フェニックスホール/広島国際会議場《ホール音響Navi》
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広島市にある不死鳥並みの根性を持った出演者のみ堪えられる巨大エコールーム「フェニックスホール」。アダプタブルステージ(可変ステージ)と移動客席を備えた3フロアー2バルコニー1テラスの3層ホール。ミュージカル、歌謡ショーなどに用いられるエンドステージ設定とステージ背後に2階テラスを配したアリーナ形式の2通りのステージ設定が可能。
Official Website http://www.pcf.city.hiroshima.jp/icch/
フェニックスホールのあらまし
広島県広島市中区中島町にある、コンベンションセンターの中にある多用途を狙ったホール。
6ヵ国語の同時通訳設備や大型映像設備、などを備えており、国際会議場としても各種イベント会場としても「どうとでも利用可能な」多用途に中途半端なホール。
フェニックスホールのロケーション
ところ 広島市中区中島町1-5
広島平和記念公園敷地内、広島平和記念資料館本館の西側にあり、空中回廊で繋がっている。
広島市と周辺にある観光スポットについてのトリップアドバイザーの 口コミ ナビはこちら。
アクセス
JRおでかけネット 広島駅JR広島駅から
路線バス
●南口バスのりばA-3 ホームより、広島バス24号線吉島営業所または吉島病院行「平和記念公園」下車すぐ、所要時間:約20分
市内電車
●広島港①行「袋町」下車、徒歩約10分
●西広島②、 江波⑥、 宮島行「原爆ドーム前」
下車、 徒歩約10分 、所要時間:約25分
広島バスセンター HP広島バスセンターから
徒 歩 約10分
フェニックスホールが得意のジャンル
パシフィック・ミュージック・フェスティバルPMFオーケストラの広島公演会場となっている。
広島交響楽団の演奏会に使用されることもある。
主に学会、国際会議、セミナー、講演会、市民団体の集会、お稽古事の発表会などに用いられている。
ソリストのリサイタル、アンサンブルの演奏会等、小編成の室内楽コンサートなども行われJポップ関係のコンサートや、往年のアイドル・エンタテイナーのワンマンショウ、ジャズコンサート、現代演劇、伝統芸能、落語・演芸寄席、大道芸、パフォーマンス・ショー等ジャンルに拘らない幅広い演目でこのエリアの多くの人達に受けいれられている。
またプロ演奏団体、以外にも数多くのアマチュア団体が利用している。
フェニックスホールの公演チケット情報
※ご注意;以下※印は当サイト内の関連記事リンクです。
但し、その他のリンクは施設運営者・関連団体の公式サイト若しくはWikipediaへリンクされています。
音響工学から眺めたフェニックスホール の音響デザイン
アダプタブルステージ(可変ステージ)と移動客席を備えた3フロアー2バルコニー1テラスの3層ホール。
ミュージカル、歌謡ショーなどに用いられるエンドステージ設定とステージ背後に2階テラスを配したアリーナ形式の2通りのステージ設定が可能。
所見
可動プロセニアム機構は持たないが、カーテンでプロセニアム形式の演劇舞台も設定できる。
メインフロアーはアリーナ形式の場合エプロンステージにもなる平土間部分とそれに続く緩やかなスロープの中間部と比較的急な後半スロープ部から成る。
中2階に当たる側壁にステージ側面まで回り込んだテラス席が設けられているがテラス席前縁ガードは垂直の石壁!
メインフロアー周辺側壁と中2階テラス席背後壁は 1989年の開館当時全国的に流行っていた石壁!で広島県産の瀬戸内産石材ブロックを積み上げて表装されている。
2階バルコニーのある中層部と3階バルコニーに当たる上層部を取り巻く壁面は全面に渡り打ち放しコンクリートの柱と梁の間にプラスターボード製の「フラップ形式の蓋」を持つ「残凶調整壁」。
更に全フロアー共に最後部最上段大向こう上の天井高さは3m以下の2.6m程度しかなくオマケに天井(各フロアー軒)は水平で上反無し!と言うわけで1階メインフロアーは満席になっていても2・3階フロアーに回る観客は少ない始末!
大掛かりな壁面内蔵の装置からも、「初期反響」(※11)のものすごさがうかがい知れる?
天井は組格子風に設えたプラスターボード製の半響板。
ステージ前縁上部にあるプロセニアムもプラスターボード製で前面に音響ネットで表装されたスピーカーと、吸音装置が仕組まれている。
全体的に所謂「エコールーム仕様(※12)」のもの凄いホールとしか言いようが無い!
参※11)当サイト関連記事 『第2章 過剰なエコーが引き起こす音響障害「恐怖感」と「ホール酔い」 はこちら。
参※12)エコーチャンバーについてのWikipediaの関連項目は こちら。※本物のエコールームでは定在波対策(平行壁面対策)はしっかり施されています。
所感と総評
その名の通り、このホールで演奏会を開くには「不死鳥」のような,強い「意思」がいるかも...?
