狸穴ジャーナル・別冊『旅するタヌキ』

新国立劇場《ホール音響Navi》

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最新鋭・最先端の設備で日本の西洋舞台芸術を啓蒙する舞台芸術研究・開発支援センター

日本のオペラ、バレエ、現代演劇を扇動?する施設として1997年に開館、以来公共性のある西洋舞台芸術団体・業界の育成に徹して、運営委員の厳正な芸術審査?を経た先鋭的な作品のみを自主興行(助成)し常に未来を目指し、マンネリズムを排除した舞台演出&技術(舞台装置・照明技術・特殊効果)開発実験を行ってきた、いわば学芸員を持たない"舞台芸術研究・開発支援センター"

新国立劇場のあらまし

(公式施設ガイドはこちら

日本国を代表する西洋舞台芸術の殿堂。

オペラ、バレエの日本のメッカとして1997年に開館、専属オーケストラ、専属合唱団、専属バレエ団、直営工房などの専属組織を持たない、世界的にも不思議な国立歌劇場、日本的箱物行政の象徴的オペラハウスでもある!

新国立劇場のロケーション

所在地  東京都渋谷区本町1丁目1番1号

新国立劇場へのアクセス

最寄りの駅 京王電鉄京王新線「初台駅」中央口より徒歩1分

新国立劇場の施設データ

Official Website https://www.nntt.jac.go.jp/:

  1. 所属施設/所有者 新国立劇場/独立行政法人日本芸術文化振興会
  2. 指定管理者/運営団体 公益財団法人 新国立劇場運営財団独立行政法人日本芸術文化振興会)。
  3. 開館   1997年

付属施設・その他

  • 付属施設 情報センター (5F)、リハーサル室 (B2F)、研修室、屋上庭園 (5F) など
  • 施設利用料金その他、 WEB上では公開されていなので使用を希望する団体は直接出向いてお問い合わせください! ただし申し込み順ではなく、厳格な審査?があるのでお金をつんでも利用を拒否される場合もあります?

※ご注意;以下※印は当サイト内の関連記事リンクです。
但し、その他のリンクは施設運営者・関連団体の公式サイト若しくはWikipediaへリンクされています。

『オペラパレス』の音響デザイン

公式施設ガイドはこちら)

4面舞台、常設のオ-ケストラピット設備(但し中に入るオーケストラは随時契約)、2・3・4階の3層の比較的奥行きの浅いテラス席を持つ音響に優れた日本を代表する本格的オペラハウス。

日本でも最近増えた「4面舞台を持つオペラ対応多目的ホール」とは違いこちらは「本格的オペラハウス」!特に舞台設備の凄さ!は圧巻。

分割段床迫りやスライディングステージは当然として、吊りもの照明トラスがものすごい数、もちろん幕類、美術バトンもすごいとしか表現のしようが無いほどの呆れるが程。

常設のオケピットももちろん大型迫り機構付きでエプロンステージにもなる仕様。

さらに、5分割のステージ大迫はそれぞれスラント機構を持っておりステージ前縁部の傾斜床と合わせ巨大なスラントステージを形成でき傾斜床下部に迄拡張できるオーケストラピットと相まって「憧れのバイロイト祝祭劇場」の舞台再現も可能な仕組みとなっている。

ホール内壁はおろか天井反響板まですべて木質パネルを用いた贅沢な設え。

形状席には、緩やかなスロープのメインフロアーは座席表(※公式施設ガイドはこちら)の通りボックス空間に近い対抗並行壁面のある変形6角形。

この形状を基本に下層部テラスへのオーバーラップが最小となるように、後半部が台形に広がったフロアーを積み重ねたデザインで、各側壁はアンギュレーションを持たせてそれなりに、対抗する完全並行面が生じないようにはしてある。

