タヌキがゆく

阪急電鉄 のジレンマとは続編《鉄タヌコラム2018》なにわ筋線参入表明の真意は?

金の出どころが無く一向に進まない「なにわ筋線連絡線」建設計画

阪急電鉄「なにわ筋線」参入表明に関するコラム「北大阪急行 箕面延伸工事 を開始し "なには筋線" 参入を決意した 裏事情とは?」を書いて早1年が経過した。

その間、北大阪急行 延伸工事は順調に進行しているが、一向に進展の兆しが無いのが「なにわ筋線の盲腸線?・十三新線」計画。

建設費が約870億円がネック

まあお偉い方々の間ではいろいろな駆け引きがあって中々話がまとまらないのであろう。

その間も、「宝塚本線(の乗客)」は悲鳴を上げ続けているというわけである。

阪急さんも早急に(建設資金の)話を付けて着工にこぎつけたいところであろうが、国・大阪府・大阪市と建設資金の出どころ(道路特定財源=ガソリン税等の補助金)の調整がつかないのであろう。

狭軌(きょうき)の沙汰?

阪急が中途半端な「狭軌の盲腸線」に手を出さなければならない事情、すなわち飽和状態の「十三ー梅田間」にもう1線平行路線を引き、この間の混雑を緩和したい事情は前回のコラムに詳述した通りであるが、それだけのために「狂気の沙汰」ともいえる「狭軌新線」を建設する真意が見えなかったが、なんとなく見えてきたので、今回の続編を起筆した。

嘗て頓挫した堺筋線相互乗り入れ話

昨年のコラム「泉北高速鉄道建設のいきさつ... 何故乗り入れ相手が市営地下鉄ではなかったのか?」で取り上げた通り、かつて阪急・南海は天下茶屋駅・天神橋6丁目間で「3線軌条」(※1)を介して相互乗り入れすることを検討していた。

この堺筋線建設問題が一向に進展しなかったので、とばっちりをうけ地下鉄御堂筋線中百舌鳥延伸が遅れ、当時「仲の悪かった」大阪府と大阪市のお互いの牽制もあり、結局は泉北高速・南海が相互乗り入れするかたちになったわけである。

この時は技術的な問題を最大の理由に、阪急・南海相互乗りいれ話が決裂し、南海側が持っていた動物園前・天下茶屋駅間の路線免許を、大阪市が譲り受ける形で、阪急・市営地下鉄のみでの天下茶屋駅乗り入れとなったわけである。

阪急の野望『関空・大阪空港直通連絡線?』

なぞに包まれた大阪空港連絡線素案

「なにわ筋線連絡線」計画と同時期に発表され、国交省に提示された阪急「大阪空港線」計画だが以下の通りの抽象的な路線計画のみで、いつも通り「大まかな事業費」と「いい加減な需要予測」の数値(※2)だけが示されている。

国交省に提示された事業計画概要では曽根駅から先で分岐し大阪空港を目指すというもので、路線延長約3.6㎞建設費約700億円で輸送人員が約2万5千人/日という試算で検討されたらしい...。

あくまでも「なにわ筋線」ご本尊?が完成すればのお話!

これらの数値をもとに国土交通省が2018年4月11日に発表した「近畿圏における空港アクセス鉄道ネットワークに関する調査」結果では、2031年春に関空と北梅田を1本で結ぶ「なにわ筋線」が開通することを前提に以下の「調査結果」?がまとめられた。

「なにわ筋連絡線」には建設費約870億円、輸送人員1日当たり9万2千~10万2千人が見込まれ?開業から24~31年目に累積損益が黒字化すると判定された。

大阪空港線は「現素案」のままでは40年で黒字化出来る様なしろものではなく実現性は低い?と評価

大阪空港は夜間の離着陸禁止などの規制があり、今後も旅客数の大幅増は見込めなく甘く見積もっても輸送人員約2万5千人程度では「開通40年間で黒字転換する事」という現状の国庫補助基準は満たせなかった!

しかし阪急は「採算性を高める施策を検討したい?」と実現を諦めない姿勢を示している。

両線の計画から見える「実現を諦めない阪急の姿勢」とは

「大阪空港線」も「なにわ筋線連絡線」同様に軌間 1,067 mmの狂気?で建設し、計画を見直し分岐点を豊中駅の少し先に変更しその先から約1.16㎞の狭軌新線を空港まで建設する案に変更すれば建設費は大幅に圧縮・削減でき単純計算でも 約240億円(※3)単線敷設なら150億円程度で建設できるであろう。

また急行停車駅「豊中駅」(※4)を経由する案であれば豊中市の賛同・協力も得やすい!

更に分岐点まで約9.27㎞を3線軌条化し、JR・南海と相互乗り入れすることにより、大阪空港ー関空間が1本(正確には2本)の鉄路で結ばれることになる!

単なる十三ー梅田間のバイパス路線ではない「なにわ筋線連絡線」

バイパス路線「なにわ筋線連絡線」は十三ー梅田間の輸送力UPにつながるだけではなく、宝塚線3線軌条化により関空ー大阪空港のアクセスの主役になれるわけである。

首都圏の京成・京急の連絡快速急行の例を上げるまでも無く、需要は確実にあるし、現在リムジンバスに頼っている両空港間の連絡アクセスが交通渋滞に巻き込まれることも無く定時運行が可能となり、航空会社にとっても乗客にとっても利便性が格段に向上する!

