狸穴ジャーナル・別冊『旅するタヌキ』

イシハラホール /大阪市内《ホール音響Navi》

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"プレミアムホール"ブームの先駆けとなった施設

浪速商人(株式会社ワキタ)は金儲け一辺倒のガメツイ商売人とは違います! 

やれ売名行為だ、道楽だと言われようがこのホールは「儲け抜き(売名行為抜き!)」でここまで「おお(大)きゅう」してもろた皆様への御礼として「社会貢献」のつもりでやってます!

イシハラホールのあらまし

Official Website  https://www.facebook.com/ishihara.hall/

1993年当時全国でも珍しかった大阪市内初の250席の「プレミアムホール」

その後に続く1995年に開館した 301席の「ザ・フェニックスホール」、2003年10月帝都・東京に開館した300席の「Hakuju Hall」、2007年3月名古屋に開館した310席の「宗次ホール」などの「プレミアムホール」開館ブームに大きな影響を与えた。

音響面から眺めたイシハラホール

※ご注意;以下※印は当サイト内の関連記事リンクです。
但し、その他のリンクは施設運営者・関連団体の公式サイト若しくはWikipediaへリンクされています。

1スロープ1フロアーのシューボックスコンサートホール

最前列からD列までの扇形配列平土間座席部分から中央通路を挟んでストレート段床の緩やかなスロープになっている持つ1フロアのオープンステージコンサートホール。

客室側壁

ホール壁面は全周木質パネルで表装されている。

ホール側壁客席周辺低層部

低層部は装飾梁を支える装飾柱の間にアンギュレーションを持たせた木質山形パネルで表装され対抗壁面との並行をキャンセルし、定在波(※)の発生を抑止している。

側壁上層部は凝った設えのテラコッタ風の「レリーフ」をあしらった額縁のある反響板で表装されて、音響拡散体(※)として後期残響の創出にきよしている。

上層部は反響板で天井に折れ上がって天井反響板と繋がっている。

客席周辺の最下層部(背もたれの高さ)は装飾柱を支える石積み壁と成っている。

大向う背後壁面

ホール最後部大向こう低層部客席背後壁は音響格子で表装した吸音壁。

大向こう上部にある調整室部分に当たる中層部は額縁で縁取った音響ネットで表装した吸音壁、上層部は調整室の硝子窓を中央部に両側に空調ガラリを配している。

天井

天井は「格天井」風の設えのプラスターボード製の天井反響板に剥き出しの照明器具用バトンを吊した流行のデザイン。

舞台反響板

ステージ背後はアンギュレーションを持たせた木質パネルを台形のステージに合わせて「ハノ字型」に配置して表装している。

上層部はホール側壁から回り込んだ装飾梁の上部にプラスターボード製の上部反響板をスラント設置している。

総評;ホール音響評価点:得点92点

本当に素晴らしい出来栄えのプレミアムホールである。これだけ丁寧な設えなのにどうして客席側壁最下層部が石材に拘ったのか...?、もっとも肩より下には耳は付いていないが。

§1 定在波」対策評価;得点50点/配点50点
  • ※各フロアーの配置・形状、壁面形状、をオーディエンス周辺壁面(概ね人の背の高さ:約1.8mの範囲内)の設えで評価する。
  • ※客席側壁が ホール床面積(or総客席数)の1/3以上に及ぶ範囲を「完全平行な垂直平面壁」で挟まれているときは 基礎点25点に減ずる。
  • ※基礎点に障害エリア客席数比率を乗じて算出する
§2 残響その1 「初期反射」軽減対策評価;得点23点/配点25点
  • ※木質パネル等の素材基礎点25点から硬質壁材基礎点12点の間5段階で素材基礎点を与える。
  • 障害箇所1点/1箇所で基礎素材点から減じて基礎点とする。
  • ※基礎点に障害エリア客席数比率を乗じて算出する
§3 「音響障害と客席配置」に対する配慮評価;得点14点/配点20点
  • ※壁際通路&大向こう通路の有無、天井高さ&バルコニー・テラス部の軒先高さ、平土間部分の見通し(眺望)不良、それぞれ-1点/1箇所で配点から減じて基礎点とする。
  • ※基礎点に障害エリア客席数比率を乗じて算出する
§4 残響その2「後期残響」への配慮評価;得点5点/配点上限5
  • ※壁面形状、音響拡散体(相当要素)、テラス軒先形状、天井構成、その他の要素で評価。
  • ※上限5点の範囲内で上記1点/1アイテムで加算評価。

算出に用いた値;

