旅するタヌキ

三井住友海上しらかわホール 《 ホール 音響 ナビ 》シューボックス型音楽ホール

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三井住友海上しらかわホールのあらまし

Official Website http://www.shirakawa-hall.com

バブル経済がはじけて数年後の1994年、経営再建の為に不良債権処分・緊縮財政の嵐が吹き荒れていた頃、住友海上創立100周年を記念して、大阪の1990年開館の住友生命・いずみホール(※ホールNaviはこちら)に対抗して?中区伏見に建設されたコンサートホール。

「金泊仕上げのしゃちほこ」「銅板瓦葺き」の「鉄筋コンクリート模造名古屋城」に代表される、「派で好き、見栄っ張り」の「尾張」気質に象徴される、「見てくれ倒れの愛知県芸術劇場コンサートホール(※ホールNaviはこちら)」に変わって、名古屋市を代表するコンサートホールとして、名古屋にクラシック文化の灯火を灯し続けているホールである。

このホールと、CoCo壱番屋の創業者宗次徳二氏が私財を投げ打って作った宗次ホール(※ホールNaviはこちら)は名古屋の「音楽界の良識」を示し、名古屋市民の誇りともなっている。

建築音響デザイン面から眺めた三井住友海上しらかわホール

ご注意;以下の記事中※印は当サイト内の紹介記事リンクです。
但し、その他のリンクは事業主・関連団体の公式サイト若しくはWikipediaへリンクされています。

(公式施設ガイドはこちら)

細部にまで神経の行き届いたデザイン

3層構成

後半がスロープになったメインフロアーと両サイド迄回り込んだサイドテラスを持つ2階バルコニー席を備え、3層目に当たる部分には客席に張り出した音響・照明調整室が配され、2階同様に前方にはキャットウォークテラスが伸びておりステージ背後にまで回り込んでいる。

メインフロアー

J列迄の10列全てが平土間構成の前半部と後半部が緩やかなストレート段床の構成となっている。

フロアー周辺の通路は、2階ベランダの影響を最小限にとどめるよう余裕を持って広く取られて入る。

2階バルコニー

6列6段のストレート段床のバルコニー両翼から前方ステージサイド迄2列2段のサイドテラスが伸びており、そのままステージ背後に回り込み通路となっている。

客席部分前面には木製手摺のついた強化ガラスで前面が覆われた格子フェンス柵が巡らされている。

シートは壁面から少し離れて配置され壁面からの初期反射にも配慮してある。

ボールト天井

最上層部壁面から、コーナー反響板で折れ上った天井はヴォールト(※1)になっており、ボールト中央は緩やかなカーブを描く凸面にシェーピングされており床面との完全平行をキャンセルしている。

壁面を覆う音響拡散体の数々

凝ったデザインの壁面

内壁はアンティーク家具のような凹凸加工を施した異形のレッドオーク材パネルを用いた表装で、オーディトリアム全体としてサイド壁面六ヶ所に装飾柱を配してある。

2・3階サイドテラス背後には片面6か所、正面に2か所の装飾柱が配されている

3層目に配されたキャットウォークテラスとダミー窓を持つサブヴォールト

3層目の壁面は全面プラスターボードで表装され最上部は連続したコーナー反響板を形成し天井に折れ上がっている。

左右6か所と正面ステージ背後2か所の装飾柱の間は上部に教会風のサイドヴォールトが刻まれ、柱間は観音扉を配したプレーンな壁面になっている。

サイドテラス席背後壁面

サイドテラス背後には6か所の装飾柱の間5か所に少し張り出した縁取り(サッシ)のある観音扉が配置され、1階同様の異形パネルが僅かにハノ字に開いて設置されている。

メインフロアー周辺

メインフロアー客席周辺では上層部に至る装飾柱の間に更に中間装飾柱が嵌められ左右片面6本の装飾柱の間は、表面を山形の凸面に成型した観音扉と同意匠の壁面が交互に配されている。

ステージ周辺

額縁付きの山形に窪んだ凹面パネルのセグメントを並べて表装された壁面が取り囲むステージは、ホリゾントに向かってややすぼまった台形で左右の壁面は平行しておらずこの部分のみ定在波には配慮してある。

元長久手の山野に巣くっていた微酔い狸の独り言

名古屋で人気を2分するホール

「豪華絢爛派手好きの織田信長」、「質素倹約・質実剛健・実利優先の三河武士・徳川家康」どちらも愛知県民を表す気質であろうが...、前者の旗頭を愛知県芸術劇場コンサートホール(※ホール音響ナビはこちら)とすれば後者を代表するホールがこのホールでは無かろうか、いずれにせよご当地名古屋で人気を2分するホールの一つには違いない。

バブル崩壊後の緊縮予算の煽り...

