狸穴ジャーナル・別冊『旅するタヌキ』

阿倍野区民センター 《ホール音響Navi》 

,

阿倍野区民センターのあらまし

Official Website http://abeno-cc.net/

図書館などが入っている12階建ての下駄履き住宅の地下1階から2階にある。

ロールバックシステムを備えた、「区民センター」の中でも有数の音響特性を誇るホール。

アベノ、天王寺界隈で優れた音響で知る人ぞ知る銘ホール。

区民の文化活動を支えているホール。

プロの音楽団体にも利用されている。

阿倍野区民センターのロケーション

  • 所在地  大阪市阿倍野区阿倍野筋四丁目19番118号

JR天王寺駅、近鉄・大阪阿部野橋駅、地下鉄阿部野停留所から南へ歩いて数分、阪神高速道路高架橋がそびえる阿部野交差点から西へ入ってすぐの道路沿いの南側に面して建っている。

西隣りは市営の広大な墓地で、高速道路南側のこの一帯は、住宅地となっている。

高速道路北側、チンチン電車でおなじみの「あべの筋」沿いには、中・高層のビルが建ち並び、あべのキューズモール、日本一高い「ハルカス」がそびえる、商業地域である。

阿倍野区と周辺にある観光スポットについてのトリップアドバイザーの 口コミ ナビはこちら。

阿倍野区民センターへのアクセス

地下鉄谷町線「阿倍野」駅⑥号出口から南へ100m
阪堺電車上町線「阿倍野」駅から南へ180m
地下鉄御堂筋線・JR「天王寺」駅、近鉄南大阪線「あべの橋」駅から南へ800m

阿倍野区民センターこれまでの歩み

:1975年10月21日 阪南公設市場の2階にあった図書館としてオープン。

2002年1月17日移転・新装開館。

阿倍野区民センターがお得意のジャンル

大ホール

吹奏楽団、アマチュアコーラス、などの舞台公演のほか、平戸間を利用して格闘技のスタジアムなどにも使われている。

小ホール

市民団体の集会、講演会、演説会、演芸会などに用いられている。

阿倍野区民センターの公演チケット情報

チケットぴあ該当ページへのリンクはこちら

※ご注意;以下※印は当サイト内の関連記事リンクです。
但し、その他のリンクは施設運営者・関連団体の公式サイト若しくはWikipediaへリンクされています。

施設面から見た阿倍野区民センターの特色

上層部が住宅に成っている12階建ての下駄履き住宅の地下1階から2階にあり。3階区立図書館になっている。

大ホール

(公式施設ガイドはこちら)

ありまホールと同じ(株)昭和設計の手になる615名収容の小規模ホール。

3階吹き抜けの高い天井を有し、全壁面木質のホールである。

 1階スロープ部分に当たる低層部のホール両側は高床のダミー桟敷となっており、その軒に当たるスロープ両サイドの壁面は山形の加工材を変形チェックパターンに成る様にフラットパネルに貼り付けた表装と成っている。

2階に当たる中層部は更にパネル自体を屏風状に折り曲げた表装。

3階に当たる上層部は同様の表装だが中層部とは前後方向にずらせ、壁面全体としてランダムな表面形状になる様にデザインされている。

ホール背後の壁面は3階相当の上層部が2階固定席部分に覆い被さる構造となっており、ホール側に僅かに内傾させてある、こちらわ立て格子状で表装しグルーブ加工壁と同等の効果を得ている。

ホール前半平土間部分はフラットパネルを屏風状に折り曲げて形成してあり、反響板も同様の表装である。

ステージ反響板から連続する様にデザインされたプロセニアム一体型の大型天井反響板と照明器具用の開口部で段差を設けた大型反響板がホール後方に続き全体としている。

平土間上層部の縦配置の照明器具は大型の木製ケースで覆われており、それ自体に音響拡散体の効果を持たせてある。

ホール全体に渡り縦横・断面形状で「並行面を無くした」丁寧なデザインで「定在波(※1)の障害、及び耳障りな初期反響(※2)の少ない上質な響きのホールとなっている。

結果としてこれら「数々の意匠のコラボ」で市内の区民会館切っての音響を誇っている。

小ホール

(公式施設ガイドはこちら)

