音動楽人(みゅーたんと)

L.H.Berlioz《マミニャンのお気楽クラシック》ベルリオーズ

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エクトル・ベルリオーズ Louis Hector Berlioz

フランスのロマン派の作曲家 生誕1803年12月11日、没年1869年3月8日

大管弦楽を特徴とするフランス近代音楽に先鞭をつけ、彼の編み出したアバンギャルドで色彩的な「オーケストレーション」は後に続く作曲家にも強い影響とインスピレーションを与え、特に近・現代の『フランス楽派』の礎を築いた。

古典的オーケストレーションとは明らかに異なるインスツルメンツ・オーダー

ハイドン、モーツァルト、ベートーヴェンと続く古典的な書法(※1)とは明らかに異なる独創性に満ちたインスツルメンツ・オーダーを考案しオーケストレーションに採用した。

新しい楽器に対する貪欲とも言える好奇心

ある種アバンギャルドでもあった古典派最後の巨人「ベートーヴェン」もピッコロフルートやコントラバス―ンなどの新しい楽器も取り入れてはいるが、後半生に聴覚障害に悩まされた彼は青小年期の健常者の時の思い出に基づく「音色のイメージ」を拡張したに過ぎず「未知の楽器」への興味はあまり持たなかった(持てなかった)。

これに対しロマン派の巨人ともいえるベルリオーズは新しい楽器と新しい奏法に対する「貪欲なまでの好奇心」を持っていたといえる。

作曲技法・オーケストレーションの集大成『幻想交響曲』

彼の代表作との言える『幻想交響曲』には、彼の編み出した千変万化する「華やかなオーケストレーション」や独創的な「(ソロ楽器の)インスツルメントオーダー」が集大成されている。

鳴り物軍団!

バスドラムのオーダー

後期ロマン派の時代になりR・ワーグナー(1813年5月22日 - 1883年2月13日)や彼に批判的であったイタリアオペラの大御所J・ベルディ(1813年10月10日 - 1901年1月27日)でさえバスドラムを重用するようになったが、第5楽章「魔女の夜宴の夢」 (Songe d'une nuit du Sabbat)でのバスドラムの使用、近代的大型ティンパニーの連弾など大人数の「鳴り物軍団?」のオーケストラ曲への徴用は彼が最初である。

ベルのオーダー

第4楽章「断頭台への行進」 (Marche au supplice)では「教会のベル」を模した「本物のベル」のオーダーがされていることで有名。

嘗て1970年代頃の日本では「演奏会用のベル」がなく「プロオケ」でも「チューブラーベル」(※1)で代用されていた。

21世紀の今は帝都・東京等の国内主要大都市では数多くの「レンタル楽器店」が営業しており、本物の「銅製の調律された大型ベル」が手配できるようになった!

1971年の京都大学交響楽団第110回演奏会の思い出

中学校当時のライバル?の某君が当時京都大学交響楽団に在籍しており、4年生最後の演奏会として「今は消滅した」大阪厚生年金会館中ホールで「大阪公演(※2)」では大径の「鉄パイプ」と鋼板を組み合わせたバズーカ砲?型の「京大型ベル」を特製しこれまた公園のブランコのような特製の大型ハンガーからぶら下げその「威力」を見せつけてくれた!

当時は70年代安保闘争・学園紛争の真っただ中でもあり、材料を入手した「鋼材商」から警察に通報があり、当局から「秘密裏に内定」があったとの逸話が当時のパンフに記載されていた。

弦楽器奏者泣かせの『コル・レーニョ奏法』

また最終楽章「魔女の夜宴の夢」 (Songe d'une nuit du Sabbat)では、弓の「馬の尻尾」の弦ではなく裏返し本体の「木の部分」でバイオリンの弦を叩く!『コル・レーニョ奏法』が用いられていることでも有名で、この奏法は定番名曲としては近代イギリスの作曲家ホルストの組曲『惑星』で用いられている程度で非常に珍しい奏法でもある。

