狸穴ジャーナル・別冊『旅するタヌキ』

豊田市コンサートホール/豊田参合館《ホール音響Navi》  

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中京屈指の音響を誇る?「豊田コンサートホール」と本格的な能狂言小屋「豊田市能楽堂」を備えた豊田市の看板施設。

豊田市民センター地区市街地再開発事業として、豊田市駅前にオープンした豊田市中央図書館、豊田市能楽堂、豊田市コンサートホール、商業施設を有する、総合アミューズメント雑居ビル

豊田参合館 のあらまし

豊田市の表玄関「豊田市駅」前にそびえる10階建ての複合施設。

豊田市民センター地区市街地再開発事業として、豊田市駅前に商業施設「コスモ・スクエア」とともにオープンした複合施設で、3階以上が豊田市中央図書館、豊田市能楽堂、豊田市コンサートホールなどを備えた文化施設になっている。

豊田市には同じ公益財団法人豊田市文化振興財団が運営する、1708席の大ホールを有する豊田市民文化会館が1981年に先にオープンしており、豊田参合館は豊田市にとっての2つ目の「複合文化施設」となり、名古屋市内から地下鉄直結というアクセスの良さで、豊田市観光の目玉施設の一つともなっている。

豊田参合館これまでの歩み

1992年8月 - 都市計画実施
1998年4月 - 商業施設、開店
1998年11月 - 図書館、能楽堂、コンサートホール開館
2003年8月 - コンサートホールにパイプオルガンを設置

多重構造で「ホールを積み上げた」前代未聞の暴挙!

最上層部10階から13階が「豊田コンサートホール」となっており、中層部の3階から7階の5フロアーが豊田市中央図書館、8・9階が本格的な能狂言小屋「豊田市能楽堂」で、1・2階がイーオン等が入居する商業施設となっている複合施設いわゆる「下駄ばき施設」地下1・2階には有料駐車施設を備えている。

愛知県芸術劇場が入っている愛知県芸術文化センター"同様に積み重ねてしまった!ことが最大の失敗原因!

公式フロアガイドはこちら

  • ●10Fから13F がコンサートホール
  • ●8・9F が能楽堂
  • ●7Fは緩衝フロアー:書庫
  • ●3~6Fが図書館
  • ●1から2Fがテナント

しかも、空間の有効利用?の為に「コンサートホールと・能楽堂」の間には通常なら設けられる"緩衝(分断)層"となる共通ロビー・ホワイエなどの共有スペースが無い!

つまり、物騒な「連射砲(パイプオルガン)」を持つトーチカ?がフローティング処理などの「十分な防振対策(低周波振動対策)」も施されない状態で、「能楽堂」の真上に鎮座している!事になる。

このため、コンサートホールで「連射砲をぶん鳴らす」と、階下の能楽堂の天井を強烈に振動させて、いまにも天井が崩落しそうに軋みだすすわけ!

後述する、2重隔壁は、最上階のコンサートホールのオーディトリアム(客席)を軽量発泡コンクリート製の「レゾナンスチャンバー(共鳴体)」で取り囲み、20HZ前後のペダル音(重低音)による低周波振動を抑え込もうとするたくらみ?

元々ビルの上層部に、しかも間に「緩衝フロアー」も設置せずに、能楽堂のシーリング(天井本体)とコンサートホールの床を共用させようとした「甘さが」裏目に出たという以外には解釈しようが無い!

普通なら、巨大オルガンを装備したコンサートホールと冷厳・静寂を重んじる能楽堂を"干渉フロアー"も挟まずに重ねるなどという"暴挙"はやらないだろう!

事実、あまり褒められた施設でもないが メディキット県民文化センター(※01)でさえ、左右に並列させている!

参※01)当サイト関連記事 《 ホール 音響 ナビ 》豊田参合館はこちら。

参※01)メディキット県民文化センター《 ホール 音響 ナビ 》 はこちら。

全国に3例の高層ビルの中に連射砲?を収めたトーチカ?の例 

1990年 東京芸術劇場 7・8・9・10階 東京芸術劇場《ホール 音響 ナビ》コンサートホール 1,999席 階下6Fはエントランスホール、ギャラリーなどの「緩衝フロアー」

大失敗例

1992年6月  愛知県芸術劇場(※00)オープン。

同じく失敗例

※1998年 階下に"能楽堂"!を持つ当館。 

つまり、豊田豊田参合館は小規模ホールであるにも関わらず、フローティング(防振ゴム懸架)も行わず、既に愛知県芸術劇場の失敗例が明らかになっていたのに、レゾナンスチャンバーだけで切り抜けようとしたのは、明らかに業務上過失音響障害?ともいえよう。

別項の生い立ちのように、パイプオルガンの増設が開館後になったので「完工検査(検収)」時には問題が発覚ししなかったのであろう?

