音楽・演劇・便利帳

新生 マチュア オーケストラ が抱える問題 

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狸穴総研・エンタメ研究工房・報告2018 デジタヌの音楽談義 「アマチュアオーケストラとは何なのだろうか?」 シリーズその3

「東京都のアマチュアオーケストラ」(Naviはこちら)を改定する作業を行っていて、気になる事を発見したので書き記すことにした。

新生 マチュアオーケストラ の 問題 とは?

2010年前後に誕生した若い団体が存亡の危機に直面している!?

20世紀後半のアマオケブームでそれまで学生オケを持たなかった大学や新設大学にまで学生オケが誕生し、2010年前後の第2次アマオケブームで有名大学・有名進学校のOB・OG達が我もわれもと多くの団体を新設した!

しかしその多くは、休団に追い込まれたり、存続の危機に面しているようである。

江戸っ子らしく隅田川の花火のように散っていく多くの団体

彼らの多くは、団体発足当時社会人成りたての若いメンバーが集まった集団であった。

伝統ある、逆に言えば硬直化した既存のOB・OG団体に飽き足らずに、第2第3...のOB団体を創り「若者主体の活気ある活動」を目指した団体が大半である。

嘗ての若者も、いい年をしたおじさん・おばさんに

嘗て血気盛んな若者であった人達も、今では「会社においては働き盛りの中堅社員」になり、プライベートでは家庭を持ち家族サービスに明け暮れる「おじさん・おばさん」の仲間入りをし、公私ともに忙しくアマオケになぞ?関わっておられるような時間が無くなってきたのも新生アマオケ衰退の一因であろう。

新社会人にも見放され...

誕生10数年で前途の状況に見舞われ、さらにはある種の造反という前例を作ったことにより、後輩たち新社会人もまた新たな団体を造り、結果新規団員集めも思うにまかせず「歯がこぼれるように少しづつ団員が去っていき」残った団員だけでは運営できずに休団・解散に追い込まれるようである。

気になる学生オケの動向

少子化の煽りをもろに受けているのが、高等教育機関である。

私立大学や公立大学にかかわらず、全国で統廃合の嵐が吹きまくっている!

首都圏の大学も例外ではない、各大学が定員割れの為に、学部・キャンパス統合整理に動き出している。

2000年以前には私学にも2つ3つの学内サークルオケが存在し、お互いに住み分けていたが最近では元々小さなサークル活動であった「学生アンサンブル団体」などで新入団員(新入生)が集まらず「休部・廃部」に追い込まれているケースが多く見受けられるようになってきている。

名門大学オケでは在校生以外の他大学の学生を受け入れる公認サークルが...

有名校でも、新入生だけではサークル活動の維持が難しくなり、学外・他大学の学生を受け入れる団体(大学公認サークル)も目立つようになってきた。

メインの団体が2~300人の規模を誇り、1軍・2軍・3軍?迄抱え、さらにセカンド・サードパーティーまで抱えていたような名門大学でさえ、このまま少子化が進めば「サークルの統廃合」の時代がくるであろう。

歴史ある有名校のアマチュア団体ですらこの調子だから、あまた増産された新設大学校ではおして知るべしである。

嘗て都心部脱出を図り、周辺都市に移転・分散した大学だが...

学部・キャンパス統合のために再度移転し、それまであった地域で根付いた「我が町の大学&学生オケ」が無くなってしまうのは誠に残念な事でもある。

先輩メジャーアマチュアオーケストラが生き延びてきた背景

前回のコラム(※1)でも取り上げたように、アマオケ活動を継続するには、「金銭的・人的なパトロン」は不可欠である!

有名大学を母体としている首都圏のメジャーアマチュアオーケストラは出身者の層が厚くかつ多方面にわたっており、支援組織(OB会・後援会)もしっかりしており、資金的にも恵まれプロの手を借りた運営面など、舞台に上がる人たちは演奏面だけに集中できる余裕がある。

年に数度のコンサートを開催するには

年に数度のコンサート開催のためには、練習場所・合宿場の手配やコンサート会場手配に始まり、広告取り、チケット・ポスター・パンフの制作(打ち合わせ)、エキストラ・団友の手配(依頼)、レンタル楽器手配・運搬、お弁当の手配?、会場設営、観客誘導、コンサート進行、打ち上げの手配...などなど「下世話な裏方仕事」が不可欠で、自主運営アマチュア団体では団員全員参加で役割分担し何らかの「裏方」にかかわり手間暇をかけないとコンサートが成立しないわけである。

現役大学生のころには、団長・部長・リーダーの下、下り番の新入生から4年生まで全員で役割を分担し、場合によっては、OB・OG、家族・友達などの手助けでコンサートを開催していたわけである。

しかし社会人となった卒業生にとって先輩後輩はあまり意味がなく、特に同じ世代が集まった団体では面倒な裏方は、買って出る「もの好き」はいても?後輩に押し付けるわけにもいかない。

つまり団員全てに負荷がかかるわけである。

造反集団に支援のみちは無い!

資金的目途やボランティアいわゆる「パトロン」の目途もなく、「先輩に気兼ねをせずに、好きなようにやりたい...、」若者たちが「コンセプト造り」など後回しで「その場の勢い」で始めた前途の新生アマオケの多くはオリジナリティー(存在理由)を見出せないままに消滅していくのであろう。

自主運営を継続するには「腕前」だけではなく、不死鳥のような「強靭な根性?」が必要なのである。

市民管弦楽団も同じ

自治体が、主宰して立ち上げた「行政主導型」アマオケも同じで、(公財)XX財団や、(公社)OO芸術振興法人、NPO△△学友協会...等がバックに回り、「かゆいところに手が届く」ような至れり尽くせりの「環境」で日曜音楽家理想のひとつ「三々五々気の合った仲間が集まって趣味を共有できる」わけである。

但し「パトロンの意向」に沿ったプログラムを組まなければならず「若者の我がまま」は通りにくい!?