せめてあと5年前に計画し1991年に開館していたら、オルガンがあったのでは?

さしずめ「刀折れ矢尽きる」とでも言ったところか、バブル経済崩壊後の「削減に次ぐ削減の緊縮予算」の都合で設置が見送られたので有ろう「パイプオルガン」、ステージ背後の2階部分の壁面に「ぽっかり空いた空間」が寂しそうである?

際どいサイズ?の壁間距離に頼る定在波回避策

オーディトリアム間口16.5m 奥行き31.5m 平土間部分天井高さ約14.7m

  • 幅方向想定1波長定在波 約21Hz
  • 奥行き方向想定1波長定在波 約11Hz
  • 高さ方向想定1波長定在波 約23.7Hz

基本的にステージ以外は屏風状に水平方向にアンギュレーションを付けた垂直壁で覆われ定在波対策(※2)は壁面間距離で定在波を可聴帯域ギリギリの重低音に追いやり障害を回避する手法で終始している。

但し、高さ方向については前途した天井ヴォールトで発生そのものを阻止している。

微妙に開き角を持つ0.5m前後幅のパネルで表装されているが、波長1m周波数にして約348Hz以上の倍音列定在波でしか効果は無く、実際上は前途した数々の装飾同様に音響拡散体(※3)としての働きを賄っていると考えたほうが良さそうである。

惜しい2階にある2列のテラス席

惜しむらくは2階テラスで「名古屋感覚」が出てしまったのか?欲張って2列配置にした点であろう、レッドオーク材の異形壁からの初期反射は不快感を感じる程では無かろうが、人1人分程度の隙間?は空いているが背後に壁面が迫っているのは事実。

最も元祖ザ・シンフォニーホールにせよ、「いずみホール」も2列テラスなので、この辺が商業ホールの限界なのかもしれない。

...と言う事で、狸穴総研・音響研究工房・『厳選後世に伝えたい・真の銘ホール50選』に選ばせていただく。

ホール音響評価点:92点/100点満点中

§1,「定在波」対策評価点:46点/50点満点

  • ※各フロアーの配置・形状、壁面形状、をオーディエンス周辺壁面(概ね人の背の高さ:約1.8mの範囲内)の設えで評価する。
  • ※客席側壁がプレーンな垂直壁で 「完全平行・平面」の場合は、持ち点を満点x0.5=25点に減ずる。
  • ※障害エリア客席数/収容人員 の比率で持ち点から算出する。

§2、残響その1 「初期反射」軽減対策評価点:23点/25点満点

  • 木質パネル等持ち点25点から硬質壁在持ち点12点の間5段階持ち点評価。
  • 障害箇所1点/1箇所で持ち点から減点。
  • ※障害エリア客席数/収容人員 の比率で持ち点から算出する

§3,「客席配置」評価点:18点/20点満点

  • ※壁際通路、大向こう通路の有無、天井高さ、バルコニー・テラス部の軒先高さ、平土間部分の見通し(眺望)不良、それぞれ-1点/1箇所で持ち点から減点。
  • ※障害客席数/収容人員 の比率で持ち点から算出する

§4,残響その2「後期残響」への配慮評価点:5点/上限5

  • ※壁面形状、音響拡散体(相当要素)、テラス軒先形状、天井構成、その他の要素で評価。
  • ※上限5点の範囲内で上記1点/1アイテムで加算評価。

算出に用いた値;

客席では幅方向想定1波長定在波 約21Hzが生じているが、木質壁面のアンギュレーション処置などで、初期反響(※4)が小さく定在波(※5)はそれなりに抑制されているので、定在波そのものが重低音でもありオルガンもお預け?されたことだし、定在波実障害(※6)席は"0"席とし基礎点50点は据え置いた。

但し被害エリアはメインフロアー、2階バルコニー席、両サイドテラス席の合計4か所として4点を減点した。

●定在波対策算出基本点;50点ー障害発生個所4ケ所=46点

想定・定在波障害席数;0席

●初期反射算出基本点; 素材点25点-障害発生個所1ケ所=24点

天井高さ不足(2.5m以下)席;21席/2階2F列全席

初期反射障害席小計;21席

●客席配置算出基本点; 20点ー障害発生個所1ケ所=19点

眺望不良席数;0席/1F平土間中央部座席千鳥配列済

音響不良席その1;定在波障害席0?席

音響不良席その2 ;初期反射障害21席

重複カウント ;ー0席

音響障害席総計;21席

リハーサル室

(公式施設ガイドはこちら)