しかし東京芸術劇場の先例があり、ビルの上層部にパイプオルガンを設置するなら緩衝フロアーの設置が絶対に必要なことは承知していたはず!で現に当施設でも、静寂さが売りの図書館フロアーとホール層の間7階は緩衝フロアーとして「書庫」に使われている!なのに...

ビル上層階の多目的ホールの例

上記以外にもビルの中に大規模ホールが、設置されている例は全国各地にあるが...

何れも「物騒な連射砲(パイプオルガン)」は設備していない!

更に、緩衝フロアーを設けずに、下層階のシーリング(天井)と上層階の床を共有する手法は、リハーサル室程度のイベントルームでは広く採用されているが、何れもパイプオルガンなどと言う"物騒な代物"は設備されていないホールばかり!

それでも、古くは旧大阪歌舞伎座(現ビッグカメラ)の地下にあった「戎橋松竹歌舞伎地下演芸場」では上部の3000人収容の「大阪歌舞伎座」でイベントがあるたびに"天井が今にも落ちそうな"「大振動」が発生して、当時の芸人の「お笑いネタ」になっていたことは有名な逸話で、「ホール建築デザイナー」なら当たり前に知っていたはず!

参※00)当サイト関連記事 愛知県芸術劇場 《 ホール 音響 ナビ 》はこちら。

豊田参合館のロケーション

  • 所在地  愛知県豊田市西町1丁目200番地

名古屋市営地下鉄が乗り入れている名鉄三河線「豊田市」駅前の東側に隣接している商業施設「コスモ・スクエア」と一体化した「市街地改造ビル」。

名鉄駅の反対側の西側に愛知環状鉄道「新豊田駅」がある。

この辺りには兄弟施設「コスモ・スクエア」以外にも豊田市役所、豊田産業文化センター、豊田市美術館、豊田市民文化会館、スカイホール、豊田スタジアム、などがあり豊田市の中心繁華街にもなっている。

豊田参合館へのアクセス

公共交通機関

名鉄「豊田市駅」、愛知環状鉄道「新豊田駅」

マイカー利用の場合

豊田参合館 地階には110台収容の有料駐車があり兄弟施設「コスモ・スクエア」地階のコスモパーキング(約250台収容)とも地下2階で繋がており計360の収容能力がありマイカー利用も可能。

東名高速 

  • 豊田ICから 約15分4.9㎞
  • 東名三好ICから 約25分9.2㎞

東海環状自動車道 

  • 豊田勘八ICから 約21分7.1㎞
  • 豊田松平ICから 約18分6㎞

猿投グリーンロード 

  • 終点力石ICから 約 21分9.4㎞

※ご注意;

※印は当サイト内の関連記事リンクです。
但し、その他のリンクは施設運営者・関連団体の公式サイト若しくはWikipediaへリンクされています。

参合館の施設データ

Official Website  http://www.sangohkan.co.jp/hall.html

(公式ガイドはこちら)

  1. 所在地  愛知県豊田市西町1丁目200番地
  2. 所属施設/所有者 参合館/豊田市民センター地区市街地再開発組合。
  3. 指定管理者/運営団体 財団法人豊田市文化振興財団/豊田市。
  4. 開館   1998年11月3日
  5. 設計   青島設計・佐藤総合計画名古屋事務所設計監理共同企業体
  6. ゼネコン 竹中・矢作・佐藤・小野建設共同企業体
  1. 内装(音響マジック) 永田音響設計

付属施設・その他 

館内付属施設 

施設利用ガイド

付属施設・その他
  • 付属施設 楽屋x、ホワイエ、エントランスロビー、リハーサルルーム、バーラウンジ、図書館、能楽堂。
  • 施設利用(利用料金等)案内 詳しくはこちら。

音響工学から眺めた『コンサートホール』のデザイン

(公式施設ガイドはこちら)

「立派なパイプオルガン」を備えた、最上層部10階から13階を占める4層吹き抜けの1,004席の中規模コンサートホール。

1スロープ2層構成のシューボックスホール

最前列から4列までが完全平土間で5列目から緩やかなスロープのホール前半と、16列以降の比較的急峻な階段スロープの後半部から構成されたメインフロアーと、側壁両サイド2階部分に2列のサイドテラスを配置したデザインとなっている。

パイプオルガンを備えた無宗派の大聖堂!

聖堂様式にも通ずる「石質パネルをふんだんに用いた?」内装のホールである。

木と石で創られた柔らかく暖かい自然空間。音響の良さを追求したシューボックス型のこのホールは、演奏する者、聴く者の両者の立場に立って創られた、クラシックを中心とした音楽専用ホールです。...<公式サイトより引用>

木と石???

