タヌキがゆく

《 公共ホール 計画 の手引き 》 藝術ホールデザインの 極意・セオリーとは その3 ホール形状と客席配列

ホール形状は反響板から拡がる形状が基本

ホリゾント反響板(ステージ背後反響板)から連続的に後方に向かって拡がるホーン形状が基本。

反響版同しの隙間を照明器具や、空調ギャラリに使うのが一般的。

1,扇型が無難なプロセニアム形式多目的ホール

ワインヤード型を含めシューボックス型は金(内部装飾に)がかかる

可動プロセニアム&自走式を含む重量級反響版は21世紀の必須条件!

「軽量鉄骨フレーム+合板」スタイルの旧来型のステージ反響板では、共振を起こしたり、反射(率)効果が少ないので、できれば側面・背後反響板のみでも木材で表装した発泡コンクリート製重量タイプを採用すべし。

反響板とホール本体(客席部)とは滑らかにつなげ

プロセニアムタイプなら、重量級舞台反響板と稼働プロセニアムで、ホールとの急激な段差や、断面積変化が無い、連続的に繋がった1体空間創出が可能な構造とすること。

※急激な断面形状変化をもつ旧来のステージ反響板はステージ部分が「ダクト」となり「共鳴」を生みだし、洞窟音になりやすい!

改修の好例

2014年 東京文化会館大ホールリニューアル例等


最新流行のホール「一体デザイン反響板」に拘るな

プロセニアムホールでもオープンステージは組める

重量級のバルクヘッド(隔壁)で舞台とホール(客席)を分離し平土間部分(オーケストラピット部分)に拡張オープンステージを設置(迫り上げて)して一体型ホールとする例。

1990年竣工川口総合文化センター・リリアメインホール(※ホールナビはこちら)
2000年開館 グランキューブ大阪、メインホール(※ホールナビはこちら)

2004年開館 まつもと市民芸術館 メインホール(※ホールナビはこちら)

フロアー構成

1、平土間でも工夫次第で視界は稼げる

※但し第1章で述べた通り、定在波駆逐の意味では、出来るだけ急峻なスロープを巡らせた方が得策ではある。

A、平土間デザインの小規模ホールの後部座席の視界は「桟敷」を有効に使え

1階桟敷は浅く(せいぜい2列席)、平土間の周囲に同じ高さで巡らせろ

terraceboner08.jpg

出展:Acoustical Society of America 159th Meeting Lay Language Papers

http://acoustics.org/pressroom/httpdocs/159th/boner.htm

桟敷を上手に巡らせた例(竣工年度順)

1961年竣工 東京文化会館・小ホール/天才作品例ホールナビはこちら)

2002年竣工 岸和田市立浪切ホール・大ホール/(※ホールナビはこちら)
2005年竣工 軽井沢大賀ホール/(※ホールナビはこちら)

B、千鳥配列座席を有効に使え


This photo of Philharmonie de Paris is courtesy of TripAdvisor

収容人員は多少犠牲には成るが、座席を千鳥配置することにより、緩やかなスロープでも視界は確保出来る。

千鳥配置座席で視界を確保した好例(竣工年度順)

1975年開館 神奈川県民ホール(本館)大ホール(※ホールナビはこちら)
2001年竣工 山形テルサ・テルサホール(※ホールナビはこちら)

2008年竣工 いわきアリオスのホール群/(※ホールナビはこちら)

2010年竣工 神奈川芸術劇場KAAT(※ホールナビはこちら)
2011年竣工 アルカスホール/(※ホールナビはこちら)

その他多数。

2、多層フロアー・バルコニー(テラス)席のセオリー

strathmore640.jpg

出展.;http://www.wbjc.com/2015/wbjc-programs/interviews/historic-day-for-the-bso/

A、「2階以上のテラス」は「軒先程度」に浅くしろ

テラスは壁を背に、浅め(せいぜい2列)で軒先短く。

B、軒先(天井)は高くしろ

  • フロアーの場合;最後部通路上で最低3m以上。

  • テラスの場合;テラス前端の軒先高さは奥行きの2倍以上or3m以上!

  • 各フロアーの大向こうでの十分な天井高さ(3m以上)が確保出来ないと、映画館スタイルのワンワンホールに成ってしまいやすい。

※好例

C、壁際(フロアー最後列orテラス後列の背面)は通路にせよ!

D、 テラスの軒形状はスラントさせろ

平行な軒は対抗面との間で反響(エコー)を誘発し有効な乱反射(残響)が得にくい。

E テラスの軒形状は出来ればラウンド形状に

フラット面は初期反響面になり、1階席に不愉快な反響を降り注ぐ?結果となり安い。

凸面形状の木質装飾版で表面を覆えば、「残響の元」散乱波となり同時に不愉快な初期反響も軽減できる。

F,椅子は出来るだけケチるな

椅子は吸音材でもある、椅子をケチると、反響だらけの「ワンワン」ホールになりやすい。

G,床は分厚いカーペットで

出来れば絨毯を敷き詰めろ!

「剥き出し床」なら最低木質パーケット床、フローリング、コルクボード、タイルカーペット(オフィス用不織布基材)張り詰めることビニタイルは最低の選択!である。

※参照覧

※1、関連記事「音の良いホールの条件」はこちら。

※2-1、定在波の悪影響に関する一般人向けnatuch音響さんの解説記事はこちら

※2-2、定在波に関するWikipediaの(技術者向け)解説はこちら。

※3、直接音、初期反射音、残響音についての(株)エー・アール・アイさんの解説はこちら。

※4、関連記事『ホール酔い 現象 とは?』はこちら

※5、鎧張り(下見板張り)についてのWikipediaの解説はこちら。

※6、アクリルエマルションペイント仕上げのプラスターボードについての建材メーカーの解説記事はこちら

※7、格天井 についてのコトバンクの解説記事はこちら

※8、現代の3大迷発明!「珍妙からくり(残響調整装置、可変段床設備、可変吊り天井)」に関する記事はこちら。

※9、関連記事『都市伝説・良いホールの条件"残響2秒以上"は本当か?』はこちら

公開:2017年10月26日
更新:2018年10月12日

投稿者:デジタヌ

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