タヌキがゆく

 マイクロブリュワリーの今後 ーシリーズ「規制緩和について考える」2017 

全国47都道府県に隈無くあったマイクロブリュワリーが次々と醸造停止に追い込まれ、ブリュワリーの存在しなくなった県も多数見られる。

1時200軒を越していた地ビール醸造業者は近年に成って、醸造終了(免許失効)が相次いである。

特に、地方のリゾート施設や酒造会社の事業撤退が目立つ。

消費者の「地ビールブーム」が去ったのでは無く醸造者側の甘い需要予測で始まった「地ビール熱」が冷めたのが原因なのではないだろうか?

2006年5月以降の種類製造免許の規定

ビール年間最低数量60Kリットル 発泡酒6Kリットルとなっている。

酒税法第7条第2項において、種類別に1年あたりの最低製造見込数量(法定製造数量)が定められている。免許取得後1年間に製造しようとする見込数量がこれに達しない場合は、免許を受けられない。また、実際の製造数量がこれを3年間下回ると、免許取り消しとなる。<wikiペディアより引用>

法定製造数量60Kリットル!

と言えば少ないように勘違いするかもしれ無いが、リットルに言い換えれば60.000リットル、500mLの中瓶換算で何と12万本!(大瓶633ml換算でも94.787本!約10万本)標準缶(350ml)換算だと何と171.429本!

飲食店・居酒屋でよく見かける業務用アルミ製樽の最小容量がスーパードライ生樽が10リットル(中瓶20本)、一番搾り生樽が7リットル(中瓶14本)

それぞれ樽換算しても、6000樽、8,571樽

年間365日52週、週1の定休日に盆暮れの臨時休業を加えて年休65日を引くと飲食店の年間営業日数約300日

居酒屋の消費量推定

居酒屋(小規模店)一件当たりの平均消費が樽生10リットル/日として、年間3,000リットル。

60.000リットル÷3.000リットル/軒=20軒

つまり約20軒以上の定期納入(常時取扱店)契約を取り付けていないとこれだけの量は消費できない!

ブルワリー(醸造所)併設の自社レストラン1軒では消費しきれる量ではない!

近畿でチェーン展開している、「ニュー・ミュンヘン」チェーンの例

同社ではサッポロビールの協力をえて(株)サッポロ神戸大使館醸造所を併設しラガーの大使館ビール(麦芽100%)と港神戸ヴァイツェン(ドイチェ・白エール)を醸造しチェーン各店にデリバリーている。

大使館ドラフト(生)ビール

神戸大使館(430席)以外、(本店 (430席)・ 南大使(400席)館bahnhofニューミュンヘン(70席)心斎橋店(75席)

(総席数1405席!)

港神戸ヴァイツェン・ドラフト(生)ビールは

神戸大使館 (430席)以外に 神戸フラワーロード店 (100席)・ 神戸ハーバーランド店 (140席)・ 神戸元町店 (156席)本店 (430席)・ 北大使館 (194席)・ 南大使館(400席) ・ 心斎橋店(75席)・ bahnhofニューミュンヘン(70席)・・ 茨木店( 80席)

の全ビアレストラン(総席数席2075席!)にデリバリーしている。

これで全醸造量を消費し、一般市販(流通)品は製造していない。

同じく兵庫県の食品加工・レストランチェーン(株)三田屋/神戸市/兵庫県の揮八郎ビールドラフト・ラガー

のレストランチェーンで

全店総席数約500席と、瓶入り濾過加熱処理の市販品(一般流通品)で醸造量をカバーしている。

この例でも判るように、中型店舗、6店舗程度では、とても年間ノルマの60.000リットルは消費できない!

どこからはじき出された法定製造数量?

最低採算レベルというところからはじき出されたのであろう法定製造数量60Kリットル。

60.000リットルという数字は、製造設備から出た数値ではなく、酒税税率 ¥220.000-/1Kl×60kl=¥13,200,000ー 

を元に、

標準缶ビール350ml換算で1本当たりにすると

¥13,200,000-÷171.429本=約77円/本、

地ビールの相場価格・平均市販価格¥350/本として、工場出荷価格約230円程度、税金を引くと約150円/本、原材料30%として¥100/本×171.429本=¥17.142.900-/粗利

でも実際は地ビール?に占める原料費の割合はもっと高く、粗利¥17.142.900-あるとしても、設備のローン、パッケージング製品加工費、消耗費(電気代、燃料代など)管理費等の諸経費をさっ引いて醸造技術者2人?ぐらいの人件費がやっとであろう。

本来のマイクロ・ブリュワリーの役割とは?

そこで、本来のマイクロ・ブリュワリーの目的の1つ地産地消ご当地名物の「客寄せパンダ」と割り切ってしまえば、ビール醸造だけで採算がとれなくても、無理をしなくても何とかなるのではと思う次第である。

現行の酒税法の枠であればマイクロブリュワリー側も「ビール」に拘らず、酒税の安い発泡酒、に種類製造免許申請をし直せば、法定製造数量が6キロリットル/年間とビールの1/10になる。

しかも税率も下がる

発泡性酒(ビール)      ¥220.000-/1Kl

発泡酒(麦芽比率25~50%未満) ¥178,125円/1KL
〃(麦芽比率25%未満)     ¥134,250円/1KL

田舎の3セク」が思いつきで「客寄せパンダ」的に始めた「町おこし事業」であるなら、ビールに拘らず、このあたりで手を撲つべきではないだろうか?

現在製造コストがかかる原因の最たる物は主要原料の「麦芽」「ホップ」輸入に頼っている点である


1部のマイクロブリュワリーで、地元農家と組んで大麦・ホップの地元生産化、の試みもされているが、ほとんどの業者は「輸入品の本場物」をうたい文句にしている。

「美味しい地元の水」と「国産ビール酵母」以外は全て「海外からの輸入品」に頼っていたのでは、真の意味で「地ビール」とは言えない!し「地産地消」でも無い!

更に、別項「ビールは生き物でも記した様に、パッケージングビールは生半可な衛生管理(品質管理)体制では、流通過程で「変質」し消費者(愛飲家)の口に入る頃には、「ビールではなくなっている」場合が多く見受けられる。

アメリカン・エール醸造を主体とするマイクロブリュワリー

はその辺をもう一度検討して、再投資(追加投資)ができないようであれば、さっさと事業を閉めるべきである。

更に、業界団体である全国地ビール醸造者協議会も上部団体の日本酒造組合中央会と協力し、再度の「規制緩和」を国に訴えるべきである

妥協したとしても現行の1/3=20Kl程度までは法定製造数量引き下げを訴えるべきである。

年間20Kl迄規制緩和されれば

小規模・飲食店(居酒屋)7軒程度で消費できる可能性が出てくるし、また「プレミアム製」を武器に営業展開すれば大都市近郊であれば定期納入(常時取扱店)契約も取れるであろうし、デリ・バン1台と外交担当(営業・配送)1人で何とかデリバリーできるであろう。

当然前出の「ニュー・ミュンヘン」を見習い、醸造品目み直し、絞り込みは必要条件となるであろう。

法定製造数量60Klをこなすために、他種の酒分けを網羅し、(少量他種の酵母の買い付け、他品種のホップ、他品種の麦芽、福原料などの)原料費が嵩み、製品管理も煩雑になり、為に粗悪品が流通したのでは、「本末転倒」も良いところ「愚の骨頂」である。

公開:2017年8月27日
更新:2018年3月24日

投稿者:デジタヌ

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