石壁だらけ!でどこに"木"があるの?

唯一のご自慢パイプオルガン

開館に送れること5年の2003年(平成15年)8月 -アジアで初めてとなるジョン・ブランボー社(米国・オレゴン州)製のパイプオルガンが設置された。

全周に渡ってプレーンな垂直壁!

大聖堂様式?でメインフロアーも2階テラス席周辺も大部分の壁面がプレーン(ツンツルテン)な軽量発砲コンクリートの垂直壁で表装された所謂「物流倉庫仕様」?の壁面。

見事な?ホール後部大向こう背後の吸音壁!

前途した後部大向う背後内壁面は低中層部がほぼ全面に渡り「音響ネットで表装された吸音壁」となっている。

低音域の定在波と並んで、物凄い「初期反響(エコー)」(※11)の嵐を少しでも緩和しようという狙いであろう。

※発生順としては、初期反響が「引き金」となり定在波(※12)が発生する。

参※11)当サイト関連記事 第1章 「エコー」と「後期残響」は別物はこちら。

参※12)当サイト関連記事  第1章 standing wave(定在波)は音波とは異なる物理現象! はこちら。

小さなヴォールトを仕込んだセグメント天井

小さなヴォールト(※13)を仕込んだセグメント(分割)反響板を3段階に段差を付けて並べた反響板となっている。

大型のパイプオルガンを装備した"聖堂"なので定在波による共振で天井全面が共振し"天井崩落"を招きかねない想定で、"分割振動"に有利な強固な造りの手の込んだセグメント天井にしたのかもしれない?

参※13)当サイト関連記事  第1項「ドーム、ヴォールト」等のアーチ天井 はこちら。

てんこ盛りの音響拡散体

前項のセグメント天井はい言うに及ばず、シャンデリア、むき出しのステージ照明ブリッジ、ホール上層部の明かり窓風の切込み、テラス軒先、2階中上層部装飾梁、同じく装飾窓、ホール後方大向う背後壁面の装飾窓、パイプオルガン、等々...ありとあらゆる音響拡散体(※14)で残響の厚化粧をした「女装の無骨な三河武士」といったところ?

つまり、永田音響設計の最近の定番、残響には配慮するが定在波は無視?の典型的な音響デザインのホールといえる。

参※14)当サイト関連記事 第3節 音響拡散に用いられる壁面装飾オブジェ"音響拡散体" はこちら。

アッと驚く大仕掛け...特徴あるカラクリ壁!

ビルの上層階(10階~13階)にあることからビル低層階への「低周波振動対策」に主眼が置かれ、手の込んだ壁面構造で、低層階への低周波振動対策が行われている。

但し後述するが階下への低周波振動公害?の元凶である「定在波」の、「抑止・駆逐策」(※15)」にはならず、ホール内は「定在波の嵐」となっており至る所に音響障害(※16)が生じている!

参※15)当サイト関連記事  第3章 ホールデザインの基本"定在波の根絶・阻止・駆逐" 法 はこちら。

参※16)当サイト関連記事  第2章 定在波で起こる音響障害『ミステリーゾーン』 はこちら。

特徴ある「2重壁共鳴チャンバー」構造による振動低減策

1・2階(10・11・13階)共に全面2重壁になっており、外壁と内壁で区切られた空間が共鳴チャンバーになっている。

たぶん、併設された「能楽堂」の"橋掛かり"でよく用いられる「床下の吸音壺」にヒントを得た設備ではないか?

※共鳴体内で"共鳴"させて音響エネルギー(振動エネルギー)を熱エネルギーに変換する仕組み!を利用している。

1階メインフロア側壁

メインフロア側壁は「音響スリット(スピーカーシステムでいうバスレフポート?)」が設置され、前方から後方に向かって、次第に段階的にホール巾が狭く成り、側壁内に仕掛けられた「チャンバー容積」を4段階に変化させ共鳴周波数(吸音周波数)を変化させている。

2階テラス側壁

2階は同じく2重壁で囲まれた「5室の共鳴チャンバー?」と装飾窓を兼ねた「開口部」で繋がっている。

ステージ背後壁面オルガン両側壁

こちらも左右2つのチャンバーとサイドテラス同様にスリット&装飾窓を開口部とした構造。

ホール後方大向う背後壁面

こちらは低層部大向う背後と上層部左右が2重内壁となっており低層部の2重壁内は通路になっており、左右で2階テラスと繋がる狭い通路(階段)が設けられている。

所見と総評

見かけは狭いスリットでも重低音は通過出来る!現象を利用

あなたの耳を思い出せばよいが、反射には大きな面が必要でも、通過には微小な空隙(スリット)があれば通過できる。

この現象を利用して客席サイド壁にスリットを持つ2重の内壁構造では、前途したように「内壁同士でできた共鳴チャンバー空間」に低音を導きヘルムホルツの原理による"共鳴"を利用して振動エネルギーを熱エネルギーに変換し吸収している。

