狸穴ジャーナル『タヌキがゆく』

王滝村と木曽森林鉄道《Community Historia》

前書き(要約)木曽森林鉄道の走っていた山間の村

嘗て1975年 に廃止されるまで、地域住人の大切なアクセス手段として、通学、通勤、買い出し?にと大活躍をしていた王滝森林鉄道が走っていた、長野県大滝村のタウンレビュー。

王滝森林鉄道復元軌道のある王滝村のあらまし

推計人口、776人/2017年10月1日。

御嶽山のふもと長野県の南西部にある村。

西側は岐阜県と接し、北側には御嶽山(おんたけさん)がある、かつては、林業が盛んで「木曽ヒノキ」として全国に知られていた。

王滝森林鉄道が廃止された1975年の国勢調査では林業従事者を主に2,037人いた人口が、前回の国勢調査(2015年)では839人と1/3近くまで減少(村外転出)している。

20代から60才までの就労年齢比率が全国平均の1/4近く、逆に60才以上が「倍」近くと極端な少子高齢化に見舞われている閑村である。

王滝村と王滝森林鉄道のこれまでの歩み

かつて伐採したヒノキを筏にして木曽川を利用した筏(いかだ)で下流域まで運ばれていた。

1910年10月5日中央線須原駅 - 上松駅間(11.43km)が延伸開業し名古屋とつながり木材鉄道輸送のみちが開けた。

さらに1922年に大井ダムが着工され、天竜川による筏流しに頼れなくなったことにから、1923年(大正12年)から木曽森林鉄道の整備が始まった。(王滝村の公式サイトの解説は多少舌足らずのように感ずる。)

木曽森林鉄道は木材の運搬だけでなく、以後王滝川に建設されたダムの建設資材運搬や住民の足としても活躍した。

1939年に王滝川最初のダム常盤ダム(大島ダム)が着工しこの時はその後の佐久間ダム建設(1953年着工)などの例にみられるように、鉄道(王滝川本線)を高台に移設している。

1942年着工の王滝川ダム建設時、1943年 三浦ダム着工時も森林鉄道を移設し渓谷のアクセス確保としている。

1957年 牧尾ダム着工時に初めて県道256号線の移設拡充整備も行われた。

しかし牧尾ダム以東木曽福島側はその後も道路整備は進まず、高度成長期の旺盛な木材需要・輸送には対応できない状況が続いたと思われる。

1955年当時でさえ王滝線の上松~大鹿間を結ぶ営林署職員の通勤専用列車「おんたけ号」をはじめ、住民のための「みどり号」、上松~三浦~本谷間の「みやま号」、滝越地区の児童を王滝小・中学校に通学させるスクール列車「やまばと号」が運転されていたことがこのことを物語っている。

転機は1963年~1967年の木曽ダム工事期間中におとずれ、ボトルネックとなっていた王滝川流域渓谷出口の周辺道路事情が県道20号線の整備で解消し、牧尾ダム工事期間中に移設整備が完了していた256号線とともに木材搬出がトラック輸送に急激に切り替わったと考えられる。

但しその後も新王滝村小学校前から分岐している県道486号線の氷ケ瀬以西は道路整備が進まず(現在も良好とはいいがたい)氷ケ瀬以西の国有林から切り出される原木は氷ケ瀬まで木曽森林鉄道に頼らざるを得ない状況が続いたものと考えられる。

1970年代に入り安価な輸入木材が重宝されだすと、「木曽ヒノキ」の出荷量も年を追うごとに減少し、それにつれて林野行政も変化し山林保護に舵を取り、もはや無用の長物となった王滝森林鉄道は1975年(昭和50年)に廃線となったのであろう。

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略年表

1889年(明治22年)4月1日 - 町村制の施行により、西筑摩郡王滝村が単独で自治体を形成。

1910年10月5日:中央線須原駅 - 上松駅間(7.1M≒11.43km)が延伸開業し。中央線が名古屋とつながる。

1922年 大井ダム(現恵那市)着工

1923年(大正12年) 、鬼渕停車場(現上松町大字上松)「鬼渕橋上」バス停付近)から王滝川に沿って氷ケ瀬までの25.3km王滝森林鉄道開通。

1924年 大井ダム完成

1930年 三浦(現三浦ダムのあたり)までの王滝川幹線約16.7kmの延長、及び瀬戸川、うぐい川支流の各支線、滝越ら分岐する支線も合わせ、王滝、三岳、開田の3村にまたがる鉄道網が完成。

1939年 常盤ダム(大島ダム)建設開始

1941年 常盤ダム完成

1942年 王滝川ダム着工

1943年 三浦ダム着工

1945年 三浦ダム完成

1948年 王滝川ダム完成

1957年 牧尾ダム着工

1961年 牧尾ダム完成7500万t、着工1957年)、王滝村の農地の3割が水没、2割の住民が移住。

1963年 木曽ダム着工

1967年 木曽ダム竣工

1975年(昭和50年) 王滝森林鉄道廃止

1979年(昭和54年)10月28日 - 御嶽山が有史以来初めての爆発。(水蒸気爆発)

1984年(昭和59年)1月15日 -中央本線上松駅 貨物の取扱を廃止。1同年9月14日 - 長野県西部地震発生被災。

1993年(平成5年)スキー場入場客が、年間67万人になるがその後スキーブームは去り2011年時点で5万人まで利用者が低下。
2005年(平成17年)財政非常事態宣言。2005年5月第1回森林鉄道フェスティバル開催。

2007年 第2回森林鉄道フェスティバル開催。

2010年、第3回森林鉄道フェスティバル開催。
2014年(平成26年)9月27日 - 御嶽山が2度目の噴火。

2013年 第4回森林鉄道フェスティバル開催。

2016年 第5回森林鉄道フェスティバル開催。
2017年 (平成29年)6月25日 - 長野県南西部を震源とする地震(M5.7)が発生被災、王滝村・木曽町で震度5強を観測。

 

公開:2016年11月 6日
更新:2022年10月 7日

投稿者:デジタヌ

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