煉瓦積みを大胆に用いた、302席の固定席を持つ小ホール。

緩やかなスロープを持つ1スロープ2階吹き抜けの高い天井を持つオープンステージ・シューボックスタイプの多目的ホールである。

低いオープンステージの両側面から客席後方に渡って、低層部の内壁表装には「長手積み上げ(※3)の煉瓦積み」が用いられている。

更にホール客席部分は横方向の「鎧張り(下見板張り)」条に段差が設けられている。

上層部は下層部同様と言うより煉瓦積みを貼り付ける為に整形されたコンクリート壁がアクリルエマルジョンペイントで表装され剥き出しになっている。

ホール客席背後上層部の壁面は大ホールと同じ設え。

但しこちらは、低層部客席背後と上層部中央部開口部は吸音材で処理された吸音壁と成っている。

この辺りは壁材に煉瓦を用い全体として容積が小さい為に、シューボックス型に付きものの「定在波(※1)と初期反射(※2)」が完全には押さえ込めず、「ブーミー」がちな音響をチューニングするためには致し方無かったのであろう。

「凹凸表面を持つ折れ曲がった煉瓦積みの異形壁」はツンツルテンの石壁や打放しコンクリート壁に比べれば「音響インピーダンス」も小さく壁面反射は僅かばかり小さく、ランダムな表面による音響拡散(後期残響)も期待できアイデアとしては面白いが、このホールに適用するにはコンニャク型のホール形状と「小さい容積」の音響特性が災いし、成功したとは言いがたい結果の様である。

これだけの手間(施工費)をかけるのだったら、ありきたりの「内傾させた異形の木質壁」の方が良好な音楽ホールとしての「響き」が得られたのでは無かろうか?

器楽リサイタル、アンサンブルのコンサート利用が少ないのは心地良い韻の大ホールに比べて「癖の強い響き」の為であろう。

せめて、壁際は通路とすべきであった。

詳細データ

  1. 所属施設/所有者 大阪市立阿倍野区民センター/大阪市。
  2. 指定管理者/運営団体 大阪市。
  3. 開館   2002年(平成14年)1月17日
  4. 設計  (株)昭和設計
  5. ゼネコン 
  6. 内装(音響マジック) 

大ホール

  1. ホール様式 、方形プロセニアム型式多目的ホール。
  2. 客席   2フロアー(1スロープ) 615人(仮設パイプ椅子;259席、 2階固定席:58席 ロールバックシステム: 290席、親子室x4席、車いすx4席分)
  3. 舞台設備 プロセニアムアーチ、ブドウ棚(すのこ)、可動反響版、
  4. その他の設備 2階周辺ガラリ


小ホール

  1. ホール様式 多目的ホール。
  2. 客席   1フロアー 収容人員 302席、親子席三室
  3. 舞台設備 オープンステージ形式
  4. その他の設備 

付属施設・その他(詳しくはこちら

  • 付属施設 和室、 控え室x5、集会室x3、スタジオx2、調理実習室、アトリエ兼工室
  • 施設利用(利用料金等)案内 詳しくはこちら。

デジタヌの独り言

ありまホール等、数々の「ロールバックシステム」の銘ホールを手がけている「昭和設計」さんではあるが、小ホールはチャレンジし過ぎた様?

※参照覧

※1-1、定在波の悪影響に関する一般人向けnatuch音響さんの解説記事はこちら

※1-2、定在波に関するWikipediaの(技術者向け)解説はこちら。

※ 関連記事『ホールに潜む ミステリー ゾーン (スポット)とは?』はこちら。

※2、直接音、初期反射音、残響音についての(株)エー・アール・アイさんの解説はこちら。

※3、煉瓦壁・煉瓦の積み方についての「解説サイト」はこちら。

 

公開:2017年12月 7日
更新:2022年9月30日

投稿者:デジタヌ


山本能楽堂 /大阪市内《能舞台 音響Navi》 TOPローズ文化ホール/豊中市《ホール音響Navi》 


 

 

 



▲このページのトップに戻る
▲大阪府 の公共ホール 音響Naviへ戻る

 

ページ先頭に戻る