まり後述するホール内で生じる「特定の周波数で周波数特性が変化する定在波」とは似て非なる現象で階下への低周波公害門題の対策である。

ホール全体のフローティングでも可能だった「低周波振動公害対策」

この程度の小規模ホールならばこれだけ「手の込んだ設え」をするよりも、低層階とホール上屋を完全に分離し石橋メモリアルホール(※ホール音響ナビはこちら)や嘗ての京葉銀行文化プラザ(※ホール 残凶 ナビはこちら)のようにホール全体を「盗用ゴム?」などの耐震防振ゴムで「フローティング」させるなど他の方法もあったのではなかろうか?

更にオーディトリアム(ホール)内壁全周に渡り、重量級木質グルービングパネルをアンギュレーション&外反スラント設置し、ホール内の諸悪の根源となる定在波を根絶した方が、聴衆、テナント双方によかったように思う。

高層ビル内部に「大型パイプオルガン」を設置するのは厄介で、中層部にある「オルガン付きホール」は重低音(低周波振動)公害対策で手こずる一つの例でもある。

ホールZ軸(床ー天井)以外の定在波は可聴帯域外に追いやる回避策?

のみ

※画像をクリックすると拡大できます。

standing_wave.jpg

このホールの定在波(※11)に対するコンセプトはは「対抗壁面間隔20m超」(※12)の伝承手法による可聴帯域(20~20kHz)外への追い出し策だけである!

0.5波長の基本定在波周波成分については可聴帯域外なので目に見えた(耳に聞こえる)実被害は生じない、という想定だろうが、

定在波の成分は1波長のサインウェーブだけではないし、基本成分は0.5波長で通り過ぎる"音波"ではなく、ひとところに留まる「音圧変調停留域」であるので、壁面間隔だけではかいひできない!

しかしこれらの周波数はオルガンのペダル音(重低音)にしっかりかぶさっており!、階下のテナント?では低周波振動公害(※13層)を助長する結果となっている。

参※11)当サイト関連記事 第4巻 定在波(standing wave )と音響障害 はこちら。

参※12)当サイト関連記事  第1項 「壁面間隔20m超」の伝承技法の誤り!について はこちら。

参※13)当サイト関連記事  第3節 ミステリーゾーンで起こる低周波振動健康被害! はこちら。

ステージ上には一定の配慮が...

ステージ上周囲の木質反響板は、両側が「ハノ字」、背後が山形の凹面となっており聖堂らしく神の御加護?でステージ上の演奏者にはホール平面方向の災い(定在波)は降りかからない。

※画像をクリックすると拡大できます。

standing_wave2.jpg

さらに2階オルガンテラスの奏者もオルガン自体が歪(いびつ)な形状なので前後軸の定在波も免れている。

オルガン両側の壁面はプレーンな垂直壁面なので、可聴帯域外ではあるがこの部分と大向こう背後壁間で「最悪の前後軸定在波(前後長約43.5m約8Hz)」が発生しており、大向こうの座席は全席が背後の壁面に接しており節目に当たり直接被害は無いであろうが...

サイドテラス前半部分1番から32番席は1段下がって配置されているので軸方向定在波からは逃れているがホール後方部分33番以降では、低周波(重低音)定在波の為に長時間の聴取では気分が悪くなるかもしれない?

長時間では最悪吐き気が...?

平土間部分の高さ方向定在波を除きいずれも可聴帯域外ではあるが「恐ろしいい低周波振動」ではあり、長時間のコンサートでは「頭痛・目まい・吐き気」などの低周波振動障害(※14)が生じている可能性もある。

参※14)当サイト関連記事  第3節 ミステリーゾーンで起こる低周波振動健康被害! はこちら。

ブーミーな(盛り上がった)低音域への消極的な対策

実被害の出ている天井と平土間部分&ステージ上との間で発生するZ軸定在波

平土間部分(最前列から4列目迄)&ステージ上の天井と床面とのあいだで定在波が生じている。

この部分の天井は、平土間(&ステージ)と平天井の最悪の組み合わせ(※15)でセグメントを凹凸配置でセットし中央部に向かって高くなるように段差を設けてあるが、各面は床面と平行しておりあまり効果は無いであろう。

参※15)当サイト関連記事  第1項 天井は床面とは平行させない はこちら。

スリット部を設けたサイドパネルの効果は?

