『音楽便利帳』狸穴ジャーナル別冊

音律論《書籍 ナビ》 東川 清一 著/春秋社刊

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旋律とリズムだけでハモリの概念がほとんどない邦楽に慣れ親しんだ日本人に論理的に音律を解き明かした本(大学生向け教科書)。

例えばA=440Hz のピッチでチューニングしても、主和音 Aマイナーの和音とラ、ド,ミとのAメジャーの和音ラド♯、ミでは、ラとミの音程は同じでも、挟まれた短3度のドは少し高め(平均律に比べて)長3度のド♯は少し低め、言い方を変えれば

短3度の2和音の音程は(平均律に比べて)広め、長3度の2和音は少し狭めの音程を取らないとハモラない、といった音程と音律の関係を、実例を示しながら、丁寧に解き明かしている。

日本では一般的にいわれる絶対音感 は平均律 つまり一般的な練習ピアノ音程をさし。

基音から相対的に音程を割り出しハーモニーを作る和声的音程では、先ほどの旋法(調性)による音程と平均律による音程とは微妙(+-15セント=半音の15%つまり30セント1/4音以上!)に異なる事......を私達楽士は体感的に何となく理解している。

例えば、小生はマーラーの「復活シンフォニー」の2楽章の第1トランペットの旋律の和声を受け持つパート各部のそれぞれの音に耳を傾けて聞くと、かなり「音痴」に聞こえてしまうこともあるし、また逆に平均律で伴奏パートをしつらえ、旋律を吹いても全体がハモラず不愉快な事もし知っている。

幼いころからの音感トーレーニングで、「もうちょっと高め(約15セント程)」や「もうちょっと低め」等という表現でないとハモラない、そんな音程・音律の関係を物理学にもとずき論理的に解説してある音大生向けの教科書がこの本。

ちなみに絶対音感崇拝者の皆様、「1セントの音程は小さすぎて聴き分けることは難しい......例として純正律長三度は周波数比で5:4と示される約386セントである。平均律で調律されたピアノの長三度は400セントとなる。この14セントの差は半音の約7分の1であり、容易に聴き取れる。セント (音楽)/Wikipedia より引用。

をご存じでしたか、つまり倍音スケール上の和声的音程は非常に良い精度で音感教育に結びつき、平均律至上主義の絶対音感崇拝は調律士などの技術者育成には向くかもしれないが、演奏家育成には......。

この本を読めば絶対音感とは何か考えさせられてしまう。


音律論: ソルミゼーションの探究  東川 清一  著

公開:2017年5月 4日
更新:2019年1月10日

投稿者:デジタヌ


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