おじゃれ/八丈島内《ホール音響Navi》
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離島にある東京きってのアバンギャルドな芸術ホール
東京都の南の端、絶海の孤島に浮かぶ八丈島に"あるおじゃれ"は、東京都にありながらほとんどの都民が一度も訪れたことのない"知られざる銘ホール!"
現代の奇才"新居千秋"氏のデザインによる奇抜なホールとして有名!。
シロアリの脅威にも強く、台風などの自然災害時の島民のシェルター?にもなる強固なコンクリート打ち放し?の内装を持つ鉄筋コンクリートの公民館でありながら、見掛け倒しの「シューボックスホール」以上の立派な音響特性を兼ね備えている。
おじゃれのあらまし
Official Website http://www.town.hachijo.tokyo.jp/kakuka/kyouiku/ojare/index.html
現代建築界の奇才新居千秋氏の「ホール3連作」の一つ。
260㎡(約157畳)の平土間多目的イベントスペースにもなる。八丈町・町役場と一体になった中核施設。
音響デザイン面から眺めた"おじゃれ"
※ご注意;以下※印は当サイト内の関連記事リンクです。
但し、その他のリンクは施設運営者・関連団体の公式サイト若しくはWikipediaへリンクされています。
デジタヌの第一印象
さわやかな "心地よい韻"に満ちたホール。
完璧な定在波対策(※3)のおかげで、ホール中どこに座っても、フラットな周波数特性で「全席・プレミアムシート」のホールである。
都市伝説・良いホールの条件"残響2秒異常"(※4)に、洗脳?されている何処やの音響設計屋さんに先生の爪の垢でも煎じて飲ませたい様な思いにかられるほどの、素晴らしいデザインのホールである。
デザインについての詳述
新居千秋氏によるホール3連作の2番目の作品、大掛かりな可動席システムで平土間の公民館にもなるデザインは1作目のカダーレ/由利本荘市(2011年10月竣工※ホールNaviはこちら)と同じ。
カダーレをさらに進化させたデザイン
カダーレ同様に、平土間にもなるメインフロアー周辺にワインヤードが構築されている。
さらに、搖動タイプのサイドプロセニアムと上下可動プロセニアムによりセミオープンステージのコンサートホールにもなるのもカダーレ同様のシステム。
多面構成による幾何学パネル構成のサイドウォ―ル
ホール内壁は多面構成の打ち放しコンクリート壁。
片側すべての面の「形状、スラント角度・方位」が異なる壁面を左右対称に配置し、結果としてホール内部(反響板も含めて)から並行する対抗壁面を完全に駆逐している!
っさらに天井も明り取り窓を兼ねた変形8角形の筒形ヴォールト天井を複数個所設え、下部天井全面には同じく8角形とモチーフにした大型のハチの単列ハチの巣を噛み合わないように配列した、キャットウォークを配し「照明ブリッジ」と「音響拡散体」として機能させる、手の込んだ(知恵を絞った)デザインのホールとなっている。
これだけ内装が凝っていると、大掛かりなメインスロープ可動固定席収納システムも、完全に脇役となってしまっている。
天井に設えた明り取り部分が能舞台床下部設えた壺同様に「共鳴チャンバー」の働きをし、不要な反響音を熱エネルギーに変換し、オール打ち放しコンクリートの内装にも関わらづ、肉声の通りの良い「クリアーな音響特性の公民館」と「程よい残響」のコンサートホールを両立させている!
勿論まやかし物の「残響調節装置(吸音器)」(※1)などは装備されていない?
但しサイドテラス背後・上層部の開口部に仕切り吸音シャッター設備あり(リアル残響可変装置!※2)。
おそらくこのシャッター設備もクライアント(八丈町)のリクエストで渋々設置しただけで、新居千秋氏の本意ではなかった様に推察している。
総評;ホール音響評価点:71点
数値上は71点という結果になってしまったが、定在波対策50点満点は立派だし、次回改装で「打ち放しコンクリート壁」に拘らず、全てのフロア―で床面から2mくらいまでの高さを難燃性ウレタン系塗装か、ウレタン塗装の多孔質FRPボードで表装しなおせば、素晴らしいホールになるだろう、勿論難燃加工の木質パネルの表装が最良策ではあるが...。
さらには壁面表装をやり直せば上層部に設けられた吸音シャッターも撤去可能となるであろう!
