タヌキがゆく(狸穴総合研究所)

『 最高の音響を求めて』《コラム2019》令和元年7月1日放送NHKプレミアムシアター放映のドキュメンタリー?永田音響設計 のプロモーションビデオ

"公共放送NHK"で放映されたプロモーションビデオ『最高の音響を求めて』を見て...

NHKプレミアムシアター・令和元年7月1日未明放送ドキュメンタリ『最高の音響を求めて』は全く酷い太鼓持ち番組であった。

国営放送?NHKは知る人ぞ知る朝日新聞社と並び称される「アカの巣窟?」で、ドキュメンタリー・報道番組はかなり偏った意見に偏向した番組制作をするのは周知の事実ではあるが...。

最近は、(取材に協力した)一般企業の「企業コンセプト」を色濃く伝える「広報・プロパガンダ」番組も制作・放映する事でも知られている。

プロデューサーの蛮挙?

この番組が「NHKエンタープライズ」製作であったのか、「海外民放局(ロシアの放送局?)」製作であったのかは見落としたが、...。

そんなことはどうでもよく、いくら深夜の時間帯であるとはいえ、この内容を天下の公営包装?NHKが「音楽番組中」にドキュメンタリー番組として放映するのは、永田音響設計から誘いを受けた「定年間近のプロデューサー」でもない限りは出来ない「蛮挙?」であったといえる。

この番組が「放送倫理審議会」に引っかからないとしたら、"NHKも地に落ちた"としか言いようがない!

NHK放送研究所の監修(放映許可)は受けたのか?

NHKと言えば、今後もオリンピック後まで継続して使用することになった「NHKホール(※ホール音響Naviはこちら)」や上野の「東京文化会館(※ホール音響Naviはこちら)」「中新田バッハホール(※ホール音響Naviはこちら)」等の銘ホールの音響設計を手掛けたNHK総合技術研究所があり、現代的音響設計理論に基ずく日本における「現代建築音響工学」の草分け・老舗的存在でもあり、その技術力は高く評価され、音響学会でも一目置かれている研究所である。

先ず「結論ありき」のプロモーションビデオの一種?

小生も、ビデオ制作会社擬きの「凌ぎ」をしていた時期があって「プロモーションビデオ」を制作したことがあったが、あるメーカーに依頼され「業界向けに制作した売らんが為の商品持ち上げビデオ」ではもちろん「VS(バーサス)物」企画に基づき「先ず結論ありき」の結論の明確な「ドキュメンタリービデオ?」を2本ほどこしらえてそれなりの効果があり、クライアントには喜ばれた経験がある。

「民放的番組企画?」

この番組の基本コンセプトは視聴率確保のために民放などでいまだにせっせと行われている「VS(バーサス)物」。

主題は「伝統的シューボックスホールVS新興ワインヤード型、どちらが優れた音響か?」

等という、実にくだらないが「一般・素人受け」のする「安直な企画」でり、「取材先の意向」を汲み最後は「ブドウ畑」に軍配を上げる意図が見え見えの「反吐が出そうな」プロモーション番組?であった。

長田音響設計海外進出の基軸・企業理念の一つを番組制作コンセプトに

これこそ長田音響設計(※1)の海外戦略のビジネスモデルの基本コンセプトの一つとも言え、彼らはこの「くだらないスローガン」を旗印に、海外の文化団体・財団・に「建て替えビスネス」を展開しており、ウォルトディズニーコンサートホール、上海コンサートホール等、ピエールブーレーズホール等着実に成果(実績)は上がっている。

デジタヌが推察する番組制作コンセプトとその問題点

番組コンセプト

  • 「伝統的靴箱コンサートホール」VS「革新的?ブドウ畑コンサートホール」の対峙構成をとる。
  • トラディッショナルな「シューボックスホール」の代表格として、「コンセルトヘボウ」をやり玉?に挙げ、シューボックスホールの抱える音響的問題(※1)を強調する!
  • 基本的に、米国永田音響設計が海外進出の目玉としている「ワインヤード・タイプサーカス小屋」の有利さを強調する!
  • 永田音響設計デザインスタッフ(現地事務所スタッフ)へのインタビューを交え、海外進出の道のりと、成果(実績)を紹介する。
  • 建築音響工学の永遠の命題「閉ざされた空間で生じる定在波(※2)」とそれによる「音響障害」(※3)には一切触れない!

などなど。

取材・編集方針

取材・編集方針として無知な一般視聴者?の民心を(ホール建て替に)誘導する!

1)主な取材先は永田音響設計の海外現地法人

主な取材先はアメリカ、およびヨーロッパにある「永田音響設計、」の現地法人とそのスタッフ。

2)ダニエル・バレンボイムを筆頭に永田音響米国事務所代表Mr.Toyodaの御贔屓筋の有名人の賞賛で飾る?