クロマティック・コルネットの登用

当時(1820年代)フランスで完成したばかりのバルブ付きのクロマティック・コルネットをソロオーダーし、

今は演奏されることの少ない「華の章」や第2楽章「舞踏会」 (Un bal)、前出の第4楽章「断頭台への行進」 (Marche au supplice)でメロディー楽器として、Solo・Soliオーダーしている。

代表作のディスコグラフィー

ベルリオーズ:幻想交響曲ブーレーズ(ピエール)指揮クリーブランド管弦楽団。

何度となく録音が繰り返されたP・ブーレーズ先生の記録音源の一つでN.P.O.(New York Philharmonicの略で特定非営利活動法人の略ではありません念のため!)音楽監督就任前のクリーブランド管弦楽団音楽監督時代の録音...、なのに独グラムフォンなのも不思議?な一枚。

ロンドン交響楽団版とは異なり、コルネットも起用され、「花の章」も含まれている貴重な一枚!

参照覧

※1古典派・初期のロマン派オーケストレーション

by 狸穴総研・音楽研究室 主観 出自多留狸(デジタヌ)

伝統的「トラディナル」な管弦楽法

基本は、弦楽4部(ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ(ヴィオラダガンバ))オーボエ・ファゴット(バス―ン)等の2枚舌!の連中と、フリュートなどの横笛吹き共?、ホルンなどのホラ(貝)吹き?、長管トランペット(Tp)、ティンパニー等の「ラッパ鳴り物」で構成され、ファゴットは低音部(チェロ)の添え物、オーボエ、フルートも独奏楽器というよりは、弦楽器の添え物、ホルン、Tp、ティンパニは「ラッパ・鳴り物」として使用されており、この徴用(傭)法=インスツルメント・オーダーはベートーヴェンやロマン派初期のウェーバーまで変わらず、後期ロマン派に入りR・ワーグナー(1813年5月22日 - 1883年2月13日)やF・リストが先輩ベルリオーズの影響を受けオーケストレーションにおけるソロオーダーに時々使用したが、「クロマティック・金管楽器」はワーグナーの好んだ「サクソルン・チューバ族」に限られ、Hr、Tpは相変わらず倍音列のみの「長管」「バルブなし」のハーモニー主体の楽器として扱われていた。

長く続いた「トラディナル」管弦楽法の時代

この傾向は長年にわたって変化はなくブラームス(1833年5月7日 - 1897年4月3日)の時代に入っても続き伝統的「トラディナル」な管弦楽法として採用され続け、19世紀終わりにやっとクロマティック・トランペット、クロマティックホルンが発達した木管楽器とともにsolo楽器として活躍するようになった。(ブラームスの有名なHr3重奏曲もストップ奏法によるナチュラルホルンのための作品である!)

脇役が主役に躍り出たのはロシア国民楽派以降

日曜作曲家としても知られるロシア5人組の首謀者?リムスキー=コルサコフ(1844年3月18日- 1908年6月21日)が、旧態依然の「トラディナル」な管弦楽法に風穴を開け、脇役であった「管楽器」を主役の座に引き上げ、これに触発された同時代の「ボヘミア楽派」のA・ドヴォルザーク(1841年9月8日 - 1904年5月1日)もソロ楽器としてこれらの楽器を使用しだしてから、オーケストラで重要な役割を担う「メロディー楽器」として万人に認められるようになってきた。

※2)チューブラーベル

のど自慢でおなじみの「キンコンカンコン...」の例のやつ!。

※3)京大オケ演奏会の思い出

他の国立大学の学生オケ同様に京大オケは「同一プロ」による同一回数定期演奏会の複数都市開催を行っており、当時は旧・京都会館(※ホール音響ナビはこちら)、大阪「厚生年金会館・中ホール」(※ホール音響ナビはこちら)旧・神戸こくさいホール(※ホール音響ナビはこちら)などで各エリア出身者をメンバーに加えた「同一回の定演」を行っていた。


 

公開:2019年2月15日
更新:2019年2月17日

投稿者:デジタヌ

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