一般的に、音波は1/2波長以上の(直径)巾をもつ反射面からは反射することになっている(※15)。

つまり諸悪の根源「完全平行対抗面」を駆逐しないと定在波障害解決にはならない!

参※15)当サイト関連記事 第2節 反射面の幅 と反射波の周波数限界はこちら。

階下への低周波振動公害対策とトレードしたエコールーム擬き音響?

1000人程度の収容人員ならホール全体をフローティング支持することも...

複合ビルの最上階で「大型パイプオルガン」を設置した施設なので、階下への低周波振動(重低音)公害を懸念したのかもしれない。

定在波による共振パワー.を恐れるあまりのチャンバー消音作戦?

(※詳しくはこちらの自慢?記事をどうぞ)

小生宅の"エントランスホール?"の例で恐縮だが、オルガン曲や大太鼓の再生をすると、建てや全体が共振するのがはっきりとわかる!

拙宅のエントランスホールは2階上層部屋根裏(合掌造りの3角屋根)に繋がる約1.5m四方の開口部はあるが、屋根裏の床面は作業性(かつての養蚕場)と台風対策で壁土でしっかり固められており、床全体の重量・強度は木造古建築にしては大きいが、天井高さの1/4波長ぐらいに相当する、20数Hz(ヤマハサブウーファーの限界に近い重低音) のペダル音が鳴り響くと、天井も含め建物全体が軋む、すごさである!

総評

いくら残響で厚化粧しても、お里が知れている?銭湯の洗い場的、物流倉庫紛いの空間。

はっきり言わせてもらって、エコールーム(※16)の方が定在波対策はしっかりしていて、よほど心地よい?音響であろう。

青少年少女たちの"部活の発表会"などにも使用されており、心苦しくもあるが、採点は妥当な評価であろう...。

このホールに拘らなくても、豊田市民文化会館《 ホール 音響 ナビ はこちら》もあることだし、「〷音響設計が設計したホールだから、間違いはありません...」などと"プラシーボ効果?"で誤魔化すより、「真のピアノの音色」とはこんな音だったのか!...」という実体験(※17)を持たせてあげて、将来音楽家を目指す青少年が増えること願う次第である。

参※16)エコーチャンバーについてのWikipediaの関連項目は こちら。※本物のエコールームでは定在波対策(平行壁面対策)はしっかり施されています。

※参17) 当サイト関連記事 看板ホール?『神戸女学院小ホール』のコンサート体験記 はこちら。

今後の改修に期待

バブル経済が終息してからの建設なので、オルガン設置が5年遅れたり、景気低迷の影響を受け、「絢爛豪華」とはいえないが、公会堂風に回り込んだサイドテラス、セグメント反響体を用いた天井等、丁寧な設えの中型コンサートホールなのだが...

平土間中央部分座席を千鳥配列に

平土間中央部分の奇数列1・3列~1席づつ都合2席を撤去しこの部分を千鳥配列座席とするべきである。

天井に可変反響板を

ホール前半部分のステージ及び平戸土間客席部の上下定在波を阻止する目的でシャンデリア2器を撤去し、

ステージ及び4列目迄の平土間上空に上下高さ・前後角度可変可能な発泡コンクリート製の6分割ていどのセグメント反響板を設置することをお勧めする。

上下定在波阻止が目的なので、軽量のプラスターボード製でも構わないが、パイプオルガンを控えているので、出来れば東京芸大新奏楽堂(※ホールNaviはこちら)のようなイメージで重量級の発砲コンクリートパネルが望ましい。

壁面はスラント設置に

当初パイプオルガンが設置されていなかったので、完工検査の音響測定では問題が露呈しなかったのであろうが...。

ホールサイズ幅20m(2階22.5m)×奥行き43.5m×高さ15.5m(最高)から考えて、当館のようにパイプオルガンを設置した場合はオルガンのペダル音(最低音域)に一致する17Hz,(15Hz),約7.8Hz,約22Hzの定在波(1波長周波数成分)が発生し易い環境で有る。

1列から14列は両端の1番・30番席計28席を撤去してでも、壁面は上方に拡がる10°度スラント傾斜(※201)の壁面に改修をした方が定在波の発生を抑止できる。

参※201)当サイト関連記事  第3章 ホールデザインの基本"定在波の根絶・阻止・駆逐" 法 はこちら。

2階サイドテラス背後壁(側壁)

2階サイドテラス背後壁(側壁)には昔ながらの上質ベッチンの"音響カーテン"を設置して壁面初期反響緩和策とすることをお勧めする。

大向こう背後壁面は撤去すべし!

