音楽・演劇・便利帳

歴史だけに縋り付いた 地方 の アマチュア オーケストラ が抱える問題 

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狸穴総研・エンタメ研究工房・報告2017

団友 頼りの演奏会運営について

アマオケでは会費を納めている、「正団員」と称するコアメンバーが最低でも十数人はいます。

つまり発足当初よりの古参のいわゆる患部?連中です。

この人たちの中には、小生のように現役楽師を引退し?世話役に回っている(ステージに登らないor 出してもらえない?)人たちも含まれます。

コンサートには少なくとも4・50人ぐらいのステージメンバーが必要で、コアメンバーだけでは到底コンサートの開催はできません!

そこで一部メジャー団体(※1)を除き、殆どのアマチュアオーケストラ(以下アマオケ)は、「自力」でコンサートが開催できないのが実情です。

ではアマオケはどのようにしてコンサートを開催しているのでしょうか。

始めに一般聴衆の方のために 配布プログラムメンバー表に載っている「団友」とは

コンサートの配布資料「公式プログラム」のメンバー表に載っている「団友(だんゆう)」といわれる人達は何者なのでしょうか?

別名「トラ(エキストラ)」と呼ばれる人たちは

普段の練習には参加できないが「団の関係者」ではあり特別に会費を免除してもらい「コンサートメンバー」として登録?されている「名目団員」や「登録準団員」もいれば、幼いころからお稽古事としてヴァイオリン等を学んできた、いわゆる腕に覚えのある町のアマチュア音楽家で、演奏会前の追い込み練習に手弁当(交通費自前)で参加し友情出演してくれる人達、いわば「支援団員」

プロでいえば「客演奏者」に相当する?人たち

各音楽大学を卒業したフリー奏者やパートタイマー楽師のいわゆる「セミプロ」(※2)と呼ばれる人たちで、指揮者(トレーナー)の「顔」で出演していただける「エキストラ様」で「お車代組(ギャラ)」をお渡しして出演していただく大事な「客演奏者=エキストラ」すなわち客人。

この人たちを総称して「団友」と言い、団友がいるからこそアマオケのコンサートが成立している訳です。

マイナーアマオケの置かれている現状

首都圏や大都市圏を含め全国のマイナー・アマオケは、現在そのほとんどが存続の危機に瀕しているようで、実質的休団・休眠状態になっている団体も数多く存在しています。

そこそこ安泰なのは一部の超有名メジャーアマチュアオーケストラにすぎません。

地方にあるローカルアマチュアオーケストラの場合はもっと深刻で歴史ある団体でも「自治体の長」が交代し助成が打ち切られれば、すぐにでも解散・消滅しそうな団体は相当数存在している様です。

大阪市のプロ吹奏楽団「SION」の例

実際全国でも珍しい大阪市のお抱えプロ吹奏楽団だった「SION」は、主宰していた市が団員を全員解雇したために解散に陥り、元団員が自主運営組織を立ち上げ、民間企業や市民の直接支援や演奏家の友情出演などの援助を得て、何とか細々と綱渡状態の運営をおこなっています。

表彰状と感謝状だけでは団の永続的な運営は成り立たない

全国にある「歴史と伝統と言う 看板とプライド」だけを持ち続け、何とか運営を続けてきたローカル・アマオケでも、「表彰状と感謝状」だけで支援が伴わなければ存亡の危機に立たされるのは必然でしょう。

若者達は歴史と伝統には縛られたくはない

これらの団体には古くからの「コアメンバー」の献身的な運営に引き寄せられて?集まってきた若者達も所属していますが、現状のままではいつ離れて行くか判りません!

いつの世も若者達は「歴史と伝統」には縛られたくはないのです。

過保護の中で育った彼らは仲間意識や地元愛なんてものは持ち合わせていません。

「至れり尽くせりのお膳立て」があればこそ

若者達は「年季と、世話好き」ぐらいしか取り柄の無い、古参メンバー達が地元市民の支援者と共に「かゆいところに手が届く」様な「至れり尽くせりのお膳立て」をしてくれているからこそ、居着いているだけではないでしょうか?

『俺の腕前なら、少々距離は遠くはなっても「あの団体」にも「この団体」にもすぐにでも移れるし...。爺さん婆さんばかりのこんな古くさい、若者の意見が通りにくい団体なんかつぶれても構わない。何だったら若い団員だけで、造反して新しい自由な団体を設立してもやって行けそうだし...』

なんてことを考えていないとも限りません。

物見遊山で都会からやってくる"寅"や"支援団員"達

正団員ですらこんな調子でしょうから、物見遊山でわざわざ都会からやってくる「寅」や「支援団員」は、手弁当で世話をしてくれている支援者や、(プログラムによっては舞台にも上がれない?)ベテラン正団員の苦労など気にも留めてはいないでしょう。

彼らは、団友で何とか演奏会を成立させている地方のマイナーアマオケの運営の苦労なんてものには全く興味は無く、面倒なことには関わり合いになりたくないからこそ、わざわざ「フェスティバルオケ?」のために都会からやってくるだけです。

もしも環境が変わって行政の手厚い支援がなくなったら、田舎桶(オケ)の為に「身銭を切ってまで」友情出演には来てくれ無いでしょう。

「地元のみならず、遠くはXX県にも〇〇県にも(演奏会)メンバーがおりまして、年に1度の演奏会に、はせ参じてくれています!」

などと、地元メディアのインタビューに口を滑らせる「人の好いコアメンバー」の長老さんも「真剣に団の行く末を案じる」なら、路線(大曲主義)を改めてはいかがでしょうか?

「大曲・難曲病」が癒えて路線変更したとある団体は..

北陸のとあるアマオケは、自らのホームページの沿革紹介の中で、以下の様に語っています。

「バブル景気に煽られ?ご多分に漏れず大曲に取り組んだ時期もありましたが、今は正団員だけで、演奏会が開けるように路線をあらため地元に密着した活動をしています...。」(筆者要約)

地元の支援者に頼り超満員で開催した定期公演なのに赤字?!

吹奏楽団出身の若い団員に気をつかう余り、とても古参の弦楽器奏者では手に負えないような、難曲や正団員の倍以上の団友に頼らないと演奏できないような大曲を、収支が合わないような無理(膨大な開催経費)をしてまでプログラムに取りあげなくても良いように思うのですが?

地域唯一の「歴史を誇るアマチュアオーケストラ」を標榜するなら

地元の「正団員だけ」で演奏会が開催できる様なプログラムを選んで身の丈にあった活動を続けてこそ、本当の地域唯一の歴史あるアマチュアオーケストラとむねを張れるのではないでしょうか?

2017年6月3日  狸穴総研・舞台芸術研究工房 酒燗? 微酔狸

ご注意;※印は当サイト内の関連記事リンクです。

但し、その他のリンクは当事者・関連団体の公式サイト若しくはWikipediaへリンクされています。

※1、関連記事「トップアマチュアオーケストラとは?」はこちら

※2)関連記事「日本でプロ演奏家と呼べる人は?」はこちら

公開:2017年6月 3日
更新:2018年11月 2日

投稿者:デジタヌ

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