物好きな指導者の求心力だよりの面も

また一方で自治体が立ち上げた、「市民オケ」や「一般自主運営アマオケ」の中には「崇高な使命」に燃えた「偉大な指導者?」が自らの音楽理念を貫くために、現役(プロ生活)引退後に地元の自治体や「地元音楽家」に働き掛けて創設した団体も多い。

これらの団体では、「熱心な指導者」の求心力で、腕に覚えのある「町の楽師」たちが集まり、それなりの芸術性を発揮し地元に根付いた活動を行っていることも多い。

しかし、指導者が「この世から引退」してしまうと、求心力を無くし「中心的なメンバー(正団員)」が、徐々に去っていき、「トラ頼み」(※1)のコンサート運営になり、ついには...

団体数に見合わない「日曜弦楽器奏者」の数の問題

首都圏でも「腕達者なアマチュア弦楽器奏者」の数は限られている!

弦楽器奏者の「不足を解消するためや育成のために付属のジュニアオーケストラ」を持つ「有名公設団体」も数多く現れだしている。

しかし、「ブラック部活」から排出?」される「ほら吹き」連中に比して、それに見合うだけの「弦弾き」はお稽古教室からは育っていない!

為に以前に指摘したように、「腕に覚えのある日曜楽師」はあちらこちらの団体から引く手あまたで、よほどの魅力がない限りは「わざわざ」会費を出してまで「特定のアマオケ」には居着か無い訳である!

新生音楽大学から産卵する管楽器奏者の卵

管楽器日曜楽師にしても同じで、全国に「新生音楽大学」が繁茂し各地の大学・専門校から"産卵"(散乱?)される「音楽家の卵」は、同じく全国に繁茂したプロオケの需要をはるかに超え、あまった腕達者がフリーミュージシャン、セミプロ、フリーター?となりアマオケにいる「日曜楽師」の居場所を侵食?してきている。

情操教育・お稽古事の偏りの影響が

嘗ての戦後日本は、鈴木メソッドを唱える鈴木音楽教室が全国に繁茂し?そこから輩出された若き有能な奏者がたくさんいて、「一流演奏家」にとどまらず「町の音楽家」が全国至るところに生息?していた弦楽器王国であった。

(1951年生まれの)小生が大学生のころには、学生桶?の中にも結構腕達者なバイオリニストが数多く泳いでいたりしていた。

しかし時代は移り変わり、「ピアノ教室」「エレクトーン教室」等YAMAHA音楽教室が全国展開をしだすと、キーボードが幅を利かすようになり、次第にヴァイオリニスト等の弦楽器奏者が不足しだした。

さらに「某新聞社」が協力に後押しした全国吹奏楽連盟が主宰した「吹奏楽ブーム」と、経済成長による「マイ楽器ブーム」で、管楽器奏者の層も広がり数も増えた。

結果、現状の「日曜音楽家」の数では圧倒的に管楽器奏者が多くなり、昔は希少価値があった「2枚舌」の連中もさほど珍しくは無くなり、中には「コントラファゴット」を所有するアマチュアの「強者」なども増えてきている。

新たなアマオケビジネスも

全国の音楽大学・音楽教室から輩出される社会人浪人のために?有名楽器メーカーがバックとなったカルチャー教室組織やプロダクションが、卒業生の「凌ぎ」の場としてアマチュアの弦楽合奏団やオーケストラをオーガナイズするビジネス?も現れだしている。

これらのアマオケでは、「ビューティークリニック」真柄に数人の指揮者・トレーナーが幾つもの団体を掛け持ちで回り、複数の演奏会を開催し「出演の機会」つまりは「ギャラの配分」を行い、ビジネスとして成立?させている。

アマチュア楽師にとっては、背後にある音楽事務所のスタッフが前途した「裏方の雑用」殆どをこなしてくれて、あとは家族の人的援護(ボランティア)があれば舞台に上がるだけで済むのは「お稽古教室」同様に楽ではある。

但しこの手の「お稽古教室がらみの団体」では初心者歓迎を標榜してはいるが、「下り番」すなわち舞台に上がれない場合も多々あることを最初から臭わせている団体が多い。

半世紀以上の長きに渡り続いているアマチュア団体は...

長きにわたり続いている自主運営のアマチュア団体は総じて団員の年齢構成が厚い。

「10代の現役学生から60代後半の隠居組」までなどと年齢層が幅広く、場合によっては「親子2代・3代」で団員となっているなど分厚い年齢層で構成されている団体が多い。

この様な団体では、長老の楽師がたとえ「下り番」の曲であっても熱心に普段の練習に参加し、コンサート当日は場内係や進行役などの「裏方」に回りコンサート活動を支えてくれている。

また、最初から熱心なクラシックファンの「裏方さん」(支援者)たちが立ち上げた市民団体もある。

これらの団体では、ボランティア(支援者)のおかげで居心地がよく、団員も長く居着いている様である。

青春の思い出に難曲・大曲に挑戦し「花火のように砕け散る」のもいいかもしれないが、生きている限りステージに立ち続けるのも、「巷の楽師の理想の姿」(※2)の一つではなかろうか。

参照覧

※1、「歴史だけに縋り付いた地方のアマチュアオーケストラが抱える問題」参照。

※2、「アマチュアオーケストラとは何なのだろうか?その2」はこちら

公開:2018年9月20日
更新:2018年9月26日

投稿者:デジタヌ

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