現状大向こう席30番列背後は吸音壁と「共鳴チャンバー」創出の為の「吸音パーティション?」で区切られているが、この壁は撤去して「木質格子」(※18)に換装したほうが大向こう席の背面初期反響障害対策となり釣鐘効果(※19)を抑制できて音響は改善される!」

参※18)当サイト関連記事 『第2項 格子を用いた内装 はこちら。

参※19)当サイト関連記事 『第2節 定在波音響障害とよく似た釣鐘現象 はこちら。

定在波対策についての考察

※以下、音速は室温28℃、海面標準気圧1013hPaの時の348.6m/sec で計算してあります。

側壁平行部分(間口方向)想定定在波
メインフロアー平土間部側壁平行部分(1~6列)※A&B扉部除く
  • 側壁間約20m;
  • 定在波周波数成分;約8.7Hz/0.5λ、約17.4Hz/1λ約26.1Hz/1.5λ、約34.9Hz/2λ、約43.6Hz/2.5λ、約52.3Hz/3λ、
メインフロアースロープ前半側壁平行部分(7~14列)
  • 側壁間約19.5m;
  • 定在波周波数成分;約8.9Hz/0.5λ、約17.9Hz/1λ、約26.8Hz/1.5λ、約35.8Hz/2λ、約44.7Hz/2.5λ、約53.6Hz/3λ、
  • ※扇形(ハノ字)段床配列座席で定在波層を回避?(この程度のハノ字では全く効果なし!)
メインフロアースロープ後半側壁平行部分(16~30列)
  • 側壁間約18.5m;
  • 定在波周波数成分;約9.4Hz/0.5λ、約18.8Hz/1λ約28.3Hz/1.5λ、約56.5Hz/2λ、約47.1Hz/2.5λ、約56.5Hz/3λ、
2Fサイドテラス部側壁平行部分
  • サイドテラス部壁間約22.5mm;
  • 定在波周波数成分;約7.5Hz/0.5λ、約15.5Hz/1λ、約23.2Hz/1.5λ、約31Hz/2λ、約28.7Hz/2.5λ、約46.5Hz/3λ、

奥行き方向想定定在波
1F(1F大向こう壁面→ステージ背後壁面)
  • 最大奥行き約43.5m;
  • 定在波周波数成分;約4Hz/0.5λ、約8Hz/1λ、
  • 客席スロープで抑止。
  • ※高次定在波はオルガンテラス及びオルガン全面の凹凸で抑制。

平土間床→天井最高部高さ方向
  • 客席平土間部約15.5m;
  • 定在波周波数成分;約11.2Hz/0.5λ、約22.5Hz/1λ、約33.7Hz/1.5λ、約45Hz/2λ、約56.2Hz/2.5λ、約67.5Hz/3λ、約78.7Hz/3.5λ、約90Hz/4λ、
参、ステージ床面→天井最高部高さ方向(推定ステージ高さ70cmとして)
  • ステージ天井高さ約14.8m;
  • 定在波周波数成分;約11.7Hz/0.5λ、約23.6Hz/1λ、約35.3Hz/1.5λ、約47.1Hz/2λ、約58.9Hz/2.5λ、約70.7Hz/3λ、約82.4Hz/3.5λ、約94.2Hz/4λ、

赤字健康被害にも通じる可聴音域外低周波成分内。

音響評価 version.2 revision.6 /2020.12.16

ホール音響評価点:得点21点/100点満点中

※1008席(車椅子スペースX6台含む)のコンサートホールとしての評価。

※評価ポイント詳細は「"ホール音響ナビ"に用いた用いた評価法とは」をご参照ください。

※前提条件 音響障害エリアについて

「以下の座席ブロック」を個々の音響障害ブロックと見做します。

  • ●メインフロアーは「平土間部」「スロープ部」を夫々別ブロックと見做します。
  • ●上層階バルコニー、左右サイドテラスを夫々1エリアとして見做すこととします。
  • ●サイドテラス(桟敷席)は各階の左右を夫々別ブロックと見做します。
  • ワインヤード(アリーナ)形式については"各棚"を夫々別ブロックと見做します。

§1 「初期反射」軽減対策評価;得点11点/配点25点

※以下詳細は第1節 「初期反射」軽減対策評価:配点25点をご参照ください。

  • ※音響障害席の有無にかかわらず側壁面の表装(素材)に応じて「持ち点」とします!
  • ※表装の内硬質側壁部などの低得点表装の表装ランクを全体に当てはめます!
  • ※グルービング処理を施した木質パネル等の軟質壁材基礎点25点から硬質壁材基礎点13点の間6段階で素材基礎点を与えます。
  • 障害箇所1点/1箇所で基礎素材点から減じて持ち点とします。
  • ※基礎点に音響障害客席数比率を乗じて算出します。