床面積108㎡(約65畳)のフローリング床のリハーサル室を設けている。

片面がバレエ、ダンスレッスン用の手摺りのある、1面鏡張りに成っていること。

アンギュレーションを持たせた天井反響板で定在波に対処している。

壁面も勿論アンギュレーションを持たせ、壁紙で表装した「一般住宅用」の石膏ボード。

ここまで丁寧な設えのリハ-サル室もすくない。

ルーム音響評価点:98点

§1,「定在波対策」評価点:49点/50点満点

  • ※ルーム低層部に1対以上の並行したプレーンな垂直壁がある場合は、満点x0.5=25点をベースに減点算出。

§2、「初期反射」対策評価点:49点/50点満点

  • ※ルーム低層部3面以上がプレーンな垂直壁の場合は、満点x0.5=25点をベースに減点算出。

しらかわホールのロケーション

ところ  名古屋市中区栄2丁目9番15号。

名古屋駅から地下鉄で1駅伏見駅を南北に通る伏見通り沿いに2筋目の三倉通りに面した場所にある。

すぐお隣はポーラ化粧品で有名なポーラビル、通りを挟んで真向かいは名古屋商工会議所で更に白川通りを渡った白川公園には名古屋市科学館、名古屋市美術館等が有り、付近には、富士フイルム名古屋ビルや、みずほ銀行、山口銀行、三井住友銀行、山口銀行などが立ち並ぶ、金融・ビジネス街でも有る。

トリップアドバイザーの周辺口コミ ナビはこちら。

しらかわホールへのアクセス情報 

最寄りの駅 地下鉄東山線・名城線「伏見駅」

しらかわホールのこれまでの歩み

三井住友海上しらかわホールは、1994年11月、名古屋・伏見にクラシック音楽専用の中規模ホールとして開館しました。当時の住友海上が創業100年記念事業の一環として建設したものです。その後2001年10月に住友海上は三井海上と合併し、三井住友海上となりましたが、ホールはそのまま新会社に引き継がれました。...<公式サイトより引用>

しらかわホールがお得意のジャンル

年間を通じ数多くのクラシックコンサートが開催されている。

しらかわホールの公演チケット情報

チケットぴあ該当ページへのリンクはこちら

施設データ

  1. 所属施設/所有者 三井住友海上名古屋しらかわビル/ 三井住友海上火災保険。
  2. 指定管理者/運営団体 三井住友海上火災保険。
  3. 開館   1994年

ホール様式 『シューボックスタイプ』音楽専用ホール。

  1. 客席   2フロアー、2階テラス 収容人員700席 (可動席、車椅子スペース7席分含む)

  1. 客席仕様;(※公式客席配置図・座席表はこちら)、天井高さ(最高部)約14m 1スロープ2層 
     
  2. 収容人員700席、(車椅子用スペースX7台、含む、)
    • 1階固定席X428席、1階(オーケストラピット部可動床可動席、車椅子用スペースX7台含む)、1階平土間中央部千鳥配列、
    • 2階席X272席、2階テラス席
    • フローリング、
  1. 舞台設備 オープンステージ、間口:14.9m 奥行:9.0m 高さ:14m 、セミオーケストラピット(可動床)

  • 各種図面,備品リスト&料金表。

付属施設・その他 

  • 付属(共用)施設 ;共用施設配置図・フロアマップこちら、
  • 付属施設 楽屋x7、ホワイエ、エントランスロビー、リハーサルルーム,バーラウンジ、、アーティストラウンジ
    • フルコンサートピアノ(スタインウェイD-274、ベーゼンドルファー290、YAMAHA CF3S、チェンバロ(アトリエフォンナーゲル社製)他

施設利用ガイド

施設利用料金案内 使用料金表 はこちらへ

※参照覧

※1、第11章 ドームとヴォールトに関する解説はこちら。

※2、定在波対策については『第4章 セオリーその1 "定在波の駆逐" と "定在波障害の回避策"』をご覧ください

※3、音響拡散体については、『ホールデザインのセオリー 第9章第3節第1項 音響拡散処理と音響拡散体となる要素』をご参照ください。

※4、直接音、初期反射音、残響音についての(株)エー・アール・アイさんの解説はこちら。

※5-1、定在波に関する解説記事 音響工学の基礎知識"平行した対抗面間で生じる『定在波』"はこちら

※6、定在波障害の実被害については『ホールに潜む ミステリー ゾーン (スポット)とは?』をご参照ください。

 

 

公開:2017年11月 5日
更新:2019年4月26日

投稿者:デジタヌ

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