狸穴ジャーナル・別冊『旅するタヌキ』

マービーふれあいセンター /倉敷市《ホール音響Navi》 

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旧・真備町にある2つのホールを備えた施設

おそらく倉敷市内で最も優れた音響を誇る元真備町(現倉敷市)の「からくり小屋」?「マービーふれあいセンター」。

優れた音楽環境を市民に提供した元真備町施設課担当者の方に敬意を表して、狸穴総研・音響研究工房厳選『後世に伝えたい・真の銘ホール』に選ばせていただく。

マービーふれあいセンター のあらまし

Official Website https://arsk.jp/mabi/

芸術振興に熱心な倉敷市の数ある施設の1つ。

2005年8月の平成の大合併で倉敷市の一部となった元真備町(まびちょう)のその名も清音駅から4Kmほど離れた旧真備町の町外れの農地に囲まれた一角にある文化施設。

倉敷市真備町にあるマービーふれあいセンターは、移動席を備えた大小2つのホールのほか展示室等を備えており、演劇・コンサート・講演会等から絵画・写真等の展示まで多種多様なイベントに活用できます。
 建物の外観は、真備にゆかりのある吉備真備公が中国の唐へ渡る際に乗った一隻の巨大な遣唐使船をイメージして建てられています。<公式サイトより引用>

マービーふれあいセンターのロケーション

ところ  倉敷市真備町箭田40番地1

トリップアドバイザーの周辺口コミ ナビはこちら。

マービーふれあいセンターへのアクセス

鉄道・バスなどの公共交通

最寄りの駅 JR伯備線 清音駅、井原鉄道 吉備真備駅下車 徒歩15分(約1km)

マイカー利用の場合

(※無料駐車設備 426台 があるのでマイカー利用がおすすめ)

山陽自動車道
玉島ICより車で約15分(約9km)

中国横断自動車道岡山米子線
総社ICより車で23分(約13km)

マービーふれあいセンターがお得意のジャンル

公式公演カレンダーはこちら

竹ホール

倉敷音楽祭(※音楽祭ナビはこちら)の、サブ会場となっている。

主に体育館として使われており、市民団体の集会などにも利用され、オーケストラコンサート、ミュージカル、Jポップ関係のコンサートや、往年のアイドル・エンタテイナーのワンマンショウ、ジャズコンサート、演劇・伝統芸能、歌謡歌手の歌謡ショー、大衆演劇、などジャンルに拘らないバラエティーに富んだイベントが行われている。

また展示ホールとしても利用されている。

さつきホール

主にセミナー、講演会、市民団体の集会、お稽古事の発表会などに用いられ、ジャズコンサート、トークショー、大衆演劇、落語・演芸寄席、着ぐるみヒーローショー、大道芸、パフォーマンス・ショー、などの色物などジャンルに拘らないバラエティーに富んだイベントが行われている。

またパーティー・レセプションなどの会場としてもつかわれている。

施設面から見たホールの特色

(公式施設ガイドはこちら)

※ご注意;以下※印は当サイト内の関連記事リンクです。
但し、その他のリンクは施設運営者・関連団体の公式サイト若しくはWikipediaへリンクされています。

竹ホール

(公式施設ガイドはこちら)

大規模なロールバックシステムと移動格納タイプのユニット固定席を採用したプロセニアム形式の平戸間多目的イベントホール。

ホール部分が間口29.1mx奥行き25.5mと幅広い構造で、前部平土間部分の可動席を収納して、後部スロープ席のみの480席に設定すると、間口29.1mx奥行き15.85mの広大なオープンステージホールとなり、今流行の「よさこい踊り」などの演舞場としても利用出来る。

さらに後部フロアーを3段に設定すると奥行き19.7mの広大なスペースとなり、ダンスコンテストなどにも利用出来る。

さらに収納席956席全席を収納すると、完全にフラットな体育館風のイベントホールとなり、展示会などにも活用できる。

基本に忠実な丁寧なデザインのホール

これだけ大掛かりな仕掛けが有ると、仕掛けばかりに目が行ってしまいがちだが、ホール建屋自体も天井が高く(4階吹き抜け相当最高部約12m)、低・中層部客室側壁は縦方向の山形パネルをホール全長にわたり並べてアンギュレーションを持たせ、横方向に格子を配している表層で上部に木質の異形(5面体)の装飾(音響拡散体)を梁状に並べてある。