§2 定在波対策評価;得点4点/配点50点

※以下詳細は第2節「定在波」対策評価の項目をご参照ください。

※各フロアーの配置・形状、壁面形状、をオーディエンス周辺壁面(概ね人の背の高さ:約1.8mの範囲内)の設えで評価します。

※基礎点に音響障害エリア客席数比率を乗じて算出します。

間口方向定在波
  • 扇形ホール・スラント設置壁以外「垂直完全平行側壁」部分のフロアー・バルコニー部では間口定在波が生じているとみなします。
平土間部分
  • 後列段床で保護!されていない全席を定在波音響障害席と見做します。
扇形またはハノ字段床部
  • (後列でスッポリ囲まれている)「深い扇形段床スロープ」(ハノ字段床を含む)部分では、両端の席を定在波音響障害席としてカウントします。
ストレート段床部

全席定在波音響障害席と見做します。

上下方向定在波
  • 完全平土間部分上部がスラント天井がまたは波状天井でない場合は全席を定在波音響障害席とします。
  • 天井の、小さなヴォールト(窪み)、格天井は定在波対策とは認めません。

§3 「客席配置」に対する配慮評価;得点1点/配点20点

※以下詳細は第3節 「音響障害と客席配置」に対する総合評価:配点20点をご参照ください。

  • ※定在波対策・初期反響対策に「眺望対策(前列障害)」を加味した値で評価します。
  • ※配点から障害エリア数を引いた持ち点に障害エリア客席数比率を乗じて算出します。

§4 「後期残響」への配慮評価;得点5点/配点上限5

※以下詳細は「後期残響」への配慮評価点:配点上限5点をご参照ください。

  • ※壁面形状、音響拡散体(相当要素)、テラス軒先形状、天井構成、その他の要素で評価します。
  • 上限5点の範囲内で上記1点/1アイテムで加算評価。

算出に用いた値  version.2 revision.6 /2020.12.16

初期反射対策評価

※客席フロアー壁面に低得点表装プレーンな硬質材の箇所が認められたので規定により素材持ち点 13点とした。(反響音の強度順素材持ち点)

基礎点B2=素材基礎点13点ー障害発生エリア数1=12点

1)ホール後端部の"釣鐘現象"音響障害席 ;24席/1階30列全席

2)側壁初期反射音響障害席 ;0?席

3)天井高さ不足音響障害(2.5m 以下)席;0?席

重複カウント ;ー0席

音響障害席総計;24?席

定在波対策評価

基礎点B1=基礎点50点ー障害発生エリア数5=45点

1)間口方向定在波音響障害席;450?席
(a)メインフロアー、;810席

(120席/1階平土間1~4列番全席、320席/1階スロープ前半5~15列全席、370席/1階スロープ後半16~30列全席)

(b)サイドテラス(桟敷)部分;106?席

(96席/2階サイドテラス2列全席、10席/2階サイドテラス1列79番~53番全席、)

2)奥行き方向定在波音響障害席;0?席

3)上下方向定在波音響障害席;120?席

(120席/1階平土間座席1~4列全席、)

重複カウント ;ー120席

定在波障害顕著席総計;916?席

客席配置評価

基礎点B3=基礎点20点ー障害発生エリア数5=15点

眺望不良席数;24席/1階平土間中央部座席2~4列12番~19番

初期反射音響障害席 ;24?席

定在波障害顕著席 ;916?席

重複カウント ;ー48席

音響障害席総計;916席

算定式 

評価点V=基礎点X(総席数ー障害座席数)/総席数

豊田市コンサートホールの施設データ

ホール様式
  • 『シューボックスタイプ』音楽専用ホール。
  • オーディトリウムサイズ;幅20m(2階22.5m)×奥行き43.5m×高さ15.5m(最高)
客席 

  1フロアー(1スロープ)、1,004席(1階席810席、2階バルコニー席194席)、車椅子席6席、

舞台設備
  • 舞台形式;オープンステージ、 間口18m×奥行き11m(面積約157㎡)
  • パイプオルガン装備
その他の設備
  • 楽屋x7、ホワイエ、ロビー、リハーサル室x2
各種図面,備品リスト&料金表

豊田市コンサートホールがお得意のジャンル

年間を通じ数多くのクラシックコンサートが開催されている。

プロ演奏団体、以外にも数多くのアマチュア団体が利用している。

豊田市コンサートホールで催されるコンサート情報

チケットぴあ該当ページへのリンクはこちら。

建築音響工学から眺めた『能楽堂』のデザイン

(公式ガイドはこちら)

切妻造りの屋根と総桧張りの能舞台は、そこに足を踏み入れた者を一様に、"雅"の世界へ引き込んでくれます。
  桃山時代を意識したこの能楽堂は、能・狂言ばかりでなく、琴・三味線・尺八をはじめとする邦楽や舞踊等、他の伝統的な舞台芸術にもご利用いただけます。<公式サイトより引用>

