狸穴ジャーナル・別冊『旅するタヌキ』

パルテノン多摩/多摩市 《ホール音響Navi》

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パルテノン多摩のあらまし

多摩名物の巨大"音浴ローマ風呂"?

多摩市立の多摩市立複合文化施設

1974年多摩センター駅の開業に遅れること13年バブル景気に湧きたつ1987年(昭和62年)10月31日に多摩ニュータウンのシンボル的な施設としてオープンした複合文化施設。

積極的な自主開催事業

運営を委託された公益財団法人多摩市文化振興財団が積極的に著名な芸術家やミュージシャン、劇団などを招き年間多数の自主公演を行っている。

パルテノン多摩の主催で、読売日本交響楽団、新日本フィルハーモニー交響楽団等在京オーケストラの演奏会も組まれている。

地域文化に貢献

東京都下多摩南・西エリアの市民団体の文化公演開催の主要施設の1つにもなっている。

パルテノン多摩のロケーション


所在地  東京都多摩市落合二丁目35

「多摩センター」駅から続く歩行者専用道路「パルテノン大通り」の突き当たりにあるパルテノン多摩はその名にふさわしい重厚な外観の建物。

※ご注意;以下※印は当サイト内の関連記事リンクです。
但し、その他のリンクは施設運営者・関連団体の公式サイト若しくはWikipediaへリンクされています。

パルテノン多摩の施設データ

Official Website http://www.parthenon.or.jp/index.html

  1. 所属施設/所有者 パルテノン多摩/多摩市
  2. 指定管理者/運営団体  (公財)多摩市文化振興財団。/多摩市。
  3. 開館    1987年10月31日
  4. 内装(音響マジック) (音響設計 By Nagata Acoustics Design)

付属施設・その他 

施設利用料金

  • 付属施設 リハーサル室、練習室x2、会議室X6室、市民ギャラリー、特別展示室、学習室、和室x2、アトリエ他
  • 施設利用(利用料金等)案内 詳しくはこちら

建築音響工学から眺めた『大ホール』

(公式施設ガイドはこちら)

ホール内装にふんだんに人造大理石を用いた豪華絢爛な内装?は「巨大ローマ風呂」の風情があり、この地域の人々の「音浴」社交場として尊ばれている?がその音響もまさしく「巨大ローマ風呂・巨大カラオケルーム」そのものである。

総評

パルテノンだけに巨大ローマ風呂と言った感じ、エコー(※1)を効かせまくった「素人のど自慢カラオケ大会」には最適?と言ったところ。所謂「巨大エコールーム擬き仕様」(※2)のホールで長時間のコンサートではホール酔い(※3)の危険性すらある。

壁際に通路無し、座席がびっしり?!

石壁であるにもかかわらず壁際には通路が無く、ぎっしり座席を詰め込んである、最低!

永田音響設計初期の作品だからまあ仕方ないか?

ホール音響評価点:48点

§1,「定在波対」策評価点:20 点/50点満点

  • ※各フロアーの配置・形状、壁面形状、天井形状、天井高さ、等の要素をそれぞれ減点法で算出。
  • ※客席側壁がプレーンな垂直壁で「完全平行・平面」の場合は、満点x0.5=20点をベースに算出。

§2、残響その1 「初期反射」対策評価点:10点/25点満点

  • ※壁面の素材・形状、客席配置、その要素で減点算出。
  • ※(コンクリート、人造大理石、タイル・陶器製などの)硬質材の客先周辺壁材仕様は、満点x0.5=10点をベースにして減点算出。

§3,残響その2「後期残響」への配慮評価点:5点/5点満点

  • ※壁面形状、音響拡散体(相当要素)、テラス軒先形状、天井構成、その他の要素で減点算出。

§4,客席配置への評価点:13点/20点満点

  • ※壁際席、大向こう席、平土間部分の見通し(眺望)不良、それぞれ-1点/1箇所で減算。
  • ※客席周辺壁材が硬質壁の場合は、満点x0.8=16点をベースに減点算出。

※関連記事 

大ホールの施設データ

  1. ホール様式 1フロアー、『変形シューボックスタイプ』プロセニアム型式多目的ホール。
  2. 客席   客席配置図・座席表はこちら
  3. 収容人員 定員1,414名
  4. 舞台設備 プロセニアム(間口 18.0m 高さ 6.0m~11.3m/オペラカーテン)、反響版、
  5. その他の設備 、楽屋x8室、

  • 各種図面,備品リスト&料金表。
大ホールがお得意のジャンル

オーケストラコンサート、バレエ、ミュージカル、Jポップ関係のコンサートや、往年のアイドル・エンタテイナーのワンマンショウ、ジャズコンサート、歌謡ショー、懐メロ歌手の歌謡ショー、有名タレントの座長ショー、現代演劇、伝統芸能、落語・演芸寄席、大道芸、パフォーマンス・ショーまでジャンルに拘らない幅広い演目でこのエリアの多くの人達に受けいれられている。

またプロ演奏団体、以外にも数多くのアマチュア団体が利用している>

大ホールで催されるコンサート情報

チケットぴあ該当ページへのリンクはこちら

建築音響工学から眺めた『小ホール』

304席と小ぶりではあるが、本格的な舞台設備を整え、木をふんだんに使った内装で、肉声、楽器の生音が最後列まで明瞭に届き、室内楽や、演劇にも利用されている。

(公式施設ガイドはこちら)

丁寧な設えの良質ホール

竣工が、古いので致し方ないが、大ホール同様の固定プロセニアム形式のシューボックスホール。

しかし作りは、当時としては丁寧で大ホール以上の音響効果が期待できる優秀なリサイタルホール.

残念な低層部客席周辺の石垣!