上層部は3角錐形状の音響各三体を配したプラスターボード製反響板、大向こう背後壁面は音響グリルで表装した吸音壁で波形天井反響板との間にコーナー反響板が設えられている。

木質のプロセニアム上縁前縁には大向こう同様にコーナー反響板が設えられている。

ステージ反響板は従来タイプの一般的な軽量タイプの反響板だがサイドと天井反響板は折り返したタイプのアンギュレーション背面も単純なアンギュレーションを設けている。

開口部の変化が大きいタイプなので、多少洞窟音的な癖のある音響となってはいるが、この手のからくり小屋としては異例の音響を誇っている。

竹ホール音響評価点:93点

§1,「定在波対」策評価点:36点/40点満点

  • ※各フロアーの配置・形状、壁面形状、天井形状、天井高さ、等の要素をそれぞれ減点法で算出。
  • ※客席側壁がプレーンな垂直壁で「完全平行・平面」の場合は、満点x0.5=20点をベースに算出。

§2、残響その1 「初期反射」対策評価点:19点/20点満点

  • ※壁面の素材・形状、客席配置、その要素で減点算出。
  • ※(コンクリート、人造大理石、タイル・陶器製などの)硬質材の客先周辺壁材仕様は、満点x0.5=10点をベースにして減点算出。

§3,残響その2「後期残響」への配慮評価点:20点/20点満点

  • ※壁面形状、音響拡散体(相当要素)、テラス軒先形状、天井構成、その他の要素で減点算出。

§4,客席配置への評価点:18点/20点満点

  • ※壁際席、大向こう席、平土間部分の見通し(眺望)不良、それぞれ-1点/1箇所で減算。
  • ※客席周辺壁材が硬質壁の場合は、満点x0.8=16点をベースに減点算出。

※関連記事「後悔しないコンサート会場の見分け方」まとめ  はこちら。

さつきホール(小ホール)

(公式施設ガイドはこちら)

こちらは、竹ホールほど凝ってはい無いが、216席のロールバックシステムを備えている1フロアーのオープンステージ小ホール。

ステージ背面にはアンギュレーションを持たせた木質反響板が設えられ、両サイドは壁紙で表装された一般建築用のプレーンな石膏ボードでコーナーを大きく(約2.4x2m)面取りしてある。

ホール周辺壁下層部はプレーンな木質パネルを内傾スラントさせて設置してあり、上層部は構造材の柱をステージ両サイド壁同様の設えで表装し、さらに柱前面と本体壁面との間に斜めに石膏ボードを渡してあり全体としてのこぎり状のアンギュレーション壁となっており音響拡散体として働いている。

最上部はプラスターボードで折り上げて、空調ダクトを兼ねた「波状にアンギュレーションを持たせた天井反響板」につなげていいる。

間口13.9mに対して天井高さ(最高部)約5.5mとやや平たい「コンニャクタイプ」の薄べったいホールだが、平戸間にしてスタッキングチェアーを並べ、「サロンコンサート」とすれば、有名なサントリーホール・宴会場(小ホール)などよりは数段良好な音響であろう。

(サントリーホール※ガイド記事はこちら

さつきホール音響評価点:95点

§1,「定在波対」策評価点:36点/40点満点

  • ※各フロアーの配置・形状、壁面形状、天井形状、天井高さ、等の要素をそれぞれ減点法で算出。
  • ※客席側壁がプレーンな垂直壁で「完全平行・平面」の場合は、満点x0.5=20点をベースに算出。

§2、残響その1 「初期反射」対策評価点:19点/20点満点

  • ※壁面の素材・形状、客席配置、その要素で減点算出。
  • ※(コンクリート、人造大理石、タイル・陶器製などの)硬質材の客先周辺壁材仕様は、満点x0.5=10点をベースにして減点算出。

§3,残響その2「後期残響」への配慮評価点:20点/20点満点

  • ※壁面形状、音響拡散体(相当要素)、テラス軒先形状、天井構成、その他の要素で減点算出。

§4,客席配置への評価点:20点/20点満点

  • ※壁際席、大向こう席、平土間部分の見通し(眺望)不良、それぞれ-1点/1箇所で減算。
  • ※客席周辺壁材が硬質壁の場合は、満点x0.8=16点をベースに減点算出。

※関連記事「後悔しないコンサート会場の見分け方」まとめ  はこちら。

リハーサル室

公式施設ガイドはこちら。

リハーサル室;幅約14.27mx奥行約9.40m、床面積約134㎡(約81畳)天井高さ;最高部約4.6m Pタイル床、壁面ミラー(高さ1.8mx幅6.3m)(カーテン付き)を備えている。

セミコンサートピアノ(ヤマハGⅢ)を装備している。

壁全面有孔音響ボードで表装された遮音(吸音)構造を持ち、

低層部サイド壁面は台形平面に幅を変化させ、ミラー上部壁面は内傾スラントさせ

対抗壁面は逆鎧張り風にアンギュレーションを設けてあり、さらに天井は大きくラウンドした凹面天井を片流れスラントさせている!