もちろん各バルコニー、テラス席の軒面も木質パネルで表装されている。

常設オーケストラピット上面に当たるプロセニアム前縁には大型のコーナー反響板が据えられている。

舞台と、客席の距離を最大限?に詰める為のオペアハウスや歌舞伎小屋と同じレイアウトの奥行を詰めた平面配置となっている。

総評

素晴らしい本格的オペラハウスであるが、2・3・4階大向うが通路としてはちと狭い点。

さらにメインフロアー中央部座席が千鳥配列になっていない等、客席配置で多少の問題があるが。

演者にとっては懇親の力をふり絞らなくても肉声、生楽器音の、よくとおる期待通りの仕上がりになっているオペラハウスであろう。

ホール音響評価点:75点

§1,「定在波対」策評価点:40点/50点満点

  • ※各フロアーの配置・形状、壁面形状、天井形状、天井高さ、等の要素をそれぞれ減点法で算出。
  • ※客席側壁がプレーンな垂直壁で「完全平行・平面」の場合は、満点x0.5=20点をベースに算出。

§2、残響その1 「初期反射」対策評価点:15点/25点満点

  • ※壁面の素材・形状、客席配置、その要素で減点算出。
  • ※(コンクリート、人造大理石、タイル・陶器製などの)硬質材の客先周辺壁材仕様は、満点x0.5=10点をベースにして減点算出。

§3,客席配置への評価点:16点/20点満点

  • ※壁際席、大向こう席、平土間部分の見通し(眺望)不良、それぞれ-1点/1箇所で減算。
  • ※客席周辺壁材が硬質壁の場合は、満点x0.8=16点をベースに減点算出。

§4,残響その2「後期残響」への配慮評価点:4点/5点満点

  • ※壁面形状、音響拡散体(相当要素)、テラス軒先形状、天井構成、その他の要素で減点算出。

オペラパレスの施設データ

  1. ホール様式 『扇形タイプ』プロセニアム型式多目的ホール。
  2. 客席   収容人員 1,814 名、4フロアー(3層バルコニー席)、可動床、
  3. 舞台設備 プロセニアム間口16.4m高さ12.5m、4面舞台、回り舞台(直径16.4m)付きスライディングステージ/奥舞台、舞台5分割大迫り18.2mx3.64m(本舞台、下手、上手各舞台に装備)簀の子高さ30.5m、スライディングステージ(18.2m角)常設オーケストラピット(147㎡)
  4. その他の設備 、楽屋、リハーサルルーム、
  5. 舞台平面図はこちら
  6. 舞台断面図はこちら

オペラパレスがお得意のジャンル

年間を通じ数多くのオペラが公演されている。

オペラパレスで催されるコンサート情報

チケットぴあ該当ページへのリンクはこちら

『中劇場』の音響デザイン

(公式施設ガイドはこちら)

大劇場同様の設備(4面舞台)を持つ扇形2フロアーの舞台総合芸術ホール(但し伝統芸能非対応)、

オーケストラピットを拡張舞台に使用出来、レビュー・ショー公演にも対応している。

オペラハウスというよりそれ以上に以上に複雑な、主舞台に6分割(沈下床x2、大迫りX4)、ホール内部に7分割の客席パレット収納機構を持つオケピット迫、上手側に沈下床機構とスライディングステージ、奥舞台には回り盆を備えたスライディングステージ機構があり、主舞台の前面沈下床と、平土間部分ーケストラピット迫りA・B・Cを用いて奥舞台(スライディングステージ)を最前部迄引き出せば、回るオープンステージも構築できる!この時は全く高さの無いフラット舞台となり、ギリシャの円形劇場のような空間となり、さらには本舞台の迫機構を用いてスタッキングチェアーを配置してセンターステージ形式のアリーナも構築できる、国立の「からくり小屋」(※1)である。