内訳
§1,「定在波」対策評価点:50点/50点満点
- ※各フロアーの配置・形状、壁面形状、をオーディエンス周辺壁面(概ね人の背の高さ:約1.8mの範囲内)の設えで評価する。
- ※客席側壁がプレーンな垂直壁で 「完全平行・平面」の場合は、満点x0.5=25点をベースに算出。
- ※被害エリア客席数/収容人員 の比率で持ち点から算出する。
§2、残響その1 「初期反射」軽減対策評価点:5点/25点満点
- ※壁面の素材毎に持ち点を評価し、客席配置で持ち点減点。
- 木質パネル等持ち点25点から硬質壁在持ち点12点の間5段階持ち点評価。
- ※被害(音響障害)想定席数と収容人員の比率で採点評価
§3,「客席配置」評価点:11点/20点満点
- ※壁際通路、大向こうつうろの有無、天井高さ、バルコニー・テラス部の軒先高さ、平土間部分の見通し(眺望)不良、それぞれ-1点/1箇所で持ち点減算。
- ※前項同様に想定被害者数を引いた有効座席数の割合で評価する。
§4,残響その2「後期残響」への配慮評価点:5点/上限5点
- 上限10点の範囲内で音響拡散体が付加されていれば1点/1アイテムで加算評価。
- ※壁面形状、音響拡散体(相当要素)、テラス軒先形状、天井構成、その他の要素で評価。
※関連記事 「ホール音響評価法についての提案」はこちら。
算出に用いた値;
●総席数;454席(含む親子室2室除く車椅子4台分)
●定在波対策持ち点;50点/障害発生個所0ケ所
想定・定在波被害席数;0席!
●初期反射持ち点 6点/素材点12点&障害発生個所6ケ所
想定・初期反射被害席数;32席(8席/2F中央、12席/2F両翼、12席/サイドテラス)
●客席配置持ち点 13点/障害発生個所7ケ所
眺望不良席数;32席/1F平土間迫り上げ中央部1・2列座席
音響不良席その1;定在波障害席0席
音響不良席その2 ;初期反射被害席数;32席(8席/2F中央、12席/2F両翼、12席/サイドテラス)
重複カウント ;ー0席
音響不良席総計;64席
おじゃれのある八丈町とこれ迄の歩み
東京都の本州島側地域の南方海上287キロメートル、定住者がいる島としては青ヶ島とともに東京都の南のはずれにあたる。
旧令制国東海道駿河国に含まれていた。
推計人口、7,132人/2018年4月1日
品川ー(羽田空港)―八丈島空港 4時間19分/24,000円/京急-ANA
竹芝客船ターミナルー八丈島(底土港) 10時間20分/10,480(2等)/東海汽船
おじゃれのロケーション
ところ 八丈島八丈町大賀郷2551-2
八丈島空港ターミナルビルと滑走路を挟んで反対側に隣接している島の中央部にある、
おじゃれへのアクセス
船・飛行機などの公共交通
もよりの港 底土港よりタクシーで約10分、徒歩約42分3.2㎞、
八丈島空港 よりよりタクシーで約9分、徒歩約35分2.8㎞
㈱愛光観光、赤松交通、冨士タクシー、の3社のタクシー会社がある。
マイカー利用の場合
フェリーは就航していないので「貨物」船扱いとなる。よほどのことはない限り、公共交通機関(船か旅客機)利用をお勧め!
