーゲン用に"わざわざ作った品物"をで"業者"が並べるているにすぎない。

つまり、デパートとはトレードマート(展示場)とプロモーター(イベント屋)の合体したような不思議な小売商。

デパートは一般客あいての店頭商売にたよっていない!?

エ、、、と思われるであろうが、老舗のデパートは創業当時からの"お得意様"を沢山抱えている。

このお得意様を"外商"と呼ばれる"営業担当"がおもりしている。

勿論、外商の顧客には企業関係も多いが個人の"お得意様"は別格、珍しく店頭にお越しになっても?下品な現金など厳禁である? お支払いは小切手かカード。

カードと言っても最低でもダイナース、ゴールドカードは当たり前、ブラックカード(限度額無し!)をお持ちのセレブな方々である。

普段は自宅に外商を呼びつけ、カタログでお買い物をなさるお得意さま。

デパート商売はこういうセレブなお得意様の方々をどれほど抱えているかで勝負が決まる。

前回、少し触れた、新興の百貨店であったヤオハンはここが弱かった。

一般消費者だけを相手にしていたので、後発の大規模小売店に敗北してしまった。

百貨店は独立採算店舗の集合体。

当たり前ではあるが、デパートでは各店が各々独立したディビジョンになっており、店同士で売り上げを競い合っている。

品揃えも各店舗でまちまち、経営者レベルでの幹部会議はあっても実務レベルでの横の連絡など無いに等しい。

業者側から見れば幾ら全体の規模が大きくても、相手はそれぞれの"お店"単位である。

ピンハネ率の交渉も各店舗と個別に交渉を行っており、当然全国一律とは成らない。

だから規模を生かした一括仕入れでコスト削減などありえない!

デパートは元祖ショッピングモール。

今、各地で巨大ショッピングモールが次々と誕生しているが、元はと言えばデパートがその元祖。

デパートは例えば"近鉄百貨店"のように"屋号"を持っている。

故に一つの"小売店"のように受け取られがちだが、今まで述べてきたように、実態は"101"のようなショッピングビルと変わらない。

前回述べたように「包装紙の安心感」が絶大であった頃は、大規模量販店の花形がデパートだった。

しかし"ブランド"が小売店からメーカーに移って久しい現在、一般顧客のデパート離れは止めようがない現実。

老舗百貨店はその業態を101に代表される"都市型モール"に変換するか、店舗を数・量供に大幅に縮小する時にきているのではないか?

呉服屋や小間物屋商いから発して時代をリードしてきた百貨店だが、顧客である一般消費者の増加以上に新しい形態の小売り業

が続々誕生し強力なコンペチターとなってしまった今、いつまでも"売り場拡大"、"店舗数増大"の同じお題目ばかり唱えているのでは無く、小売業を取り巻く厳しい現状を"直視"してこれからの百年を考えるべきではないか。

それが株主・出資者に対する、企業の責任だと思うのだが。

最終章 旧来型デパートは高級ブランドモールを目指せ!

百貨店について考えてきたが、これからの新しい百貨店について一つの提案をし本稿の締めくくりとしたい。

近鉄そして大丸・松坂屋連合さん

回触れたとおり百貨店の最大のリソースは、"外商の抱えるセレブなお得意様"ですよ!

そこで、"他店に引けを取らないお得意様を抱えていると言う自信がお有り"の前提でデパートルネサンス案をおひとつ。

ニューヨークの5番街にあるような"超セレブ"な高級店舗をめざしては?

現在の店舗を全面改装し外装は石作り風で、ちょうど大阪肥後橋の大正海上火災ビルのようなネオゴシックの荘重な作りにし、通りに面した正面に一般客お断りの"お得意様専用入り口"を作る。

ホテルにあるような車止め付きのアレ。

勿論ここには、一目でお客様のお名前が判る経験豊富な"ドアマン"と"キーボーイ"を配置し、駐車場へのクルマの回送とお帰りのお世話をする。

専用入り口からは専用エントランスホールを経て、各階に設けた専用のVIPルームに専用エレベーターで直接お上がりいただく。

勿論1階の専用エントランスホールには、専用のクロークを設け、コート等をお預かりする。

お買い上げの商品は"即日別便宅配が基本"だが、仮にお持ち帰りがでたらポーターにお車まで運ばせる。

階に設けたVIPルーム入り口には警備員を配置し不審者の侵入を防止するなどして、お得意様に安心して品定めできる環境をご提供する。

接客は今までの経験と伝統を生かした徹底した売り子教育最高級のおもてなしを心がける。

"ご自由におのみください"のコーヒーサーバーや、給茶器などもってのほか。

接客係が高級革張りの応接セットまで丁重におもちすること。

宅配も通常の宅配車等使わず、配送業者に交渉して専用のシックな宅配車(例えばレトロ調の)でネクタイを締め特別な接客教育を受けた専任のドライバーで丁重に配達する。

最初の内は一見の一般客から批判が出るかも知れないし売り上げも一時下がるかも知れない。

しかし芸能人や有名人が"高級外車"で乗り付けるように成ればかえって集客効果も上がり 「私もあの方がお買い物するお店で買い物をし、セレブ気分を味わってみたい。」

と訪れる人が増えると思う。

当然店内も一新通路を広く取り床や天井の意匠等で目に"見えない空間パーティション"を構成し、気品と上質感で統一する。

勿論あの下品な"紅白幕ワゴン"に商品山積み、等のディスプレーは厳禁。

どうしてもバーゲンセールの因習を捨てられなければ、上層階に2階吹き抜けのイベントホールを造り、圧迫感とは無縁な時空間を提供すればよい。

バーゲン以外は各種イベント会場として利用出来るように、移動パーティションで区切れるようにし宴会やコンサート、ディナーショウ等に利用すればよい。

隣に都ホテルのある近鉄百貨店ならホテルと共用してもよいではないか?

阿倍野ルネサンスを狙う近鉄さん、是非ご一考を?

ついでに上六本店は意地を捨てデパ地下以外をあっさりと閉店し、六本木ヒルズと渡り合えるような超高級マンションを建設したら如何。

勿論近鉄劇場も阿倍野に復活移転し阿倍野地区のいっそうの集客パンダに役立てては?  おしまい。

公開:2006年3月 3日
更新:2018年4月 8日

投稿者:デジタヌ

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