当時1980年代猛威を振るっていた「石壁インフルエンザ?」に当館のクライアントも感染したようで、大ホール同様の表面を凹凸加工したコンクリート壁と成っている。

2・3階に当たる上層部の壁面は縁取りしたアンギュレーションを持たせた木質パネル。天井も組格子(※4)を用いた木質反響板で中層部上縁から大きく『折上げ』られている丁寧な設え。

壁面・天井と同じ意匠の組格子プロセニアムで芝居小屋のような雰囲気を醸し出している。

総評 

ステージ反響板は木質だが、ホールと急激に断面積が変化する「ダクトスタイル」の旧式なデザイン。

全体としては音楽堂というよりは、「演芸場」の様な造りのホールである。

ホール音響評価点:47点

内訳

§1,「定在波対」策評価点:20点/50点満点

  • ※各フロアーの配置・形状、壁面形状、天井形状、天井高さ、等の要素をそれぞれ減点法で算出。
  • ※客席側壁がプレーンな垂直壁で「完全平行・平面」の場合は、満点x0.5=20点をベースに算出。

§2、残響その1 「初期反射」対策評価点:9点/25点満点

  • ※壁面の素材・形状、客席配置、その要素で減点算出。
  • ※(コンクリート、人造大理石、タイル・陶器製などの)硬質材の客先周辺壁材仕様は、満点x0.5=10点をベースにして減点算出。

§3,残響その2「後期残響」への配慮評価点:5点/5点満点

  • ※壁面形状、音響拡散体(相当要素)、テラス軒先形状、天井構成、その他の要素で減点算出。

§4,客席配置への評価点:13点/20点満点

  • ※壁際席、大向こう席、平土間部分の見通し(眺望)不良、それぞれ-1点/1箇所で減算。
  • ※客席周辺壁材が硬質壁の場合は、満点x0.8=16点をベースに減点算出。

※関連記事「後悔しないコンサート会場の見分け方」まとめ  はこちら。

小ホールの施設データ

  1. ホール様式 『シューボックスタイプ』音楽専用ホール。
  2. 客席   (客席配置図・座席表はこちら) 収容人員 304席、
  3. 舞台設備 間口 10.5m 高さ  5.3m、反響版、
  4. その他の設備 、楽屋x4室
  • 各種図面,備品リスト&料金表。
小ホールがお得意のジャンル

主にセミナー、講演会、市民団体の集会、お稽古事の発表会などに用いられ、ジャズコンサート、小編成バンド、のコンサートや落語・演芸寄席、大道芸、パフォーマンスショーなどジャンルに拘らないバラエティーに富んだ催しが行われている。

小ホールで催されるコンサート情報

チケットぴあ該当ページへのリンクはこちら

その他の付属施設

リハーサル室

(公式施設ガイドはこちら)

9.4mx16.8m床面積150㎡(約90畳)のリハーサル室がある。

ホール音響評価点:20点

内訳

定在波対策評価点:10点/50点満点(ルーム低層部に1対以上のプレーンな並行壁がある場合は持ち点はx0.5と成ります)

残響その1(初期反射)対策評価点:10点/50点満点(ルーム低層部3面以上がプレーンな垂直壁の場合は持ち点はx0.5と成ります

デジタヌの思い出と所見

1993年開館6年目ぐらいに、アマオケ仲間の別団体の演奏会を聞きに行ったことがあった。

収容人員 定員1,414名の多目的ホールにしては珍しい1スロープのホールで、一部大理石で衣装されたホールは意外と心地良い響きをもつホールであったように記憶している。

但し、小生の陣取った後方中央部当たりでは、響きが良すぎて、眼前と言うより、洞窟の奥のほうから聞こえてくるような響きであったように記憶している。

最もこのアマオケもご多分に漏れず圧倒的に空席が目立つ?状態で、満席状態であれば丁度良い響きになるのかもしれないと感じた次第。

築後30年を経過

築後30年を経過を経過し老巧化も目立様になり、大震補強も絡め、大幅なリニューアルを実施すべき時期に至っているのでは無かろうか。

耐震補強名目で、補助金を取り付け、パルテノンの名に拘らず、内壁材を最新音響工学に基づいた異形木質壁に改装し、座席も現在のチープな椅子から遮音調整機構付きの幅広ゆったりタイプに換装すれば、関東きっての音楽・演劇ホールに生まれ変わると思うのだが...

by 狸穴総研・音響研究室 主観 出知樽狸(デジタヌ) 

豆知識

パルテノン多摩へのアクセス

最寄り駅

京王相模原線・京王新線 (都営新宿線乗入れ)「多摩センター」駅
小田急多摩線 (東京メトロ千代田線乗入れ)「多摩センター」駅
多摩都市モノレール「多摩センター」

※好例 川内萩ホール※紹介記事はこちら)のリニューアル例

「東北大学記念講堂(50周年記念建物)及び松下会館」改装プロジェクトの例はこち東北大学公式サイトで。

※、定在波の悪影響に関する解説記事はこちら。

「都市伝説・良いホールの条件"残響2秒以上"は本当か?」はこちら

※直接音、初期反射音、残響音についての(株)エー・アール・アイさんの解説はこちら。

※エコールームに関する「音工房Z」さんの解説記事はこちら。

※参照覧

※1、直接音、初期反射音、残響音についての(株)エー・アール・アイさんの解説はこちら。

※2、エコールームに関する「音工房Z」さんの解説記事はこちら。※本物のエコールームでは定在波対策(平行壁面対策)はしっかり施されています。

※3、関連記事『ホール酔い 現象 とは?』はこちら

※4、格天井 についてのコトバンクの解説記事はこちら

 

公開:2017年9月10日
更新:2022年9月30日

投稿者:デジタヌ


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