タヌキがゆく(狸穴総合研究所)

現代の3大迷発明?《コラム2018》 残響可変装置、アダプタブルステージ、可変容積 可変高さ天井

プロローグ 現代の3大迷発明・珍妙からくりとは?

残響調整装置、アダプタブルステージ、そして可変容積ホールのこと。

別名「3大珍発明?」とも呼ばれており、設備業界を潤している?

その1、残響可変装置?

「紛い物カラクリ・珍妙カラクリ」の代表格?!

たいていの場合は紛い物で「吸音壁」の前面に「可動音響シャッター」を設け開口部を開閉させる仕組み。

この「マジックボックス」は皮肉なことに「石造りホール」に多く見かけ、しかもシューボックス型を標榜する「プレーン(まっ平)な垂直壁」をもつ「多目的ホール」に、「切り札」のごとく好んで採用されている「珍妙なカラクリ」である。

珍妙な例

プリズムホール ・八尾市文化会館 大ホール《 ホール 音響 ナビ はこちら》

何処が珍妙か?というと...

残響調整と称して、実は高周波の反響を抑制して演劇・集会・会議などで「初期反響」(※1)を抑えて「肉声の通り」を良くしようという消極的なシステムが大半だからである。

つまりコンサートホールの条件として「都市伝説・残響2秒以上」(※2)にこだわるあまり、何を勘違いしたのか「銭湯の洗い場」のような巨大エコールーム(※3)紛いホールを造ってしまい、肉声の通りが悪くなったのを、このマジックボックスで補完しようというわけである!?。

但し、狙い通りに「運用されていない例」がほとんどである!

運用率が低い理由

1)アダプタブルステージ同様にセッティングが複雑(or標準設定マニュアルがなく!)すぎてホール所属の電気・技師が操作方法をよく理解していない。(大半はこの例)

2)構造上、高周波の初期反響(エコー)には効果があるが、低周波(重低音域)で発生する定在波(※4)には全く効果が無い!(当たり前!)

3)さらに嘆かわしいのは、妙に一般化してしまった設備なので、6角堂など「無謀なデザインのホール」(※5)に蔓延し、定在波迄何とかしようとする愚行!もよく見かけること。

4)、例えば全面石壁でも!セオリー(※6)通りのホールを作っておけばこんな「紛い物カラクリ」は必要としない!(例、八丈町多目的ホール・おじゃれ (公式施設ガイドはこちら)

さらに「木質壁の丁寧な設えのホール」ならこんな紛い物設備に頼らなくても「立派に多目的に使える」

好例、

札幌コンサートホール Kitara 《ホール 音響 ナビ》

いわきアリオス(※ホール音響Naviはこちら)

サントリーホール《ホール 音響 ナビ》

兵庫県立芸術文化センター KOBELCO大ホール《ホール 音響 ナビ》

ねえ、永田音響設計さん...。

※ただし本物の残響可変(付加)装置もごくまれには存在します。(※関連Navi記事はこちら

その2、アダプタブルステージ

多分割可変段床システムのことで、広義にはエプロンステージ(オーケストラピット)も含まれる。

大がかりなシステムでは、ホール床全面を可変段床とし、通常のエンドステージ、センターステージ、階段ステージ、スラントステージなど多様なステージと座席配置(標準、アリーナ形式など)が作れるステージ。(※メーカーの解説記事はこちら

1000人未満の中・小規模ホールに設備される例が多い。

アダプタブルステージの始まり

日本初の「アダプタブルステージ」は1970年に誕生したルナホール(芦屋市民センター;※ガイド記事はこちら。)だといわれているが...。

実はそれ以前に「キャバレー」のダンスフロア―・エプロンステージとして全国に100か所以上の「キャバレーホール」(※関連施設ガイドはこちら)で採用されていた!

キャバレー型アダプタブルステージが地方で受けるわけ

「高齢者の自治体の長」がいらっしゃる都市に多い?

キャバレーといえば、かの中曽根元首相が大臣をしていらっしゃた若かりし頃、フラッと一人で現れ、ダンスを楽しんでサッと引き上げられた逸話が残されていることでも有名な歓楽施設。

つまり、今から数十年前に中央官庁にお勤めだった「元官僚」でホール建設当時の自治体長が当時を懐かしんで、舞台装置屋さんの誘いに乗った...ということはないか?

※なぜか東北・山陰の田舎町に多い?

元中央官庁出身の地元民党県知事のいる痴呆自治体が造ったホール

鳥取県・とりぎん文化会館 小ホール《 ホール 音響 ナビはこちら 》

島根県民会館 中ホール《 ホール 音響 ナビはこちら 》

利用率が低い設備

正確な数字は把握していないが、この手の装置を導入した施設での「年間設備運用率はかなり低い」のが実情であろう。

事実東京芸術劇場・プレイハウス(ホール 音響 ナビはこちら)では当初設備されていた24分割アダプタブルステージが改修時に撤去されている!

利用率が低い理由

  • 1)ストリップ小屋?ならいざ知らず、「出べそ舞台」を使用するのは「ファッションショー」ぐらいで、公共の小型ホールでは年間「極めて限られたイベント」でしか利用されない。
  • 2)後述する可変容積ホールもそうであるが、「標準(推奨)」仕様が通常のフラットエンドステージ仕様で、
    すべてのホールが標準仕様以外の、「ステージ形式変更時間」も使用料金に含め、「短日公演」では気軽に利用しずらい!
  • 3)同じく、「実験演劇」をする団体側も、ほとんどが地方巡業も念頭に置いての舞台演出であり、「AM・ステレオ放送」が廃れたのと同様に?、全国隈なく全ての都道府県の有名(小規模)ホールに設備されているわけでも無く、舞台演出の使い回しが効きにくい代物である。(ついでに言えば、設備されているホールでも各ホール区々(まちまち)のシステムで共通演出がしにくい。)

同じ設備費を投じるなら...