おじゃれがお得意のジャンル
おじゃれ
- 講演会、市民団体の集会、お稽古事の発表会などに用いられ、演劇・伝統芸能、歌謡歌手の歌謡ショー、懐メロ歌手の歌謡ショー、などジャンルに拘らないバラエティーに富んだイベントが行われている。
- またパーティー・レセプションなどの会場としてもつかわれている。
おじゃれの施設データ
- 所属施設/所有者 八丈町多目的ホール/八丈町。
- 指定管理者/運営団体 八丈町。
- 竣工・開館 2013年3月竣工
- 設計 新居千秋
- フロアー配置図・フロアマップはこちら
おじゃれ
- ホール様式 プロセニアム型式多目的ホール。
- 収容人員462席、客席配置図・座席表はこちら
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- 内訳;組み立て段床可動客席X292席/平土間部分約260㎡ 、車椅子4台分
- 2階席158席、
- その他ホール外親子観覧席4席X2室-38
- 木質パーケット床、
- 平土間ステージ用吊りもの: 照明ブリッジ客席吊物八角形バトン5式、客席サイドライトバトン、フロントサイドバトンなど
- 舞台設備
- 基本舞台仕様 プロセニアム形式;有効幅約16.57m(ステージ最大幅約27.5m)x有効奥行き約9.3m/ホリゾント幕迄、有効面積約272㎡(約164畳)、可動プロセニアムアーチ:間口約12.6~16.6m、高さ約6.3~8.1m、実効面積;約159㎡(約畳)ステージ高さ;FL+約80cm、ブドウ棚(すのこ)高さStL+約?m、バトン類高さStL+約?m、照明(ブリッジ);3本、美術バトン;9本
- 反響板設置時;プロセニアムアーチ:間口約16.6m、高さ約8.1m、最大奥行き約9.6m、実効面積;約159㎡(約96畳)ステージ高さ;FL+約?cm、
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- 拡張舞台(エプロンステージ);可動床・可動客席エプロンステージ迫り;最大幅約16.57m最大奥行約3.15m有効面積約52㎡;約31畳、演奏面レベル設定;StL ー約0.8m~+0m、
- 各種図面,備品リスト&料金表。
付属施設・その他
施設利用料金
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施設利用料金案内 使用料金表(利用手引き) はこちらへ
八丈町のこれまでの主立った出来事
平安時代に伊豆大島へ流罪となった源為朝が渡来し、庶子であった二郎丸が生き延びのちに源頼朝より戦での功績として八丈島を領地として賜り、それから約1000年、源為朝の子孫が暮らし続けている。
流人の地として知られている八丈島だが、公式な流人第一号は、慶長5年関ヶ原の戦いに西軍石田三成方に属した宇喜多秀家であり、彼の子孫は、秀家の正室であった豪姫の実家である加賀藩前田氏の援助を受けながら数家に分かれて存続し、明治維新後の1869年に至ってようやく赦免された。
1908年(明治41年)4月1日 - 島嶼町村制が施行され、八丈支庁の八丈島に大賀郷村・三根村・樫立村・中之郷村・末吉村が設置される。
1927年(昭和2年) 旧海軍飛行場として八丈島飛行場誕生。
1947年(昭和22年)5月3日 - 地方自治法が施行され、八丈小島に鳥打村・宇津木村が設置される。
1954年(昭和29年)10月1日 - 三根村・樫立村・中之郷村・末吉村・鳥打村が合併し、八丈村となる。
同年(昭和29年)村営・八丈島飛行場誕生(滑走路400m)
1955年(昭和30年)4月1日 - 大賀郷村・宇津木村を編入し町制施行。八丈町となる。
1962年(昭和37年)、八丈島空港(都営)滑走路1,200mで供用開始。
1966年(昭和41年)3月 - 八丈小島の住民から八丈町議会に「移住促進、助成に関する請願書」が提出され、同年6月 - 八丈町議会が請願を採択。
1967年(昭和42年)9月 - 八丈町から東京都に対し「八丈小島の全員離島の実施に伴う八丈町に対する援助」の陳情が行われる。
1969年(昭和44年)1月 - 離島を開始する。
1969年(昭和44年)6月 - 八丈小島全島民の移住が完了(全島民撤退時の島の人口は旧宇津木村9戸31人、旧鳥打村15戸60人)。
2000年(平成12年)よりエアーニッポンのボーイング737-400型機(愛称:アイランドドルフィン)が八丈島路線専用として就航。(滑走路2000mに延長)
※参照覧
※2、本物のリアル残響可変装置についての関連ホールガイド記事はこちら。
※3-1、定在波の悪影響に関する一般人向けnatuch音響さんの解説記事はこちら
※3-2、定在波に関するWikipediaの(技術者向け)解説はこちら。
※ 関連記事『ホールに潜む ミステリー ゾーン (スポット)とは?』はこちら。
※4、関連記事『都市伝説・良いホールの条件"残響2秒以上"は本当か?』はこちら。
公開:2018年8月 2日
更新:2022年9月30日
投稿者:デジタヌ
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