エプロンステージを使用する円形劇場モード時はこの部分の天井反響板が跳ね上がり照明ブリッジなどの「吊りもの類」が現れる凝った仕掛けも仕組まれている。

現代劇のみならず、ギリシャ古典劇にも対応できるフレキシビリティーを備えた超アバンギャルドなホールとなっている。

※参照覧

※1、現代の3大迷発明!「珍妙からくり(残響調整装置、可変段床設備、可変吊り天井)」に関する記事はこちら。

硬質材を用いた内壁

オペラハウスとは異なり、こちらは硬質材人造大理石を大胆に使用した側壁を持ち、プロセニアムは音響ネットで表装された凹凸面を持つ形状になっている。

ホール背後壁は音響ネットで表装された扇形配置の客席に合わせた円弧状の吸音壁天井はプラスターボードで表装された、水平反響板、つまりホール最前部プロセニアムの辺りがホール天井最後部となるデザイン。

通常メインフロアーは中央部3ブロックが両側2ブロックよりさらに奥まった段付き平面だが。(平面図参照)

格納パーティションを使用して完全な扇形ホールとすることもできる。

総評

全く良くもまあここまで客席配列を考えたといいたくなる、アダプタブルステージを持つホールのある種極地でもある。

利用者(演出家)が「主義主張」すなわち「明確なアイデンティティー」を持って舞台技術者に告げないと、たの「からくり小屋」同様せっかくの仕掛けが「猫に小判」で終わてしまいそうなホールでもある。

ホール音響評価点:89点

標準?オケピットA・B迫使用1階773席(収容総数960席)で評価

§1,「定在波対」策評価点:50点/50点満点

  • ※各フロアーの配置・形状、壁面形状、天井形状、天井高さ、等の要素をそれぞれ減点法で算出。
  • ※客席側壁がプレーンな垂直壁で「完全平行・平面」の場合は、満点x0.5=20点をベースに算出。

§2、残響その1 「初期反射」対策評価点:19点/25点満点

  • ※壁面の素材・形状、客席配置、その要素で減点算出。
  • ※(コンクリート、人造大理石、タイル・陶器製などの)硬質材の客先周辺壁材仕様は、満点x0.5=10点をベースにして減点算出。

§3,客席配置への評価点:16点/20点満点

  • ※壁際席、大向こう席、平土間部分の見通し(眺望)不良、それぞれ-1点/1箇所で減算。
  • ※客席周辺壁材が硬質壁の場合は、満点x0.8=16点をベースに減点算出。

§4,残響その2「後期残響」への配慮評価点:4点/5点満点

  • ※壁面形状、音響拡散体(相当要素)、テラス軒先形状、天井構成、その他の要素で減点算出。

※関連記事「後悔しないコンサート会場の見分け方」まとめ  はこちら。

中劇場の施設データ

  1. ホール様式 『扇形タイプ』プロセニアム型式多目的ホール。
  2. 客席   収容人員 796から1.038名、2層2スロープ、可動床(オーケストラピット)、
  3. 舞台設備 プロセニアム間口16.8m高さ9m 4面舞台、大迫り(14.58mx7.27mx2基)中迫り(14.58mx3.64mx2基)、上手舞台スライディングステージ(14.58m角)奥舞台スライディングステージ(14.58m角)、奥舞台回り舞台直径12.74m
  4. その他の設備 、楽屋、リハーサルルーム、
  5. 舞台平面図はこちら
  6. 舞台断面図はこちら

中劇場がお得意のジャンル

オペラは勿論、オーケストラコンサート、バレエ、Jポップ関係のコンサートやミュージカル、往年のアイドル・エンタテイナーのワンマンショウ、歌謡ショー、有名タレントの座長ショー、現代演劇、伝統芸能、などジャンルに拘らないバラエティーに富んだイベントが行われている。

中劇場で催されるコンサート情報

チケットぴあ該当ページへのリンクはこちら

『小劇場』の音響デザイン

(公式施設ガイドはこちら)

