狸穴ジャーナル・別冊『旅するタヌキ』

西新井文化ホール《ホール音響Navi》

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西新井文化ホールのあらまし

※ご注意;以下※印は当サイト内の関連記事リンクです。
但し、その他のリンクは施設運営者・関連団体の公式サイト若しくはWikipediaへリンクされています。

西新井文化ホールとこども未来創造館からなる複合施設ギャラクティの中にある施設。

西新井文化ホールのロケーション

所在地 足立区栗原1-3-1

西新井駅東口から左へ、環7通りを渡って、真正面の都営栗原1ッ丁目アパートの裏手北側に隠れて佇んでいる。

辺りは、区立島根小学校、区立梅島第一小学校、区立第10中学校等の教育施設とUR都市機構栗原団地等がある住宅地と成っている。

東部スカイツリーラインを挟んで反対側西側に有名な西新井大師、總持寺がある。

(公式施設ガイドはこちら。)

騒音に配慮した敷地

前途したように、大動脈「環7通り」とは通りに面した「高層住宅」が遮断してくれており、背後は交通量の少ない裏通りを挟んで住宅街と全く都会の喧噪とは無縁の『良好な立地条件』の敷地である。

建築音響工学から眺めた『西新井文化ホール』

ホール内壁全て木壁で覆われた丁寧な設えのホール。

2スロープ2フロアーのプロセニアム形式多目的ホール

最前列「あ列」から中央通路手前の「き裂」迄の7列が平土間になっており通路を挟んで緩やかな後半の段床スロープを持つ1階メインフロアーとオーバーラップ部分が殆ど無い二階バルコニーとその両翼から伸びた一階後半スロープを取り囲む高床式の桟敷を備えた『全面木壁で内装』されたシューボックスホールである。

1994年の開館にしては欲腹無い?手堅いスペックで

可動プロセニアムや可動床オーケストラピット、仮設脇花道など何もない「音楽専用ホール」と言ってもよさそうなホールである。

ホール両測壁面

ホール上層部にはホール内部に突き出すように内傾した『鏃(やじり)状の装飾柱』を設置し、『音響拡散体』としている。

下層部一階平土間部分とそれに続く『高床テラス』の周辺は「三角屋根の積み木小屋?」を模した『段差のある表装』で僅か『ホール内にせり出し』ている。

一階スロープ部分の両測は、前途した様に二階テラスから伸びた四列の『高床桟敷席』で「床囲い壁」になっておりテラス席の音響的悪影響は殆どない

1階ホール客席最後列「大向こう」部分は『二階バルコニーのオーバーラップが殆どない』『2階バルコニー席が一階ロビー部分頭上に大きくはみ出す芝居小屋スタイル』のデザインなので、最後列も同じく上層部の音響的悪影響は無い!

背後の壁材は1・2階共に『立て格子』で表装されている。

更に二階バルコニー最後列・大向こう上部から『上反した天井が折れ上がって』おり、照明器具以外の照明ガラリを覆っている。

『山形天井反響板」

天井は山形で中央部が高くなっており平土間と『並行する面ができない』デザイン。

巨大プロセニアム

最前列から4列目まで覆い被さる巨大な台形プロセニアムが『ステージ反響板とホールをスムーズ』に繋いでいる。

総評

惜しまれるのは、一階メインフロアーの両側壁に何故か高床テラスを造作しプレーンで垂直床囲いを巡らせたこと。せめてこの壁が外傾スラントされていたら...。

残念ながらこの部分は推定約13.1mの幅しかなく、26.6Hzの可聴帯域内の重低音定在波(※1)が生じている!

ホール間口推定約19mを目いっぱい使用したステージ被り付きの平土間部分と2階バルコニーテラス部はホール壁面間隔(※2)で推定1波長定在波を可聴帯域外18.3Hzの低周波振動域にチューニング?しており、どうして態々このような音響障害エリアをデザインしたのか理解に苦しむ!

次回改修ではこの部分を優先的に

メインフロアー後半スロープ「苦列?」から「て列」282席では定在波による音響障害(※3)が生じており、早急に対策が必要である。

木質グルービング材のスラント設置に改修すべし

集積材を用いた寄木細工風の表装に未練を感じるであろうが、床面から1.8mの範囲内で良いので、木質グルービング材(※4)を用いた手摺り付きの外反スラント壁に改装すべきである。

両側の通路幅確保のために、中央部から1席計12席を撤去して、横23席にすれば両側壁際に片側25㎝程度の余裕が生じるので、上記の改修が可能になる。

2階大向こう28席は立見席に

2階大向こうが通路になっておらず「座席を詰め込んである」幾ら良質のオール木材内装でも「これだけは」セオリーに反し「絶対避けねばならない禁則!」の一つでもある。

2階30席1階最後列中央部12席+車いすスペース、2階大向こう「不列?」38席は撤去し、新たに手摺を設け立見席&補助席扱いとすべきであり、次回改修時には以上40席は撤去し定員を改定すべきだと断言させて頂く。

