響ホール /北九州市《ホール音響Navi》
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人口減少・経済地盤沈下に悩まされている北九州市だが文化事業には熱心で、遠く?博多からも態々新幹線で駆けつける熱心な響ホールファンもいる!
福岡県のクラシック音楽の灯を絶やさないように頑張っていただきたいものである!
響ホールのあらまし
北九州市が整備した「国際交流ゾーン」の中核施設「北九州市立国際村交流センター」内にある施設。
同センターには、響ホールの他に「国際村交流センター」、「八幡東生涯学習センター」の3つの施設を持つ。
響ホールのロケーション
所在地 福岡県北九州市八幡東区平野一丁目1番1号
響ホールへのアクセス
最寄りの駅 鹿児島本線八幡駅下車。徒歩約15分
建築音響学から眺めた響ホール
響ホールの施設データ
- 所属施設 北九州市立響ホール。
- 運営団体 財団法人北九州市芸術文化振興財団。
- 開館 1993年7月
付属施設
リハーサルルーム(100名収容可)、控え室、研修室、カウンターバー
※ご注意;以下※印は当サイト内の関連記事リンクです。
但し、その他のリンクは施設運営者・関連団体の公式サイト若しくはWikipediaへリンクされています。
2層2スロープのオープンステージタイプのシューボックスコンサートホール
最前列から4列迄が平土間で5列目からが緩やかなスロープとなっているメインフロアーはハノ字配列の座席となっている。
舞台後部にも客席をテラスを配した、構造は国内最古ザ・シンフォニーホール(※ホールNaviはこちら)と同様な作り。
木質の壁面
メインフロアー客席周辺は、木片タイル?で表装されたアンギュレーションパネルで表装されている。
2階客席周辺は凸面形状の樋を並べたような、アンギュレーションを持つ木質パネルで表装されている。
コーラステラス席背後もサイドバルコニー席同様の設え。
見事な?音響拡散体の最上層部壁面
2階側壁とコーラステラス席背後の最上層部は、プレーンな木質パネルにアクリル板の樋型をした凸面パネルを横方向に並べて音響拡散体(※1)としている。
バルコニー・テラス席の防護柵・も同様に透明のアクリル板の波状面になっている。
尚、立見席となる2階U・W列後方部分の通路部以外には手摺が設けられていない。
大向こう壁面
1階大向こう壁面は客席配置に合わせた全体がハノ字になった垂直壁面で縦格子と音響ネットで表装された吸音壁(防音壁)となっている。
2階背後客席周辺の低層部の壁面は山形のパネルを並べたアンギュレーション処理された木質パネルで表装され、上層部は1F同様の設え。
ステージ周り
基本台形のステージは、細かな皺のよったアンギュレーション処理の垂直木質パネルと、大向こう同様の縦格子で表装した吸音(防音壁)となっている。
備えて木質の壁面が醸し出す「心地良い残響」は、正しく「響きホール」の名にふさわしい音響効果を創出している。
軒の短い2階バルコニー
オーバーラップが最小に成るように、1階音響調整室&クロークの上部に大きく張り出した2階バルコニーと2階両翼から続くサイドテラスがステージ背後まで回り込むデザインの2階バルコニーー席もメインフロアー同様に緩やかなハノ字段床上に座席が配置されている。
天井
高さ約15mの天井は心持(気休め?)アンギュレーションが施されたブリッジタイプのプレーンな木質パネルの天井反響板で表装されている。
想定される定在波と定在波障害回避策評価について
間口方向定在波
1Fメインフロア平行壁部分
- メインフロアー側壁間約23m;約15.2Hz/1λ、
- ※両側壁のアンギュレーション処理で高次定在波抑制。
- ※両側壁際通路配置で定在波「節部」を回避。
- ※ハノ字段床配列座席で定在波層を回避。
2Fバルコニー・テラス部平行壁部分
- バルコニー・サイドテラス部約21.6m;約16.1Hz/1λ、
- ※両側壁のアンギュレーション処理で高次定在波抑制。
- ※両側壁際通路配置で定在波「節部」を回避。
- ※扇形段床配列座席で定在波層を回避。
最大奥行き方向
1F(ステージホリゾント反響板→1F大向こう壁面)
-
最大奥行き約26.3m;約13.2Hz/1λ、
- ※高次定在波はステージ反響板のアンギュレーションと、大向こう背後壁面処理(波状・アンギュレーション・縦格子)で抑制。
2F(コーラス席背面→2階大向こう壁面)
- 最大奥行き約35m;約10Hz/1λ、
- ※コーラス席背後の波状壁面で平行面をキャンセルし、高次定在波を抑制。
ステージ床面&・平土間床→天井最高部高さ方向
- 客席平土間部約16m;約21.8Hz/1λ、
- ステージ部約15m;約23.2Hz/1λ、
- ※高次定在波は波状天井のアンギュレーションで抑制?