こちらも高い天井の大掛かりな「9分割迫りと28分割可動床」を持つアダプタブルステージ(可変ステージ)」設備と重量隔壁を持つ演劇専用国立カラクリ小屋。

4層吹き抜け相当の高い天井を持つ多目的イベントルームで、1層目が可変段床(アダプタブルステージ)。2層目がサイドテラス、3層目がキャットウォーク、4層目は全長にわたって「簀の子」となており、7か所の照明ブリッジと75本の美術バトンが組み込まれている。

大がかりな可動床及び客席収容施設を持ち、通常の750㎜高さのエンドステージ配置、スラントステージ配置、センターステージ配置、アリーナ形式(スタジアム配置)のステージ配置が設定できる。

ルーム音響評価点:50点

※実験演劇主体の小劇場がメイン用途のためルーム音響評価を適用しました。

§1,「定在波対策」評価点:25点/50点満点

  • ※ルーム低層部に1対以上の並行したプレーンな垂直壁がある場合は、満点x0.5=25点をベースに減点算出。

§2、「初期反射」対策評価点:25点/50点満点

  • ※ルーム低層部3面以上がプレーンな垂直壁の場合は、満点x0.5=25点をベースに減点算出。

小劇場 (The Pit)

  1. ホール様式 オープンステージ形式小劇場。
  2. 客席   収容人員 358席から468席可動床(25.5mx12.7m)設備(センターステージ、エンドステージ、アリーナステージ、に対応。固定席床ユニット&スタッキングチェアーの組み合わせ
  3. 舞台設備 オープンステージ、スラントステージ設定可能、副舞台9.9mx3.3m
  4. その他の設備 、楽屋、
  5. 基本エンドステージタイプ、ホール平面図はこちら
  6. 基本エンドステージタイプ、ホール断面図はこちら

小劇場がお得意のジャンル

演劇研修所の研究員による現代演劇、小劇団によるミュージカルなどが興行されている。

小劇場で催されるコンサート情報

チケットぴあ該当ページへのリンクはこちら。

その他の付属施設の音響デザイン

2つのリハーサル室

※狸穴総研 音響研究工房 厳選「真の銘リハーサル室50選」

Aリハーサル室バレエリハーサル室、の2つの天井の高い立派なルハーサルルームを持つ。

豆知識

デジタヌの独り言

建物としての年間稼働率は高く、自主公演や二期会其の他の民間オペラ団のオペラ開催のメッカとなっている。

当初海外有名オペラ団の招致に熱心な日本舞台芸術振興会の意見に傾いた経緯も有り、オペラハウスには、ホール本体はあっても世界のトップ歌劇場には必ず併設されたいる付帯施設(※2)が一切無く、せっかくの過去の遺産の多くが雨ざらしになって、保管場所が無く「使用できなくなった舞台装置」の数々がゴミの山を築いている事でも有名?

このあたりの事情は自主公演に熱心な?びわ湖ホールと共通した問題点でもある。

※2)専属オーケストラ、在京の民間オペラ団等の本部・バレエ団、直営工房、等が入居できるオペラ会館と、過去の公演の貴重な遺産を収蔵管理するオペラ博物館(機材倉庫)、練習ホール、従業員団地&オペラ関係者専用宿泊施設等を集めた「舞台芸術総合支援センター」を都内近隣に新たに建設整備すべきではないだろうか?ネエ財団さん...。

総合舞台芸術研究・開発支援センターの役割

他の施設と異なり現状でも、プロヂューサー、演出、舞台監督、照明技術者、舞台装置オペレートエンジニアの養成を、旧態依然な「音楽・演劇興行業界」から距離を置いたスタンスで支援しているのは、各芸術大学・専門学校学校の強い味方にもなっている側面も持っている。

今後は、学芸員(教授クラスの研究員を持つ各研究室)をそろえた「総合舞台芸術研究所・大学院」に向かうのも一つの運営方向の一つかも知れない...。

 

公開:2017年8月10日
更新:2022年9月30日

投稿者:デジタヌ


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