「大阪空港線」新線の計画変更概要

豊中駅を経由して、蛍池駅手前で分岐し空港ターミナルビル前の駐車場の地下に至る、1.16㎞の単線。

駅は3線4面程度の大規模なものとするが、新線自体は成田同様に単線路線とする。

狭軌による新線建設のメリット

1)関空ー大阪空港が乗り換えなしの座ったままで!

現在豊中駅ー十三間8.1㎞ 急行?で所要時間7分 表定速度69.4㎞/hなので、

十三ー大阪空港間 約10.43㎞ を9分~10分程度で結べるようになるはずで、「なにわ筋連絡線」の計画素案では十三・関西空港間は最短47分で結ぶとされており、この提案通りの狭軌新線が建設されれば約1時間で関空・大阪空港が結ばれることとなる。

2)新規投入車両の効率運用

「なにわ筋線連絡線」建設費用約870億円には新規車両設備費は含まれていない!

従って総事業費としてはさらに膨らむことになる、2018年現在通勤型車両で10両1編成で約10億円程度と言われており、約2.5㎞、所要時間約5分(※5)のこの路線のために、通勤時間帯の5分間隔12本/時 運行のために2編成と予備車両1編成を含め3編成30億円を投資するのは無駄な話である。

更に、新たに車両基地が必要となり、路線延長2.5㎞以外に用地取得が必要となる。

現在、「当て馬案」として既に事業免許取得済の「新大阪連絡線」も計画には上がっているが、JR梅田北駅延伸事業が進行中の現在、あまりメリットがない!

しかし、梅田北駅ー大阪空港間約12.9㎞、急行所要時間15分の路線であれば、現行の急行毎時6本のうち半数の列車を20分間隔で振り当てても3編成で済み、十三ー北梅田間の5分運行にのうち4本に1本を振り当てるだけでよく、予備車両を含めても7編成程度で事足りる。

つまり70億円程度で済み、しかも運用区間が長い分投資効果も大きい。

3線軌条化のデメリット

3線軌条化には全くデメリットが無い訳でもない。

十三ー豊中間はすべて3線軌条化対策として、建築限界の大幅な見直しと上下線の軌道間の間隔見直し、軌道敷・路盤拡張が必要となってくる。

1)軌道間隔及び軌道敷地拡幅の必要性

3線軌条とは、どちらか片側の線路を共有し、もういっぽうの線路を2本敷き、都合3本の線路を使って軌間の異なる車両を走行させる軌道敷のことである。

つまり車両幅(車両限界)が同じだとすれば、標準軌間1435mmー軌間 1,067 mm=368㎜ の1/2=184㎜センターがオフセットされるわけで、最低でも駅間では+184㎜の敷地拡幅、駅では上下線間を368㎜以上拡幅し、ホーム間隔はさらに片側184㎜両側で368㎜、つまり都合736㎜、ホーム間隔を広げないと、ホームと接触してしまう!

2)列車ごとに異なるホームとの隙間の変化

駅では、4線軌条にして「センター合わせ」を行わない限りは、列車ごとに184㎜もホームとの間隔が変化することとなり、更に同線のように曲線区間にホームが設置された駅多い場合は、更にホームと車両の「溝」は広がり、危険でとても実用には耐えられないプラットホーム構造となってしまう。

このために前途した「堺筋線」相互乗り入れ計画は計画倒れになった訳でもある。

宝塚本線に適応する場合の対応策

1)高架化本線部分の路盤拡幅改修工事

既に高架化された区間では、路盤拡幅のためにかなり大掛かりな工事が必要になってくるが、両側道を利用するだけで新たな用地取得問題は起こらないであろう。

2)駅施設の対応

途中通過駅

殆どの通過駅の施設についても、ホーム間隔を736㎜広げるだけで、外側(ホーム側)2線の3線軌条化で対応できる。(なぜなら通過駅ではホームと車両の間隔が広がっても乗客の乗り降りは無い!)

急行停車駅・豊中駅

急行停車駅でもあり、今回のプロジェクトのカギを握る「豊中市」の表玄関でもありこの駅を通過することはできないの。しかもホームが曲線部分にあり、ただでさえホームと車両の「溝」が広い!

当駅のみは「4線軌条」で車両センターを合わせる必要があろう!

3)新大阪連絡線用地の有効利用

前途した通り、現行「なにわ筋線連絡線」計画素案でも、新たに最低10両編成通勤型車両3編成用の「車庫」設備が必要になってくる。

そこで、既に取得積みの「新大阪連絡線」用地の一部の事業免許を変更すれば、車両基地新設(※6)に転用できる!

参照覧

※1) Wikipediaの解説記事はこちら。

※2)総事業費予測と需要予測は「希望的観測」と「政治的配慮?」が大きく働き「大昔の天気予報以下!」の確度しかなく、あてにならないのは京阪中之島線の例を上げるまでも無くハッキリしている!

※3)路線延長比3.6㎞対1.2㎞の単純計算で 約240億

※4)豊中駅 ;通年平均乗降客;47,953人/日-2017年・年次統計

※5)現行宝塚線ダイヤから算出

※6)阪急は神戸線沿いの武田薬品工業㈱の敷地の一部を用途未定で買収済みで、どうやらこの部分に車両基地(車庫)を設けるつもりでいるらしい?

公開:2018年11月23日
更新:2018年11月24日

投稿者:デジタヌ

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