赤字は可聴音域内重低音。
高さ方向定在波に対する配慮(※2)が足らないような気もするが、故人である元館長に免じて、定在波対策(※3)は50点満点としておく。
総評
...。
ホール音響評価点:得点92点/100点満点中
※720席のコンサートホールとしての評価。
※評価ポイント詳細は「"ホール音響ナビ"に用いた用いた評価法とは」をご参照ください。
§1 定在波対策評価;得点50点/配点50点
- ※各フロアーの配置・形状、壁面形状、をオーディエンス周辺壁面(概ね人の背の高さ:約1.8mの範囲内)の設えで評価する。
- ※スラント設置されていない「垂直平行側壁部分」と「平土間部分」の処理において、
「音響障害回避策」が3つ以上講じられていない場合は基礎点を配点50点満点x0.5=25点満点に減じます。
§2 残響その1 「初期反射」軽減対策評価;得点23点/配点25点
- ※木質パネル等の素材基礎点25点から硬質壁材基礎点13点の間6段階で素材基礎点を与える。
- ※障害箇所1点/1箇所で基礎素材点から減じて基礎点とする。
- ※基礎点に障害エリア客席数比率を乗じて算出する
§3 「音響障害と客席配置」に対する配慮評価;得点16点/配点20点
- ※壁際通路&大向こう通路の有無、天井高さ&バルコニー・テラス部の軒先高さ、平土間部分の見通し(眺望)不良、それぞれ-1点/1箇所で配点から減じて基礎点とする。
- ※基礎点に障害エリア客席数比率を乗じて算出する
§4 残響その2「後期残響」への配慮評価;得点3点/配点上限5点
- ※壁面形状、音響拡散体(相当要素)、テラス軒先形状、天井構成、その他の要素で評価。
- ※上限5点の範囲内で上記1点/1アイテムで加算評価。
算出に用いた値;
定在波評価
基礎点B1=基礎点50点ー障害発生エリア数0=50点
定在波障害実被害席総計;0?席
初期反射対策評価
※障害発生エリア壁面材質が表面成型した木質パネルなので素材基礎点25点とした。
基礎点B2=素材基礎点25点ー障害発生エリア数1=24点
初期反射障害1 壁面障害席 ;16席/2階Y列全席、
初期反射障害2 天井高さ不足(2.5m以下)席;0?席
重複カウント ;ー0席
音響障害席総計;16席
客席配置評価
基礎点B3=基礎点20点ー障害発生エリア数2=18点
眺望不良席数;36席/1階平土間中央部座席B~D列11番~22番
音響不良席その1 定在波障害顕著席 ;0?席
音響不良席その2 初期反射障害1壁面障害席 ;16席
音響不良席その3 初期反射障害2 天井高さ不足(2.5m以下)席;0?席
重複カウント ;ー0席
音響障害席総計;52席
算定式
評価点V=基礎点X(総席数ー障害座席数)/総席数
ホール様式
- 『オープンステージ』コンサートホール。
- 1F最大幅約23mx奥行き約26.3m
- 2F最大幅約21.6mX奥行き約35m
収容人員
- 2フロアー(1バルコニー・2階客席周辺テラス席) 720席
舞台設備
オープンステージ形式
- 最大幅約21.8ⅿ(有効幅約17m)、ステージ最大奥行約9.6ⅿ(有効奥行き約9m)、有効面積約171㎡(約103畳)ステージ高さ;FL+約?cm 照明;?本、美術バトン;?本最高部天井高さ;高さStL+約?ⅿ、
各種・図面・備品リスト&料金表
- 座席表(客席配置図)はこちら
- 楽屋、などのフロアー配置図 はこちら;
- 施設別図面setはこちら;(舞台平面図、ホール(客席)平面図、)
- 施設使用料金表(&備品利用料金表含む) はこちら。
- ピアノ等コンサート対応貸し出し備品;備品(楽器)リストはこちら、。
リハーサル室
173平方メートル(約104畳)(約100名収容)
ホール同様天井の高い丁寧な設えの、平土間オープンステージのホールでサロンコンサート(100名収容)にも使える施設。
響ホールがお得意のジャンル
オーケストラコンサート以外、Jポップ関係のコンサートや、往年のアイドル・エンタテイナーのワンマンショウ、ジャズコンサート、歌謡ショー、懐メロ歌手の歌謡ショー、落語・演芸寄席、大道芸、パフォーマンス・ショー等ジャンルに拘らない幅広い演目でこのエリアの多くの人達に受けいれられている。
またプロ演奏団体、以外にも数多くのアマチュア団体が利用している。
レジデントオーケストラ響ホール室内合奏団を運営
東の水戸芸術館(※ホールNaviはこちら)と同様に地方の広域財団法人が運営する小さなホールに似合わず、レジデントオーケストラ「響ホール室内合奏団」(1998年創設)を運営している。
北九州国際音楽祭
北九州国際音楽祭(※音楽祭Naviはこちら)の開催ホールの1つ。
響ホールの公演チケット情報
チケットぴあ該当ページへのリンクはこちら。
デジタヌの独り言
カワイが国内でリリース&メンテ(調律)を行っているベーゼンドルファーでショパンを聞いてみたい。
スタインウェイの呪縛?から若い優秀なピアニストを守る意味でもド派手なスタインウェイ D-274を2台もそろえるくらいなら1台ぐらいはベーゼンドルファーを備えてほしいホールである。
※1、音響拡散体については「第2章第1節 音響拡散処理と音響拡散体となる要素」をご参照ください。
※2 第4章第1節「高さ方向定在波の音響障害」回避策 はこちら。避けなければならない天井高さは7、8、10、12、14、16、20m!
※3 第3章 ホールデザインの基本"定在波の根絶・阻止・駆逐" 法
公開:2017年9月10日
更新:2022年9月30日
投稿者:デジタヌ
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