ダニエルバレンボイム、ワレリー・ゲルギエフなどの永田音響贔屓の超一流マエストロを登場させて、Mr.Toyoda(米国・フランス現地事務所CEO)が彼らから絶大な支持を得ているところを見せつける。

3)パーヴォ・ヤルヴィ氏のインタビューを交え都合の良い部分だけを引用

NHK現音楽監督パーヴォ・ヤルヴィ氏のインタビューを交え「(番組に)都合の良い発言のみを編集して流す」※例えば「ホールも楽器同様に良いホールとは、オーケストラの音(響き)を(実力以上に)より一層良く聞かせるホールです...」※明らかにインタビュアーの誘導があり、この発言のみが編集で取り上げられたが、この番組をみてパーヴォ・ヤルヴィ氏は、不満であったと思う!

3)ホールは後から改修出来ない?と実(まこと)しやかに報じる

主役?Mr.Toyodaの主張である「ホールは一度作ってしまうと、建設後に(音響的な)手直し・改修は難しく...」という主張を"何度も繰り返し"強調していた。これは「真っ赤な嘘!」でもありこの「リフレイン手法」も本来禁じられている編集手法のハズ!

事実・本家日本の永田音響設計の改修実積とも反する!

改修出来ないというのは「真っ赤な嘘」であり、日本の永田音響設計本社では「サイドビジネス?」として数多くのホールの音響改修?を手掛けている。

※但しこれは「小商い」にしかならず、あくまでも「宣伝活動の一環」として行われているようである?

基となるデザインが優れていれば改修は可能!

東京文化会館の様に「優れた基本デデザイン(設計)を持つホール(※4)」であれば、建築後数十年を経過していても、その時々の「最新の素材と技術」を用いて「音響改修することは可能!」で、古びたホールを"蘇生"させることは現在多くのホールで行われており!(※実例1)数多くの好結果を生んでいる!

後述するがベルリンフィルハーモニーホールも何度も「音響的手直し」を経ている!

4)プレミアムシアターの目玉「ザリャジエ・コンサートホール開場記念演奏会」との関連付け

最後に、プレミアムシアターの目玉ロシア・モスクワの「ザリャジエ・コンサートホール開場記念演奏会」に話題をつなげる。

あきれた比較にならない、世論誘導のための比較実験?

イエス=キリスト=教会 (ダーレム) VS「ベルリンフィルハーモニーコンサートホール」VS「ベルリンコンツェルトハウス」の音響比較としての無伴奏チェロソナタの「録音比較」?

教会?建築の代表としてイエス=キリスト=教会 (ダーレム)

数多くの銘録音を生んだベルリン(旧ナチスドイツ)の誇る録音スタジオのイエス=キリスト=教会 (ダーレム) (実は教会というよりは、フルトヴェングラー&ベルリンフィルの為に作られた録音スタジオ)

ワインヤードコンサートホールの代表はカラヤンのサーカス小屋?

「ワインヤードホール」の代表としてカラヤンのサーカス小屋「ベルリンフィルハーモニーコンサートホール」

シューボックスホールの代表として「ベルリンコンツェルトハウス」

東西ドイツ時代ベルリン交響楽団(現ベルリン・コンツェルトハウス管弦楽団)が長年本拠地としているとしているホール(旧シャウシュピールハウス)。

問題なのは地上3m程もあるステレオマイクセッティング位置

「比較にならない比較」というのはその「マイクセッティング」であり一応「1ポイントステレオ録音」で...ここまでは良いが。

問題はその高さ

プロデューサー(取材現場ディレクター)が趣旨をよく説明していなかったのか、はたまた...故意におこなったのか?

ステージ前縁からの位置(距離)は揃えられていたように見えた、がなんとマイク高さ?は約3mほどと、とんでもない高さ!

「ミューズの神」はいても「活き神様(観客)」のいない遥か上空である!

ホールの音響とは、音源収録用の録音用マイクセッティングで得られた「戯音」ではなくて、正真正銘のリスニング位置(通常フロア+1mにある耳の位置)で、出来れば医療用のダミーに背広を着用させて、耳の位置に無指向性のコンデンサーマイクを装着したダミーヘッドを用いたバイノーラル録音で録音音源を収録し、録音スタジオのミキシングルーム(調整室)か「視聴質のモニタースピーカー」で比較すべきであった。

プロデューサーの最低限の良識も...

但し最低限のモラルとでも言おうか「若き美人チェリスト(もちろん女性!)」の感想紹介では「これほどホール型式で音が違うとは...驚きました」だけで、どの音が一番よかった(好ましかった)とは断言させなかった?