※関連記事 「ホール音響評価法についての提案」はこちら

定在波評価

※シューボックスで並行する壁面が多いが、全てアンギュレーション処置が施された木質パネルなので基礎点50点とした。

基礎点B1=基礎点50点ー障害発生エリア数0=50点

定在波障害顕著席数;0?席

重複カウント ;ー0?席

定在波障害顕著席総計;0?席

初期反射対策評価

※障害発生エリア壁面材質がアンギュレーションなので素材基礎点25点とした。

基礎点B2=素材基礎点25点ー障害発生エリア数1=24点

初期反射障害1 壁面障害席 ;10席/大向うN列5番~14番

初期反射障害2 天井高さ不足席;0席

重複カウント ;ー0席

音響障害席総計;10席

客席配置評価

基礎点B3=基礎点20点ー障害発生エリア数2=18点

眺望不良席数;40席/1階平土間中央部座席A~D列5番~14番

音響不良席その1 定在波障害顕著席 ;0?席

音響不良席その2 初期反射障害1壁面障害席 ;10席

音響不良席その3 初期反射障害2 天井高さ不足席;0席

重複カウント ;ー0席

音響障害席総計;50席

算定式 

評価点V=基礎点X(総席数ー障害座席数)/総席数

デジタヌの独り言

(株)ワキタ さん、再開館のご英断 ありがとうございます。

多少気になる点もありますが狸穴総研・音響研究工房・厳選『後世に伝えたい・真の銘ホール50選』に選ばせていただきます。

但し、運営はやはり適当な「餅屋」にまかせた方が「後々面倒ではないと思いますが」...。

大阪にもう一つあるプレミアムホールが「見かけ倒し」のホールなので、このホールが「大阪の音楽文化レベル」の向上に与える影響は大きいと感じております。

大阪音大あたりの「芸術ホール運営」に手慣れた団体にお声を掛けてみられては如何でしょうか?

それとこの際「Wakita Hall」に改称されては如何でしょうか?

イシハラホールのロケーション

ところ  大阪市西区江戸堀1丁目3−15205

大阪市と周辺にある観光スポットについてのトリップアドバイザーの 口コミ ナビはこちら。

アクセス

地下鉄四つ橋線 肥後橋駅5-B 出口上がる。新石原ビル2階

イシハラホールが得意のジャンル

ソリストのリサイタル、アンサンブルの演奏会等、小編成の室内楽コンサートなどが行われている。

またクラシックコンサート以外にも、ジャズコンサート、落語・演芸寄席、などジャンルに拘らないバラエティーに富んだイベントが行われている。

イシハラホールの公演チケット情報

チケットぴあ該当ページへのリンクはこちら。

イシハラホールの施設データ

  1. 所属施設/所有者 新石原ビル/株式会社ワキタ。
  2. 運営団体 株式会社ワキタ。
  3. 開館   1993年
  4. ホール様式 『シューボックスタイプ』音楽専用ホール。
  5. 客席    1フロアー、収容人員 250名、
  6. 舞台設備  オープンステージ形式、その他詳細不明?
  7. その他の設備 照明ブリッジ、脇照明
  8. 付属施設  リハーサル室
  9. 施設利用(利用料金等)案内 (株)ワキタにお問い合わせ下さい。
  10. ゼネコン 前田建設工業

イシハラホールと小屋主「株式会社ワキタ」のこれまでの歩み

「株式会社ワキタ」のあらまし

Official Website  http://www.wakita.co.jp/

資本金138億2187万4820円、東京証券取引所市場第一部上場、従業員397名(平成29年8月31日現在)

建機・住宅設備・オフィス設備・不動産・の販売・レンタル・リースを手がける総合商社。

イシハラホールと持ち主(小屋主)の移り変わり

1919年 後の博玉メリヤス(株)の母体と成る現「第一メリヤス(株)」(大阪府枚方市津田駅前2-8-1)が東京・目黒で「小久保メリヤス」として創業。

1920年(大正9年)9月10日 「合資会社南洋鉱業公司」として現石原産業の母体創設。

1929年8月 石原産業海運合資会社と改称。

1934年 (昭和9)3月 石原産業が株式会社に組織変更。

1943年 (昭和18年)6月 石原産業(株)に社名変更

1949年(昭和24年)5月4日 企業再建整備法(財閥解体)により「小久保メリヤス」が会社分割、後に現「(株)ワキタ」に買収される「博玉メリヤス(株)」が創業。

1949年(昭和24年)6月1日 企業再建整備法(財閥解体)により旧石原産業(株)が会社分割、現「石原産業(株)」設立。

1955年3月 現「(株)ワキタ」の直接の始祖「脇田機械工業所」が大阪市西区梅本町で創業。

1974年3月「脇田機械工業所」が 博玉メリヤス(株)を買収し、「株式会社ワキタ」に社名変更。

1979年10月 「 (株)ワキタ」大阪証券取引所 市場第二部に上場。

1989年8月 「 (株)ワキタ」大阪証券取引所 市場第一部銘柄に指定。

1993年  化学メーカーの石原産業(株)が本社ビル建設と共にイシハラホールを開館。

2008年3月 「(株)ワキタ」不動産事業本部を新設。

2013年7月  「 (株)ワキタ」東京証券取引所 市場第一部銘柄に指定。

2013年12月20日 当時の所有者石原産業(株)の経営不振とホール施設の老巧化を理由にイシハラホール閉館。

2016年4月 (株)ワキタ不動産事業本部がイシハラホールのある「石原産業ビル」全館を買収。

「新石原ビル」と改称、貸しビルとする。

2017年 (株)ワキタの自主運営(興行主)事業としてイシハラホール再開館。

 

公開:2018年2月18日
更新:2022年9月30日

投稿者:デジタヌ


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