ホール音響評価点:58点 (概算暫定値)

※収容人員 902席のコンサートホールとしての評価

§1,「定在波対」策評価点:20点/50点満点

  • ※各フロアーの配置・形状、壁面形状、天井形状、天井高さ、等の要素をそれぞれ減点法で算出。

§2、残響その1 「初期反射」対策評価点:20点/25点満点

  • ※壁面の素材・形状、客席配置、その要素で減点算出。
  • ※(コンクリート、人造大理石、タイル・陶器製などの)硬質材の客先周辺壁材仕様は、満点x0.5=10点をベースにして減点算出。

§3,客席配置への評価点:13点/20点満点

  • ※壁際席、大向こう席、平土間部分の見通し(眺望)不良、それぞれ-1点/1箇所で減算。
  • ※客席周辺壁材が硬質壁の場合は、満点x0.8=16点をベースに減点算出。

§4,残響その2「後期残響」への配慮評価点:5点/5点満点

  • ※壁面形状、音響拡散体(相当要素)、テラス軒先形状、天井構成、その他の要素で減点算出。

施設データ

Official Website http://www.galaxcity.jp/modules/site/index.php?action=CatView&cat_id=2

  1. 所属施設/所有者 西新井文化ホール/足立区。
  2. 指定管理者/運営団体 3社の共同企業体「あだち未来創造ネットワーク」(丹青社(代表企業)、JTBコミュニケーションズ、日立ビルシステム)/足立区。
  3. 開館   1994年3月 2013年4月改修オープン
  4. ホール様式 プロセニアム型式多目的ホール。
  5. 客席    2フロアー、収容人員 ホール(902席)、2階テラス(桟敷席)
  6. 舞台設備  、可動反響版、
  7. その他の設備 
  8. 付属施設  楽屋x3、ホワイエ、エントランスロビー、リハーサルルーム、子ども未来館創造館(多目的室x2、マルチ体験ドーム(プラネタリウム)、レクリエーションホールx3、音楽室x3、とんがりキッチン(調理実習室)_
  9. 施設利用(利用料金等)案内 詳しくはこちら。
  10. 2011年 改修費21億円

西新井文化ホールが得意のジャンル

オーケストラコンサート、Jポップ関係のコンサートや、往年のアイドル・エンタテイナーのワンマンショウ、ジャズコンサート、歌謡ショー、懐メロ歌手の歌謡ショー、現代演劇、伝統芸能、落語・演芸寄席、大道芸、パフォーマンス・ショーまでジャンルに拘らない幅広い演目でこのエリアの多くの人達に受けいれられている。

プロ演奏団体、以外にも数多くのアマチュア団体が利用している。

西新井文化ホールの公演チケット情報

チケットぴあの関連ページはこちら

デジタヌの豆知識

西新井文化ホールへのアクセス

東武スカイツリーライン西新井駅下車、東口から徒歩3分
※JR常磐線、東京メトロ千代田線、つくばエクスプレスの場合は北千住駅で東武スカイツリーラインに乗り換え
※東京メトロ日比谷線、半蔵門線は東武スカイツリーラインに直通

西新井文化ホールこれまでの歩み

1994年3月 都営住宅跡地に 都営住宅、ギャラクシティと共建設された。

2005年4月1日 足立区教育委員会青少年センターに運営変更。

2011年10月 リニューアル工事のため、全館休業。

2013年3月 報道陣と周辺住民に事前公開およびオープニングイベント開催。

2013年4月1日 再開した。

微酔い狸の独り言

思い出話

嘗てすぐ近くの梅島に「恋人」が住んでいてこの前は車で良く通っていた。

正に開館して間もない1995年頃のことである。

当館は環7通りからは都営住宅に守られ裏手に隠れている?ので全く気がつかなかった。

当時「所属していたアマオケ」の団員が「足立シティオーケストラ」に団友として友情出演(エキストラ)していたので、演奏会前の21時近くになると「駅前の」赤提灯で出くわすこともあった。

こんな立派なホールがある事を知っていたら、シティオーケストラには失礼だが「西新井文化ホール」の見学がてら「暇つぶしの散歩がてらに」コンサートに出かけて見ても良かったかな...。

等と昔の事を思いだしたりした。

※参照覧

※1、定在波に関する解説記事 『定在波』とはこちら

※2、関連記事 副則1 「壁面間隔20m超のセオリー」はこちら

※3、定在波で起こる音響障害『ミステリーゾーン』はこちら。

※4 手法1 1/4波長程度の「グルービング(溝)加工」をほどこした壁面用パネル の効果 はこちら。

 

公開:2017年12月26日
更新:2022年9月30日

投稿者:デジタヌ


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