これほど立派で丁寧な設えのリハーサル室はプロオーケストラの練習場でも少ない。

ルーム音響評価点:85点

§1,「定在波対評価点:45点/50点満点

  • ※ルーム低層部に1対以上の並行したプレーンな垂直壁がある場合は、満点x0.5=25点をベースに減点算出。

§2、「初期反射」対策評価点:40点/50点満点

  • ※ルーム低層部3面以上がプレーンな垂直壁の場合は、満点x0.5=25点をベースに減点算出。

※ということでリハーサル室まで含めたトータルな音楽環境生成(配慮)を評価させていただいて、「マービーふれあいセンター」を、狸穴総研・音響研究工房厳選『後世に伝えたい・真の銘ホール50選』に選ばせていただく。

マービーふれあいセンターの施設データ

  1. 所属施設/所有者 マービーふれあいセンター/倉敷市
  2. 指定管理者/運営団体 (公財)倉敷市文化振興財団/倉敷市
  3. 開館   1999年

竹ホール

  1. ホール様式 、プロセニアム形式舞台付き・平土間多目的イベントホール、
  1. 客席   幅約29mx奥行約25m、有効床面積約700㎡(約422畳)、天井高さ(最高部)約12m 1スロープ1フロアー 
    • 収容人員 996人
    • 内訳;車椅子用スペースX8、親子室X12席、
    • ロールバック方式客席収納システムX720席、移動ユニット客席X256席、
    • 木質パーケット床、
  1. 舞台設備 幅約29.1mx奥行:15m床面積約435㎡(約262畳)
    • プロセニアムアーチ:間口約20m、高さ約8.5m、実効面積;約300㎡(約181畳)ステージ高さ;FL+95cm、ブドウ棚(すのこ)、バトン類、スクリーン
    • 脇花道、所作台、演題、
    • 松羽目、金屏風、緞帳、紗幕、地絣、大黒幕、
    • 反響板、オーケストラ平台、ひな段用けこみ、指揮台、その他
  1. 舞台仕様・詳細寸法などに関する仕込み図面集はこちら公式ガイド:(舞台図面
  1. その他の備品 フルコンサートピアノYAMAHA-CFⅢS

さつきホール

  1. ホール様式 幅約13.9mx約21m、延べ床面積約286㎡(約173畳)天井高さ(最高部)約5.5m平土間多目的イベントスペース
  1. 客席   幅約13.9mx奥行約14.6m、有効床面積約202.9㎡(約122.5畳)、天井高さ(最高部)約5.5m 1スロープ1フロアー 
    • 収容人員224席、
    • 内訳;固定席X216席、親子室X8席、
    • ロールバック方式客席収納システムX216席、、
    • Pタイル張り、
  1. 舞台設備 オープンステージ形式幅約9mx奥行:6.5m 面積約58.5㎡(約35畳)移動仮設タイプ
    • ステージ高さ;FL+50cm、バトン類
    • 用途によって竹ホールとの共通備品使用可能(有料)
  1. 舞台仕様・詳細寸法などに関する仕込み図面集はこちら公式ガイド:(舞台図面

  1. その他の備品 グランドピアノ YAMAHA-S6

付属施設・その他

    1. 付属施設 両ホール共用楽屋x4、リハーサルルーム、展示室、研修室、会議室、和室x3、アとリューム・ギャラリー他、真備図書館
    2. 施設利用(利用料金等)案内 詳しくはこちら

デジタヌの独り言

「真備のからくり小屋?」にしては、ツボを押さえた手堅いデザインで収容人員を欲張らなかった好例の様な良質のホール。

嫁ぎ先の倉敷市の悪趣味(多角堂)信奉とは大違い!

 

公開:2017年9月11日
更新:2022年9月30日

投稿者:デジタヌ


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