常設の能楽堂のホール内装も、ホール周辺の格子戸風内装や上層部の塗り壁風の仕上げ、波形天井等丁寧な設えで、能狂言に必要な、低反響、低残響の肉声の通りの良い優れた能舞台である。

ホール音響評価点:97点

§1,「定在波対」策評価点:38点/40点満点

  • ※各フロアーの配置・形状、壁面形状、天井形状、天井高さ、等の要素をそれぞれ減点法で算出。
  • ※客席側壁がプレーンな垂直壁で「完全平行・平面」の場合は、満点x0.5=20点をベースに算出。

§2、残響その1 「初期反射」対策評価点:20点/20点満点

  • ※壁面の素材・形状、客席配置、その要素で減点算出。
  • ※(コンクリート、人造大理石、タイル・陶器製などの)硬質材の客先周辺壁材仕様は、満点x0.5=10点をベースにして減点算出。

§3,残響その2「後期残響」への配慮評価点:19点/20点満点

  • ※壁面形状、音響拡散体(相当要素)、テラス軒先形状、天井構成、その他の要素で減点算出。

§4,客席配置への評価点:20点/20点満点

  • ※壁際席、大向こう席、平土間部分の見通し(眺望)不良、それぞれ-1点/1箇所で減算。
  • ※客席周辺壁材が硬質壁の場合は、満点x0.8=16点をベースに減点算出。
豊田市能楽堂の施設データ
  1. ホール様式 平土間能舞台形式
  2. 客席1フロアー 458席(正面205席、中正面127席、脇正面126席)、車椅子席3席
  3. 舞台設備 屋根付き常設能舞台

    本舞台 3間×3間
    地謡座 4尺×3間
    後 座 2間×3間
    橋掛り 1.5間×6間

    その他の設備 鏡の間、楽屋x5、板の間(リハーサルルーム)、玄関、ロビー、

豊田市能楽堂がお得意のジャンル

2ヶ月に1度程度「能狂言」が自主公演されている。

豊田市能楽堂で催されるコンサート情報

チケットぴあ該当ページへのリンクはこちら。

★その他の付属施設の音響デザイン

多目的ルーム

(公式ガイドはこちら)

間口9m、奥行き10m、天井高さ2.7m、床面積90㎡(約54畳)の平土間多目的ルーム。

窓から外が見渡せる多目的室で、壁面も「簀の子格子」で、カーテンをしめれば、サロンコンサートやお稽古事の発表会に最適のスペース。

ホール音響評価点:55点

§1,「定在波対」策評価点:20点/40点満点

  • ※各フロアーの配置・形状、壁面形状、天井形状、天井高さ、等の要素をそれぞれ減点法で算出。
  • ※客席側壁がプレーンな垂直壁で「完全平行・平面」の場合は、満点x0.5=20点をベースに算出。

§2、残響その1 「初期反射」対策評価点:10点/20点満点

  • ※壁面の素材・形状、客席配置、その要素で減点算出。
  • ※(コンクリート、人造大理石、タイル・陶器製などの)硬質材の客先周辺壁材仕様は、満点x0.5=10点をベースにして減点算出。

§3,残響その2「後期残響」への配慮評価点:5点/20点満点

  • ※壁面形状、音響拡散体(相当要素)、テラス軒先形状、天井構成、その他の要素で減点算出。

§4,客席配置への評価点:20点/20点満点

  • ※壁際席、大向こう席、平土間部分の見通し(眺望)不良、それぞれ-1点/1箇所で減算。
  • ※客席周辺壁材が硬質壁の場合は、満点x0.8=16点をベースに減点算出。

※関連記事「後悔しないコンサート会場の見分け方」まとめ  はこちら。

リハーサル室

(公式ガイドはこちら)

床面積98㎡(約59畳)のリハーサル室1、93㎡(約56畳)のリハーサル室2の

2室有るリハーサル室は天井はやや低いが多目的室同様しっかりとした設えで、ストレスの無いリハーサルが可能。

ルーム音響評価点:50点

※会議室、宴会場、展示会場などがメイン用途のためルーム音響評価を適用しました。

§1,「定在波対評価点:25点/50点満点

  • ※ルーム低層部に1対以上の並行したプレーンな垂直壁がある場合は、満点x0.5=25点をベースに減点算出。

§2、「初期反射」対策評価点:25点/50点満点

  • ※ルーム低層部3面以上がプレーンな垂直壁の場合は、満点x0.5=25点をベースに減点算出。

 

公開:2017年11月 8日
更新:2022年9月30日

投稿者:デジタヌ


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