通常コンサートで使用する場合はフラップ全開で、エプロンステージを使用し、ステージ背後に仮設反響板を設置しステージバック席:174席を覆って、1330席の中ホールとして使用している様ではある。(だろうな...)
更にはこのホールで、国際会議はかなり酷では無かろうか反響吸収装置可動フラップ蓋全開の「吸音装置フル可動」でも初期反響の荒らしで、スピーカー(演者)の声は館内放送で聞こえても、客席側の質問者の発言は聞き取りにくいのでは?
まあどうせ同時通訳イヤホンを耳に突っ込んでいるので関係無いか...?
でもご自慢のフラップはいつ全閉にするの...?
これなら最初からこんな「ブラインド擬きの無用の長物」なんか要らなかったのでは...?
何にしても、もう30年近く経っている事だし、早急に大規模改修して、音響フラップも含め、内壁を全面木質パネルに換装するか、最低でもモダン芝居小屋風に和紙かクロスの壁紙で表装し直した方がよろしいのでは?
現状のままでは、シューボックスならぬ「打ち放しコンクリート壁の監獄」か巨大な「銭湯の洗い場」並みの音響である!
※1エコールームに関する「音工房Z」さんの解説記事はこちら。
ホール音響評価点:40点
§1,「定在波対」策評価点:15点/80点満点
- ※各フロアーの配置・形状、壁面形状、天井形状、天井高さ、等の要素をそれぞれ減点法で算出。
- ※客席側壁がプレーンな垂直壁で「完全平行・平面」の場合は、満点x0.5=20点をベースに算出。
§2、残響その1 「初期反射」対策評価点:5点/20点満点
- ※壁面の素材・形状、客席配置、その要素で減点算出。
- ※(コンクリート、人造大理石、タイル・陶器製などの)硬質材の客先周辺壁材仕様は、満点x0.5=10点をベースにして減点算出。
§3,残響その2「後期残響」への配慮評価点:4点/5点満点
- ※壁面形状、音響拡散体(相当要素)、テラス軒先形状、天井構成、その他の要素で減点算出。
§4,客席配置への評価点:13点/25点満点
- ※壁際席、大向こう席、平土間部分の見通し(眺望)不良、それぞれ-1点/1箇所で減算。
- ※客席周辺壁材が硬質壁の場合は、満点x0.8=16点をベースに減点算出。
※関連記事「後悔しないコンサート会場の見分け方」まとめ はこちら。
フェニックスホールの施設データ
- 所属施設/所有者 広島国際会議場/広島市。
- 指定管理者/運営団体 、財団法人広島平和文化センター/広島市。
- 開館 1989年7月
- ホール様式 『シューボックスタイプ』多目的ホール。
- 客席 2フロアー、収容人員 1,504席、1・2階テラス(桟敷席)、
エンドステージ形式;1階席:966席
(うち8席を取り外し、車椅子ご利用のスペースとすることができます。約4~5台のご利用が可能です)
2階席:184席、バルコニー席:108席
3階席:246席アリーナステージ形式
1,504席
客席可変残響装置、
1階席:792席
(うち8席を取り外し、車椅子ご利用のスペースとすることができます。約4~5台のご利用が可能です)
2階席:184席、バルコニー席:108席、
ステージバック席:174席
3階席:246席 - 舞台設備 エンドステージ設定、間口:22m 奥行:13m 高さ:8.95m、ブドウ棚(すのこ)、センターステージ設定;間口:22m 奥行:13m 高さ:8.95m、仮設反響板、オーケストラピット&エプロンステージ迫り
- その他の設備 パイプオルガン
- 付属施設 楽屋x3、控室x5、リハーサルルーム、
- 施設利用(利用料金等)案内 詳しくはこちら公式ガイドへ。
- 設計 丹下健三・都市・建築設計事務所。
リハーサル室の音響デザイン
床面積192.21㎡(約116畳)天井高さ約2.4m
バレエ・ダンスレッスンバーを装備した壁面ミラー(カーテン付き)を備えている。
フルコンサートピアノ
全周有孔音響ボードで表装された遮音(吸音)構造を持つ。
ルーム音響評価点:50点
※会議室、宴会場、展示会場などがメイン用途のためルーム音響評価を適用しました。
§1,「定在波対策」評価点:25点/50点満点
- ※ルーム低層部に1対以上の並行したプレーンな垂直壁がある場合は、満点x0.5=25点をベースに減点算出。
§2、「初期反射」対策評価点:25点/50点満点
- ※ルーム低層部3面以上がプレーンな垂直壁の場合は、満点x0.5=25点をベースに減点算出。
公開:2018年2月16日
更新:2022年9月30日
投稿者:デジタヌ
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