地方であれば、伝統芸能に対応できるように、大迫り、スッポン迫を備えた回り舞台、若しくは、回り盆を備えた「スライディングステージ」、昇降式本花道、などの伝統芸能に対応した設備のほうがはるかに利用価値(年間稼働率)が高いであろうし、移動式の「仮設能舞台セット」のほうが遥かに、啓蒙的でもあり文化的価値もあると言って良い!

その3、真打!可変容積ホール?

カラクリの中で最も大規模そして、不要不急で無駄なシステム

当初は電動音響カーテン設備で上層部バルコニー前面をふさぐ簡単なシステムであったが、だんだんエスカレートし、最近では「かつての松竹・スペクタクル時代劇」さながらに「吊り天井」を上下させ、上層階のフロアーを閉鎖してしまう「大がかなカラクリ」ものとなってきており当然建設費に占める割合は膨らんでいる!

高額な初期投資や維持管理費がかかる割には利用されていない設備の代表格!

アダプタブルステージと同様に大掛かりになればなるほど、設備コストに占める金額も膨大になるし、さらに、設備の維持管理(メンテナンス)費用も膨大になる!

複雑なシステム

通常大・中ホール共用が多いが、各ホールサイズに応じた最適の音響特性を得ようとすると、どうしても複雑なシステムになってしまう。

同じコストを本来の造作にふり向ければ...

大掛かりなカラクリに依存しなくても、セオリー(※6)通りに作っておけば、ソフト対応(運用上の)だけの各フロアー締め切りで音響特性はさほど変化しない!し利用者にとっても費用負担の心配がなくなる。

好例、札幌コンサートホール Kitara (※ガイド記事はこちら)

利用効率/設備費の設備投資効果が極端に低い設備

つまり年間利用頻度が低く、利用効率/設備費の設備投資効果が極端に低い設備の代表格!である。

過剰な利用料金は利用者側にとってはコスパが悪い!

前出のシステム同様に標準仕様(大ホール)からのセッティング変更に要する費用(変更時間料金)は利用者負担となっており、容積変更・原状復帰に関するホール仕様時間料金も加算される!為に基本使用料金が安くなっても設定時間料金が加算されるので意味がない!

したがってコストパフォーマンスの低さ!の為にめったに使われることが無くなる!

デジタヌからの提案 「ダウンサイズを標準設定」とすべし!

カラクリ天井に関しては、2000人超の大規模ホールを望むプロモーターと、集客面で手頃な1000人以下の中小規模ホールを望む市民団体の要望を解決する妙案として生まれたカラクリであるが...。

地方ではめったに利用されないフルサイズを標準設定とし、利用度合いの高い「ダウンサイズ設定」をオプション扱いとしているのはどう考えてもおかしいい!

そこで、べらぼうなチケット代金で儲けている呼び屋・プロモーター連中から設定(時間)料金を取るシステム、つまりダウンサイズを標準設定とすべきではないか!

こうすれば、ホール自体の年間利用率ももっと向上するはずである!

全国「からくり天井」小屋 ナビ?

●1967年11月25日開館 新潟県民会館 

(※ホールNaviはこちら)

収容人員;1,730席/1・2階使用→1,136席/1階のみ使用。

初期のタイプの「音響カーテン方式」


●1975年4月30日竣工 八戸市公会堂

(※ホールNaviはこちら)

収容人員;1,624席/1・2階使用→1,060席/1階のみ使用。

大型フラップタイプ搖動開閉式天井

●1990年1月8日開館 相模女子大学グリーンホール(相模原市立文化会館)

(※ホールNaviはこちら)

収容人員;1,790席/1・2階使用→1,036席/1・2階使用。

大掛かりな「バルクヘッド(可動隔壁)と可動天井を持つ可変システム」により、2階バルコニー後部550席を音響グリッドとコーナー反響板で隔離する事により1240席の中ホールとしても使用出来る。

●1992年10月30日 愛知県芸術劇場大ホール

ホールNaviはこちら)

収容人員;2,500席/1~5階使用→1,900席。

大掛かりな「バルクヘッド(可動隔壁)により4・5階バルコニー席の一部を締め切り。`

●1993年10月1日開館 とりぎん文化会館

(※ホールNaviはこちら)

収容人員;2000席/1・2階使用→1,294席/1階のみ使用。

可変ステップ方式吊り下げ天井。


●1996年9月 富山オーバード・ホール

(※ホールNaviはこちら)

収容人員;2,200席/1・2・3・4階使用→1,818席/4階締め切り→1,684席/3・4階締め切りの3段階。

(※ホールNaviはこちら)
一体大型天井反響板上下式。

●2004年開館 まつもと市民芸術館

(※ホールNaviはこちら)

収容人員;1,800席/1・2・3・4階使用→1,367席/3・4階締め切り  

大型天井反響板が上下する昇降天井敷。

参照覧

※1、第1章 初期反響エコーと後期残響は別物 はこちら

※2、関連記事『都市伝説・良いホールの条件"残響2秒以上"は本当か?』はこちら。

※3、エコールームに関する「音工房Z」さんの解説記事はこちら。※本物のエコールームでは定在波対策(平行壁面対策)はしっかり施されています。

※4、定在波に関する解説記事 『定在波』とはこちら

※5、「奇妙奇天烈 奇怪 面妖 摩訶不思議 な 迷ホール まとめ2018」はこちら。

※6、第3章 藝術ホールデザインのセオリー はこちら

 

公開:2018年7月29日
更新:2019年5月20日

投稿者:デジタヌ

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