※付け加えるなら、今でこそ認知されだして世界中で引っ張りだこ?のワインヤード(見世物小屋;サーカス小屋)型式のホールではあるが、ベルリンフィルハーモニーホール完成当時は「カラヤンのサーカス小屋」などと揶揄されていた。

事実開館当初は反響(エコー)渦巻く空間で「箸にも棒にもかからない」ほどの酷い音響のホールであった!(※5)。

実験2と世論誘導?その2

裏(誘導の意図)が無ければ、面白い実験?

某ホールでステージ上の指揮者、コンマス、ヴァイオリン最後列(外側)プルト、第1ホルン奏者、オーボエ奏者等の(頭の)背後に定点カメラとステレオマイクを設置し、ステージ各部で「奏者がどんな音」を聞いているか?の比較実験があった。

これは本企画の中でも優れた取材方法ではあったが...。

この実験の前後に、(シューボックスホールの代表として取り上げられていた)「コンセルトヘボウ」について、あるアーティストの証言として「(観衆には)評判が良いが、私たちステージ上の奏者は自分の音さえはっきりと聞き取れないパートが出現するなど、アーティストにとっては非常に厄介なホール...」というインタビューを挟んでいた。

更に、最新の(長田音響設計の海外戦略の柱)「ブドウ畑」では、客席全ての席から眺望もよく、奏者も(レガシー・シューボックスホールの様に)自分の音すら聞き取りにくいといった問題は起こらない?...方向へと誘導していた。

※これも半分嘘!(※6)

Mr.Toyoda によるとコンサートホールは「一種の見世物小屋」!?

更に、「コンサートホールの音響」についての特集番組であったはずなのに、『ホールのデザインは音響工学よりむしろ、視覚的心理学的要素の方が重要で...』などと永田建築意匠設計?米国現地法人代表のMr.Toyoda のコメントがあり更には『コンサート会場は、音響(聴感)よりむしろ視覚的による「視覚心理学的」要素が重要で"私自身"コンサート会場では一度も目を瞑って音楽鑑賞などしたこと等無く、いつも目を見開いて視覚効果を楽しんでいます!』といった「視覚障碍者を無視?」したようなコメントまで飛び出していた!

少なくとも大学で建築音響工学をおさめ、音響設計事務所?を率いるCEOの発言とは思えない、コメントではあった。

流暢な英語を駆使し、その時々の世界のクラシック界の重鎮・ビルトーゾの心をつかむ事を得意とする人物?

流石(さすが)米国事務所、ヨーロッパ事務所を任された人だけあって流暢な英語をしゃべる語学に堪能なお人ではあった。

永田音響設計の音響設計における新たな流れもご披露?

中々、持ち駒については具体的には専門的なことはおっしゃらず。インタビュアーを煙に巻くのがお上手なCEOではあったが、「一つだけ」明かされたのは、「...以前は天井の反響が重要視された時期もあったが、最近は(壁面反射と残響の関係で)、壁面の意匠(材質、形状)が重要視されるようになってきた!

付け加えるなら、小生が訴え続けている「軒先高さ最低2.5m以上、出来れば3m以上(※7)」にお気づきになられたようではある?

永田音響設計の「ワインヤードホール」を基軸にした海外戦略を後押しする「ドキュメンタリー?」で終始していたような番組であった!

参照欄

※1 「欧風シューボックスホールに見掛け倒しが多い理由!とは...」はこちら。

※2、定在波に関する解説記事 『定在波』とはこちら

※3、定在波で起こる音響障害『ミステリーゾーン』はこちら。

※4、第3章 藝術ホールデザインのセオリー はこちら

※5、事実、昔の録音を聞き比べてもサーカス小屋以前のイエス=キリスト=教会 (ダーレム) で録音されていた頃の音源は、明確な「定位」と「心地良い響き」とが両立し、いまだに名録音が多い。

それにくらべ'70年代初頭の建設間もないサーカス小屋での録音は、小生宅のリスニングシステム(※エントランス・ホール&JBL&ヤマハ・サブ・ウーファ)をもってしても、

各楽器の音色の明瞭度や定位がホールの初期反響にかき乱された「迷録音?」で繰り返して聴取しようという気持ちになれない代物ものが多数ある。

※6 YAMAHA公式サイトのレポート記事はこちら。

レポ-ト中にも書かれていた「日本の誇る大指揮者井上道義氏」がふれられていた、改修以前のステージ上の音響と改修後のステージ上のアーティストの反応・感想についての下り。

※7、第5章「低い天井」の影響はこちら。

※実例1、近年の「改修工事」で現代に蘇った老兵たち?(のごく一部。)

開館順

 

公開:2019年7月 9日
更新:2019年8月14日

投稿者:デジタヌ

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